慰安婦・独島記述強化の国定歴史教科書 全面導入撤回=韓国

【ソウル聯合ニュース】韓国の李俊植(イ・ジュンシク)社会副首相兼教育部長官は27日、政府世宗庁舎で会見を開き、中高校の国定歴史教科書の導入を当初の来春から2018年3月に延期する方針を発表した。

 来年3月からは希望する学校を研究校として指定し、国定教科書を主教材として使用させる方針だ。研究校以外は従来の検定教科書を使う。18年からは各校が国定と検定教科書の中から選択して使用するという。

 朴槿恵(パク・クネ)政権は現行の教科書を「左派的」として、歴史教科書の全面国定化を重要課題の一つとして進めてきたが、市民団体や野党などは強引な推進や密室での教科書作成などに強く反発してきた。

 韓国政府が先月28日に原案を公開した国定教科書の特徴の一つは旧日本軍の慰安婦と独島に関する記述が増えたことだ。

 国定教科書では「戦時体制の下で日本が行った抑圧的な政策について徴用、徴兵、慰安婦強制動員などの事例を調査し把握する」という内容は学習学年(中学校)に応じて日本の公権力が関与する形で女性が強制的に連れて行かれた事例が記載されている。

 中学校の歴史2の教科書では慰安婦被害者の写真を掲載し、「被害者は本人の意思に反し強制的に動員され、慰安所では監視と劣悪な環境の中で持続的に性暴力を受け体と心に深い傷を負った」と記述している。

 特に、慰安婦問題については以前の検定教科書で国際社会の解決のための努力があまり多く記述されていないという指摘があったことを踏まえ、国定教科書ではこうした部分に対する説明を増やした。

 高校の韓国史の教科書でもこれまで大部分の検定教科書が取り上げなかった、慰安婦の強制性を認めた河野談話(1993年)や植民地支配と侵略を反省する戦後50年の村山談話(95年)について言及しているほか、国際社会の努力を紹介している。

 独島についての記述も検定教科書より増えた。同部は「独島領有権を明らかにするため、韓国だけでなく日本の史料を提示して生徒がさまざまな根拠に触れられるようにし、特に、独島が三国時代から歴史に編入されていたということを証明する多様な史料を掲載することで、日本の主張に根拠がないことを明らかにした」と説明していた。

 中学校の歴史2の教科書では「日本の独島編入の違法性と間島協約(日清協約)の問題点は何か」というこれまでより大きな単位で編成することで、日本の独島の違法編入過程などを示し領有権の正当性を強調した。

 高校教科書の現代史の部分では「独島は韓国が領有権を断固として行使している場所で、国際司法裁判(ICJ)の対象になり得ない歴史的・地理的・国際法的に明白な韓国固有の領土」と明記した。

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