【社説】2017年、敗北主義が蔓延する韓国を再び「できる国」にしよう

 今月20日には米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と習近平・国家主席、ロシアのプーチン大統領など東アジア強大国の指導者たちは相手に自らの筋肉を誇示するいわゆる「ストロングマン」スタイルの政治家ばかりだ。新年の世界情勢を「超不確実性の時代」と呼んだアイケングリーン氏の言葉も決して誇張には聞こえない。

 トランプ次期大統領は「自由民主主義」という価値以上に現実的な利益を優先することから、過去とは全く異なるタイプの大統領になるだろう。その結果、これまで60年以上にわたり維持されてきた韓米同盟も大きく見直される可能性がでてきた。これまでわれわれが当然と考えてきたことが、今後は当然ではなくなる時代が来たのだ。特に安全保障政策ではことあるごとに与野党が対立する今の政治の仕組みでは、この超不確実性の時代を乗り切ることなどできないだろう。

 今や米国と中国による覇権争いは避けられない状況になった。われわれにとっては最悪のシナリオだ。安全保障上の同盟国と最大の貿易相手国とのどちらを取るかという究極かつ困難な選択が迫られているのだ。このような状況でも政界は国家戦略を定めるどころか、米中の代理戦争に熱中している。大統領選挙に先立ち各党は候補者を選ばねばならないが、野党側には大衆に好かれるような候補者はいても、国として必要な外交・安全保障上の決断を下せるような人物は見当たらない。韓国の政治の仕組みでは、この分野での正しい決断はとういうわけか失敗につながってしまうからだ。

 政府は今年1年の成長率目標を2.6%に定めた。アジア通貨危機後の18年間でははじめての2%台だ。それだけこの国には国を成長させるだけの分野が見当たらず、景気不振を加速させるような材料ばかりが横たわっている。消費や設備投資、建設投資はもちろん、就業者の増加幅に至るまで内需関連のあらゆる指標が昨年を下回る見通しだ。家計負債という時限爆弾は今なお全く解決されていない。信用がなく所得も少ない庶民の債務者が抱える借金は総額で78兆ウォン(約7兆5000億円)に達する。金利が少しでも上がれば即座に破綻だ。これに不動産市場のソフトランディングまで失敗すれば国家的災害だ。そのような中、トランプ次期大統領によってもたらされる保護貿易の波と、米中間の通商摩擦という大津波が同時に、しかも一気に押し寄せる恐れもでてきた。

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