〈時代の正体〉「自由守るため削除」 ツイッター社がヘイト対策強化
- 神奈川新聞|
- 公開:2016/12/30 02:00 更新:2016/12/30 10:06
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ユーザーによる問題ツイートの報告フォームに新たに追加されたのは「人種、宗教、性別、性的指向などを誹謗(ひぼう)中傷または差別している」という項目。ツイッターの利用ルールでは、脅迫、嫌がらせのほか特定の人種、性別、宗教などに対するヘイト行為を禁じている。報告は日本国外の審査部署に集約され、ツイートの削除やアカウントの凍結が審査される。
「自由な声が発信される場がツイッターのあるべき姿。それには安全安心な場でなければならない。大事なのは言論の自由が損なわれないということ。これは言論の自由をどう保つかという問題だ」
笹本代表は真っすぐ前を見据え、言う。
「ヘイトスピーチは表現の自由として守られるべき言論ではないと理解している。削除や凍結は表現の自由を損なうものではなく、自由で活発に表現してもらうための一つの手段。それを促すために大切なことだ。あるコミュニティーや集団が攻撃され、その対象者が発信できなくなることがあってはならない」
対策の強化は事態を重くみている表れであり、これまでの取り組みの不十分さの裏返しでもある。「現実に苦しんでいる方がいる。可能な限り迅速にあぶり出す必要がある」。審査には法律の専門家やNPOのサポートを受けているという。「どこまで日本の実情を理解しているかという課題もある。日本の優先度を上げ、対応するよう米国本社に要望している」
その際、強調しているのが6月に施行されたヘイトスピーチ解消法だという。「ヘイトスピーチの問題に関するツイートが増えたと感じている。米国本社も日本で新しい法律ができ、人々の意識が高まっていると認識するようになった。われわれも知見を高めることが求められるようになった。今後、日本の対策強化の方向で進んでいくのは間違いない」
欧州では、ツイッター社はフェイスブック、グーグルなどとともに、ドイツ政府や欧州連合の欧州委員会とヘイトスピーチを24時間以内に削除する取り決めを結んだ。「欧州の事例からも学びたい。日本政府とだけではなく、アジアでも同じようなことが必要だし、日本法人が先導的役割を果たせるのではないか」
差別は被害者を生む。ネット上の書き込みに今この瞬間も傷つき続けている。「今回の対策はあくまで第一歩」と繰り返す笹本代表は力を込めた。「言論弾圧という意見があるが、当たらない。われわれの利用ポリシーに照らし専門組織で審査している。その判断はどちらかに偏っているという性格の事柄ではない」
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