トルコ銃乱射 死者39人に 大統領がテロと断定

トルコ銃乱射 死者39人に 大統領がテロと断定
k10010826731_201701011914_201701011915.mp4
トルコ最大の都市イスタンブールの中心部で、日本時間の1日朝、新年を祝おうと大勢の客が訪れていたナイトクラブを、何者かが襲撃して銃を乱射し、少なくとも39人が死亡しました。犯人は今も逃走中だということで、治安当局が行方を追っています。
トルコのイスタンブール中心部で1日午前1時すぎ(日本時間1日午前7時すぎ)、ナイトクラブを何者かが襲撃し、銃を乱射しました。

トルコのソイル内相は地元メディアに対し、この事件でこれまでに少なくとも39人が死亡し、69人がけがをしたと明らかにしました。
死亡した人の中には少なくとも15人の外国人が含まれているということです。
イスタンブールにある日本総領事館によりますと、これまでのところ日本人が巻き込まれたという情報は入っていないということです。

また、ソイル内相は襲撃は単独で行われたとの見方を示したうえで、「犯人は逃走中だ」と述べ、治安当局が行方を追っていると説明しました。

一方、エルドアン大統領は1日、声明を発表し、「このテロ攻撃を強く非難する。トルコに混乱をもたらそうとするものだが、われわれは最後までテロとの戦いを続けていく」として、今回の襲撃がテロ事件だと断定したうえで、捜査に全力を挙げる方針を強調しました。
トルコ政府は1日にイスタンブールで閣僚らを集めて緊急の治安会議を開き、今後のテロ対策を協議することにしています。

トルコでは、イスタンブールや首都アンカラなど各地で、過激派組織IS=イスラミックステートやクルド系の過激派組織などによるテロが相次いでおり、新年を迎えるイベントの会場などでは治安当局が厳戒態勢を敷いていました。

市民「ひどいこと起きたが 解決できない」

事件が起きたナイトクラブは、イスタンブール中心部のボスポラス海峡に面した場所にあり、建物の入口近くには大きなトルコ国旗とクリスマスツリーが飾られています。

警察は周辺の道路を通行止めにし、建物をシートで覆っているため、中の様子をうかがうことはできません。

ナイトクラブの中には踊るためのスペースや複数のレストランやバーなどが併設されており、著名人も多く訪れるため、通常から入口でのセキュリティチェックが厳しいことでも知られています。

日曜日の朝で雪が降っていることもあって、周辺に人の姿はほとんどありませんでしたが、警察や消防の車両がサイレンを鳴らしながら頻繁に行きかっていました。

イスタンブールの大学に通う19歳の女性は「イスタンブールという街は、残念ながら、こういった事件に慣れてしまっています。もう命の保証なんてありません」と不安そうに話していました。
タクシー運転手の60歳の男性は「またひどいことが起きたが、どうしようもない。解決なんてできない」と半ば諦めたような表情で話していました。

日本政府「テロ行為を断固として非難」

日本政府は、川村泰久外務報道官の名前で談話を発表し、「多くの死傷者が発生し、ご遺族に対し心からの哀悼の意を表するとともに、負傷者の方々に心からお見舞いを申し上げる」としたうえで、「テロはいかなる理由によっても正当化できず、このようなテロ行為を断固として非難する。トルコ政府およびトルコ国民に対し、強い連帯の意を表する」としています。

外務省によりますと、これまでのところ日本人が巻き込まれたという情報は入っていませんが、引き続き、イスタンブールにある総領事館を通じて確認に当たっているということです。

ロ大統領 テロ対策でさらなる協力呼びかけ

事件を受けて、ロシアのプーチン大統領は1日、トルコのエルドアン大統領に弔電を送り、テロ対策でのさらなる協力を呼びかけました。

ロシア大統領府によりますと、この中で、プーチン大統領は「われわれの共通の義務は、テロ攻撃に対して断固として反撃を加えることだ」と強調し、テロ対策で、ロシアはトルコの信頼できるパートナーであり続けると伝えたということです。

ロシアは、内戦が続くシリアをめぐって、アサド政権を後押しする一方で、反政府勢力を支援するトルコと急速に関係を強めていて、今月下旬には中央アジアのカザフスタンで、トルコやイランとともに、アメリカを除く形での和平協議を行うことにしています。