こんちは、40男子です。
今年の夏に芥川賞を受賞して話題になった「コンビニ人間」を世間のブームから3テンポ位遅れて秋頃に読んだんですよ。
私は牛丼屋で働いていた事があって、作中の従業員とのバックヤードでの会話や店舗づくりにかける想いなんかが共感できたんだよね。
コンビニ人間を読んでいるときは牛丼屋で働いていた自分と重ね合わせて(あるある)等と思いながら最後まで楽しく読み切れる作品でした。
コンビニ人間から受けた共感や感動を言葉にしたくて今更ながらなんだけど本作の感想を書かせて頂きました。
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コンビニ人間のあらすじ
大学を卒業したもの就職はしないでコンビニでのフリーターとして生活を続け30を越えても執拗にコンビニ店員を続ける古倉恵子。恵子は幼いころから周囲と違った価値観で生きていて大人になっても結婚、就職等といった周囲の当たり前の価値観が理解する事が出来ませんでした。
それ故に恵子は生きていく上で周囲とは関わらない生き方を選び自分の居場所は見つからないまま大人になっていく。
そんな恵子が唯一見つけた自分の居場所は大学生時代に始めたコンビニのアルバイトだった。はじめてコンビニのレジに立った瞬間、恵子は生まれて初めて世界が開けていくのを感じていた。
コンビニを正しい姿に導く事にのみに自分の存在価値を見出だす恵子に周囲の人間は普通を押し付けてくる。そんな中、同じように世間に対して居場所を見つけられずにいた白羽が恵子のコンビニの新人バイトとして働きはじめる事になる。
感想
冒頭でも述べた通り、登場人物の職場での会話にめちゃめちゃリアリティがあるんすよ、ホント。
私も牛丼屋時代にはスタッフ同士の「前任の店長がどうでー」とか「アルバイトのなんとかサンとなんとかサンは仲が悪い」等の噂話を情報としてインプットしてコミュニケーションに役立てた事もあったなとか。
混雑時に合わせて仕込みをしたり販促中の商品の食材を多めに発注したりPOPを飾り付けたりして販促が成功するように準備したり、無機質な店舗に命を吹き込んだ事もあった。
作中で描写される朝礼の風景や店舗での取り組みに対して恵子と同じように懸命に取り組む者もいれば白羽のようにバカバカしいと小ばかにしてオペレーションを守らない者などの情景が鮮明に頭の中に浮かんできました。
一見すると真面目な社員も実はスタッフのプライベートに興味があって店舗内の恋愛模様を面白おかしく話をしたり、コンビニに居場所を失いかけた恵子が新人の外国人アルバイトの教育をよりどころにするところなんかは流石、コンビニ店員の経験者が描写しているなと感心させられるばかりだったんすよね。
この様なパターン化した日常が店舗ではごく当たり前の様に起こっていて、コンビニの日常が恵子を安心させている事に私は深い共感を覚えずにはいられなかったね。
コンビニ人間は恵子の普通に過ごす事の出来ない性格と普通を押し付ける周りの人のやりとりに面白さを感じる人が多数を占めているとは思うんだけどね。
でも私の様な小売りや外食での勤務経験者が読むと恵子のコンビニにかける熱意や実際に店舗で見かける事のできる日常にも面白味を感じる事ができるんですよ。
終盤では古倉マネージャーと呼びたくなるような振る舞いが可笑しくてコンビニ運営にかける想いが社員を上回ってるじゃねーかっ!!なんて思いながらニヤニヤとページをめくっていたらあっという間に読み切ってしまって、もっと続きを読みたいってそう思わずにはいられなかったんだよね。
そんな感じでコンビニ人間を読み切った時に辛かった牛丼屋時代の思い出が楽しいものに変換していたのを感じました。
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ブラック企業
小売りや外食って、端からみるとキツイだけの仕事で実際に働いてみると本当にキツイくて周りからはブラック企業なんて蔑まされるんだけど、それでも働いてみないとわからない面白さってのが確かにあったんだよ。
その面白さを「コンビニ人間」は上手に描写していて、牛丼屋はきつい仕事だったけどそこで働く事が古倉のように生きがいにもなる、そんな仕事だったなと思い出させてくれたんだよね。
ずいぶん前に外食産業で勤務していた店長が過労死したニュースがあってネットには過労死してまでやるような仕事なの?と書かれ「働いたことの無い人間に外食の何がわかるのか」というどこかモヤモヤした気持ちを抱いていた事があってね、何でこの店長は死んでまでこんな事言われてるんだろうって。
そんなモヤモヤも吹き飛ばしてくれるような読後感の良さと小売、外食産業の誇りがコンビニ人間には溢れんばかりに詰まっていて作家の村田沙耶香さんのコンビニ愛を深く感じたんだよ。
小売りや外食で働く関係者は新入社員に下らない元CAかなんかの研修を受けさせるよりコンビニ人間を配って読ませた方が良いと思う程、外食産業や小売り関係者に特にお奨めしたい一冊だね。
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