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 今年は3人に死刑が執行され、7人の死刑判決が確定した。法務省によると、26日時点で収容中の確定死刑囚は128人。厳罰化の風潮の中、10年前に比べると34人多く、確定から40年を超す人もいる。高齢で病気になる人もいるため、こうした死刑囚にどう対応するかが課題となっている。

 3月に岩城光英前法相が2人、11月に金田勝年法相が1人に執行した。執行3人は3年連続だった。

 刑事訴訟法は、判決確定から6カ月以内に死刑を執行するよう定める。ただ、「共犯者の判決が確定していない」「再審請求中」の場合は執行を避ける傾向にある。共犯者の公判で死刑囚の供述が必要になる可能性があり、再審請求が認められることもあるためだ。

 1966年に静岡県で起きた一家殺害事件で80年に死刑判決が確定した袴田巌さん(80)は第2次再審請求で14年に再審開始が認められ、釈放された(検察が即時抗告中)。収容中の128人のうち、94人が再審請求中だ。再審請求中の執行は、99年以来ない。

 市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」によると、収容中の死刑囚のうち、13人が確定から20年を超した。最長は66年に福岡市で起きた強盗殺人・放火事件の尾田信夫死刑囚(70)の46年。ついで、74年に神奈川県で起きた殺人事件の大浜松三死刑囚(88)で、確定後の収容は39年におよぶ。今年は2人が収容中に病死した。刑事訴訟法は死刑囚が心神喪失になった場合は執行の停止を定める。病状が悪化したときの明確な規定はないが、執行は慎重になるとみられる。

 死刑をめぐっては今年10月、日本弁護士連合会が「2020年までに死刑制度の廃止をめざす」という宣言を出した。これに対し犯罪被害者の立場からは、批判も根強い。「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」事務局長の高橋正人弁護士は「死刑は法で定められている以上、執行されるべきだ。制度のあり方は、当事者である被害者側の意見を聞いて考える必要がある」と話す。(金子元希)