• 蒼乱

【蒼乱】蒼の世界の殺戮者

マスター:T谷

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/12/13 07:30
完成日
2016/12/24 15:12

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

『おい、定時報告はどうした』
 トランシーバーから雑音混じりの声が聞こえる。しかし、いくら待ってもそれに答える者はいなかった。
 眉間を一発で撃ち抜かれ、血溜まりに沈む見張り員にそれが出来るはずもない。

 連なる破裂音は、一繋がりの轟音と化して響き渡った。
 その音に振り返った者は、体をずたずたに引き裂かれた。咄嗟に逃げようと駆け出した者は、膝を撃ち抜かれて地面を転がった。
 家の中に飛び込んだ者はしばらく震えながら外の音に耳を澄ませていたが、巨大な剣戟の如く圧倒的な物量で薙ぎ払う銃撃によって、家屋ごと真っ二つに切り裂かれた。
 噴き出した血の作る赤い霧と、破壊された建物から舞った土埃が集落を覆う。悲鳴が上がったのは初めだけ。すぐに嵐のような発砲音に掻き消され、ただ痛みと恐怖に呻く声だけが小さく響く。
「うひ、ひひひ……臭いくさぁい、地球、地球人じゃぁないかぁ……バラバラに粉々にぐちゃぐちゃに駆除しなくてはなぁぁぁぁっ!!」
 だがそれも、すぐに消されてしまうだろう。
 硝煙を纏いながらゆっくりと、それは集落の中に足を踏み入れた。


 アニタ・カーマイン(kz0005)はいつもの如く、帝国内難民キャンプの一つで机仕事に追われていた。
「だいぶ減ったと、思ったんだけどねぇ」
 一時期は、難民達もここでの生活に慣れ、だんだんと苦情も相談も少なくなっていた。アニタはこのまま、この管理官という七面倒な肩書きから開放される日が来るのではないかと、密かに期待していたのだが。

 ――地球へと、帰ることが出来るかもしれない。

 この一件により、仕事は激増していた。
 何せ、常識を覆すような出来事だ。せっかく色々と決まり事も増え、人も雇って仕事を分担し、そうやって体制を整えてきたというのに。
「……色々と、変えないとだからねぇ」
 幸いにして、アニタの管理するキャンプから帰還を希望する者は、そこまで多く出なかった。
 即時帰還を望むのは、割合にして大体四分の一。もう四分の一がしばらくの様子見を選択し、残りの半分は――ここでの生活が、妙に気に入ってしまったとのことだ。
 まあそういった住民の多くは、今は無きLH044の出身であったりと複雑なのだが。
 アニタ自身、この一件にそこまで関心があるわけではなかった。地球に帰ったところで、何が待っているわけでもない。どうせまた、各地の戦場を渡り歩く日々に戻るだけだ。それはそれで悪くはないのかもしれないが……そこまで考えると、ふと彼女が面倒を見る二人の子供の顔が頭に浮かんだ。
 溜息をついて、気を取り直す。何にしても、アニタが頭脳労働から解放される日はまだ先だ。ならば余計なことを考える前に、少しでも目の前の書類を減らさなければ――
「ん、緊急通信だと……?」
 そのとき、アニタの籠もる小屋にベルの音が鳴り響いた。
 通常の連絡は全て、通信棟へと繋がるようになっている。ここへの連絡は最低限にしろと、口を酸っぱくして言い含めてあった。
 アニタは努めて冷静に、しかし素早く手を伸ばして受話器を取る。
「何だ、どうし――」
「み、ミスターグラハムが!」
 その一言で、全てを察した。アニタは目を見開き、叫ぶ。
「被害状況!」
「住民は恐らくほぼ全滅! ……奴はっ、負傷者を執拗に殺して回っています!」
 声の向こうで爆音が響く。その状況でも警備兵が細かな報告を続けるのは、恐らくは、自分の最期を悟っているからだろう。
「生き残った者は全力で退避っ、すぐに救援に向かう! ――クソがっ!」
 それだけ指示し、アニタは叩きつけるように通信を切った。
 グラハムの狙いが難民キャンプならば、また別のキャンプへと向かう可能性もある。アニタはすぐに副管理官を呼び出し、警戒レベルを最大に引き上げる。
「非戦闘員は近くの最も頑丈な建物に避難、戦える者はキャンプの警護に! 死んでも守りなっ!」
 ハンターズソサエティに連絡している暇はない。アニタは手早く戦闘準備を整えると、小屋を飛び出してキャンプ唯一の宿泊施設へと向かった。ほんの数日前、ハンター達が泊まりに来ているとの噂を聞いていたからだ。
 あのキャンプまでは、覚醒者が全力で走っても十分はかかる。恐らくは、誰も生き残ってはいないだろう。
 そう確信に近い思いがあっても、アニタは足を止めることが出来なかった。歯の割れるほどに食いしばり、血の出るほどに拳を握りしめ、力の限り地面を蹴る。

