2016年12月31日

2016 best10

・・・毎年言ってることですが、とにかく年々、マンガに使える時間が減っておりまして。
このブログの更新頻度も過去最低ですし、読んだ冊数だってしれております・・・・
もはや、読んだ新作を全て並べても、10作品くらいなんじゃなかろうかとかそんなことを思ってしまったりもする次第です。(ちゃんと数えてみたら、さすがにそんなことはなかったですが)
そうなると、ベスト10なんてことを言うこと自体がおこがましいというかなんというか・・・・とにかく、マンガの神様に怒られるのではないかしらんとか、そんな気にもなるのですが。

まあ、そんな言い訳をしていても仕方ないので、これも2016年の禊ということで、毎年恒例ベスト10、書いちゃいます!こういうのは勢いも大事だ!
番外編 
NARUTO -ナルト-
NARUTO -ナルト- 72 (ジャンプコミックス)

お前、いきなり何書いてんだって話ではあるのだが。
少なくとも今年の前半は、スマホでナルトを読むのが日課だった。
で、ちっちゃい画面見ながら普通に涙したりね。
まあ、どう考えても「今年の」マンガではないのだけども、改めてまとめて読むと素晴らしい少年マンガだなぁと。
リアルタイムで読んでいた時は、「王道の少年」マンガだなぁ、バトルシーンうまいなぁ!くらいにしか思ってなかったのだけども。
おっさんになって読むと、この物語が初めから最後までずっと、「引き継ぐ」ってのをテーマに描かれていたことに気付かされるわけで。
友情っていう横のつながりはわりといつも描かれてきたと思うのだけども、ここまで丁寧に、そして執拗に縦の糸を紡いだマンガは稀なんじゃないかな。
だって、親の世代だけじゃなくて、その前、そしてその前の前まで描くんだぜ。
で、その丁寧に紡がれていく縦の糸が、元少年の心にはじわじわ響いた。
いやあ、自分も歳をとりました。

次点 
堕天作戦
堕天作戦 2 (裏少年サンデーコミックス)

なんか、去年も低めにランクインさせつつ絶賛したような気がしますが。
今年も、同じような感じです。
なんとなく、まだ面白くなる気がするんだよなぁ。
充分面白いんだけども、まだ旬ではないというか。

ま、それはともかく褒めポイントを書くと、とにかく、読み心地が新鮮!ってのに尽きる。
去年も新しいセンスのマンガを読んでいるなぁ!!と感嘆したものだけども、今年もまだ「新鮮」ってどんだけ恐ろしい才能なんだと。
章が変わって、ますます世界観に深みが増していく中で、「これ、もしかしたらナウシカ級なんじゃね?」と思ったり。いやあ、堪能しました。
今年は、やっぱりあのアフロのお兄さんの魔法が最高でしたね。
ミラーボールと、ジョジョの「バニラアイス」、そして、魔法。
なんだこの組み合わせ!!!
で、それがぶっとんでかっこいい。
マンガを構成する一つ一つの要素は、めっちゃくちゃ新しい!!という訳ではないだけども、組み合わせ方によったら、こんなにも新しい何かになるんだなぁと、つくづく呆気にとられた。
90年代のサンプリング文化大好き人間としてはヨダレを垂らすしかないセンスです。

第10位
金の国 水の国
金の国 水の国 (フラワーコミックススペシャル)

とにかく一冊で完結する物語として、ギリギリいっぱいいっぱいのスケール感がまず素晴らしい。
これより小さいスケールなら、一冊完結型のマンガで傑作は数多あるのだ。
でも、「二つの国同士の対立〜和解」という、場合によったら何十巻とお話を重ねて描くスケールの物語を破綻なく、一冊に収めた構成力は破格だと思う。
政治劇とか群像劇ってのは、一冊に収めるとなると、ともすればスカスカになりかねないバランスだと思うのだけども、その辺りの複雑な部分を巧みに寓話的に処理することで、成立させるのはこの絵柄ならではかなと。
加えて、壮大な景色とか、複雑なお城の様子を、ある意味幾何学的とすら言える見開きネームでばばーんと見せることで、「マンガとしての迫力」もちゃんと出してくるあたり、まさに匠の技!
その迫力がちゃんとあるから、寓話的な物語が、おっさんでも楽しめる読み応えのあるマンガになっている。

