先に報道したのは朝日でした。
「日本版CIA」50年代に構想 緒方竹虎が米側と接触(7/24 朝日)
ネットでも、もう少し話題になるかと思ったのに単なるコピペや陰謀論が多くていまいち面白くない。
【社会】「日本版CIA」が50年代に構想されていた…緒方竹虎が米側と接触(2ch)
1950年代、内閣官房長官などを務めた緒方竹虎氏が、米中央情報局(CIA)の関係者と頻繁に接触していたことが、米国立公文書館で公開されたCIAの秘密文書で明らかになった。緒方氏にとっては情報収集を行う国家機関を設立するのが目的だったが、米側は緒方氏を「POCAPON」という暗号名で記し、協力者に位置づけていたことがうかがえる。
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日本の対中政策の観点からCIA文書を調査している神戸大大学院の井上正也講師(外交史)は「55年の保守合同以前から日本の保守政治家に関心を持ち、緒方氏を親米派として育てたいと思ったようだ」と分析。「CIAは『情報提供者』と見ていたようだが、緒方氏自身は単に米側に協力するだけではなく、日本の自立を考えていたと思う」と話している。(川端俊一)
「思う」って学者なら根拠を示してほしいところです。
全体になんか微妙に擁護が入ってるような。やはり緒方が自社出身なのが影響しているのでしょうか。のちほど紹介する毎日記事より。
【ことば】緒方竹虎
1888年山形市生まれ。1911年早稲田大学卒業後、朝日新聞社入社。政治部長、編集局長、主筆を経て副社長。2・26事件で同社を襲った陸軍将校と対峙(たいじ)し名をはせた。国家主義者の頭山満や中野正剛らと親交があり、戦争末期に中国との和平を試みた。44年社主の村山家と対立し辞職。政界に転じ、小磯、東久邇両内閣で情報局総裁。46年公職追放、51年解除。52年に吉田首相の東南アジア特使となり自由党から衆院議員当選。吉田内閣で官房長官や副総理を務めた。保革2大政党制や再軍備が持論で、54年に保守合同構想を提唱、自由党総裁に。55年11月の保守合同後、自由民主党総裁代行委員。56年1月死去。
朝日新聞と喧嘩別れしたといっても、緒方は今年途切れるまで続いた「政府からマスコミへの利益供与」の元凶でもあります。
人事官ポストはマスコミOBの「指定席」(日刊ゲンダイ)
「人事官は3人いますが、うちふたつは官僚OB、もうひとつがマスコミ出身者の指定席になっているんです。60年前に人事院が発足したときからのことで、最初が毎日新聞の神田五雄、次が朝日新聞の島田巽、そして読売新聞の愛川重義、NHK(朝日新聞元記者)の佐野弘吉、読売新聞の播谷実、日本経済新聞の小澤治文と続いています。だいたい論説委員長クラスの経験者で、最初に神田を起用したのは当時官房長官だった朝日新聞元主筆の緒方竹虎。いわば“記者仲間” に振ったわけです。後任に島田が就任してから大新聞の指定席になりました」(人事院関係者)
朝日記事の2日後、毎日新聞は一面トップでこう伝えました。
CIA:緒方竹虎を通じ政治工作 50年代の米公文書分析(7/26 毎日)
1955年の自民党結党にあたり、米国が保守合同を先導した緒方竹虎・自由党総裁を通じて対日政治工作を行っていた実態が25日、CIA(米中央情報局)文書(緒方ファイル)から分かった。CIAは緒方を「我々は彼を首相にすることができるかもしれない。実現すれば、日本政府を米政府の利害に沿って動かせるようになろう」と最大級の評価で位置付け、緒方と米要人の人脈作りや情報交換などを進めていた。米国が占領終了後も日本を影響下に置こうとしたことを裏付ける戦後政治史の一級資料と言える。
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加藤教授は「冷戦下の日米外交を裏付ける貴重な資料だ。当時のCIAは秘密組織ではなく、緒方も自覚的なスパイではない」と話している。【「アメリカよ」取材班】
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ただ、CIAの暗号名を持つ有力な工作対象者は他にもいた。例えば同じ時期、在日駐留米軍の施設を使って日本テレビ放送網を創設するため精力的に動いていた正力松太郎・読売新聞社主(衆院議員、初代科学技術庁長官などを歴任)は「PODAM(ポダム)」と呼ばれていた。
加藤哲郎・一橋大大学院教授(政治学)によると、「PO」は日本の国名を示す暗号と見られるという。また、山本武利・早稲田大教授(メディア史)は「CIAは、メディア界の大物だった緒方と正力の世論への影響力に期待していた」と分析する。
暗号名は、CIAが工作対象者に一方的につけるもので、緒方、正力両氏の場合、いわゆるスパイとは異なるが、CIAとの関係は、メディアと政治の距離も問いかける。
時あたかも、政権交代をかけた衆院選が1カ月余り後に行われる。自民党結党時の政界中枢にかかわる裏面史が、この時期に明るみに出たのも因縁めく。
また、自民党に代わり政権を担おうとしている民主党が、ここに来て、対米政策を相次いで見直したのは、日本の政界が、政党の新旧を問わず、半世紀以上前から続く「対米追随」の型を今なお引きずっているようにも見える。【後藤逸郎】
だいぶ踏み込んでますが、それでもどこか歯に物の挟まった物言いです。
後藤逸郎は主に経済記事を書いていて特に政治や昭和史が専門ではないようですが、最後の一文はなんか取ってつけた感じがあります。なんか「社内検閲」で切ったり貼ったりしているうちに焦点の定まらない内容になったのでは?と疑ってしまいますね。
朝日と毎日の記事の間に研究者グループによる発表があったそうです。
「CIAと緒方竹虎」(20世紀メディア研究所第51回特別研究会)は驚きの連続でした
次の加藤先生は、時々のぞくホームページでは、精力的な活動の一端が見えていたが、想像通りの元気さで、これまで公開された公文書の日本人個人ファイル(第1次788人中4人、今回約1100人中29人)の中で「緒方ファイル」の突出した量に着目、文書の解読、解明を進めてきたという。冒頭、「きのうの朝日の記事は、当会は一切関知していないし、驚いている。緒方と縁の深い朝日が牽制をしたのかもしれない」という主旨のことを発言され、「今日の参加者には新聞関係者が多く、暗号解読を専門とする方々もいる」とのことで、否がおうにも期待は高まるのだった。
読者に伝える価値はあると思うのに、毎日以外は彼らに取材しなかったのか。朝日としては、自社が認めてきた緒方像の書き換えは必要ないんでしょうか?