プレイング

龍崎・カズマ(ka0178
人間(蒼)|20才|男性|疾影士
『傭兵にゃ傭兵の矜持ってもんがあんだろうがよ』

●移動
キャンプ近隣まで戦馬で移動。
二人乗りできるならアニタも乗せる。
多少移動力が下がっても、人が走るよりは速かろうさ。

キャンプ周辺の地理的な情報と、トールマンの情報も良けりゃ聞かせて貰いたいしな。

●近隣
馬を下りて徒歩でキャンプまで向かう。
道中は「他の視線」に気を付け、周囲をそれとなく見回りながら進もう。
正気なら単騎で襲撃をするとは考えにくいし、話に合ったあんな武器をどう持ち込める?
協力者がいると考えるのが自然だろう。
今現在近くにいるかどうかはさておいても、気を付けるに越したことはない。

遮蔽物が多い場所を利用して近づきたいが・・・まぁ、高望みはしないで行こうか。

●トールマン
チャンドラヴァルマンを盾にして致命傷は負わないように進もうか。
発煙手榴弾のサポートがあればそのタイミングに合わせて、無ければ無いで影渡りの射程に入り次第、瞬脚からサブタイミングに投擲武器で影渡を使い一気に距離を詰めよう。
投擲武器の狙いは給弾用ベルト、最悪でも背負っている弾薬庫を狙う。
十分近づけたらチャンドラヴァルマンを大きく振りかぶって、連撃を使おう。
一回殴り抜けたら、その勢いのまま体を回転させての2撃目を叩きこむ!

●防御関連
腕の向きを見ての回避を重視、銃弾は急に曲がらないからな。
弾幕の密度次第では急所以外は当たる事を前提にし、戦闘力を維持出来る程度の被害に抑えて進む。
結城 藤乃(ka1904
人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
襲撃されたキャンプ付近までバイク移動。
到着後又はグラハムと遭遇後は物陰にバイクを隠し生身応戦/

『襲撃されたキャンプの近場に、RB出身者の多いキャンプはないの?』
とアニタに質問し情報取得。
既に襲撃後のキャンプにグラハムが不在の場合は、上記の情報便りにグラハムを追い、
RBを髣髴とさせる外見とバイクの駆動音で、グラハムの気を引き襲撃を阻止/

『この引き金は、私自身の意思で引く…悪いけど、その第一歩になって頂戴な』
戦闘時は主に障害物に隠れ、射撃で味方を援護。
味方がグラハムに接近中は、FIでグラハムの行動を阻害。
味方側が後手の状況では、制圧射撃でグラハムの行動を遅延。
敵又は敵の武装の損傷部位をターゲッティングで狙撃し損壊を狙う/

