電通 勤務時間の過少申告で実態隠しか

電通 勤務時間の過少申告で実態隠しか
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大手広告会社の電通は、過労のため自殺した新入社員だった女性らに上限を超える違法な長時間労働をさせていた疑いで28日、書類送検されました。女性社員の勤務時間は過少に申告され、上限を超えていないように見せかけられていたということで、厚生労働省は違法な長時間労働の実態が隠されていた疑いもあると見て捜査を進めています。
電通では、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年、過労のため自殺し、電通と、当時の上司が高橋さんらに労働組合との取り決めの上限を超える違法な長時間労働をさせていたとして28日、労働基準法違反の疑いで書類送検されました。

厚生労働省の東京労働局によりますと、高橋さんらの勤務時間は実際より少なく申告され、上限を超えていないように見せかけられていたということです。電通では申告した勤務時間が会社に滞在していた時間より少ない社員がほかにも多数に上るということで、厚生労働省は勤務時間の過少申告が広く行われ、違法な長時間労働の実態が隠されていた疑いもあると見て捜査を進めています。

残業急減なのに社内滞在は増

電通が28日に公表した勤務のデータでは、労働組合と取り決めた上限を超える違法な長時間労働が以前から繰り返されていた実態が明らかになりました。それによりますと、労働組合との間で取り決めた残業の上限を超えて違法に働いていた件数は、3年前の平成25年、月平均で1573件にも上っていました。

その後、労働基準監督署の指導を受け、去年(平成27年)は465件にことしは、1.4件と大幅に減っています。残業時間も平成25年が月平均で34.3時間だったのが、去年は28.9時間、そして、ことしは先月(11月)までで25.2時間に減りました。

一方、仕事を終えたあとに社員が1時間以上、会社に残っていたケースは、平成25年は月平均で5626件だったのに対して、去年は残業などが減ったのに8222件と逆に増えています。

これについて、電通の中本※祥一副社長は28日の記者会見で、働いた時間を正しく申告できない雰囲気になっているのではないかと聞かれ、「違法な長時間労働を急激にゼロにしようとする中で、そうしたことを強いてしまったことは否定できない」などと話していました。

(※「祥」=へんの部分が「示」)

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