また、わりと使い古された少女マンガの技法の数々が、すごく新しい使われ方をしているという意味で、中年マンガ読みとしては大変興味深い一冊だった。

同10位
盆の国
盆の国 (torch comics)

なんだよ、同10位って!と自分でも思わなくはないけども、なんとなく「盆の国」と「金の国 水の国」はセットなんだよな。自分の中で。
「金の国 水の国 盆の国」ってことで。(なんじゃそりゃ)
というのも、上で書いた一冊で完結する物語としてのギリギリのスケール感だとか、見開きの使い方とか、建物の中の描き方が魅力的とか。
あと、ぶっちゃけちょっとジブリっぽいとか、そういう観点で見ると、乱暴だけども同じジャンルのマンガのような気がして。
まあ、同じジャンルだからって、同じ順位にする理由にはならんのだけども・・・・
とりあえず今年印象に残ったマンガであることは間違いない。
で、その印象が凄く似ていたという点に於いて、「金の国 水の国」と「盆の国」は同じ順位にしたい。

いいんだよ!自分のランキングなんだから。

第9位
日々我人間
日々我人間

何年か前にも書いた気がするけども、出してくれるだけでありがたい・・・・というか、出たならもうそれは御布施として買いますよというマンガ家。それが桜玉吉。
作品のクオリティがどうのこうのではないのだ。
まあ、ぶっちゃけ、もはや本作には、若き日の自分が痺れまくった、防衛漫玉日記のようなキレキレのマンガ表現も、幽玄〜のようなギリギリの表現もないのだけども、そういうことは信者には関係がない。
ひたすら御布施はするのだ。そこに桜玉吉がいるのなら。
ただ、表現のキレは鈍ったかもしれないけども、その分悲哀というか滲み出す何かが本作にあるのも確かで。
自分がこれくらいの年代になった時、同じようなことを思うのだろうなぁってことをわりとリアルに感じた。
自分の人生を先回りするような、変な感覚。

第8位
ハイスコアガール
ハイスコアガール(6) (ビッグガンガンコミックススーパー)

まずは、続きが読めただけで泣けるのだ。いやぁ、本当によかった。もう読めないってことも覚悟していたというか、諦めてかけていたので。
で、止まっていた時計が動き出した本巻が、以前と全く変わらないクオリティだったことにも安心した。
特にRPGツクールのネタなんて、まさに本作ならでは!!!の展開で、あのエピソードを読んでいる時の「ああ、俺は今ハイスコアガールを読んでいる!!」という多幸感はハンパなかった。

ただ、まあなんというか、ちょっとラブが過ぎるというか、赤面が過剰というか・・・・・
ぶっちゃけおっさん的には読んでいて気恥ずかしいページも満載だったのだけども・・・・
まあ、ハイスコアガールが読めない間、その代用で読んでいたのがピコピコ少年とか、猫背を伸ばして・・・だったので、仕方ないわな(笑)

第7位
テラモリ
テラモリ 5 (裏少年サンデーコミックス)

今年の自分のマンガライフを振り返る時、アプリ「マンガワン」の存在は非常にでかかった。
これまで、マンガってのは単行本でまとめて読む派で、雑誌で連載を追いかけるってのはほとんどしてこなかったのだ。
でも、マンガワンを導入してからはそこで連載されているマンガが更新される日を指折り待ってる自分に気づいちゃって、ああ、これが雑誌派の楽しさだったのか!と改めて思い知らされたり・・・・
なんというか一週間に一話ずつ読んでいくってのは、単行本の「物語を堪能する」のとは違う、「物語に焦らされる」楽しみがあるのですね。
で、その焦らされっぷりが最もよかったのがこの「テラモリ」で。
以前にレビューでも書いたけども、とにかく紳士服ウンチクと、ラブコメの二足のわらじが楽しい!
男のオシャレ・・・というか、服装に対する自己満足って、その何割かはその背後にあるウンチクだと思うので、そこをうま〜くつついてくれるという意味で、本作はとっても楽しい。
ただ、はじめは、紳士服ウンチクがあるから、普段だったら気恥しくて読めないラブコメでもまあ読めるなぁ・・・程度だったのが、気がついたらウンチクほっぽり出して、ラブに胸をキュンしてたってのも事実で。
自分もいまじゃすっかり、副店長に恋する乙女ですよ。
で、胸をキュンキュンしはじめるとね、あれなんですよ。
一週間に一話っていう焦らしっぷりが、なんとも絶妙に僕の胸を締め付けてくれるわけですよ。
一週間に一度しか会えない恋人を待つ気持ちっていうんですか。
ああ!!私今恋してる!!!!ってなもんです。(ハイスコアガールで書いたことと、思いっきり矛盾してますが。。。)
来年も楽しみ。

