消費者心理の冷え込みに大統領弾劾による政治的混乱まで重なり、韓国経済の先行きが極めて不透明になっている中、韓国政府は18年ぶりとなる経済成長率2%台との見通しを出した。
政府は29日、大統領権限代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相の主宰により経済関係長官会議を開き、来年の経済成長率を2.6%と予想する経済政策方向を発表した。政府が2%台の成長にとどまるとの予想を発表したのは、アジア通貨危機直後の1998年以降、初めてのことで、政府自ら長期の低成長局面に入ったことを認めたものだ。成長率が今回の予想通りになれば、昨年・今年とも2.6%ずつの成長率だったのに続き、初めて3年連続で成長率2%台にとどまることになる。2年連続で2%台以下の成長率を記録したのは、世界金融危機に見舞われた2008年(2.8%)と2009年(0.7%)だけだ。
政府は、来年の貸出金利上昇により1300兆ウォン(約125兆円)に達する家計負債の元利金返済負担が増え、消費余力が落ち込むと見込んでいる。しかも、内需経済の支柱的な役割をしてきた建設景気も下降が予想されている。民間消費増加率が今年の2.4%から来年は2%に下がり、就業者増加幅も今年の29万人から来年は26万人に落ち込むと見られるなど、政府はほぼすべての経済指標が下落するものと予想している。
専門家らは、政府が掲げている成長率2.6%という目標も容易でないと指摘している。企画財政部(省に相当)の李昊昇(イ・ホスン)経済政策局長は「海外投資銀行の平均的な成長率見通しは2.4%だが、政府が最大限努力して0.2ポイントを引き上げるとの目標を立てたものだ」と述べた。
政府は来年1-3月期が1年の成長率を左右する重要な時期になると判断、利用可能な財源を1-3月期に投入する方針だ。政府は今年10-12月期の成長率(同年7-9月期比)が0-0.1%になると見られる上、成長が事実上止まっていることから、この停滞状態を来年1-3月期に断ち切り、上昇に転じることができなければ、深刻な低迷が続くと見ている。このため、中央政府と公共機関が来年執行する予算280兆ウォン(約27兆円)のうち、31%に当たる87兆ウォン(約8兆4000億円)を1-3月期に投入する方針だ。1-3月期の財政執行率31%はこれまでで最も高い数値だ。