昨年12月に女性新入社員が過労自殺した電通が社員に違法な長時間労働をさせていたとして、厚生労働省東京労働局は28日にも、労働基準法違反の疑いで、法人としての同社と幹部を書類送検する方針を固めた。厚労省は異例の大規模体制で捜査を進めており、同社への強制捜査からわずか約1カ月半で立件される見通しとなった。
過労自殺したのは昨年4月に入社した高橋まつりさん(当時24)。労使協定を超える月105時間の残業をしたとして、三田労働基準監督署が今年9月に労災認定した。これを受け、東京労働局などは10月、労基法違反の疑いで東京本社と3支社、主要子会社5社に一斉立ち入り調査した。
電通の労務管理体制を調べたところ、違法な長時間労働が全社的に広がっている疑いが浮上。同社は2014年に関西支社、15年に東京本社が違法残業で是正勧告を受けていたのに、改善されていなかった。
こうした事態を重くみた厚労省は11月、東京本社と3支社を労基法違反の疑いで家宅捜索し、強制捜査に踏み切った。
厚労省は、取り締まり強化のため昨年4月に新設した過重労働撲滅特別対策班(通称かとく)を投入。捜索で押収した勤務記録や入退館記録などを分析し、労務担当の幹部らから事情聴取を重ねた結果、社員に労使協定を超える違法な長時間労働をさせていた実態が裏付けられたという。