いわゆるパンダ議論では、一部のチベット人が主張する現代の中国の1/4にも及ぶ「大チベット領域」の観念が「100%正しい」という前提で主張されているものが多いと思います。


 


しかし、チベット人が現代、居住している全地域はそれこそ、インド、ネパール、ブータン(チベット人系国家ですが)、中国などにまたがっています。


にも関わらずチベット独立派の主張する「大チベット」の要求は中国国内に限られています。


これは正直、フェアでない気もします。


つまり、チベット独立派が「領土を取れる国は中国以外にない」と考えているからです。


 


ところでブータンという国家を調べていて面白い記述に気づきました。


1617年 - チベットによる第1回侵攻。

1634年 - チベットによる第2回侵攻。

1639年 - チベットによる第3回侵攻。

1644年 - チベット・モンゴル連合軍がブータンを攻撃。

1648年 - チベット・モンゴル連合軍がブータンを攻撃。

このように普通にチベットは軍事行動を起こし他の国に攻め込んでますね。


要するにチベットというのは平和国家でも争いを好まない神秘的な宗教国家でも何でもなくつくづく「普通の民族・国」だという事です。


要するに戦争や侵略もすれば領土紛争も起こす、嘘もつく普通の国なのです。


 


こういう国の言う「大チベット領域」を100%、盲目的に信じ込むのはかなり危険です。


「チベットの侵略や領土拡大」という要素はいくらでも考えられます。


チベット人でも漢人でもない民族や領土は盛んに両民族に潰されたと考えられます。


それどころかなんせチべットの領土自体が東に前進したり後退したりしていることからもわかるように「チベットの漢人領侵略」という展開も時代によってはありました。


漢人は決して無敵ではなくチベット、モンゴル、満州、東トルキスタンなどとはライバル同士であり、時には元や清のように征服されすらしました。


現代のような圧倒的強者たる漢人と弱小の周辺民族という決め付けた考え方は危険です。


なお中国周辺民族の主張する領土はその周辺民族の最盛期の領土が多いです、 


 


ちなみにチベットが今も「我々の土地だ」と言っている四川省 甘粛省 雲南省 青海省のチベット人比率は実際は20%程度です。


無論、これは知っての通り中国人の卑劣とも言える民族政策のせいなのは否定しませんが。


現代、もしもチベットが実際に独立するとしてこれらの地域も含むの無茶な話しというものです。


実際はチベットに有利に話しを進んだとしても「おとしどころ論」という奴で適度にチベット人の多い地域を分離するのが精一杯でしょう。


日本人がロシアに樺太や北千島やカムチャッカを要求しても無理なのと同じです。


あるいは中華民国の言うモンゴル、ロシア極東、なども含む中国国家領域みたいなものです。


 


なお、「被害者と考えられる国家・民族」が何でも美化される幻想はよくある話しです。


例えば琉球王国には「平和な南の島」幻想がありますが


確かに日本に侵略されたと言っても過言ではないですが、


彼ら自身、三山時代の抗争に勝ち残り、さらに宮古や八重山や奄美諸島に軍を送って服属させています。


 


また、別の例を出すとナチスドイツに侵略されたポーランドですが、彼らが第二次大戦前に相当な軍国主義の意識があったのも有名です。フランスからマダガスタルを要求したり、ルーマニアやスロバキアを脅して領土の一部を取ったりしました。そもそも何より彼らは「ドイツにも負けない軍事国家」と考えてました。


 


中共が気に入らず、チベットを支援するにしろ、もう少し現実的に考えたほうがいいです。


一千万人も漢民族が住んでいるような「大チベット」を肯定してるようだと、


「沖縄は中国の領土」なんて理屈も通ってしまいます。


領土ははある程度、現状を踏まえて、確定しないといけないです。