【社説】「超不確実性の時代」 リーダー不在で新年を迎える韓国

 韓国国立外交院外交安全保障研究所は27日に発行した『2017国際情勢展望』の中で、カリフォルニア大学のB.アイケングリーン教授の著書『超不確実性の時代(The Age of Hyper-Uncertainty)』を引用し、2017年がまさにその言葉通りの年になるとの見方を示した。アイケングリーン氏は「2017年は故ジョン・K・ガルブレイス氏の名著『不確実性の時代』発行からちょうど40年になる」とした上で「来年はあの時以上に予測不可能」と断言した。アイケングリーン氏はガルブレイス氏が来年同じような本を書くとすれば、オイルショックで予測不可能とされた1970年代はむしろ「確実性の時代だった」と書いたはずだと主張する。それだけ来年は何がどうなるか全く予想がつかないのだ。

 来年1月20日に就任する米国のトランプ次期大統領は、国際的な貿易秩序を大きく見直す構えを見せており、また安全保障上の重大発言も毎日のように変えている。これではトランプ氏本人が「超不確実性そのもの」と言わざるを得ず、ホワイトハウス発の何らかの事態が起こる可能性もささやかれている。トランプ氏と並んで「ストロングマン」と言われる中国の習近平・国家主席、ロシアのプーチン大統領の今後の動きも読めない。来年は中国共産党第19次党大会が開催され、その次の年にはロシアで大統領選挙が行われる。このストロングマン・トリオが北東アジアで力比べをすれば、韓半島(朝鮮半島)にもその影響が間違いなく及ぶだろう。新興国の動向も不安定だ。米国は来年、少なくとも2回は金利を引き上げると予想されているが、そうなれば韓国をはじめとする新興国が抱える負債も深刻な問題として浮上してくるだろう。ちなみに韓国では家計が抱える負債が1300兆ウォン(約126兆円)に達している。

 このような状況で韓国では大統領の弾劾政局がいつまで続くのか、またその結果がどうなるかも見通せない状況で新年を迎える。大統領選挙の先行きも不透明だ。今年1月と9月の2回にわたり核実験を行った北朝鮮も、来年はまたすぐにでも何らかの挑発に乗りだしてくる可能性が高い。このように韓国ではリーダーシップ不在の状況で、なおかつ明確な羅針盤もない超不確実な航海をせざるを得ない状況にある。政治、安全保障、経済のいずれも文字通り不確実だが、このような時に最もそのしわ寄せを受けるのはいつも庶民だ。来年は「不確実」という言葉でも不十分との見方が、年の瀬の雰囲気を一層重くしている。

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