2016.12.28 09:00
クリエイター・エージェンシー、コルクがコミュニティ・プロデューサーを育成する「コルクラボ」を来年一月からスタートさせる。「作家の頭の中をパブリッシュする」を掲げるコルクの取り組みについては、これまでにSENSORSでもコルクのコミュニティ・プロデューサー仲山優姫さんへのインタビューなどを通じて注目してきた。ラボの開講をきっかけとして、コルクそのもののがコミュニティ化に舵を切ったようにみえる。コンテンツの発信者と消費者がフラットかつ双方向的になる今、両者を媒介するコミュニティ・プロデューサーに何が求められるのか?SENSORSプロデューサー・原浩生がコルク代表の佐渡島氏に話を伺った。
SNSにより個人がメディア化、ブランド化できるようになった。そうした個人やあるコンテンツから派生する、マスメディアとは別の回路からコミュニティの輪があちこちで芽を出しつつある。以下の文章は、コルクラボの募集要項の冒頭に掲げられた佐渡島氏の決意表明だ。
今回のインタビューでは「なぜ今コミュニティなのか」(ラボを立ち上げた背景)、「コミュニティプロデューサーに求められる資質」(トップダウンとは異なるマネジメントのスタイル)、「マネタイズを含めたモデルの設計方法」(テレビはいかにコミュニティを作れるか)を中心に事例を含めて伺った。
編集者というより、経営者としての立場から佐渡島氏が語ってくれた次世代のコミュニティ論からは、新時代のワークスタイルや家族観、そしてアップデートすべきエンターテイメント観が浮かび上がってきた。
コルク佐渡島庸平氏に、なぜコミュニティプロデューサーを育てるラボを立ち上げたのか?伺った。
事実、『宇宙兄弟』ファンのコミュニティ「コヤチュー部」で先日開催された忘年会には老若男女問わず、「『宇宙兄弟』が好き」という一点で皆がディープな会話を楽しんでいたという。
「「遊び」に飽きつつある時代、自分の成長につながるものが最高に面白い遊びになってきている」と語るコルク佐渡島庸平氏
佐渡島庸平氏が考えるコミュニティプロデューサーの資質は「人の感情が分かる」こと。様々な価値観を持つ人々の感情を理解できることが大事だという。
「遊びに飽きてきた」、「記憶の価値が薄れてきた」....佐渡島氏がコミュニティ作りに力を入れる背景にはエンターテイメントやメディアの変化に限らず、時代の変化に伴う人々の価値観の変容へのまなざしがある。コミュニティプロデューサーという役割は、作家と編集者という関係性に限らず、才能がある人とそのコミュニティをマネージする関係性であれば成り立ち得ると佐渡島氏はいう。それは例えばお笑い芸人であるかもしれないし、はたまた美容師の可能性もある。コルクラボからどんな次世代のコミュニティプロデューサーが輩出されるのか、引き続き注目したい。
SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。修士(学際情報学)。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集/ライティング。『PLANETS』や『HIP』では構成を行う。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。将来の夢は馬主になることです。
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