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ぶち猫おかわり

料理ときどきぶち猫二匹

自家製からすみを作ってみた話

料理 料理-日々のご飯

自宅でからすみを作ってみる

「からすみ」とは、ボラの卵巣を塩漬けにしてから天日干しした珍味を指します。一般に割と高価で販売されていますが、ボラ子(ボラの卵巣)さえ手に入れば、家庭でも作ることができます。

親しい友人が毎年自家製のものを作っていて、たまにおすそ分けを頂いたりしていたのですが、今年は思い立って自分で作ってみることにしました。

大まかな工程としては、ボラ子を買う→塩漬けする→塩を抜く→干す→完成という感じで、全部で1カ月くらいかかる見込みです。

なお、からすみの作り方には、本当に諸説あるため、今回はいろいろ調べた結果として自分がやりやすく合理的だと思った方法を採用しています。

12月上旬 ボラ子(ボラの卵巣)を買って血抜きする

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まずは材料を揃えます。必要なのは、ボラ子と塩とお酒です。今回、ボラ子は築地市場の場内にて、キロ6500円のものを二腹(500g分)買いました。合計で3500円くらいでした。時期は12月上旬でしたが、11月中に訪れた際のほうがたくさん見かけた気がします。

ボラ子の大きさについて、いろいろ見比べたなかで中ぐらいのものを選びました。大きい方が見栄えはいいのですが、塩漬けや乾燥の難易度が上がるとのことで、初めて挑戦するときは欲張らないほうがいいかもしれません。

 

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血液が残っていると臭みの原因になるため、買ってきたらまず血抜きをします。待ち針などの細い針(熱湯かアルコールで消毒する)を用意し、ボラ子の表面に浮き出ている血管を1cmくらいの間隔でちくちく刺します。

刺したところから血が抜けるので、針穴は表面から血管の内部まで貫通している必要がありますが、それを超えて深く刺す必要はありません。また、皮が破れると後の処理が大変なので、穴が小さくなるように垂直に刺すとよいです。

大きな血管だけでなく、細い血管も丁寧に刺しましょう。

 

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刺し終わったら、ボラ子を氷水の中に浸します。太い血管については、待ち針の反対側の丸いところやスプーンの先などで優しくしごいて、中に溜まっている血液を押し出します。ただ、無理をする必要はなく、穴が空かない程度に加減するほうが大事です。このまま蓋をして冷蔵庫に入れ、一晩置きます。

 

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一晩置いたところ。血管の収縮により、内部に残っていた血液が水分中に放出され、ボラ子の表面に浮いていた血管がほとんど見えなくなりました。

 

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キッチンペーパーなどで表面の水分を拭き取り、重さを測ったところ、561gでした。

12月上旬~中旬 塩漬けする

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ボラ子の20%の重さの塩をまぶして、塩漬けにします。今回は、ゲランドの塩の顆粒を使いました。この塩気が最後まで残ることになるので、ちょっとおいしいやつを使ったほうがいいのでは?と思います。

セルマランドゲランド ゲランドの塩(顆粒) 1kg

セルマランドゲランド ゲランドの塩(顆粒) 1kg

 

 

この状態にて、 冷蔵庫に保管すること一週間。始めのうちは水分がじゃぶじゃぶ出るので、毎日様子を見て、水が出ていれば捨てます。わたしは野田琺瑯の浅型のLサイズタッパーの中に業務用の脱水シートを敷いて、その上にからすみを乗せておいたので、水分が出たら脱水シートを取り換えるだけで済んでらくちんでした。

業務用の脱水シートは、このほかにも味噌漬けの際の水分の吸収や肉・魚の保管にも使えて大変べんりです。 

オカモト 業務用ピチット 32R(32枚ロール)

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12月中旬 塩抜きする 

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一週間後。水分が出て、表面を指で押すと固さを感じる状態です。塩分ですが、5日目くらいに表面から塩分が消えたのに固くならない場所があり、保存性に問題があるのではないかと心配になったため、少し追加しました。おそらく最終的に重量の25%から30%使ったのではないかと思います。

 

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この時点で、重さは492gになっていました。

 

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一度塩漬けにしたボラ子を、今度は塩抜きします。使うのは、日本酒。このときの日本酒が最後まで香りとして残るので、今回は七賢を使いました。控えめながらとてもよい香りの日本酒で、作業中もちょっといい気分でした。

 

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ボラ子の重量をそれぞれ測り、重さの120%の日本酒とともにジップロックに封入します。

 

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このまま、冷蔵庫で塩抜きすること2日間。最初は水で塩抜きするべきとか、もっと長い期間やるべきとか、逆に2日間以上塩抜きすると乾燥に時間がかかるとか、このあたりの手順も諸説あるところではあります。

12月下旬 天日干しする

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塩抜きが完了したボラ子です。だんだんとそれっぽくなってきました。表面を拭いてから、いよいよ天日干しです。なお、ボラ子を漬けた日本酒には旨みと塩分が溶け出しているので、料理酒として使うことができます。

 

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この工程では、ボラ子を日中は天日干しにし、夜間は冷蔵庫に入れて乾燥させます。天日干しにする際には猫やカラスにさらわれないよう、干網を使うとよいと思います。わたしはこのために買ってしまいました。値段はそれほど高くありませんが、置く場所が…。

パール金属 ひもの 干し網 3段 300×200mm H-45

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 12月末 干し終わりと磨き

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干し始めて10日目頃の様子です。色がだいぶからすみっぽくなってきました。触ってみるとかなり乾燥も進んで、全体的に固くなってきていました。

 

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からすみを天日干しする際には、毎日、日本酒(他のお酒でもよい。その場合、選んだお酒次第で完成後のからすみの風味が異なることとなります。)を刷毛で全体的に塗ります。

 

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こちらが14日間干したボラ子です。色合いはからすみそのもの。なお、左側のボラ子が少し減っているのは、天日干しを終了するタイミングを図るために少しだけ味見をした部分です……。

 

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できあがったからすみは、表面が乾燥し過ぎないように、表面にオイルを塗り込んで磨きます。

 

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つやつやで透明感もあって、初めてにしてはなかなか良さそう?

 

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こうしてできあがったからすみのうち、すぐ食べるものだけを取り出して、残りは真空パックに入れて、冷蔵庫でゆっくりと熟成します。

からすみトッピングのあれこれ

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手間ひまかけて出来上がったからすみ。せっかくなのですぐにでも味見をしたいところ。そんな気分に合わせて、お昼ごはんに用意していた筋子のおにぎりに、からすみをたっぷりトッピングしてみました。

かんたんですが、すごく美味しくできました。このお正月中にも、ついおもちにからすみをすりおろしてかけて食べてしまいます。

 

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その他のからすみの利用法としては、写真(馬肉のタルタル)のように、ソースとして使うのもよいです。淡白な馬刺しの風味にからすみの独特の美味しさがぴったりです。

 

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最後は年越しの際に作ったからすみ蕎麦です。そばを茹で、からすみをたっぷりとすりおろしたものです。これもからすみの風味がすごく良くて、おいしかったです。

まとめ

からすみの作り方については、以上です。完成したからすみがあまりにも使い勝手が良いので、来年も作らざるを得ないかなと考えています。