大韓航空機内で乗客を殴るなどの騒ぎを起こした韓国人のA容疑者(34)=写真=が26日、警察の事情聴取を受けた。この騒動は、居合わせた米国の有名歌手リチャード・マークスさん(53)がフェイスブック(交流サイト)に写真付きで投稿したことで世間に知られた。
A容疑者はこの日午前9時40分ごろ、弁護士を伴い仁川国際空港警察隊の事務所に出頭。グレーの帽子を深くかぶり、マスクで顔を隠したA容疑者は「容疑を認めるか」との報道陣の質問に「認めている」と答えたものの、「(酒に酔っていて)当時の状況をよく思い出せない」と述べた。また「物議を醸して申し訳ない。私の行動で被害を受けた方々に深くおわびしたい」とも話した。
A容疑者の父親は、貿易関連の中小企業を経営しているとされる。「金のスプーン(裕福な家に生まれた人を指す)の横暴ではないのかとの批判もある」という記者の指摘には、「返す言葉がない。父も私の行動に深く失望している。今後は自分の悪い性格を直し、正しく行動できるよう最善を尽くしたい」と述べた。
警察は5時間余りにわたり、A容疑者から飲酒の経緯などを聴取。A容疑者が容疑を全て認めたため、旅客機内で安全運航を妨害した航空保安法違反の容疑と、乗務員らを暴行した傷害の容疑で27日に逮捕状を請求する方針を固めた。また、A容疑者が麻薬を投薬した状態で騒ぎを起こしたとの指摘があることから、本人の体毛を国立科学捜査研究院に送り鑑定を依頼した。
A容疑者は20日午後、ベトナム・ハノイを出発して仁川に向かっていた大韓航空機のビジネスシートで、酒に酔って隣の乗客や乗務員を殴り、止めに入った乗務員に唾を吐きかけるなど、2時間にわたり暴れた疑いが持たれている。