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【トランプ氏ゆかりの地】
「トランプ・タワー」と正反対 ドイツの小村に質素な祖父の家があった 「村に来るな」の声も
トランプ氏自身は村を訪れたことがなく、連絡を取りあっている親類もいないという。トーマス・ヤボレック村長は「村ゆかりの大統領誕生は誇りといえる」とするが、村として祝意は伝えていないと説明。遠戚の一人は「奇妙な感じだが、特別な感情はない」と淡々とした表情を見せた。
だが、大統領選のときの発言が「人種差別的」「女性蔑視」と批判されたトランプ氏にどう向き合うかは、村にとって「ストレスがたまる」(女性住民)問題ともなっている。
「人々を隔てる『壁』は築くべきでない」。生花業のベニータ・ゲルトンさん(56)が懸念するのはメキシコ国境に壁をつくるとのトランプ氏の主張だ。「ベルリンの壁」に象徴される東西分断の苦い経験があるドイツ人には「理解しがたい」という。「今後も村にきてほしくない」と言い切った。
一方、技師のトーマス・マッハさん(46)は、「村が世界で話題になるのは悪くない。大切なのは村の文化や伝統も広めることだ」と強調する。ワイン産地として知られる村は、観光が重要な産業だ。
地元観光当局の責任者によると、トランプ氏の当選後、村民からは歓迎の意を表明すべきだとの意見が上がる一方、トランプ氏への反対姿勢を明確にすべきだとの声も上がり、「難しい状況だ」と漏らす。