鵤が浄化術を仕掛けにグラハムに接近する際に、制圧射撃でグラハムを牽制。
龍崎がグラハムに接近する際は、グラハムの射線を塞ぐように発煙手榴弾を投擲し援護/

警備兵の狙撃と爆破の情報を勘案。
グラハムを観察し、ガトリング砲と背中の弾薬庫以外の武装を所持していない場合、
狙撃用の貫通弾や爆破用のクラスター弾等、用途に合った弾丸を弾薬庫から適宜補給する事で、
射撃に変化を持たせている可能性を考慮、弾薬庫から弾を装填する際の音に違いは無いか耳を澄ます/

『ねぇ、そんなに私達に、今の貴方を見られるのが嫌なのかしら?』
グラハムが意味の通った言葉を話している時に、問答でカマを掛ける/

※RP面御任せ
鵤(ka3319
人間(蒼)|44才|男性|機導師
っかー派手にやっちゃってまぁ…元気そうで何よりだねぇ?イカレポンチのグラハム君。


※攻撃は遮蔽で遮るか盾で防御。常に盾構える
 【壊身】は切れたらかけなおす

行動
現場付近までバイクで急行。戦闘域前に降り置いとく

抉れた地面や壊れた家屋等の戦闘痕で遮蔽をとり敵の攻撃に備えつつ、機導の徒使用しグラハム君観察。
特に動き方の癖、敵の兵装(特に爆発系)、継ぎ目等作り的に弱い部分重点的に探す。
気づいたことあれば即時味方に通達。

観察しながら、発煙手榴弾の煙や相手が静の状態、他味方に注意向いてるとき等、隙を見て遮蔽物をつたいグラハム君に接近。

ある程度接近後に静状態の時を狙い、【壊身】で防御力+40上昇させグラハム君に接近しながら浄化術:白癒。
浄化術で静モード時の正気性を少しでも長く乃至意識をはっきり出来りゃ僥倖。抵抗判定時は己の抵抗値で代替え。
効果あればそのまま浄化術を使い続けながら相手に接近。相手ひっつかんで隙を作りつつ少しでも情報引きずり出す。
なんなら彼にマテリアルリンクも結ぶ。
…いるんだろグラハム・トールマン。お前の今日までの抵抗に意味を与えてやる。情報をよこせ。兵器提供者、お前を狂わせたもの、お前の残したいもの残すべきもの全てよこせ。お前の敵に一石投じる為の布石となって死ね。

基本目を合わせないが、浄化術中場合によっては発狂覚悟で凝視。見たものを情報として持ち帰る。
‥ったく、柄じゃねえなおい。
水城もなか(ka3532
人間(蒼)|20才|女性|疾影士
●心情
アニタさんの話では急いでも間に合わないということですが、それでも諦めたくないので乗用馬を使い近くまで行きランアウトで一秒でも早く現場に駆けつけたいですね…。

●目的
グラハムの捕縛もしくは殺害&生存者捜索・保護。

●行動
すぐにでも生存者を捜索したいところですが、あの男(グラハム)を放っておくことはできませんから先に処理しましょう。
アニタさんにも言いたいことやしたい事があるとは思いますが、あたし的には少しでも早く戦闘を終わらせたいので捕縛や会話が不可能と判断したなら即殺す気で行かせていただきます。

戦闘後はグラハムや武器の出所を皆さんに任せて、あたしは生存者を探しに行きたいと思います。
生きている人がいたなら応急処置をし、亡くなってしまった方たちには手を合わせて間に合わなかった事を謝罪したいと思います。

●戦闘
ランアウトで一気に懐に飛び込み、エンタングルで動きを止め、ダガーでの連撃による接近戦で短期決戦を挑む。
回避より攻撃に専念し自身へのダメージを省みず戦う。

●その他
元宙軍兵士として傭兵のグラハムに対し冷静に見えてだいぶ怒っているため、グラハムを見る目がいつもより冷たく怒りを露にしている眼差しになっている。
生存者が見つからなかった場合のアニタへの心情と眼差しも似たようなものになる。
アメリア・フォーサイス(ka4111
人間(蒼)|20才|女性|猟撃士
アドリブ歓迎

リアルブルー人に対しての異常な執着…何が彼がそうさせたのかは分かりませんが次の被害が出る前に止めないと!

