大規模火災から1週間 老舗の酒造会社で再建の動き

大規模火災から1週間 老舗の酒造会社で再建の動き
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新潟県糸魚川市の大規模火災は、発生から29日で1週間がたちました。江戸時代から続く地元の老舗の酒造会社はほとんどの建物が焼けてしまいましたが、歴史を途絶えさせないように再建に向けた動きを始めています。
地元の酒造会社「加賀の井酒造」は、江戸時代から360年以上、糸魚川市で酒を造り続けてきましたが、今回の火災で建物のほとんどが焼けてしまいました。

18代目の蔵元、小林大祐さん(34)のもとには全国から励ましの声が寄せられていて、29日は、大阪から取引先のデパートの担当者が応援のため訪れていました。小林さんは「商品が出せない中での応援に勇気をいただいている」と話していました。

小林さんが焼け落ちた会社を初めて目の当たりにしたのは、火災発生から2日後の、被害が出た地域への立ち入り規制が一時解除されたときでした。その際、見つかったのが、代々の蔵元が大切に保管してきた過去の売り上げ台帳です。長い歴史を伝えるこの台帳がかろうじて焼け残ったことで、小林さんは再建に踏み出す決意を固めたといいます。小林さんは「今の場所で酒蔵をもう一度やりたい。振り返るよりも前に向かってどうエネルギーを注いでいくかを改めて感じた」と話していました。

この1週間、小林さんは商工会議所の会議室も借りて、従業員と今後やるべきことを話し合ったり、取引先に電話で連絡して今後の協力を依頼したりしてきました。
その小林さんを支えているのが、父親で先代の蔵元の幹男さん(64)です。1週間前、燃え広がる火災に諦めの気持ちが広がったという幹男さんですが、息子と一緒に焼け跡を見て「まだ酒づくりができる」と確信しました。仕込みのタンクやこうじなど、酒造りに必要なものはすべてなくなりましたが、会社のシンボルである「蔵」が残っていたからです。過去の火災の際も崩れなかった「蔵」が今回も残ったことが再建の希望につながると感じています。幹男さんは「江戸時代からの唯一の建物が残ってくれた。それがいちばん心強い。この蔵があるから、再びスタートできると思います」と話していました。