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2016年12月26日

2030年、技術革新から創出される6つの「新たな職業」

ロボット、3Dプリント、人工知能、ジェネレーティブ・デザインといった高度なテクノロジーによって、製品の設計や製造方法が変化しています。この変化が世の中に与えるインパクトは大きく、新たな産業革命と呼ばれています。これは人の仕事を「機械がとって代わる」ことを意味しているのでしょうか。2030年という近未来に誕生している可能性があるデザインとエンジニアリング関連の新たな「6つの職業」を予想します。

執筆:オートデスク 加藤 久喜

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2030年に生まれる「新たな職業」を予測

(© xiaoliangge – Fotolia)


なくなる職種より、生まれる職種に注目する

 テクノロジーによって人の能力が向上しています。機械は人の能力を補い、繰り返し作業や危険な作業から人を解放してくれます。その代わりに、この種の作業に費やしていた時間を、もっと別な、付加価値の高い、面白く、充実した作業に費やせるようになります。いままで不可能だったことができるようになることで、よりクリエイティブな活動に時間を使うことができます。

 もちろん一部の職種はなくなりますが、新たに登場する職種もあります。このような技術革新によって、新たな職種、そしてまったく新しい職業カテゴリーが登場し、現在では想像もできないような仕事に就けるようになります。

 先日公表された「World Economic Forum」のレポートでも次のような指摘がありました。「多くの業界や国でニーズの高い、あるいは特殊な職種の大半は、10年前、あるいは5年前には存在しなかったものです。このような変化のスピードはさらに加速しています。ある予測では、小学校に入学する子供の 65%は、現在まだ存在していないまったく新しい仕事に就くと言われています」

 このような新しい産業革命はどのようなものになるのでしょうか。テクノロジーがこれほど速く変化している今、25〜30年後を予測してもまったく的外れになるでしょう。しかしここではあえて15年後の未来を予測してみたいと思います。2030年という近未来に誕生している可能性がある、デザインとエンジニアリング関連の新しい職種の上位6つをランダムに挙げてみます。

ロボットの教育担当、センサーに強いSIerが必要に

(1)ロボットトレーナー
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ロボットトレーナー


 ロボットをプログラミング通りに(自動車の組み立て工場のように)動かすのではなく、多種多様で繊細な作業をロボットが実行するようになると、もっとトレーナーが必要になります。ロボットが人間と一緒に働くことが多くなるでしょう。ロボットに実行させる複雑な作業を教えるため、人間のトレーナーが必要になります。

(2)センサー・システム・インテグレータ
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センサー・システム・インテグレータ


 たとえば、調味料の組み合わせを理解し、画期的な料理を作ることができるシェフが間もなく退職しようとしています。そこで、ロボットをトレーニングして、玉ねぎやニンジンを切るといった手間のかかる作業を行わせることにします。人にとっては単純作業に思えることでも、野菜ごとに微妙に違いがありますが、マシン・ラーニングのおかげでロボットでも対応できるようになります。

 センサーを搭載した製品が増え、IoT(モノのインターネット)が急拡大しています。しかしインターネット接続された様々なモノを相互に連携させる(スマートフォンの専用アプリとだけでなく)ためには、はるかに高度な技術が必要です。健康のために行う運動をモニタリングする靴、卵の数が少なくなったら追加注文する冷蔵庫などが考えられますが、さらに進化するとモノ同士の連携が可能になります。例えば運動量が増えたことを靴が感知し、冷蔵庫にスポーツ・ドリンクの注文を増やすように指示することができます。

 これはほんの一例ですが、センサーを搭載したモノを統合できるインテグレーターのニーズが急増するでしょう。センサー システム インテグレーターの仕事は多岐にわたります。民間のビルにセンサー ネットワークを確立する、家庭内で接続された製品を統合する、製品開発時にセンサー データを統合する、といった作業が考えられます。

 たとえばエネルギー効率のよい衣類乾燥機を開発しようとしている企業があるとします。このために、センサーで衣類が完全に乾くまで確認させてからマシンをオフにします。センサー インテグレータはこれをさらに進化させ、洗濯機に湿度センサーを追加することができます。これによって洗濯機の脱水回数を増やせば、乾燥時間が短くなり、必要な時間とエネルギーを削減できることがわかります。

 このような「システム全体での考え方」は、メーカーにとっても非常に価値の高いものです。これにより、他のシステム インテグレータも衣類乾燥機が家庭内の他のあらゆるデバイスと通信できるようにするため、徐々に変化が拡大し、関連する仕事が増えます。最終的にはさらにスマートな製品と、新たな雇用機会が次々と生み出されるようになります。

AIベースの設計、3Dプリンタの専門家も登場か

(3)ジェネレーティブ・デザイナー
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ジェネレーティブ・デザイナー


 設計職の人気が高まっています。今後アルゴリズムを活用した設計ツールがさらに進化、普及しますが、これらは設計者の代わりになるものではなく、設計の作業方法を変えるものです。

 「ジェネレーティブ デザイン」という新たなソフトウェアによって、重量、強度、コスト、サイズ、素材などの各種基準に基づき、自動的に数十、あるいは数千のデザイン オプションを手にすることができます。その結果、人間のデザイナーは製品の形状や構造にかける時間を短縮できるようになりますが、直面している設計上の課題を深く理解して、適切な制約やパラメータを特定し、解決策を導き出す必要が生じます。

 基本的には最初から3Dモデルに到達するのではなく、デザイナーはAIベースのジェネレーティブ・デザインソフトウェアを使用して、最終的な成果物を導くためのソリューション・セットを作成することになるでしょう。

(4)3Dプリント・スペシャリスト
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3Dプリント・スペシャリスト


 3Dプリンタはここ数年、驚くほど速いスピードで進化しています。高速化し、数千種類の新たな金属、複合物、その他の材料に対応できるようになりました。価格も下がり、ソフトウェアも継続的に改善される中、この種の「積層造形」技術がますます一般的になるでしょう。使用する材料が少なくて済み、他の製造技法では不可能な複雑な製品作りにも対応できる3Dプリント技術は歓迎されています。

 一方で、コンピューター制御の旋盤やミルといった「減法造形」マシンを扱える、有能なマシンオペレータがすでに不足しています。米国だけでも、今後10年以内にあらゆる分野で合計で200万人の優秀な人材の不足が予想されます。3Dプリントについても優れたスペシャリストが必要になり、今後数年の間に多数の人材が必要な分野になるでしょう。

【次ページ】AR/VRにも「キュレーション」する役割が要るのか

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