現地まで馬に騎乗して移動
現地到着後、戦闘終了まで馬には戦闘区域から離れていてもらいます

ライフルをメインに使用
仲間とは少し離れて位置取り
複数方向に注意を向けさせミスを誘う
障害物に隠れながら攻撃
障害物の耐久力が落ちたら敵攻撃の間隙を縫い、他の障害物へ移動
基本的に攻撃出番は最後
仲間の攻撃に合わせた割込み行動を優先
レイターコールドショットを使用回数0になるまで使用
前回報告書より今回もこちらの攻撃に対し、最小限の動きで回避すると予測
仲間の攻撃を最小限の動きで回避する際の移動先を予測して狙います
腕、機銃の銃口、露出している弾薬に当て暴発を引き起こせると尚良しですね
機銃を支える腕を負傷すれば扱うのは困難になりますよね?

仲間が接近して行動を起こす際は援護します
妨害射撃で機銃本体の向きをずらし、接近し易くします
煙幕使用の際はフレンドリファイアを警戒し攻撃不可
仲間後退の為の援護に備えます
瀬崎・統夜(ka5046
人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
「・・・ちっ。いかれてやがる。戦闘に綺麗も汚いもないっちゃそうなんだがな」
よくあること、そう何気ない風を装うが苛立ちは隠しきれない
ああ、こいつは俺達の手でかたをつけないとな

【行動】
バイクで移動
「襲った場所でのんびりとはね…待ち伏せでもしてるのか?」
周囲に罠を警戒
地雷やワイヤー等軍人が仕掛けそうな手段を疑う

仲間と包囲しながら別方向からの接近を試みる
なるべく遮蔽がある場所を選んで動き、その都度罠を警戒
近づきつつ銃を撃ちけん制、向こうがこちらを正面にしてきたらすぐさま物影に隠れ遮蔽をとって応戦
もっとも奴の火力を考えると生半可な壁くらいじゃ防げそうにないからな・・・視界を塞いで目くらまし代わりに使用するくらいにしかならないと思うが

『レイタードコールドショット』を放って動きを鈍らせようしつつ、奴が障害物を背負ったなら奴を狙いそれが外れた様に見せかけつつ障害物を狙って『跳弾』させて、背後の金属の箱を狙う
どんな仕組みかは知らないリアルブルーのものじゃない・
・・って事は誰かが奴に与えたのか・・・
もしそうなら、それを見届けようとしてるんじゃないのか?
そう考えて戦いの合間周囲を見回す
一望できる高い所とかな
視線を感じないか五感を研ぎ澄ませておく
機を見て近づいて接近戦を挑み『クローズドコンバット』
向けられる銃口を銃弾で牽制し回避し、返す銃でこちらの銃口をおしあてて引き金を引く
出きればその瞳に突きつけよう

リプレイ本文

「襲撃されたキャンプの近場に、リアルブルー出身者の多いキャンプはないの?」
 魔導バイクの上から結城 藤乃(ka1904)が叫ぶように尋ねれば、龍崎・カズマ(ka0178)と戦馬に相乗りするアニタは横に首を振った。
 ハンター達は馬とバイクで併走し、道のりを全力で駆ける。
「うちのキャンプ以外までは、結構な距離がある」
「別なキャンプを襲いたけりゃ、この道でかち合う可能性が高いってことか」
 カズマが忌々しげに吐き捨てる。そうなれば既に、一つのキャンプを滅ぼし終えたということだ。
「次の被害が出る前に、なんとしても止めないと……!」
 だからアメリア・フォーサイス(ka4111)は、知らず手綱を握る手が白む程に力を込めていた。
「ワイヤーなんかは気を付けろよ、首を持って行かれちまう」
 瀬崎・統夜(ka5046)は注意深く正面に目を凝らす。
「あんのイカレポンチに、そんな頭残ってるのかねぇ」
「気を付けるに越したことはないと思います。……あたし達が無事に辿り着かないと、助けられるものも助けられませんから」
「ま、そりゃそーだ」
 へらへらと笑う鵤(ka3319)と対照的に、水城もなか(ka3532)は言葉の端々に怒りを滲ませていた。

