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「結婚しろ」と少子化問題

 東京都の6月議会で、独身の女性議員が少子化問題について質問していたところ「早く結婚しろよ」のヤジが飛び大騒ぎになったのは衆知のとおり。考えてみれば「早く結婚しろよ」は、今の日本のおかれている少子化問題に対する国や国民の共通の声かもしれない。
 ぼくの子供のころは、女性が20歳を過ぎると、嫁入り話が村の話題になった。たいていは25歳前後で結婚するが、それを過ぎると「30歳までには」というのがその家や親族の願いであり、年頃になると、世話焼き仲人や橋掛け仲人が動き出して、あちこちから良縁ばなしを持ち込む。
 深窓の令嬢といわれた金持ちや良家の娘は外へ出る機会もなく、ひたすら外部からもたらされる仲人口や親類からの情報に頼るばかりである。
 恋人がいても事情があって結婚できない場合もあり、世間は30歳を過ぎても嫁入りしない女性を「いかず後家になるのか」と嫌みを言ったり、噂をする。
 世の中が変わったから「嫁入り」なんて言葉は消えたが、おかしいのは今の日本の少子化の原因を仕事と子育ての両立が困難だから、と決めつけていることである。
 政府の男女共同参画会議の議員をしている明星大学の高橋史朗教授は「それは違う」と否定し、少子化の最大の原因は「未婚化と晩婚化」にあると指摘している。今の男性の生涯未婚率は5分の1を超えている。100人のうち独身が20人を超えていることになる。統計によると、女性の平均初婚年齢は現在29・3歳、女性の未婚率は1980年と2010年の30年で比べると35%も増えている。
 日本では9年前から人口減少が始まり、数年後には毎年50万人減。30年後には毎年100万人以上の減少。100年後の人口は3770万人、200年後には1100万人というおぞましい予測が立てられている。
 ぼくは晩婚化についても未婚化についても、今日の憂うべき反自然化現象の現れとして日本人の暮らしそのものの方向転換を訴えたいと思う。男はオス、女はメスであり、本来結合して一体感になるところから人間の出発が始まる。
 オスである男は、青年期になれば、異性を求めて本能的に求愛活動に入る。女性はしとやかではあるが、異性を恋う心は男性に劣らない。
 ところが、日本の戦後は家族制度、教育制度、食習慣、生活環境、すべてにわたって激変し、一口に言えば、科学や技術の恩恵に身も心もむしばまれて、人間の持つ本来の野生的情緒や生活のたくましさが霧散してしまった。これをぼくは「反自然化」と呼んでいる。男女が30歳になっても結婚しないのは、野生的自然人間が消えていることによる。愛し合った男女は、たとえ、障害があっても、あるいは反対の圧力があっても、それをはねのけて一体化しようとする血のたぎりや鉄のような意志と行動力があった。
 いまは、そういう男女は消えてしまった。特に積極的であるべきオスが、草食化などと「フヌケ」の代名詞のように言われて、反発もしない。
 反自然は晩婚どころか結婚する気も起こさせない。これは仕事上のことも関係するが、特に問題なのは食生活である。
 西洋医学と漢方とを組み入れた堀田医院(京都)の堀田忠弘医師は、「体と心から毒を消す技術」を著しているが、氏は、このなかで、ガン、ウツ、不妊症、アトピー、花粉症、アルツハイマーをなおすには心と体の免疫力アップが大事と指摘している。ぼくに言わせれば、結婚したがらないのも一種の病気だと思う。
 この本のなかで、堀田医師は、病気には共通する原因があり▽有害物質(食品添加物、残留農薬、有害金属など)による汚染▽環境汚染(電磁波、住宅建材、生活用品など)▽不自然な生活習慣などを取り上げているが、ぼくは環境汚染の中に戦後教育を含めたいと思う。そのなかで、許せないのは「ジェンダーフリー教育」である。これは差別と区別をごったまぜにした暴論で、いわゆる「男らしさ」「女らしさ」の否定である。【押谷盛利】

2014年08月02日 16:25 |


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