風上の中韓で事故が起きれば…
委員らが中韓の現状にやきもきするのは、両国で事故が起きれば、日本への影響が避けられないからだ。
規制委の田中委員長は「季節にもよるが、西から東に地球上の風は流れており、中韓は風上になる。(事故が起きれば)放射能の拡散はあり得る」と話す。
日中韓の規制担当者が集まり情報交換する意味はここにある。事故に備えて連絡体制を構築しておくことや、普段から情報交換をすることで互いの安全技術の向上を図る狙いもある。
ただ、同会合は十分に機能しているとは言い難いのも事実だ。規制委の担当者に聞いても、中韓の規制については「十分に把握できていない」と話す。規制委の伴信彦委員は定例会合の中で「私も昨年出席したが、各国がそれぞれの状況を紹介しているだけの印象を受けた」と会議のあり方に苦言を呈した。
3国会合は持ち回り開催で、来年は日本で開催される予定だ。田中委員長も「よその国の規制にまで口出しすることは基本的にはできないが、せっかく3カ国で情報交換会議が行われているので、われわれの経験や知見をきちっと伝えて、安全確保に努めてもらうことが必要だ」と指摘。その上で、規制庁に対しても「(韓国のような)自動停止しないようなシステムを許容してよいのかという議論とか、わが国の経験やいろんな議論ができるようにしてもらいたい」と注文をつけた。