 幸いにも、罠の類いが仕掛けられていることはなかった。
 道すがら、目的のキャンプから離れた木立にバイクと馬を停め、徒歩へと切り替える。
「っかー派手にやっちゃってまぁ……元気そうで何よりだねぇ」
 皮肉気に鵤が呟く。
 狙撃を警戒し遮蔽物を使いながら近づく毎に、キャンプの様子が詳らかになっていった。遠くからも昇る煙はよく見えたが、その惨状は見るに堪えない程だ。
「……ちっ、いかれてやがる」
 統夜は思わず舌を打つ。
 戦闘に綺麗も汚いもない、それは知っている。しかし分かっていても、苛立ちは隠しきれなかった。
「トールマンの情報ってのは、何かないのか?」
「何も。もうあたしの知ってることなんて、役に立ちゃしないさ」
 周囲を、特に『他の視線』を感じられないか見渡しながら尋ねたカズマに、アニタは無感情に言葉を返した。
 ハンター達は腰を屈めて次の遮蔽、藪へと走る。グラハムの姿は見えない。角度の問題か、もうここにはいないのか。
 キャンプ内部に入ればいくらでも身を隠せるが、更に近づくには、一度完全に体を晒さなければならない。声を出すことすら躊躇われ、ハンター達はハンドサインで走り出す方向、タイミングを各々に決め、

「……っ、上だ!」

 高所に目をやっていた統夜の声に、全員が咄嗟に顔を上げる。
 黒いもの。それが放物線を描いてキャンプからこちらへと飛来し――ハンター達から少し離れた場所で黒い光を放って炸裂した。轟音と共に地面が抉れ、土砂を周囲にまき散らす。
「気付かれたっ?」
「だとしたら、精度が低すぎます!」
「あれ、あぶり出されちゃったかなー?」
 次の瞬間、ハンター達は一斉に走り出した。直後、次々に飛来した弾頭が、至る所で爆発を起こす。今度は確実に、彼らの位置を狙っての攻撃だ。
 固まらないよう距離を取って、遮蔽を盾にしながら全員がキャンプへと飛び込む。
「ぐは、はははは地球人かなあああ!」
「あれが……!」
 この惨状を作り出した人物。集落の中央に陣取って、口が裂けんばかりの笑みを浮かべてこちらを見ている半裸の男が目に入った。
 もなかの目は俄に細められ、グラハムの周囲に転がる住人の死体を見る。
「少しでも早く、終わらせないと……!」
 爆撃が続く。
 もし生存者がいるならば、一刻の猶予もない。
 崩れかけた家屋の陰に滑り込み、もなかは仲間の位置を確認する。
 少し後方で、藤乃はグラハムの姿を確認。完全に後手に回ったと判断し、味方の安全を第一に断続的な射撃で敵の動きを阻害する。
「……あんなもの、前は装備してなかったわよね」
 グラハムの左肩に乗った、五十ミリはあろう口径の銃身。その後部には、背負った箱から同じく口径の弾帯が繋がっている。以前には存在しなかったものだ。
「グレネードランチャー?」
「ま、それにしか見えないよねぇ。装備のアップグレードとか、上等じゃないの」
 その横で鵤が、呆れたように鼻を鳴らした。同時に、機導の徒を発動。敵の動きや癖、兵装を見極め弱点を探る。
「襲った場所でのんびりとはね」
 包囲するべくキャンプの入口とは別方向に走りながら、統夜は牽制の銃撃を仕掛ける。それと共に、別の可能性を考えていた。
 誰かが武器を与えたのなら、見届けようとしてもおかしくない。体を隠しながら、周囲を一瞥。高台などが存在しないか確認する。
「何故、リアルブルー人にそれほど執着するかは分かりませんが……!」
 同じく味方とは別方向、瓦礫の山に身を隠したアメリアが、構えたライフルにマテリアルを込めた。複数方向から狙うことで、敵の注意を散漫化する作戦だ。
 甲高い破裂音。冷気を纏う弾丸は、仲間の射撃を回避する動きの先を狙い澄ます。
 だがグラハムの動きは不規則で、唐突な移動に躱される。
「カズマさん、気を付けて!」
「ああ!」
 その行き先には、最も接近していたカズマがいた。
「ひゃああははあああっ!」
 グラハムは尋常ではない速度でカズマに接近。両腕の巨大な銃身を、鉄槌の如く振り回した。
 カズマが飛び退く。直後、背を預けていた石垣が爆散する。
「なんつー威力だ!」
 銃身をナイフか何かと勘違いしているかのように、高速の打撃が振り回される。カズマは籠手でそれを受け流すが、余りの連撃にたたらを踏む。
「凍っちまえ!」
 統夜は一気に駆け寄りながら、冷気の弾丸を叩き込んだ。
 グラハムはカズマを叩く反動で後ろに跳びそれを回避。次いで大きく目を見開きながら、銃口を統夜に向けた。
 統夜は咄嗟に横に飛ぶ。その体を掠めるように、豪雨のような弾丸が空間を薙いだ。
「……私自身の意思で引き金を引く、その第一歩になって頂戴な」
 藤乃もまた冷気の弾丸を放つ。その攻撃はグラハムの足下を凍結させ、僅かに体勢を崩させる。
「アニタさんには悪いですが、殺害するつもりで行かせて頂きます」
「ああ、当然だね。あれはもう、殺すべき化け物さ」
 鞭を片手にもなかが飛び出す。身を低く、マテリアルを込めた足で地面を蹴って死角からグラハムの懐へと一直線に潜り込んでいった。
 彼女を追ってアニタも走り出す。グラハムをきつく睨め付け、ライフルの引き金を力強く引き絞る。
 動きを阻害されたグラハムの回避を、もなかはさらに鞭で制限する。そしてその隙に、手にしたダガーを急所に突き立てようと飛びかかり、

