年の瀬ですね〜。いま車などで帰省中という方おつかれさまです。本日は冬コミ評論本「久谷女子便り」の告知をします。前回の9.5号では、座談会メインでコラムがあまりなかった久谷女子便りですが、今回は初心に帰って我々の「好き」の熱量をギュギュッと詰め込むべく、「特集主義&コラム多め」の構成にしました!コミケC91 3日目12/31東U29aで販売します。ここでは一部コラムや座談会の簡単な内容をご紹介しますね。
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表紙はこちら!
目次はこちらです。
(以下、かなりネタバレ含みます!)
- 検証企画 ゴジラ都心ルート予想地図(こへだ)
- サイエンティストの無声慟哭 〜または牧五郎はなぜ「春と修羅」をのこしたか〜(こべに)
- オトナになった庵野秀明の確認(Qira)
庵野作品って彼が設定厨というか、「What」より「How」の方を重視する傾向があるせいか、ゴジラはいったい何者だったのかとか、なぜ進化したのかとか、あるいは何の武器や戦車が出てくるのか、壊れる電車の種類とか、そういったことを解き明かしたくなるものだと思います。エヴァの時も、みんな散々謎解きをしていたのではないでしょうか。今回も細かい「設定」は健在で、しかもゴジラの存在以外はリアリティを追求しているということもあり、もろもろ分析したり特定したりする楽しみがあったと思います。
今回、久谷女子でいちばん劇場に足を運んだのは、こへださん(@koeda)で、4dxとか立川爆音上映を含め、合計6回も見たそうです。こへさんは謎解きだけでなく細かい設定まで、数学の問題を解くように導き出していきましたw その結果、上陸してから東京駅で凍結されるまで、都心でゴジラがどんなルートを通ったのか、正確に地図にしてくれました。(まあ、知識量がすごいから私が「地図つくってくださいよ」って言ったんですけど)「結局、うちの会社ってゴジラにやられたのかな?」などの疑問が残っている方はぜひチェックしてみてください。
また、シンゴジに出てくる自衛隊とか薬剤とかコピー機とか、そういったものの専門家にも意見を聞いて、「専門家だからわかるシンゴジのここがすごい」みたいなコーナーも作ってくれています。コミケでは枚数限定でカラーの地図を配るとか配らないとか。
一方で私ですが、エヴァも大好きな庵野ファンです。でも、惹かれているところは実は「エヴァに出てくる一癖も二癖もある人間」だったりします。設定の辻褄も気になるのですが、人間の内面の変化とか、その物語全体を通して作者が伝えたいメッセージの方に注目してしまう傾向があります。(だからロンギヌスとかネブカドネザルとか未だによくわかってません)このあたり、こへださんが理系的・わたしが文系的で、対照的な分析になっていて面白いかなと思います。
シンゴジにはひとつだけ文学作品が登場します。宮沢賢治の「春と修羅」。しかも物語冒頭という、かなり重要度高いところで出てきます。どうして「春と修羅」なんだろう? 童話集じゃなくて詩集? 一編の詩でなくて一冊の本? 今年はたまたま宮沢賢治が生誕120周年で、花巻に旅に出る計画もしていたので、私はいろいろと思いを巡らせていました。そして今回も、この本を「登場人物の内面」に注目するひとつの手がかりとして、「牧・元教授が『春と修羅』をのこした理由」を考えてみました。と書くとちょっとマジメっぽく聞こえますが、「宮沢賢治ってちょっとゲンドウみあるよね」みたいなことを、ねちねち書いてるだけですw
ちなみにエヴァはかなり自伝的要素の強い作品だと思うので、登場人物が「実はぜんぶ自分(庵野)」だと思うのですが、シンゴジでは、「庵野秀明本人」から離れた人物像もいろいろ描けている気がします。特に女性キャラに、とても魅力があった。庵野大人になった。そのあたりについても座談会で話をしています。この「庵野大人になったんじゃね」説を、エヴァに青春時代を捧げた結果病んでしまったw 寄稿者のQiraくんが見事に説明してくれていますので、「エヴァは人生」な方もぜひお手にとっていただきたいです。
- ニューヨークからシン・ゴジラを観る(岡田育)
