中村獅童と初音ミクの共演が話題となった超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』(はなくらべ・せんぼんざくら)。この初回公演時の映像を、主演をつとめた中村獅童本人とともに眺めながら振り返る「中村獅童と超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』振り返り生実況 【新作歌舞伎『あらしのよるに』上演記念】」が行われた。
最新の技術でステージ上に再現されたボーカロイド・初音ミクと、歌舞伎役者である中村獅童の次元を超えた共演となるこの舞台。ベストセラーの絵本をモチーフとした新作歌舞伎『あらしのよるに』公演後の楽屋からの生放送となった今回、「萬屋!」という屋号のコメントが乱れ飛ぶ中で登場した中村獅童は、この舞台についてどんな感想を語ったのだろうか。
“超歌舞伎”という試みについて
百花繚乱:
AR(拡張現実)の技術と歌舞伎がしっかり合わさったという舞台は、やはり初めてということですが。
中村獅童:
全てが初の試みでしたし、歌舞伎というのはアナログな世界じゃないですか? デジタルとの融合というのは、本当に、我々にとってもチャレンジでしたね。
百花繚乱:
今、(舞台公演時の)生放送での映像をタイムシフトという形で見ているんですけども、初めてこの映像をご覧になった時はいかがでしたか? 様々な技術が組み合わさった舞台だったと思うのですが。
中村獅童:
映像で見た時、「客席から生で見てみたかったな」って思いました(笑)。
百花繚乱:
獅童さんはご自分の演技をみんなで見ながら振り返った経験はありますか?
中村獅童:
いや、ないですね。だから照れくさいですよ。
百花繚乱:
みんな! 照れくさい獅童さんの顔が見られる生放送は、ここだけだぞ!
初めて歌舞伎に触れるお客さんについて
中村獅童:
今、「字幕を舞台上に表示させることについてどう思いますか?」ってコメントがありましたけど、良いと思いますよ。セリフの意味もわかりやすいですし。
百花繚乱:
歌舞伎という文化に初めて触れる方も多かったと思いますしね。演技としては、「初めて見られる方のためにこういう工夫をした」みたいなことってありますか?
中村獅童:
いや、特にはないですよ。古典をやる時も、こういった物をやる時も、気持ちは一緒ですから。初心者の方が多いからわかりやすい演技をするってことはないですね。
百花繚乱:
本場の空気をそのまま伝えていくということですか?
中村獅童:
そうですね。
百花繚乱:
「緊張されましたか?」という質問も届いておりますが?
中村獅童:
いやあ、けっこう緊張しましたね。何度も申し上げますように、我々にとっても初の試みなので、やっぱり第一回の公演というのは緊張感が高かったですね。
百花繚乱:
このお話が来た時はどういったお気持ちになりましたか?
中村獅童:
もう、「是非チャレンジさせていただきたい」と思うのと、こういったことをやらせていただいて、歌舞伎に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいですし。「これを見て歌舞伎座に行きました」ってコメントもありましたけど、それはとてもありがたいですね。
百花繚乱:
(コメントを見ていると)そう言ってる方、けっこうおられますね。
共演した“初音ミク”について
百花繚乱:
初音ミクさんを初めて見たときの印象はどうでしたか?
中村獅童:
大変、達者な方だと思いましたね。なんでも出来る方なんだなと。いつか共演させていただきたいと思っていたところでしたので、大変嬉しかったですね。なかなか、こんなにすぐに(歌舞伎の演技は)できないですからね。
百花繚乱:
確かに(笑)。
中村獅童:
やっぱり、一度共演させていただくと、親近感と言いますか、親しみと言いますか。たまに初音ミクさんの絵が描かれた車があるじゃないですか。
百花繚乱:
はいはい。いわゆる“痛車”と呼ばれる。
中村獅童:
すごく声をかけたくなると言うか、仲間意識が高いと言いますか。
百花繚乱:
共演者ですからね(笑)。
元になった楽曲『千本桜』について
中村獅童:
やっぱり、この曲がいいですよね。自分自身、演じてて気持ちが高揚してくるというか。
百花繚乱:
こちらの『千本桜』、ニコニコでも大変人気の曲となっておりますけども、この曲を初めて聞いた時の印象って覚えてますか?
中村獅童:
覚えてます、覚えてます。テレビで見ましたね。
百花繚乱:
いろんなメディアで紹介されてますからね。
中村獅童:
でも、短い稽古期間で、歌舞伎の方のスタッフ、それからこちらのデジタルのほうのスタッフの方々も、みなさんとっても良くしていただいて。もう、スタッフのおかげですね、本当に。
百花繚乱:
相当の人数の方々に支えられていたということでしょうか?
中村獅童:
もう、スタッフの方たちは寝ずに、徹夜作業だったと思いますね。でも、お客様に喜んでいただけると、それで報われますね。やっぱり、リハーサルから修正箇所もいくつもあったので。
百花繚乱:
良いものを作るためにいろんな方が努力されたということで。
中村獅童:
でも、お客様に喜んでいただけると、それも報われますね。