名古屋フィギュア
2017年1月7日(土)
国内トップスケーターが集結
一面<匠地技>ビロード 滋賀・長浜(5)
◆産地に映える 優美ビロードは、漢字で「天鵞絨(てんがじゅう)」と書く。「天鵞」とは、中国語でハクチョウのこと。 滋賀県長浜市沖の琵琶湖の一部は、近畿地方有数のコハクチョウの越冬地。秋の深まりとともに、北極圏から続々と飛来し、四百〜六百羽が一冬を過ごす。 「琵琶湖は餌の水草が豊富で、波が穏やか。立って休める浅瀬が多いのも、コハクチョウが好む理由です」。市湖北野鳥センター職員の植田潤さん(47)は話す。 稲刈りが終わった後の二番穂も、好物。近くの田んぼでおなかを満たし、夕暮れ時、ねぐらである湖へ帰る。オレンジ色に染まる水面に、一羽、また一羽。湖畔にできた人垣からは無数のシャッター音が聞こえる。 毎年、双眼鏡をのぞきこんで観察している植田さんは、コハクチョウの魅力の一つを「色」と語る。 「羽が、つやつやと光を放つんです。色も明る過ぎず、黄みがかった、にじむような白。どこか温かみがある」 「天鵞絨」と書いてビロードと読む、その心は。ハクチョウの羽のように、滑らかで優美な織物−。 かつてのビロードの一大産地に、偶然にも降り立つコハクチョウ。それは母なる湖からの、心憎い贈り物。 (写真・今泉慶太、文・渡辺大地) ◇ 一月から始めた匠地技は、今回でおわります。 PR情報
|
|
Search | 検索