子育て格言と曽野さん
「日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと」という長い名前の本についてはすでに触れた。
著者の高橋史朗氏は教育や社会科学の権威学者で、スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員、政府の臨教審専門委員、少子化対策分科会委員、自治省の青少年健全育成研究委座長などを歴任。現在、明星大教授、政府の男女共同参画会議議員などのかたわら多くの著書を出版している。
さきにあげた長い題名の本のなかで、評論家・曽野綾子さんの記憶として、お母さんの江戸の子育ての格言を紹介している。
曽野さんは毎日、新聞や雑誌、著述の原稿書きに追われている売れっ子だが、子供のころは作文が最も苦手だったという。
ところが、お母さんが子育てや教育についての格言を知っていて、それを子供のころの曽野さんの教育に役立てた。その格言は「三つ、心。六つ、躾。九つ、言葉、十二、文。十五、理で末決まる」。
これは3歳までに心をほどこし、6歳までに躾をほどこし、9歳までに言葉を身につけさせ、12歳までに文章を教え、15歳までに人間としての道理を教える。そうすれば人生はうまくいくということを教えた格言。曽野さんのお母さんは、12歳までに文章を教えないといけない、と思い、作文の苦手な曽野さんのために国語だけの家庭教師を雇い、作文教育を強制した。
曽野さんは強制されて作文を書かされることが嫌いだったけれど、このお陰で今がある、と述べている。
しつけはいけないというのが戦後の風潮だけれど、やはり教育は強制から始まらねば、と語り、著者も賛意を表している。
伝統的な子育てが失われてしまったため、今日育児に関して多くの問題が起きている、と高橋氏は指摘している。
一時期「ジェンダー・フリー」という言葉が流行し、日本の男女の教育をワヤにしたことがある。平成12年の男女参画会議が作成した第1次基本計画による弊害である。文科省が全国の公立小中学校幼稚園で平成17年度に実施した「男女の扱いに関する調査内容」を同年の7月1日付産経が報じている。
「ひなまつりや鯉のぼり」は幼稚園の調査で46園が男女平等に反するとして中止。お互いを呼ぶのに「さん」付けで統一している学校は中学校が572、小学校が7289、高校31校になっている。
男女混合の騎馬戦をやっているのは、中学校で29、高校で2校。さらに驚くべきは、体育のときの男女同室の着替え。同じ部屋での着替えが中学校で757、高校で47校。着替えは別々の部屋でやるのは中学生や高校生では常識のはずが、別にするのは男女の性差別を助長するという理論。
つまり、男らしさ、女らしさを否定するジェンダー・フリー教育の害である。
このようなアホ計画は、5年後の平成17年度の第2次基本計画作成の際、自民党の山谷えり子議員らが極めて非常識であるとして内容を改めたが、少子化問題を含めて、日本の若ものをいかにダメにしたかが、この本は訴えている。【押谷盛利】
2014年07月22日 17:52 | パーマリンク
- 12月 21日 テロ、そしてテロ
- 12月 19日 どんぶり勘定
- 12月 16日 どう守る?在来線
- 12月 14日 自由訪問はいつの日か
- 12月 12日 自衛隊のPKO