洋の東西を問わず、グループが偉大であればあるほど、メンバー間の人間関係のみならず、ビジネスなど、あらゆる事象にひずみが生じることを痛感させられた。
ビートルズは1970年、ポールの脱退宣言で解散するかどうかをめぐって裁判になるほど泥沼化した。ただ、SMAPは事前にファンに解散を発表し、SMAP最後の日に中居がラジオでファンへ、そしてメンバーへ悲痛なメッセージを送った。解散について「誰も悪くない」と発した言葉は中居の偽らざる心境で、ファンも納得したに違いない。その意味でビートルズとは全く違う。
ビートルズは解散後もメンバー全員が華々しい活躍を見せた。ジョンは音楽のみならず、ラブ&ピースを掲げ、若者のカリスマになった。ジョージも「マイ・スィート・ロード」(70年)「セット・オン・ユー」(88年)などで全米(ビルボードチャート)1位を獲得した。リンゴ・スターはドラマー以外に、ハリウッド俳優としても活躍。ポールは今年4月に東京ドームで来日公演を行うことが発表されるなど、74歳のいまなおワールドツアーを精力的に行っている。
ビートルズは80年にジョンが凶弾に倒れて、再結成は夢と消えた。ただ、解散24年後の94年、ジョンの歌声が入ったジョンの未発表曲に、ポール、ジョージ、リンゴが演奏とコーラスを追加録音して、事実上の再結成を果たしたことがる。真珠湾で安倍首相が発した「和解の力」ではないが、ビートルズはそのとき、メンバー間の確執を全て水に流した。
SMAP連載で私は「夜空ノムコウ」の歌詞にからめて、「SMAPノムコウに5人の明日があると信じたい」|と締めた。ジャニーズ事務所に残留するにしろ、独立するにしろ、多彩な才能を持つ5人が、ソロになってもビートルズ級の活躍をすることを願っている。そして、ビートルズのように、何らかの形でもいいので、5人が再集結する姿を見たい。(CYP)