又吉直樹さんの本をご紹介します。
とても読みやすく、ひとことで言うと「おもしろい」本です。
普段本をあまり読まない方も、この本はサラッと読めてしまうとおもいます。
本を読んでいる人は、読んだことある本がもしかしたらいくつか入っているかも。
『第2図書係補佐』というタイトルについて
第2?第1があるの?って思ったりしましたがそうではなかったです。
「第2」で、しかもそれの「補佐」という彼のちょこっと卑屈な謙虚さからきているタイトルでした。
わかりづらいわ(笑)
でもそんなところが、又吉さんらしいです。
『第2図書係補佐』ってどんな内容?
読書家(読書芸人)としても知られている又吉直樹さん(お笑いコンビ、ピースの又吉さん)による、おすすめ本の紹介エッセイ。
ぜんぶで47冊、又吉さんのおすすめの本を紹介されています。
純文学から、最近の小説まで幅広いジャンルです。
『第2図書係補佐』の3つの魅力
①本の紹介のしかたが、変わってる
本を紹介する時って、その本についていっしょうけんめい語りたくなっちゃいます。
(この記事もそうです。)
でもこの本は違います。
1つの本に対して、3ページほどの文章なのですが、そのほとんどが本の内容にふれていないのです。
さいごの2、3行でちょろっと紹介するだけ。
他の部分はというと、彼のエピソードが書かれています。
暗い青春時代のことや、昔から考えていたこと、他の芸人さんのこと、前の相方のこと…ホント、エッセイです。
それらが不思議と、紹介している本の世界にリンクしていて、なぜかその本を読んでみたくなります。
そんな、本の紹介の仕方です。
そしてその紹介文を読んでいると、本がもっと好きになる気がしてきます。
②テレビで伝わらない又吉さんの深み
大学のころの尊敬する文学のおじいちゃん先生が
「白か黒かでなんて判断つかない。僕たちは白黒で分けられるほど単純にはできたいないんだ。」
と言っていたことがずっと心に残っています。
(↑パンダだって複雑なおもいは、ある。みんなそんな単純じゃない。という絵。)
又吉さんは、まさにその標本、お手本?みたいな方だなぁとこの本を読んでおもいました。
又吉さんが作中で
小説の楽しみ方はいろいろとあるが、僕が文学に求める重要な要素の一つが、普段から漠然と感じてはいるが複雑過ぎて言葉にできなかったり、細か過ぎて把握しきれなかったり、スケールが大きすぎて捉えきれないような感覚が的確な言葉に変えて抽出されることである。
p49
[第2図書係補佐/又吉直樹]
とおっしゃっていましたが、又吉さんのこの本がまさしくその感覚がして感動しました。
Mr.ChildrenのGIFTにもこんな歌詞があります。
「白か黒で答えろ」という
難題を突きつけられ
ぶち当たった壁の前で
僕らは迷っている 迷ってるけど
白と黒のその間に
無限のいろが広がってる
[GIFT/Mr.Children]
この本は、このことばのとおり無限の色がひろがっているような気がします。
③又吉さんは、そっとおすすめしてくれる
本のはじめにこんなことが書かれています。
僕の役割は本の解説や批評ではありません。僕にそんな能力はありません。心血注いで書かれた作家様や、その作品に対して命を懸け心中覚悟で批評する書評家の皆様にも失礼だと思います。だから、僕は自分の生活の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。本をよんだから思い出せたこと。本を読んだから思い付いたこと。本を読んだから救われたこと。もう何年も本に助けられてばかりの僕ですが、本書で紹介させていただいた本に皆様が興味を持っていただけたら幸いです。
p5
[第2図書係補佐/又吉直樹]
どやーおすすめやぞ~みたいなかんじではなくて、かたわらにそっと本を置いていくような、スタンスです。
幼少期から感受性が強く、「いやいやこうやろ」って内心おもいながら生きてきたことは、本を読むとわかります。
その行き場がなくて抱えていてグチャグチャになったものが、この本の中にあります。
それを、置いていく姿がおもい浮かびました。
↑イメージしたのはこの姿で。
長い間 君に渡したくて
強く握りしめていたから
もうグジャグジャになって 色は変わり果て
お世辞にもきれいとは言えないけど
[GIFT/Mr.Children]
良い相方を持った。
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こんな人におすすめ
① とても読みやすい本なので、読書初心者さんにおすすめです。
(パンサー向井のエピソードは笑いました。サッカーのはなしも。)
また、紹介された本に興味を持つことで、読書の幅がひろがっていくと思います。
②何を読んだらいいかわからない方、いま読みたい本が見当たらない方にも。
気になる本がきっと見つかります。
まとめ
読んでいると、又吉さんは本当に繊細で、感受性が強くて、不器用で、こんなんじゃ身が持たないよって、ちょっと心配になったりします。
でも、かなしみやせつなさ、暗い体験をも、ふと笑にかえてしまえるところに、又吉さんのめげないたくましさを感じました。
人生のかたわらに、本があるっていいな。
ことばメモ
弱気になった僕に占い師は「アナタは大丈夫!すごくいい手相よ。必ず成功します。タダ一つだけ約束して、深く思い悩まず明るく生きること」と、素敵な笑顔で一番難しいことを言った。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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