【社説】ゆるみ切った韓国政府機関、国民は誰を頼ればよいのか

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾議案が可決された12月9日以降、国のどの部処(省庁)でも職員は仕事が手につかない状態にあることがわかった。ソウル市中心部、光化門の政府世宗庁舎近くに行くと、職員たちが昼休み時間の30分以上前から昼食に出かけ、オフィスに戻る時間が通常より遅くなっている様子などすぐ目につく。国会関係の番号が表示された電話には出ず、政策に関するアイディアがあっても次の政権になるまで隠しておく職員もいるようだ。部下の管理にあたる幹部職員も、人事発令の遅れを言い訳に部下職員らを放置しているのが実情だ。

 世宗市に移転した多くの部処も同様で、こちらは移転直後から職員の緊張が緩む傾向にあるとの問題が以前から指摘されてきた。閣僚や次官、局長クラスが何らかの職務でソウルに向かうと、上司がいないことを理由に職員らが休日のように過ごすのが常態化しているというのだ。またエリート公務員らの間では世宗市への移転後「ガラパゴス島に捉えられた。そのうち淘汰されるのでは」といった不安の声も高まっていた。しかも今回弾劾が可決したことでこの傾向は一層ひどくなり、政府職員らの間からは「もうねじが完全に緩みきった」といった声も聞こえてくる。

 職員らが仕事が手につかず、部処間の連携も取れないとなると、そのしわ寄せを受けるのは国民だ。鳥インフルエンザの感染拡大によって国民を悩ます卵不足も結局はそのしわ寄せだ。鳥インフルエンザの感染拡大は今回がはじめてではなく、過去13年の間に9回も発生しているが、政府による今回の対応はあまりにも未熟でずさんだった。まず殺処分された鶏などの数はすでに2400万匹を上回った。たとえばある地域では、役所に設置された対策チームが殺処分を行う業者を口コミで探し、対応が20時間も遅れた結果、被害が拡大したケースもあったという。卵の価格は1カ月前に比べて27%も上昇し、最近は卵が窃盗の被害に遭うケースも続出している。インフルエンザ対策も同様だ。特に小中高校に通う児童生徒の間ではインフルエンザの感染が急速に広まっているが、国はこれといった対策は何もやっていない。その結果、幼児や児童の間でインフルエンザの感染が疑われる数は1000人あたり153人にまで達し、これは過去最大の数値になっている。

 大統領職が事実上の空白状態になり、これに政府職員までが仕事への使命感も責任感も失ってしまえば、この国はいったいどうなるだろうか。国民はもうこれ以上大きな事件や事故が起きないことを祈るしかないのだろうか。

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