中国がバッテリー規制緩和、韓国メーカー締め出しが狙いか

「高温で爆発しない」ことが条件、韓国製は200度で発火も
業界「中国製品の支援が狙い」

 中国政府は今月10日、電気バスのバッテリーに関するある規制を緩和した。今年初め、「バッテリーの安全性」を理由にニッケル・カドミウム・マンガン(NCM)形態のバッテリーへの補助金支給を停止したが、来年1月から支給を再開するというのだ。

 関連業界では、世界最大の電気自動車(EV)市場である中国への進出が加速するとの期待が大きかったが、実際には新たな安全性基準が非常に厳しく、韓国メーカーの市場参入は難しいことが明らかになった。新基準には「高温(350度)状態でもバッテリーが爆発したり、発火したりしてはならない」という条件が付いているが、これは現在の技術力では到底満たせない要求なのだ。韓国バッテリーメーカー、LG化学とサムスンSDIの関係者は「関連製品は構造上、200度を超えただけで発火してしまうが、使用する上で安全性に問題はないと認められている」と説明。中国政府の設けた新基準には「350度には耐えられるものの充電できる電力が少なく苦戦している中国の主力製品を支援する狙いがある」と指摘した。

 世界最大のEV市場に台頭した中国では、政府が「規制を緩和した」と言いつつ、依然として高い参入障壁を設けている。今回が初めてではない。中国の産業政策を統括する工業情報化省は先月22日、国内で生産するEVバッテリーメーカーの新たな認証基準案を発表し、リチウムイオン電池の年間生産能力を0.2ギガワット時(GWh)から8GWhへと40倍に引き上げた。業界からは「新基準を満たせる企業は、中国でも比亜迪(BYD)、沃特瑪(オプティマムナノ)の2社だけ。韓国企業は中国内の生産施設をすぐには増やせない」「新基準により、韓国メーカーは中国で販売できなくなる」などと悲観する声が上がった。

 SK証券のソン・ジウ研究員は、韓国メーカーの締め付けともとれる中国政府の措置について、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備決定に対する「貿易報復」の延長線上にあるとし、こうした力ずくのやり方は当面続くとの見方を示した。

ユン・ヒョンジュン記者
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