BuzzFeed入社から数ヶ月。飲み会の多い我々の体型は、ゆっくりと、しかし着実に優しい曲線を描くようになっている。はたして、このままでいいのだろうか……否!
BuzzFeedは、藁にもすがる思いでプロの格闘家に話を聞いた。彼らはなぜ、体型を自在にコントロールできるのか。
3. 体重コントロールの期間と量は?
総合格闘家は、短期間に大幅な減量と増量を繰り返す。
日本の総合格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」にも出場しているダロン・クルックシャンクさんの場合、試合前の12週間で7〜10kgほど減量する。
そのうち5〜7kg分は、試合前日の計量前24時間から何も口にせず、一気に落とすという。さらに、計量後から翌日の試合までに再び体重を8kg増やすというから驚きだ。
5. なぜ、試合のたびにハードな減量と増量を繰り返せるのか?
クルックシャンクさんは12月29日(木)に開催されるCygames presents RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 2nd ROUNDに出場する。減量について聞いた。
ーー減量がつらいと感じたことはありませんか?
「ファイターは、ひとつの試合が組まれたら2回闘っているんだ。はじめが、減量とのつらい闘い。そしてその次が、対戦相手との楽しい闘い。減量と試合はいつも1セットで、この道を選んだ人間が当然通るべき道だな。
最後の24時間を乗り越えられるか乗り越えられないのかは、すべてそいつのメンタルの強さで決まると思っている。そこで心が折れるようなやつは、この仕事に向いていないだけのことだ」
ーー試合前日の計量後、クルックシャンクさんは1日で8kg以上も体重を戻されています。何か気を遣っていることはありますか?
「とにかくまずは塩分と水分。塩分は身体が水分を吸収するのを促進してくれるんだ。計量終わってから2時間は固形物は取らない。そして固形物を取る前には、必ずプロバイオティックス(善玉菌)を摂取する。そうすると、胃と腸が、今まで絶っていたタンパク質や炭水化物をスムーズに消化してくれるんだ」
「身体に水分をしみ込ませたら、徐々に固形物を摂取していくんだが、まずは水分と糖分を同時に摂取できるフルーツからだな。しばらく時間をおいて、胃に優しいヨーグルト。そして、ようやく待ちわびたタンパク質と炭水化物をよく噛んでから飲み込む。あとは8時間以上寝て、朝起きたら好きなものを食べるよ」
過酷な減量が終わっても、がまんがまん。少しずつ身体を慣らしていくことで、負担の少ないかたちで体重を増やせるようだ。
「太ったら身体が思うように動かない」「急に痩せてフラフラする」という経験は、誰でも身に覚えがあるのではないだろうか。プロの格闘家は、どのようにコンディションを保っているのか聞いた。
――急激に体重を戻すと、試合のときに身体が重く感じたりしませんか?
「そもそも体重が軽い状態でいるのは2日もないし、体重が戻った状態はいつも動いている身体のフレームだから動きづらさはあまり感じないね。
どの程度の減量なら翌日動けるのか、自分で把握しておくのが大切なんだ。試合のときの体調は、自分がどんな風に減量をしたかによって大きく変わってくるよ。
予定どおり順調に体重を落とせれば、ヘロヘロな状態から十分に回復できるし、力も戻る。逆に、減量に苦戦すると、思っている以上に身体に負荷をかけてしまい、たとえ契約体重に落とせても回復に時間がかかるしスタミナも失われる。当日は身体が重く感じられたり、疲れやすくなったりする」
なお、試合24時間前は同じ体重でも、たくさん減量した選手のほうが体格や体重、パワーで有利となる。しかし、無理に体重を落とせば当然体に力も入らず、動きも遅くなってスタミナがなくなる。また、脳脊髄液も減るためKOされやすくなるという。
「短期間に10kgの減量」と聞くと達成するだけで大変そうだが、各選手は絶妙なバランスをとりながら体重をコントロールしていることがわかった。
ーーちなみに、対戦相手と減量・増量のレベルが同じ場合はどちらが有利なのでしょうか?
「同じ条件だったら強い奴が勝つ。それだけだろ」
……愚問でした。申し訳ございません(土下座)。
ーーBuzzFeed編集部では、入社後に太った人も少なくありません。ハードな運動をしなくても気をつけられることありますか?
「日ごろから水分を十分に摂取することが大切だと思う。加工食品はなるべく口にしない。糖分は、とくに良くない。運動をする時間がなくても、食べるものに気をつけていれば、体内から太りにくい身体に変わっていくよ」
なんと……ダメ元で聞いたら素晴らしいアドバイスが返ってきた。これなら今日から実践できそうである。飲み会の多い年末年始、ぜひみなさんにもご参考いただければ幸いだ。