「私の、私が地球人を滅びねばならないぃ!」

 しかしグラハムが叫び、力任せに銃身を大きく振り回した。凍結も行動の制限も無理矢理に引き剥がし、周囲二メートル強を鋼鉄の暴力が薙ぎ払う。
「ぐっ――!」
 もなかとカズマがそれを受け、大きく弾き飛ばされる。
 直後に数え切れない銃撃が、銃身を振り回すままに放たれる。乱雑なようでいてしかし的確に、弾丸がハンター達を襲う。
「おおっと、危ない危ない」
 粉々に砕けた瓦礫を盾で弾き、鵤はグラハムの位置から見えない窪みに腹ばいで転がり込んだ。
「ったく、近づくのも楽じゃねーってか」
 愚痴りながらも、鵤は確実にグラハムへと近づいていく。
 直接触ってみないことには、細かいことは分からない。しかしある程度、表面的なことならば推測することは出来る。
 まず、榴弾の発射には肩の砲下部にある引き金を引く必要がありそうだということ。また狙撃用の細長い銃身が、背負った箱の背部に収納されていることにも気がついた。
「つまり、少なくとも片手を空けないと、あれは使えないってことだ」
 鵤はハンター達に伝える。爆破に狙撃、これはグラハムを視界に入れている限り脅威ではない。
 そしてもう一つ、
「……弾帯を覆う素材が、前と違う気がするんだよねぇ。たぶん、前の損傷を見て背後の誰かさんが、対策しやがったんじゃねえの?」
「だったら、銃口や腕を狙うまでです。そうすれば、扱うのは困難になりますよね」
 アメリアの銃撃が、ダメージを顧みず接近戦を挑むカズマともなか、アニタの隙間を縫ってグラハムを掠める。
 浅い一撃。しかし込められたマテリアルは瞬時に冷気と化し、
「そいつをぶっ壊しゃ、終わりだろうよ!」
 その一瞬の隙に統夜の放った跳弾が、背後の家屋からグラハムを襲う。
 だが見えていたかのようにグラハムはそれを素早く躱し――そして、そこで不意にグラハムの動きが止まった。
「……目、目は……地球の、私の……」
 機銃が腕ごとだらんと落ちて、地面を叩く。ぶつぶつと何かを呟きながら、頭は垂れて下を向く。
 その余りに唐突な動きに、ハンター達はむしろ虚を突かれてたたらを踏んだ。
「これが例の……チャンスだ、今のうちに!」
「はい、あたしも続きます!」
 いつまでこの状態でいるか分からない、カズマはここぞと大きく踏み込み、振りかぶった拳を叩きつける。もなかはその逆から、挟み込むように脇腹へ向けダガーを振るった。
 ――その二つは空を切る。
 ゆらりと揺れたグラハムの動き、それに翻弄されて目測を誤った。カズマの腕が掴まれ、勢いを利用し足をかけられ背後のもなかに叩きつけられる。
 だが、追撃はなかった。グラハムはそのまま、またぶつぶつと何かをつぶやき始める。
