韓国の与党セヌリ党の議員29人が27日、集団で離党した。この29人は、先んじて離党した金容兌(キム・ヨンテ) 議員も含め「改革保守新党」という名前で交渉団体の登録まで済ませ、来年1月24日に結党大会を開く計画だ。保守新党は宣言文で、自由民主主義・市場経済・法治主義など保守の価値をあらためて掲げ、「保守支持者が堂々と保守だと言えるようにしたい」と主張した。保守政治は、崔順実(チェ・スンシル)氏国政介入事件で甚大な打撃を受けた。道徳性と国民の信頼が崩れ去り、支持基盤や主要政策・路線までもが根こそぎ揺らいでいる。党まで分裂したのは初めてだ。政党は一人の人間を中心に私党として運営され、国政では無能・怠惰な人々が義理やら裏切りやらを勘案してから物事を進めるという、とんでもない事態だ。
弾劾審理の行方次第では、わずか数カ月後に大統領選挙が行われるということもあり得る。政界には、保守新党が、朴槿恵(パク・クンへ)大統領に近い「親朴」と、文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」元代表に近い「親文」以外の、いわゆる第三極の軸の一つになるだろうという見方もある。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長を迎え入れ、政権創出に乗り出すだろうという予想もある。しかし、保守支持層と韓国国民全体がこの党に望んでいるのは、政治戦略だけではないだろう。この機会に保守政治の本来の姿を主張し、真の保守が健全な進歩と共に国と社会を引っ張っていけることを望んでいる。
保守新党は、安全保障を何にも代えられない最高の価値と規定し、底の浅い、感性的なアプローチを排撃すると表明した。弾劾政局に乗じた法治の無視など、学生運動上がりの思考方式への批判も行った。ただし社会・経済政策においては、公正な競争を基盤とする経済民主化の追求と、豊かさから取り残された国民を支援できる教育・福祉・労働政策を展開したいと語った。安保保守ではあるが、温かい保守、抱擁的な保守を目指したいということだ。
しかし、保守新党が本当に切迫した使命感から乗り出したのか、それとも今この瞬間を切り抜けようとしているだけなのかは、大層な結党理念からは分からない。保守新党は、道徳的保守、責任ある保守を自任した。今の保守の危機は、道徳と信頼の危機だ。保守新党が今後、自らの道徳性の問題で妥協しないなら、韓国国民の視線は次第に変わってくるだろう。