第6位
ケンガンアシュラ
ケンガンアシュラ(18) (裏少年サンデーコミックス)

去年もランキングに入れた気がするな・・・・この調子だとずっと入るんじゃねえか?
まあ、それはともかくこちらもマンガワンから。
テラモリが、自分の乙女成分を焦らしてくるなら、こっちは自分の男の子心を焦らしまくってくれる。
とにかく繰り広げられるどの試合にも「どっちが勝つんだ!?」ってワクワクドキドキできる幸せよ。
前にも書いたけども、この面白さって、「一番面白かった頃のバキ」そのもので。
それをオンタイムで追いかけることのできる喜びは、ちょっとたまらないものがある。
最近だと、やっぱりガオラン・ウォンサワットの闘いっぷりにはビシビシしびれたなぁ。
あの話をするだけでビール3杯はいける!!(なんか、これも前書いた気がする)

第5位
ファイアパンチ
ファイアパンチ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

度肝を抜かれたといえば、これ。
レビューをしようしようと思いながら、結局できなかったのは、イマイチこの面白さを言語化できなかったから・・・というよりも言語化するのがめんどくさかったから。
めんどくさいってのは身も蓋もないけども。
なんというか、どれだけ言葉を尽くしたところで・・・というよりも言葉を尽くせば尽くすほど、このマンガの面白さの本質からは離れていく感じがするのだ。
色々語るより、とにかくまずは第一話を読めと。
そういう感じ。
というのも、このマンガって、どうすれば読者の度肝を抜くか!!ってのが全てな感じで。
それもただ度肝を抜くんじゃなくて、その時その時でフルスイングで抜いてくるわけで。
結果、瞬間最大風速だけが永遠に更新され続けているような、そんな感じ。
まあ、グロ表現での度肝の抜き方なんかは、明らかに「進撃の巨人」フォロワーというか、「進撃の巨人」以降のダークファンタジーではある。
ただ、厄介なのが、その度肝の抜き方が、2巻からはメタ的な抜き方になっちゃっているところで。
このメタ的な視点は、明らかにバクマン的というか、バクマン以降の何かなんだけどもさ。
「進撃の巨人」+「バクマン」て、なんだそれ????としか言いようがないじゃないか。
面白いから、全てが許されている・・・そういうマンガ。

第4位
アオアシ
アオアシ(6) (ビッグコミックス)

こちらは先日レビューしたばかりなので手短に。
とにかく、この歳になって、面白くて読むのが止められらない!!!ってな思いをさせていただけただけで、もう感謝。
これを読むのが20年早かったら、オレ、きっとサッカーしてたと思うんだ・・・・

第3位
昭和元禄落語心中
昭和元禄落語心中(10)特装版<完> (プレミアムKC BE LOVE)

長く読んで愛してきたた作品が、ちゃんと美しく完結してくれた。
それをちゃんと見届けられるってのは、マンガ読みにとっては幸せの極みですなぁ。
まあ、伏線の全てに納得しているわけではないし、ちょっと怪談描写が過ぎるんじゃないかと思わなくもないし。
何より、あの大オチはちょっと面食らったというか、え?それありなの??と戸惑ったというか・・・・(特装版ではその辺が補填されているらしいのだけども、未読です・・・・というか、特装版で完結させるって、そんな商売ありか?????)

