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(朝鮮日報日本語版) 【社説】韓国大統領選、スキャンダル検証と政治工作は紙一重

朝鮮日報日本語版 12/26(月) 10:31配信

 韓国の週刊誌『時事ジャーナル』は24日、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が韓国外交部(省に相当)長官だった2005年に20万ドル(現在のレートで約2300万円、以下同じ)、07年に3万ドル(約350万円)を当時泰光実業の会長だった朴淵次(パク・ヨンチャ)氏から受け取った疑惑があると報じた。09年にいわゆる「朴淵次ゲート」に対する捜査が行われていた時から、検察はこの問題に関する関係者の証言をすでに確保していたが、あえて表沙汰にはしなかったという。

 この報道を受け、最大野党「共に民主党」の奇東旻(キ・ドンミン)院内報道官は潘氏に対する捜査を行うよう検察に求めた。すると潘氏は国連報道官を通じ「完全な虚偽」として疑惑を否定し、時事ジャーナルに対して記事の取り下げを求めた。韓国にいる潘氏の側近も「荒唐無稽な陰謀だ」とした上で「断固たる法的対応を取る」と明言した。資金を提供したとされる朴氏も疑惑を否定し、さらに当時、捜査を指揮していた検察の李仁圭(イ・インギュ)元中央捜査部長も「事実かどうかは知らない。わたしは関与していない」とコメントした。潘氏は次の大統領選挙における有力候補者の中では常に支持率1位か2位をキープしている。今月末には国連事務総長の任期を終え、来月中旬には帰国する予定だ。今回の疑惑が仮に事実だとしてもほとんどがすでに時効となっているが、合法的な枠内での明確な説明は必要だろう。

 韓国では大統領選挙が行われる際、各陣営による相手側への攻撃はどうしても過激になりがちで、そのため合理性や理性よりも非合理や非理性が前面に出てきやすい。そのような雰囲気が支配する中では、候補者に対する検証も「政治攻勢」の次元にとどまりがちだ。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)被告との関係もそうだ。厳密かつ客観的な検証を行うことで今回のような問題は二度と起こしてはならず、次の大統領選挙はそのための道を開く選挙としなければならない。

 しかし検証と政治攻勢は紙一重の差しかない。大統領選挙は国会議員選挙とは異なり、通常は後から選挙結果を変えることなどできないため、「一発勝負」的な政治工作がどうしても行われやすい。例えば1997年と2002年の大統領選挙ではいずれもハンナラ党(セヌリ党の前身)の李会昌(イ・フェチャン)候補の当選が有力視されていたが、息子の兵役逃れ問題や企業関係者による違法献金疑惑が影響して結局落選した。これらの問題はいずれも後から虚偽あるいは根拠のない話だったことが分かり、最初に問題を取り上げた国会議員らは処罰されたが、それでも選挙結果が見直されることはなかった。もちろんこれらはどちらも表向きは「検証」という形を取っていた。

 そのため検証と政治工作を区別するには、まずは工作を行った人物への処罰を厳しくすべきだが、それ以前に各党や候補者が最低限の良識を持たねばならない。メディアによる厳正かつ慎重な報道、さらには司法や選挙管理委員会などの集中的かつ迅速な判断も必要だ。検証は時に厳しすぎるほどでなければならないが、虚偽の問題をでっち上げ、それによって選挙結果を左右しようとする陰謀も必ず解明して厳しい鉄ついを下さねばならない。

最終更新:12/26(月) 10:31

朝鮮日報日本語版

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