News Up 街なかの謎のオブジェ、実は「排除アート」?

News Up 街なかの謎のオブジェ、実は「排除アート」?
東京・渋谷区の国道脇の地面に国交省が設置した多くの突起物について、路上生活者、いわゆるホームレスの人たちが入れないように置かれたのではないかと、今月、ソーシャルメディアなどで話題になりました。この突起物については、不法投棄を防止するためだと行政は説明していますが、この話題をきっかけに、道路や公園などに設置されたさまざまなオブジェについて、ホームレスの人たちの排除を目的にした「排除アート」と呼んで、その是非をめぐる議論が改めて起きています。
今回話題になったのは、東京・渋谷区の道玄坂上の交差点付近にある、国道246号線沿いの、長さ30メートル、幅10メートルほどのスペースです。

この場所には、コンクリートの地面にこぶし大の石の突起物が数百個設置されていましたが、「ホームレスの人たちを排除するために作られたものではないか」といった意見が、ソーシャルメディアなどで拡散しました。

道路を管理する国土交通省東京国道事務所によりますと、この場所には以前、植え込みがありましたが、ゴミのポイ捨てが多く付近の住民の間で問題になっていたため、ことし11月下旬に植え込みを撤去して突起物を設置したということです。

この場所には横断歩道も屋根もなく、東京国道事務所では「ホームレス対策を意図したものではなかった」と説明しています。しかし、ネットに広がった情報によって「危険ではないか」とか、「見た目が悪い」という指摘を受けたため、12月中旬に撤去したということです。

ホームレスを排除?と話題に

今回話題になったのは、東京・渋谷区の道玄坂上の交差点付近にある、国道246号線沿いの、長さ30メートル、幅10メートルほどのスペースです。

この場所には、コンクリートの地面にこぶし大の石の突起物が数百個設置されていましたが、「ホームレスの人たちを排除するために作られたものではないか」といった意見が、ソーシャルメディアなどで拡散しました。

道路を管理する国土交通省東京国道事務所によりますと、この場所には以前、植え込みがありましたが、ゴミのポイ捨てが多く付近の住民の間で問題になっていたため、ことし11月下旬に植え込みを撤去して突起物を設置したということです。

この場所には横断歩道も屋根もなく、東京国道事務所では「ホームレス対策を意図したものではなかった」と説明しています。しかし、ネットに広がった情報によって「危険ではないか」とか、「見た目が悪い」という指摘を受けたため、12月中旬に撤去したということです。

改めて議論「排除アートとは」

今回の話題をきっかけに、ホームレスの人などが長時間いられないように設置された街なかのオブジェについて、改めて議論になっています。
例えば東京・渋谷区の京王井の頭線渋谷駅付近にある「ウェーブの広場」は、線路の高架下にあって、広場には以前、多くのホームレスの人たちがいたといいます。そこで広場を管理する地元の商店などでつくる「渋谷中央街」では広場をチェーンで囲み、多数の突起物を設けて、人が寝たりできないようにする対策をとりました。理由について「渋谷中央街」では、「駅の利用者や近隣の店舗からは迷惑だとか怖いといった意見が寄せられているので、こうした方法をとるのも致し方ない」と説明しています。
このようにホームレスの人たちの排除を目的にした設置物は「排除アート」とも呼ばれ、ソーシャルメディアでは、「弱者を排除することへの批判」もあれば、「公の場所を占拠する人たちを排除するのはやむをえない」といった意見もあります。
いずれにしても、根本的な解決方法ではないと語るのは、ホームレス支援全国ネットワーク事務局の江田初穂さんです。
江田さんは、「今後、2020年の東京オリンピックにむけて、街なかに『排除アート』が増えていく可能性もあります。しかし仮にその場所からホームレスの人がいなくなっても、どこか別の場所に行くだけで、その数が減るわけではありません」と指摘します。
そして、「店舗や住民からは、迷惑だという気持ちも理解できます。でも目の前から排除しようとするのではなく、まずは支援団体に連絡を取ってほしい。そうすれば私たちが現地に行って手助けすることもできるようになります。ホームレスの人たちがいなくなる社会を作るという目標地点は同じはずです」と話しています。

街なかに何気なくあったオブジェに改めて注目し、考えることが、「排除アート」が排除される社会にむけた一歩だと言えそうです。