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読売新聞にとっては他人事といえばそうですが、記事を書こうとしたらどうしたって正力松太郎に触れないわけにはいかないから意図的に避けた…とみるのは深読みしすぎか。
そして緒方と正力の共通点といえば「A級戦犯容疑者」ですよね。
で、正力松太郎や緒方竹虎の戦争責任は?
産経抄(06/8/18)
▼こんなことをあえて書いたのには理由がある。読売新聞が日本の戦争責任を問う「検証・戦争責任」を1年間掲載、さきの大戦を「昭和戦争とする」と宣言しただけでなく、最終報告では4ページにわたり東条英機、近衛文麿といった当時の首相や軍幹部を名指しで弾劾しているからだ。ン?と抄子は思う。
▼言論界でもうひとりA級戦犯容疑者(同)とされた徳富蘇峰の言動はとりあげながら、「正力」の名はなかった。自分のことは棚に上げて、と小欄もたびたび叱責(しっせき)をいただくが、これも腑(ふ)に落ちない。身内のこともきちんと検証されていたら大連載に深みが加わったのではと惜しまれるのだ。
下村宏が「朝日出身のA級戦犯」なことはスルーですかそうですか
[特集]「朝日・読売」が書かない「身内のA級戦犯」逮捕者がしたこと(週刊新潮 '06.9.7)
実は、昭和20年12月3日にGHQから逮捕命令が出された59人のA級戦犯容疑者のうち、新聞関係者は4人いた。
そのうちの一人は先の正力で、もう一人は同盟通信(現在の共同通信と時事通信)社長の古野伊之助。そして残りはというと、二人とも朝日新聞の元幹部なのである。一人は元副社長で、戦時中、国務大臣・内閣情報局総裁に転身した緒方竹虎。そしてもう一人はこれも副社長からNHK会長を経て終戦時に国務大臣・内閣情報局総裁になった下村宏だ。
朝日も読売も“靖国問題”などで「東京裁判史観」を読者に押し付けておきながら、こういう不都合な真実は隠蔽し続けるわけですね。
戦争報道の多い八月―NHKなんて年々増えているような―ですが、やはり今年も「マスコミの戦争責任」を彼ら自身が検証することはないんでしょう。
しかし「なぜこの時期に?」というのも気になる。対自民ネガティブキャンペーンの一環なのか、何か歴史にこじつけたいのか。
知りたい!:麻生首相、衆院解散 「じいさん」の無念晴らした?(7/22 毎日)
マスコミが左右問わず「解散は遅きに失した!」とわめいてたのは、「早く解散しないと俺たちが『選挙特需』で稼げないだろ!」というのが本音ではなかったのかと私は疑ってますけど。
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電通、初の赤字転落 「総選挙の広告需要に期待」(5/11 朝日)
戦争も選挙も、マスゴミにとっては金儲けの道具に過ぎないということですね<やや無理のあるまとめ
知りたい!:麻生首相、衆院解散 「じいさん」の無念晴らした?(7/22 毎日)
吉田も鳩山一郎ら反吉田派との対立で自由党が分裂した54年、5度目の解散をいったん決意。しかし、緒方竹虎副総理らに反対され、解散できずに退陣した。麻生首相は今回、東京都議選惨敗の翌日・7月13日に「21日解散」を予告する奇策で反麻生派の機先を制する。緒方と同様、副総理格の与謝野馨財務・金融担当相が解散に反対する構えをみせたが、この造反封じにも成功した。
マスコミが左右問わず「解散は遅きに失した!」とわめいてたのは、「早く解散しないと俺たちが『選挙特需』で稼げないだろ!」というのが本音ではなかったのかと私は疑ってますけど。
電通なんて露骨に言ってたし。
電通、初の赤字転落 「総選挙の広告需要に期待」(5/11 朝日)
新聞や雑誌の出稿減が大きく、売上高は前期比8.3%減の1兆8871億円、本業のもうけを示す営業利益は23.1%減の431億円。中本祥一常務執行役員は「しばらく厳しいが、今期の好材料の一つは総選挙。選挙が拮抗(きっこう)する状態になれば、広告にもたくさんお金を使ってもらえるのでは」と、総選挙関連の広告需要に期待感を示した。
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