広告代理店最大手・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した問題で、厚生労働省東京労働局は28日にも、高橋さんの当時の上司を含む幹部らと、法人としての同社を労働基準法違反(長時間労働)の疑いで書類送検する方針を固めた。電通全体で常態化していたとみられる違法な長時間労働への捜査は越年して継続する。
昨年12月に亡くなった高橋さんはうつ症状を発症する直前、労使協定で定めた上限を超える残業をしていた。厚労省は他の社員にも同様の違法な残業をさせていたとみて、11月7日に全国の本支社を家宅捜索。幹部らの事情聴取を進めていたが、東京労働局は高橋さんのケースを先行し、労基法事件としては労災認定から約3カ月の異例のスピードで立件することにした。
高橋さんは昨年12月に過労自殺し、今年9月に労災認定された。電通では、1991年にも入社2年目の男性社員(当時24歳)が過労自殺。2010年に中部支社(名古屋市)、14年に関西支社(大阪市)、15年に東京本社で違法な残業があったとして、各労働局から是正勧告を受けている。
高橋さんは東大卒業後の昨年4月に入社。インターネット広告などを担当し、本採用となった10月以降、業務が急増し、11月上旬にはうつ病を発症したとみられる。【早川健人】