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【産経抄】
何を見聞きしても中韓への贖罪意識にとらわれるのか 12月24日
「政治家のわれわれ素人よりも政治上の知識を誇りうるのは紛紛(ふんぷん)たる事実の知識だけである」。芥川龍之介は箴言(しんげん)集『侏儒の言葉』の中で、「政治家」と題してこう皮肉り、さらに続けている。「畢竟(ひっきょう)某党の某首領はどういう帽子をかぶっているかというのと大差のない知識ばかりである」。
▼政治家の知識・見識の質をこきおろしたものだが、小欄はあながち同意できない。多彩な経験と思索に基づく、政治上の知恵の蓄積というものもあるだろうと考えるからだ。ただ、時には両手(もろて)を挙げて賛成したくなることもある。
▼23日付朝日新聞朝刊に、河野洋平元衆院議長のインタビュー記事が載っていた。8年前に米ハワイ・真珠湾を訪問した河野氏が、安倍晋三首相の真珠湾慰霊訪問について注文をつけ、自身の訪問時の感想を語っている。
▼「中国や韓国の人々の間に日本に対する怒りは相当あって当然だと思った」。旧日本軍による真珠湾攻撃から連想したらしいが、論理展開がまるで分からない。中国と、当時は日本の一部だった韓国とを並べて論じるのも無理がある。何を見聞きしても中韓への贖罪(しょくざい)意識にとらわれるのか。