【コラム】「護国英雄の不都合な真実」、その後

【コラム】「護国英雄の不都合な真実」、その後

 誰もが事実と思いたがっていることを、「事実ではない」と改めようとするときは、かなりの難関を覚悟せねばならない。今年6月17日のコラム「北朝鮮のタンクを破壊した『護国英雄』の不都合な真実」が、そうしたケースに当たる。

 6・25(朝鮮戦争)開戦当日、降り注ぐ砲火の中、肉弾突撃で北朝鮮軍のタンクを破壊したとされる「故・沈鎰(シム・イル)少領(少佐に相当)」の武勇伝は虚構だと書いたとき、心中安らかではなかった。沈少領は「6・25戦争英雄」の最前列にいる人物だったからだ。ソウル・泰陵の陸軍士官学校校庭や江原道原州の顕忠公園などには沈少領の銅像が立っており、韓国陸軍では毎年、最も優秀な戦闘中隊長を選んで「沈鎰賞」を授与してきた。こうした神話が崩れることを、まず韓国軍が受け入れられるだろうか、と思った。

 果たして、コラム掲載後、韓国国防部(省に相当)では反論の報道資料を準備した。しかし何らかの負担を感じたのか、陸軍軍史研究所に対して、代わりに発表を指示した。このとき陸軍側が指示通り発表していたら、あのコラムは「論争的主張」にすぎないものになっていただろう。「軍は過去に犯したでっち上げの過ちを果敢に正し、正道を堂々と歩むべき」と事実を証言した李大鎔(イ・デヨン)将軍も、見下されることになりかねなかった。

 ところが、組織内の良識ある個人の存在が、状況をひっくり返した。陸軍軍史研究所長(ハン・ソル准将)は「事実関係を調査した後に発表したい」と回答した。6・25戦争の英雄で、最後の駐ベトナム公使として身命を賭してきた李大鎔将軍の問題提起を黙殺するのは、後輩の軍人のすべきことではないと感じた。

チェ・ボシク先任記者
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