「やめろ……やめろ、駄目だ……」
「ねぇ、そんなに私達に、今の貴方を見られるのが嫌なのかしら?」
 そんなグラハムに、藤乃は問いかける。「見るな」と、以前の遭遇で彼が言っていたことへのカマ掛けだ。
「嫌、嫌? 何が……地球の、目の……」
 返事が来たのかも分からない。しかし、反応がないわけではないようだ。
「はいはい、ちょっとごめんよぉ」
「おい、何をする気だい」
「んー、カウンセラーごっこ?」
 遮蔽から飛び出した鵤は、アニタの視線を受け流して一息に中央へ駆け寄った。
 体表をマテリアルの膜で覆い、最大限の防御を施し。
 グラハムへ向けて浄化術を発動した。
「んじゃ、ちょーっと正気に戻ってくれるー?」
 手にしたカートリッジの中に、グラハムに掛かる狂気を取り込み浄化する。
「うう、正気……私は、正気の、正しく地球の……」
 相互にマテリアルが干渉し、鵤は術越しに何かを感じる。
 大海のように渦巻く狂気、彼を蝕むその一端。
 鵤はさらに近づきながら、術を続ける。
「頼んだわよ……!」
 鵤から離れようとするグラハムの動きを、藤乃の弾幕が遮った。
 それにより足の止まったその隙に、鵤は一気に手を伸ばす。そして、グラハムの肩を強く掴んだ。
「……いるんだろグラハム・トールマン。お前の残したいもの残すべきもの、全てよこせ。お前の今日までの抵抗に意味を与えてやる。せめて、お前の敵に一石投じる為の布石となって死ね」
「うあ、おおお……」
 グラハムの様子が変わる。頭を抱え、全身を震わせ、がちがちと歯を鳴らす。
 術はそれほど効いていないはずだ。だとしたら、言葉による反応か。
「あ、あああ……け、けん……き……が、ぁぁっ!」
「おいおい、まずいんじゃねえかっ?」
 カズマの制止に、鵤はにやりと笑った。
「こっからでしょ」
 鵤の手が、グラハムの髪を鷲づかみ、
「全部よこせと、言っているんだ」
 顔を持ち上げ、その目を真正面から覗き込んだ。その瞬間。

 ――鵤の眼窩から視神経を通って脳に至るまで腐り濁った無数の視線がぐるりと捻れて貫いた。

「ぐ、う、おおおおおっ!」
 グラハムが叫びながら、跳ねるように体を起こした。鵤が、まるで力の入っていないかのように吹き飛ばされる。
「鵤さん!」
「無茶をするわね!」
 アメリアと藤野の射撃が、グラハムに突き刺さって白く凍結させる。
 だが構わず、グラハムは鵤へ向けて巨大な銃身を振り上げた。
 カズマの拳も、もなかのダガーも、統夜の近接銃撃も、その全てが躱されることなく直撃したが、
「何故何故何故何故俺私自分がぁっ!」
 揺らがない。鉄槌は振り下ろされる。
 そして鵤は、全く動くことが出来なかった。

