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学校をつくろう!-校長先生物語- 作者:りば〜
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プロローグ:Beginning of a Principal Life.

柔らかな日差しが窓から差し込んでくる。それはまぶたを突き抜け、僕の目に、起きろと訴えてきた。僕はベットから体を起こして重い目を擦りながら外を見た。
快晴だ。
僕はコーヒーを作り、食パンを焼き、ウインナーを焼いた。そして卵を割ってフライパンに投入。今日は綺麗に卵を割れた。まんまるな黄身を拡大していくように白身が広がっていく。綺麗な目玉焼き。
朝ごはんはなかなかの出来栄え。一人暮らしを始めてから一番いい出来かもしれない。テレビのニュースを見ながら朝ごはんをゆっくり食べる。テレビではレポーターが公園に行き、桜が満開であることを報告していた。
洗面所で歯を磨いて、おろしたてのスーツに腕を通した。うん、なかなかキチンとしていて真面目に見えるぞ。おっと、寝癖がついていた。僕はそれをクシで整える。第一印象は大事だ。きちんとしなきゃ!
今日は大事な日だ。なんて言ったって赴任先の学校へ初めて行く日。それも普通の先生としてじゃない。


僕は、校長先生として学校へ行くのだ。


僕の名前は如月 剛。23歳。一年前に教員になったばかりだ。僕は今年の3月までは地元の高校の教師として雇われていた。でもある日、手紙が届いた。

如月 剛殿、日々どのようにお過ごしかな?突然で驚いたであろう。
私の名は、松田重太郎。松田グループのドンである。今回、君に手紙を書いたのはある事を依頼するためである。
先日、松田高等学校の分校を開校する事が決まった。そこで新米校長の君の出番だ。ここまでくれば、もう解るだろう。君には、そこの校長をやっていただく。
その新設校は、君の校長人生の第一歩だ。
そこで、補佐役を派遣してある。
その道28年のベテラン教頭だ。
彼の名は「松田重三」私の親愛なる弟だ。
場所は、瀬戸内の離島にある小さな学校。
赴任期間は1学期の間と短いが、よろしく頼んだぞ。
      以上 松田グループ代表 松田重太郎 

正直、突然で驚いたどころではない。何もかもが衝撃すぎて一瞬息をするのを忘れていた。まだ教員としてベテランというわけでもないのに、校長先生になれというのだ。なぜこうなったのか分からない。何か偉大な功績を挙げた訳でもないし、何か革新的な授業をしていたわけでもない。新米教師として雇われるのは分かるが、新米校長とは…1回誤字ではないかと疑ったが、校長という文字が2回も出て来て、補佐役が教頭という時点でその仮説は打ち破られた。
しかも場所は瀬戸内だ。今までは実家から学校に行けて、実家暮らしをしていたため、食費も電気代も親が払ってくれていた。でも、瀬戸内はさすがに実家からは通えない。よって、親から離れて暮らすのが必然となる。食費も電気代も、水道代も自分で賄わなければならないし、何しろ寝坊が怖い。こんな僕が、本当に学校をまとめられるのだろうか…
不安だ。
でも少しワクワクはしている。なぜなら、校長という職に就けるのはまたとないチャンスかもしれないし、校長というのは色んな人を顎で使える地位にあるのだ(多分)。それに良い経験にもなるだろうし、話のネタにもなる。

僕は校長として歩んでいくことを決めた。

さて、と。もうすぐ行かないといけない時間だ。今日は学校の準備期間。校長としてどんな仕事が待っているのだろう。僕は鞄を持ち革靴を履き、玄関の靴箱の上に置かれている小さめの鏡で前髪を整えた。そして家の中の酸素を全て吸い込み、体の中の空気を全て吐き出すような深い呼吸をして、家のドアを開けた。

僕の校長人生が、今始まる。

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