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社会心理学から見たコミケ徹夜組

皆様、いかがお過ごしでしょうか?
今年も冬のコミケが終わり、いよいよ新年を待つばかりとなりました。

私もようやくコミケの3日目の地獄から生還してきました。
ところで、コミケで問題になるのは徹夜組ですが、これは絶対になくならないと思います。


最初に確認しておきたいことですが、いわゆる「強硬手段」は逆効果です。
そして、ただ単に「徹夜死ね」と連呼しただけでは絶対に徹夜はなくなりません。
仮に「徹夜死ね」「徹夜やめろ」と叫び続ければ徹夜がいなくなるなら今頃日本から届けられていた念仏のような平和連呼によって中国も韓国も超親日国家になっていなければいけません。

このことは、徹夜組の現状について少しでも知識がある人なら常識中の常識なんですが、この手の議論になると、必ずと言っていいほど鬱憤を晴らしたいというだけでこのような論法を言っ来る人がいます。

が、これらは論ずるに値しないものです。
普通に警察力を始めとした「武力行使」による排除などしたら怪我人、最悪暴動が起きて死人が出かねないわけで、現状徹夜がありながらもコミケが続けられている状況よりも遥かに不利な立場に置かれることは、冷静になって考えれば小学生でも分かることです。

「うるせえ、俺は徹夜が気に食わねえんだ、感情論の何が悪い」という人には、もはや私からかける言葉はありません。
ただ、こういう人が詐欺に騙されたりするんだろうなあとは思いますが。


また、徹夜ペナルティ論もその回だけ効果があるだけで、次回以降は所定の時間になるまで周辺を徘徊されるだけで(実際徹夜ペナルティを設けたイベントは似たようなことが起きてます)、かえって近隣へ被害を広げるだけです。
他のイベントがある程度うまくいくのは規模が小さいからです。
そう言う意味では、この意見は極めて近視眼的な意見と言わざるを得ません。


とまあ、ここまでは予備知識として、そもそもなぜ徹夜組がなくならないのでしょうか?
単純にリスクが低く、しかも始発より有利だからです。
特に今日大晦日3日目は他の2日と比べても特に徹夜組が多いことで有名です。
その理由は簡単です。
「徹夜しないと買えない頒布物が多すぎる」からです。しかもそれらは大抵は「エロ」の要素があるので性欲という根源的欲求にも関わってくるものです。
諦めろと言って諦めてくれる人はいません。そんな人ばかりならとっくにコミケは需要がなくなってます。


そもそも、ルール違反しても馬鹿を見た正直者から罵倒されるのと、体力を始発よりもかなり消耗するだけで、体力と根性さえあれば欲しいものが手に入るようになる。しかも始発で完売すれば始発で並んだ努力が全て水泡に帰す。
なら誰だってどうしても欲しいものがあるなら徹夜するに決まってます。
徹夜の排除やペナルティが非現実的であり、なおかつ徹夜でないと入手不可能な頒布物が数多く存在する事実に全くメスを入れず、それを目的にしかたなく徹夜している参加者に対して「ルールを守れ」という正論で殴ったところで、それこそ「じゃあお前が徹夜しないでこれ買ってきてよ」という、いわゆる「ほならね理論」で返されてしまいます。

そもそも徹夜組の大半は「買えないから仕方なく徹夜する」という消極派です。
最も、このために始発の限界を知った始発組がどんどん徹夜組に鞍替えしていますが。これはいわゆるゲーム理論でいうところの「社会的ジレンマ」の典型例ともいえるでしょう。
徹夜のために徹夜する、楽しいから徹夜するなんて言う奇特者もいますが、はっきり言って稀です。
徹夜は単純に拘束時間が始発と比べて長いですし、そうでなくても体力消耗が大きすぎます。
夏の場合は、一部の人は「始発電車の混雑時の疲労が大きいから徹夜の方が疲れない」「日の出前から徐々に体を慣らすことができるから徹夜の方が熱中症にならない」という稀な体質の人もいるらしいですが、冬はどう考えても体力的にデメリットしかないでしょう。昼間でさえ寒いのに夜中並ぶのは正気の沙汰じゃありません。しかも有明は海風吹き付ける土地です。それでも並ぶのは、「そうでもしないと完売するから」です。

徹夜しなくても買えるなら99%の人は徹夜しません。この辺りは、徹夜組憎しが行き過ぎてて、正しい理解をしてない人がままいます。
気持ちはわかるのですが、彼らも同じ人間です。好き好んでしなくてもいい徒労をするなんてのは、それこそ徹夜云々以前の精神倒錯者のすることです。

なので、ムカつくからと言ってただ罵倒して終わり、あるいは結局ルール違反してるのは徹夜なんだから徹夜がいなくなればいいで終わり。では何の解決にもなりません。言い方は悪いですが「ガキの理論」の域を出ません。
これは、例えば飛行機がパイロットのミスで墜落したからと言って、パイロットに全責任を被せておしまいではまた同じ事故が繰り返されるのと同じ理屈です(まあ中にはエールフランス447便のボナンみたいにさすがにどうなのよってケースもありますけど)

例えばその裏には過度な競争による経費削減によって、パイロットが過労状態にあった。としたらどうでしょう?
確かにパイロットのミスそのものは責められるべきであったとしても、それ以上にこうした業界の体質を批判して、そのうえで改善案(=代案)を示していかなければ、建設的ではありません。「代案なき反対」はただのアジテーションです。それしかできないならば、現状を受け入れるしかありません。


では、コミケ準備会に不手際はあるのでしょうか?