「……ったく、柄じゃねえなおい」

 ――瞬間、地面が割れた。
 爆風と轟音が吹き荒れる。地表がめくれ弾け飛び、莫大な衝撃がハンター達に襲いかかる。
「傭兵にゃ傭兵の矜持ってもんが、あんだろうがよ!」
 叩きつけられる瓦礫を、身を低く心臓を隠し、顔の前に構えた籠手で防ぎながら、カズマは怯むことなく飛び込んだ。
 銃口がカズマを向いた。振り下ろした銃身は完全にへし折れている。だが残った機銃が今まさに回転を始め、
「援護します!」
 アメリアの銃撃が機銃を叩き、その切っ先を僅かに逸らす。
「発煙行くわよ!」
 そしてほぼ同時に投げ込まれた発煙手榴弾により、辺りは瞬く間に白煙に覆われた。
 カズマはその瞬間に軸をずらす。直後弾丸が脇を掠めた。
「おらぁっ!」
 そのまま大きく拳を振りかぶり、力の限り顔面へと叩きつけた。
 振り抜き、勢いを殺さず体を回転。流れるような二撃目が、腹部に突き刺さる。
「仇は、取ってやんねえとな!」
 体勢を崩したグラハムを狙って、統夜は横合いから飛び込んだ。振り回された銃身に弾丸を至近で叩き込み軌道を逸らすと、更に銃口を押し当てるほどに接近し引き金を引いた。
「あなたを、許すわけには行きません」
 もなかの目は、冷たい怒りに染まっていた。冷静に、冷静にと努めても、制御できる感情には限界がある。
 殺意を持ったダガーが、グラハムを切り裂く。二度、三度、振るうたびに血が弾け、確実にダメージを与えていく。

 このまま倒せるか。そう思った矢先、グラハムは銃身の折れた方の腕で肩の砲身を掴むと――自分の足下に榴弾を撃ち込んだ。
「なっ!」
 咄嗟にハンター達は飛び退くしかなかった。爆発が黒い光を撒き散らし、衝撃に全員が目を細める。
「逃げる気ですか!」
 アメリアはその場から離れようとするグラハムに向けて引き金を引いた。しかし尚、その動きは機敏に最小の動きで弾丸を回避する。
 追うにも、グラハムの異様な速度と機銃の掃射、榴弾の爆撃に思うように近づけない。
 鵤を放っておく訳にも行かず、追跡を断念した。だが、あれほどのダメージを受けたのだ。もう、他のキャンプを襲うことは出来ないだろう。


 結果として、生存者はなし。活気に溢れていたキャンプは、ほんの僅かな時間で廃墟と化した。
「……ごめんなさい。あたし達が、もっと早く来ていれば」
 もなかは死者に向けて手を合わせる。どうにか出来たはずだという思いは消えない。
 ハンター達の被害も、小さくはなかった。特に鵤は、複数箇所の骨折に内臓破裂。アニタの応急処置と魔法により一命は取り留めたものの、重傷には違いない。
 だが、数々の情報は手に入れた。次こそはとの思いで、ハンター達は戦場を後にする。

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参加者一覧

  • 潤う事無き渇望
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 生者の務め
    結城 藤乃(ka1904
    人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
  • 狂える挺身
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • ゲテモノマイスター
    水城もなか(ka3532
    人間(蒼)|20才|女性|疾影士
  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイス(ka4111
    人間(蒼)|20才|女性|猟撃士
  • 双の弾倉
    瀬崎・統夜(ka5046
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/08 21:18:45
アイコン 【相談用】
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/12/12 23:05:12