【コラム】韓国次期大統領候補の「安保ポピュリズム」を検証せよ

 近ごろ「統治」を狙う次期大統領選の有力候補たちが、陣営の論理に沿った、大衆に迎合するかのような発言を繰り返している。最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表らは、米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備や韓日が締結した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)など、すでに確定した政策を棚上げし、次の政権に委ねるよう主張する。野党第2党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前共同代表は、THAAD配備をめぐる国民投票を実施すべきだと述べて波紋を呼んだ。南景弼(ナム・ギョンピル)京畿道知事は徴兵制を募兵制に転換し、兵力を30万人水準に削減することを主張している。

 問題は、韓国を取り巻く安保情勢が盧政権の時に比べ悪くなりこそすれ、良くなる見込みは低いことだ。トランプ米次期大統領は、在韓米軍の駐留経費問題はもちろん韓米同盟についても徹底してビジネスの観点からアプローチする構えを見せている。根っからの事業家で「交渉の達人」であるトランプ氏は、盧政権の時よりさらに韓国を悩ませるかもしれない。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、韓国が弾劾政局にある中で挑発に踏み切れば逆風を受けると危ぶんでいるのか、今は沈黙を守っているが、すでに9合目を越えた長距離核ミサイルの完成を放棄するはずがない。金委員長は暴悪だが、馬鹿ではない。また、韓国軍は少子化に伴う兵力の大幅減と国防予算の問題から、戦力増強が困難な限界状況に達しつつある。

 韓国の次期大統領は、こうしたさまざまな難題にうまく対処し、韓国の国益と生存を守らねばならない。次期大統領選の有力候補たちの安保観と政策をいつも以上に徹底して検証せねばならない理由が、ここにある。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者(論説委員)
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