【台北・鈴木玲子】台湾の蔡英文総統は31日、台湾に圧力を強める中国に対し「北京当局(中国)は台湾に対する分断、圧力、どう喝という以前の路線に戻りつつある。こうした行為は台湾の人々の感情を傷つけ、両岸(中台)関係の安定にも影響を及ぼす」とけん制した。内外メディアとの懇談で語った。
そのうえで「両岸関係に転機が訪れるのかは我々の辛抱と信念にかかっている。一方で、北京当局が両岸の未来をいかに扱うのかにもかかっている。共に新しい考えや方法で両岸の新たなモデルをつくり、両岸の平和発展を望む人々や地域の期待に応えるかだ」と強調した。
中国は、中台の領土は不可分とする「一つの中国」原則の受け入れを避ける蔡政権との公式対話を行わず、台湾を国連関連会合から締め出すなど圧力を強めている。蔡総統が12月2日にトランプ次期米大統領と電話協議したことから反発をさらに強めており、12月21日の台湾と西アフリカのサントメ・プリンシペとの断交にも、中国側の関与が指摘された。
蔡総統は1月に予定される中米訪問で、経由する米国でトランプ次期政権の関係者と会談する可能性が報じられているが、懇談では「経由は経由でしかない」とかわした。