講演会やブログ、メルマガなどを通じて、子どもたちの本当の力を伸ばすために大切なことを伝える、教育評論家の親野智可等(おやのちから)先生。全国の幼児~中高生の親まで、根強い人気を集め続けています。
親野先生は小学校の先生として勤務するなかで、子どもたちのなかに「伸びる子・伸びない子」がいることや、親が子どもを叱ることの弊害に気づいたといいます。
なぜ叱ると子どもが伸びないのでしょうか? お話を聞かせてもらいました。
■子育ての“常識”のせいで、愛情が空回り
――親野先生は今の子育てにどんな問題があると思われますか?
子育てや教育ってね、親や先生のなかに「太古の昔からの思い込み」みたいなものがいろいろあるんですよ。みんなそういうものに縛られているせいで、せっかく愛情があるのに空回りしていることが多いです。
私が小学校の先生になったとき、子どもたちのいいところを伸ばそうと、いろいろ働きかけていたんですけれど、そうするとぐんぐん伸びていく子と、あんまり伸びない子がいるんですよ。
なんでかな、と思っていて、あるとき気が付いた。親のなかには、子どもをものすごく叱ってるお父さん、お母さんがいるんだよね。
たとえば、私が「○○くん、これがんばったね。よくできてるじゃん、自信もって!」といくらほめて帰しても、家で「あんた、これ何やってんの、ダメじゃない、○×▲※□……」と叱られ続けている子がけっこういる(笑)。ここだな、と思いました。
とにかく親は、「また何々して」「なんで何々してないの? しなきゃダメじゃないの」と叱ることが非常に多いんです。
親は「人格否定の言葉じゃなければ、いくら叱ってもいい」と思っているけれど、これは勘違いです。よく雑誌や本なんかにも「人格否定や存在否定はいけませんよ。“物事について”叱りましょう」と書いてあるけど、そんなことはない。
もちろん、人格否定っていうのは最悪ですよ。「また片付けしてない。本当にお前“ずるい”ね」とか、「また妹を泣かして。あんたお姉ちゃんのくせに“意地悪”だね」とか、相手の能力・人格をまるごと否定する言い方をするのは、絶対によくありません。
存在否定は、それ以上に悪いです。「おまえなんかいないほうがいい、目障りだから消えろ」とか、「おまえなんか、本当は産みたくなかった」とかね。これは一番最悪で、言われるとトラウマになってしまいます。
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