【コラム】裏切りという名の悪霊がはびこる韓国

【コラム】裏切りという名の悪霊がはびこる韓国

 今年一年は裏切りの悪霊に取りつかれていたようだ。幽霊は、おぼろげな姿で黒いシルエットと共に周囲をぐるぐると回った。やつの首を取りたかったが、構成員の心だけが過激化していった。裏切りは、ハムレットのような苦悩を強制した。私、父、叔父の3人を三角点として近い親戚に報復した。最高権力にまとわりついた裏切りの悪霊は、政治的自決を要求した。ハムレットは分かれ道で泣き叫んだ。

 数日前神興寺の祖室、大和尚にお会いした。詩人でもある和尚は「裏切りを口にしてはならない人がいる」と言った。国家のリーダーに対しては、裏切りという言葉を使ってはならないと言うのだ。むしろ大統領とは、裏切りと報復の悪循環を断ち切る人でなければならない。国民の前で下野させようとけしかけた「裏切りと報復の悪霊」も、大統領の近くでは溶けてなくなってしまわなければならなかった。

 不幸にも大統領は、誰よりも先に裏切りという名を呼び入れた。報復という名の水車を回したのだ。大統領は、ユ・スンミンに裏切られたと証言。白々しく宣言した。大統領は、対国民謝罪文と憲法裁判所の答弁書にもあるように、崔順実(チェ・スンシル)にも裏切られたかのように話した。裏切りのわなを他人になすり付けようとする欲望は、感染力が強かった。親朴(朴槿恵〈パク・クンヘ〉大統領に近い)派は、非朴(朴大統領とは一線を画する)派を裏切りの政治勢力とまくし立てた。多分崔順実も、コ・ヨンテやイ・ソンハンに裏切られたと思っているに違いない。

 裏切りとは、そもそも「悲劇的なドラマ」によく見られるシナリオだ。テレビドラマの視聴率が低い場合、先輩作家は「ストーリーに裏切りを入れろ」と忠告する。後輩たちは、何か物足りなく感じられたストーリーに裏切りのパウダーを振り掛ける。助演の一人を典型的な「意地悪人間」として仕立て上げ、主人公を奈落の底へと突き落とす。裏切りは、観客を興奮させる。おかげで視聴率は5%ほど上昇する。しかし、国政運営と国民の心がドラマのようにうまく動くわけがない。

 日本は今年の漢字に「金」を選んだ。台湾では「苦」が選ばれた。英国は今年を「脱真実」と規定した。韓国では「裏切り」という言葉が選ばれるべきではないか。いや裏切りの仮面をかぶった悪霊が国民を金縛りにしたのだ。やつの影響力はすさまじい。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も、国民がリーダーシップに裏切られたと言った。ある者は「大統領は4年前に大統領に票を投じた51.6%の有権者を裏切った」と言った。大統領の支持者のうち、ある人は批判的保守言論を裏切り者と呼ばわった。

キム・グァンイル論説委員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】裏切りという名の悪霊がはびこる韓国

right

関連ニュース