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【開発ヒストリー】
引き算の美学で「究極の時計」追求 世界最薄の1ミリ、機能、デザインもシンプルに
GPS(衛星利用測位システム)機能を搭載したり、スマートフォンと連携して時刻を修正したりするなど、時計の技術はまさに刻一刻と進化し続けている。持ち主の心拍測定までできる「スマートウオッチ」も台頭する中、シチズン時計は今秋、機能やデザインを可能な限り簡素化した“究極の時計”を世に送り出した。ムーブメント(駆動部分)厚1ミリ、ケース厚2.98ミリの世界最薄のアナログ式光発電腕時計「エコ・ドライブワン」だ。時計の常識を打ち破るスリムなボディーには、繊細な技術と「世界初」にこだわる大志がこめられている。
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「時計の本質を見直し、すべてをそぎ落としたシンプルで薄く美しい時計に挑戦しよう」
戸倉敏夫社長の号令を受け、シチズンがエコ・ドライブワンの開発に動き出したのは平成26年夏だった。
シチズンは昭和51年、世界で初めて太陽光で発電し、電池交換不要のアナログ式腕時計を発売。平成7年から「エコ・ドライブ」の名で展開し、環境に優しい腕時計として世界中に広まった。
エコ・ドライブワンは、アナログ式光発電腕時計の40周年モデルとして企画された商品。それだけに開発、企画部門の社員の士気はいつになく高まった。目指したのは「引き算の美しさ」だ。