庵野監督のひとつの狙いとして、本作を通して「日本的であること、日本の良いところを世界に向けて表現する」ということがあったようです。最初にシンゴジを観た時、「へえ、ここまで現実の政治とか世界情勢に関しても言及するんだ」と思ったのですが、実際のところ外国からはどう見えたのか? 「かの国」の人たちはあの映画における「かの国」の扱いをどう受け止めたのか? ぜひ知りたいと思っていました。ちょうど岡田育(@okadaic)さんがNYで暮らしており、このあたりを含めたレビューを書いてくれています。NYはオタクの住み心地がよい街のようですね。向こうで観るシンゴジは、作品内にもともと字幕があるのに、そこに英語字幕が乗っかってくるので、映像がもう字幕弾幕(?)で見えない、みたいな感じだったたようですが…
泉ちゃんのセリフ「出世は男の本懐だ」はどう英訳されていたか、気になりませんか? そのあたりも育さんのコラムで、ぜひ。
- キスは童貞を消費する(zanbottosan)
うちの夫は常々「結婚したから童貞を卒業できるわけではない」みたいなことを宣っており、つまり私はプロ童貞と暮らしていることになるわけですが、そんな彼はこれまで食わず嫌いだった新海作品に「君の名は。」ではじめて触れ、一気に新海誠ファンになってしまいました。プロモーションでTV番組に出ている新海誠監督について「しゃべってる」「ちゃんとしゃべれてる」「人の目を見て話せてる」「すごい」「新海誠すごい」と私にLINEで実況してきたり、「秒速5センチメートル」のラストで盛大に拍手する音がリビングから聴こえてきたり、いろいろ大変でした。まあせっかくなので夫(@zanbottosan) に、新海誠の魅力を寄稿してもらいました。
- 「君の名は。」が見せてくれた在りし日のエロゲの夢(ねぎみそ&ロバもと)
10号のクライマックスとして@negimiso と @robamoto の「君の名は。
エロゲ対談」があります。この二人は夫婦なのですが、なんと合計8ページもこのネタで会話していますw ガチオタ夫婦ですね… negimisoは久谷女子便りの表紙〜中身もぜんぶデザインしてくれているメンバーです。一方で夫のrobamotoさんは、「平均律」というサークルでスタイリッシュなおにゃのこイラストなどを描かれていて、知る人ぞ知る有名人なのですが、実はこんなにオタクだったんですね!(いろいろ失礼)
新海誠監督がエロゲと関わりが深いことは、「君の名は。」公開後にwebでもそれなりに話題になっていましたが、2000年代のエロゲ界隈は、クリエイティブ面で新しいことに挑戦する人たちがたくさんいたのだそうです。その中で洗練されていった表現手法が、「君の名は。」ではふんだんに使われている、という話などが繰り広げられています。どうして新海誠の映画の背景は、あそこまで美しく描き込まれているのか? とか、なんでヒロインが巫女なの? とか、いろんな謎が解ける対談です。robamoto氏が描いた、春の熊みたいにかわいい三葉も載ってますよ!
robamoto氏のツイートより
【#C91 告知2】3日目 U-29a 久谷女子・新刊第10号で@negimisoとオタ夫婦対談をしています。『君の名は。』ってエロゲと構造が似てるよね、みたいな話でまさかの10000字超え。(※画像不備があったのであげなおします)https://t.co/3Csvc6Fk8o pic.twitter.com/cNdRT6Ckw0
— robamoto|3日目東h-21a (@robamoto) 2016年12月30日
- 巻末座談会「沼辺より愛をこめて」
毎度、トレンドの理由などについて小賢しく(by逃げ恥みくりちゃん)分析を繰り広げるクセのある我々ですが、今回の巻末座談会では、「様々なコンテンツがあふれる時代における『映画』の存在」や、「星野源とはいったい何なのよ」などについて、ああでもないこうでもないと語り合っています。また、「(沼に)ハマる」とはどういうことなんだろう? についてもいろいろ考察しています。なのでタイトルが「沼辺より愛をこめて」ですw
- 他にもまだまだあります
ひらりさ(@sarirahira)さんによる「ゴジラ活動停止中にトランプ当選のニュースを聞いた矢口&安田」が描かれた掌編小説(ほんとうに二人はこういうこと言いそうだな感がすごい)とか、久谷女子内で盛り上がったシンゴジ記事をQRコードで30以上一挙掲載したリンク集(スマホ片手に寝っ転がって10号を読んでくださる読者を想定しています)、「ママズクラブシアター」や「応援上映」など、あたらしい映画の楽しみ方についてのコラムも。盛りだくさんの60Pです。
それでは!いきますよ?!いいですね?!コミケC91 3日目東U29aにてお待ちしています。そのあとの通販はまだ未定ですが、決まったらまたお知らせしますね。紅白にもシンゴジが襲来するようですし、年越しのお供に久谷女子10号を宜しくお願い致します。