民間による宇宙開発本格化へ 重要な挑戦相次ぐ年に

民間による宇宙開発本格化へ 重要な挑戦相次ぐ年に
手で持ち運べるサイズの超小型衛星に世界の関心が高まる中、ことし日本では、民間による宇宙開発の本格化に向けて重要な挑戦が相次ぎます。日本の民間企業が単独で開発したロケットとしては初めて、宇宙空間への打ち上げ実験が予定されているほか、超小型衛星合わせて50機を地球の上空に打ち上げ、地球上の多くの場所を毎日でも撮影できるようにする民間の計画もスタートします。
ここ数年、宇宙開発の分野で注目されているのが、大きさが10センチから数十センチ、重さが数キロから数十キロという手で持ち運べるサイズの超小型衛星です。

電子部品の小型化と高性能化によって、高い機能が期待できる一方、打ち上げにかかるコストは数千万円から数億円と大幅な低価格化が見込めることから、宇宙ビジネスの新たな市場が広がると世界で関心が高まり、アメリカではIT企業のグーグルが出資して超小型衛星およそ4000機を打ち上げる計画も発表されています。

注目は超小型衛星

ここ数年、宇宙開発の分野で注目されているのが、大きさが10センチから数十センチ、重さが数キロから数十キロという手で持ち運べるサイズの超小型衛星です。

電子部品の小型化と高性能化によって、高い機能が期待できる一方、打ち上げにかかるコストは数千万円から数億円と大幅な低価格化が見込めることから、宇宙ビジネスの新たな市場が広がると世界で関心が高まり、アメリカではIT企業のグーグルが出資して超小型衛星およそ4000機を打ち上げる計画も発表されています。

超小型衛星に挑戦する企業

北海道大樹町にある社員10人余りのベンチャー企業、インターステラテクノロジズは、超小型衛星を打ち上げる格安のミニロケットの開発を目指し、ことし3月にも高度100キロを超える宇宙空間への打ち上げ実験に挑む予定です。
この会社では、これまでに高度6キロ付近までの打ち上げに成功しているほか、高度100キロを目指す新型のエンジンの燃焼試験にも成功していて、高度100キロを超える宇宙空間への打ち上げに成功すれば、日本の民間企業が単独で開発したロケットとしては初めてのことになります。

東京・千代田区の社員10人余りのベンチャー企業、アクセルスペースは、地球上の多くの場所を毎日撮影できるという新たなインフラ作りを目指して、超小型衛星合わせて50機を打ち上げる計画をことしからスタートさせます。
ことしは最初の3機の衛星を海外のロケットで打ち上げる予定で、例えば、農地やリゾート施設など広大な土地の管理に衛星の画像を活用してもらう新たな市場を開拓したいとしています。

福岡県広川町の工作機械メーカー中島田鉄工所が開発した、縦横長さいずれも10センチほどの超小型衛星は、ことし、国際宇宙ステーションから宇宙空間に放出されたあと、宇宙ごみ問題の解決に向けた重要な実験に挑みます。
衛星の中に折り畳んだ状態で格納されている縦横1.5メートルのフィルムをヨットの帆のように広げ、地球の周辺にあるわずかな空気の抵抗を受けてスピードを落とし、地球の大気圏に落下させるという、世界でも例がない新たな技術の開発を目指しています。

国が宇宙ビジネスを後押し

超小型衛星をめぐっては、JAXA=宇宙航空研究開発機構も新たに開発した専用のミニロケットの打ち上げ実験を今月11日に予定していて、この技術を民間に活用してもらおうとしています。

こうした動きの背景にあるのが、国による宇宙ビジネスの後押しで、去年11月には、これまでJAXAが関わる形でしかできなかったロケットの打ち上げを、基準を満たした企業に認める宇宙活動法が成立したほか、来月には、宇宙ビジネスを促進しようという、国が後援する大規模な会議が横浜市で開かれます。

東京大学の名誉教授で、日本の宇宙政策を担う内閣府の宇宙政策委員会の松井孝典委員長代理は「これからは宇宙の利用を抜きに社会のインフラは考えられず、宇宙を利用する産業の育成は国の政策の重要な柱になる。小さくコンパクトな衛星を打ち上げるビジネスには、世界中の企業が目をつけていて、日本でも参入の動きが始まりつつあるが、もっともっと多くの企業がこの分野に参入できると思う。宇宙開発を担える人材をどう幅広く育てていくかが、国としての課題になる」と話しています。