日馬富士が「報知年間最優秀力士賞」初受賞!
報知新聞社制定「平成28年(2016年)第59回報知年間最優秀力士賞」が、横綱・日馬富士(32)=伊勢ケ浜=に決定したことが27日、発表された。東京・銀座の三笠会館での選考会では、横綱・白鵬(31)=宮城野=、大関・稀勢の里(30)=田子ノ浦=を含めた3人で議論。年間優勝最多(2回)の白鵬、年間最多勝(69勝)の稀勢の里を抑え、欠点のない内容で優勝もした日馬富士の初受賞が決まった。表彰式は来年1月8日、大相撲初場所(両国国技館)初日の土俵で行われ、スポーツ報知杯、賞金が贈呈される。
初受賞の一報に、日馬富士は思わず顔をほころばせた。白鵬のV10を阻んでの受賞に「一生懸命相撲を取って良かった…。何て言ったらいいのかな」。年間最多勝争いでは稀勢の里に2差で敗れたが、名古屋場所で8回目の優勝。3横綱の中で唯一、1年間休場なしで戦い続けた点が評価されたと聞くと「結果は後からついてくること。僕は一生懸命相撲を取っただけ。皆さんが評価してくれて本当に感謝です」と頭を下げた。
12年秋場所後に昇進後、年6場所皆勤は13年以来。右肘や左足首などの故障に悩まされた時期もあった。「今年はとにかくけがが良くなった。いろいろあったけどね」。名古屋場所では黒いサポーターを右肘につけて審判部から注意を受けた。昨年名古屋場所中に痛めた右肘じん帯を保護する意図から、締め付けの強いゴム製を装着したが、「土俵上では白色にすること」と指摘。それでもその場所で優勝。不安を打ち消して結果を出した。
横綱としての責務は「続ける」ことだ。次世代を担う若手の台頭はある。だが、名古屋場所中には来年初場所で新関脇昇進する正代(25)=時津風=を退けた後「最近の子はあまり稽古しないからね」とばっさり切り捨てるなど、愛のムチを惜しまない。それは番付最高位として角界の発展を真剣に考えるからこそ。「あちこちけがだらけだけど、土俵の神様に自分の魂を預けて1日1日やっていくだけです」。自らを押しのけるような若手が現れるまで、やすやすと世代交代を許す気はない。
来年はさらなる円熟味を増すことが期待される。「土俵に上がれることは幸せなこと。一生懸命頑張って、自分のやるべきことを続けていきたい」。当面の目標は2ケタ優勝。「目標に向かって頑張っていきたい」。4月に33歳を迎える17年も、横綱として若手の壁であり続ける。(秦 雄太郎)
◆日馬富士 公平(はるまふじ・こうへい)本名・ダワーニャミーン・ビャンバドルジ。1984年4月14日、モンゴル・ゴビアルタイ出身。32歳。伊勢ケ浜部屋所属。2001年初場所で初土俵。04年春場所で新十両。同年九州で新入幕。12年秋場所後に双葉山、貴乃花以来史上3人目の大関として2場所連続全勝Vで第70代横綱に昇進。優勝回数は8回。得意は右四つ、寄り。186センチ、137キロ。バトトール夫人(29)と1男1女。