でもまあ、落語ってのは人間の業の肯定だと、談志師匠もおっしゃっていたそうだけども。
そういう人間の業を、時に笑えて、時に泣けて、時に恐ろしくて、そして全てひっくるめて芳醇に描き出した本作はやっぱり最高だと思うわけです。
あと、やっぱり出てくる人たちの色気がハンパない!!!
ああいう色気のある中年とか、老人になりたいなぁ・・・・・

第2位
休日ジャンクション
休日ジャンクション: 真造圭伍短編集 (ビッグコミックス)

僕の読みたい真造圭伍!!!ということでランクイン。
「みどりのほし」もよかったんです。読んでいてワクワクしたし、楽しかった。まさにセンスオブワンダー!
「トーキョーエイリアンブラザーズ」も好きです。東京論として。あるいは若者文化論として。非常に語り甲斐のあるSFマンガであることは間違いない。
でも、それはそれでとても楽しいマンガなのだけども、個人的に真造マンガの魅力って、もちっとスケールが小さい方が堪能できると思うのだ。
前にも書いたけど、この作家さんは、人生の中でぽっかりできた、つかの間の一時の楽しさと、それが終わる寂しさを描くのが天才的に上手い。
本作ではやっぱり「休日」が白眉だよなぁ。
バカバカしくて、でも切ない。
で、そのバカバカしさにも切なさにも身に覚えがありすぎるから、読むたびに、もさりげなくてなにげなくて忘れていた個人的な思い出がぽろりぽろりと思い出されてしまう。
そういうマンガは貴重だと思う。

第1位
プリンセスメゾン
プリンセスメゾン(3) (ビッグコミックス)

誤解を恐れずに書くと、一人で生きていくってのは淋しい。
人は一人で生きていけないなんて言うつもりはないし、家族を持つことだけが幸せだと断言するつもりもない。
でも一人はやっぱり淋しい。
女性が一人でマンションを買うという行為は、図らずともそれを体現してしまう面もあるので、どうしても寂しく見える。
このマンガは、その姿を誠実に、静謐に、そして過剰に飾り立てず描きだす。
だからこのマンガの登場人物達はみんなどこか淋しさを抱えている。

で、読んでいるうちに気付くのだ、男で家族持ちの自分でも、ここで描かれる淋しさはわかる。理解できる。
淋しいという気持ちは、実は誰だっていつもどこかに抱えている。

ただ、このマンガが描くのは、「淋しい」ことが決して不幸ではないということなのだと思う。

淋しいという気持ちは、ときに人を美しくする。
淋しいという気持ちは、ときに人を優しくする。
淋しいという気持ちは、ときに人を強くする。
そして、淋しいという気持ちは、いつも人生を少しだけ豊かにする。

そういうことをちゃんと表現してくれている。
だから、この本を読んだ後、自分の背中は少ししゃんと伸びる。
きっと、これから何ども読み返すことになるだろうマンガ。




という感じで。
振り返ってみると色々あるなぁと思いつつ。
毎年恒例のグルメマンガ枠が今年はなかったのは、これまで読んでいたグルメマンガを今年も同じように楽しんでいただけで、これだ!!ってのがなかったのと。
なんというか、世間のグルメマンガ飽和状態に、ちょっと距離を置きたいひねくれものの自分がいたりするからですが。
それはともかくとして、実はランキングを考え始めた11月から、既に1位は決まっていました。
面白いマンガは色々あったのですが、なんというか、プリンセスメゾンは、別格な感じ。
そういうマンガに出会えたのだから、2016年のマンガライフも充実していたのでしょう。

さてさて2017年もそんな作品と出会えることを祈りつつ・・・
皆様、良いお年を!!!

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この記事へのコメント

「夏男さんのこのマンガがすごい!」待ってました!
お忙しい中、記事の作成とても大変だったと思いますが、そんな中こうして年内に更新してくれたことを一読者として大変嬉しく思っています!

このベスト10は夏男さんのレビューにもない漫画があったりして、自分には未読な作品もあったのでお正月休みの楽しみにが増えました :)

夏男さんの一位がプリンセスメゾンなのは意外でした!
自分もプリンセスメゾン好きです!群像劇が繰り広げられる作品ならA子さんの恋人も好きですが、自分にとって印象に残るコマの数は圧倒的にプリンセスメゾンです。

最後に

今年も漫画ライフの面で夏男さんには大変お世話になりました!
2017年も引き続き、夏男さんのペースで素敵なマンガライフをお過ごしください :)
2017年も夏男さんにとって、素敵な一年になりますように。
1. Posted by NOKTON at 2016年12月31日 19:44

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