先ほどコミケ準備会は、徹夜対策として「ペナルティや強権的排除はリスクが大きすぎて不可能であるものの、セカンドアタックの差を埋めることで徹夜を減らす」としていました。
これは一日目二日目はそれなりに効果はありますが、三日目には何の効果もないことがわかります。
理由は「三日目の大手サークルはファーストアタックさえ覚束ない状況」だからです。下手すれば徹夜でさえ無理で、チケじゃないとダメというケースさえあります。

ファーストアタックを目的にして徹夜している人に「セカンドアタック変わらなく」しても何の効果もありません。


そうすると、ファーストアタックに賭けて徹夜するという効果を減じさせて徹夜の意味をなくすために残る手段は2つです。
1つ目は徹夜より前に並んでいるいわゆる「チケ組」をさらに有利にする(故意に徹夜組より後ろの入場を遅らせる)ことで、レア品をすべてチケ組で平らげさせ、徹夜組にファーストアタックさえ覚束ない状況にするというものです。
が、これもこれでチケットやレアグッズの転売が更に横行する問題点があります。

また、現状は徹夜と比べてもチケットはかなり有利です。何より始発やそのあとの電車と比べても、はるかに体力を使いません。
私も鉄道系サークルをして5年目ですがたまに三日目になってくれるときがあります。
その時は友人や妹などに持ち場を任せたり、一人の時は「買い出し中」札を出して列に並ぶことがありますが、ソロで始発では買えないグッズを2サークル買えたり、正午までにシャッター2、壁4を回るという強行軍(しかも壁4のうち2つは屋外まで列が出ていて20分以上待ったサークル)をしたこともありました。徹夜では到底不可能です。

これをさらに有利にしたらどういうことになるか?
私は正直想像もしたくありません。ループ行為も今より露骨になるでしょう。1つ目の代案は無理筋です。

2つ目はレアの頒布物そのものをなくしてしまう方法です。
早期に完売した企業やサークルなどに通販や委託等を義務付ける方法で、人気サークルに対する限定商法の禁止です。
現状冷静な分析をしている方はこれを代案に挙げることがあります。
私もこの案は徹夜をなくすという意味では非常にいい案だとは思います。これがあれば徹夜の意義は急速に失われていきます。せいぜい通販で買うとコミケより少し高くなる。というレベルになりますからローリスクハイリターンが一気にハイリスクローリターンに変身です。

ただ、この案には一つ致命的な問題があります。どこまで義務付けるのかという定義づけの問題以上に、例え大手や企業とはいえ「コミケの参加者はすべて平等に参加者である」というコミケの超根本的理念に抵触しかねないからです。
コミケは上下関係を極端に嫌うことは少しでもコミケについて調べたことがある人なら分るでしょう。

もちろんここで「いやもうその理念は時代遅れだ」ということもできます。実際、一般参加者やサークル参加者はスタッフ参加者の支持を基本的に守ることになっています。

「コミケは参加者は皆平等なんだ、誰が偉いというわけではない!」といくら叫んだところで、外側からは「スタッフが上位」という認識を持たれても文句は言えないでしょう。

しかし、コミケはそもそもそうした上下関係を持ったイベントの批判から始まっています。また現状このコミケの理念は多くほかの同人誌即売会にも受け継がれていて、コミケがこの理念を捨てるとなると、下手したら徹夜をなくしたメリット以上のことを失いかねない危険性があるのです。

結論としては、コミケ準備会は怠けているわけではなく、八方塞に近い状況にありながらも被害をいかにして最小限にとどめるか考えられていると言えます。コミケ準備会は最善を尽くしており、非はありません。
ただ、問題があまりにも難解であることです。それこそ全参加者が得するような方法を思いつけたらノーベル賞が取れるレベルでしょう。

そうなると、問題としてはやはり限定商法を煽り、また早期完売が続いているにもかかわらず過少搬入を続ける一部の大手や企業の存在でしょう(ただし、搬入にも上限があり、また年2回のみですから人気の低下のリスクもあるため、限定商法はともかく、過少搬入に関しては一概に彼らを責めるのも酷です)
これが先ほどの航空事故の喩えでいうところの「過度な競争による経費削減と、それに伴うパイロットの過労」にあたる部分です。
とはいえ、これを準備会や参加者が「やめろ」というのは難しいです。
それにやめるにしても、どういうルールにするんでしょうか?
そうです、結局先ほどの代案2が理念への根本抵触という問題で没になった時点で、徹夜問題は詰んでしまっているのです。


最終的な結論はこうです。
まず徹夜組への対処法というのは、現状以上の代案は存在しないということがわかりました。
現状の準備会側の対策では「ファーストアタックはしょうがないが、始発の入場を早めることで、セカンドアタックの差を縮めようとすることで、徹夜の効力を減じようとしている」というものです。
しかし、現状はファーストアタック目的での徹夜が数多く(特に3日目男性向の大手サークル)存在するため、この対策法にも限界がある。
しかし、ファーストアタック目的での徹夜効果を大幅に減じる方法は残念ながら難しい。

私も、徹夜組の横行は好ましくないと思いつつも、「では代わりにどうすればいいのか?」と問われれば、準備会の行っている対処法より良い答えを得ることはできません。
よって、徹夜組の横行は好ましくなく、改善が必要であることは認めるものの、「代案なき反対」にならないためにも、準備会による徹夜対策を受け入れ、ファーストアタックに関しては対処不能の案件として徹夜組を処理するしかない。
とするものです。

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