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2016-12-25

「謎の最強囲碁棋士ネットに登場。正体は新Ai?」。…ヒカルの碁のsaiも「ああ、Aiだったか」と(作品内でも)思われるんでしょうね…

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ネット上の超絶棋士神の手」 囲碁界騒然、正体は?:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASJDM75CMJDMUCVL031.html

……ネット上の囲碁サイト正体不明の謎の超絶棋士が突然現れ、趙治勲名誉名人と互角の戦いを演じた囲碁AI(人工知能)「Zen」を圧倒したことが、囲碁界で話題もちきりだ。その名は「God Moves(ゴッドムーブズ、神の手)」。ほとんど時間を使わぬ高速の打ち回しから、超人的な新手の囲碁AIとみられている。

 Godは11月29日、世界中囲碁愛好家が利用する囲碁サイト「KGS」に登場し、同月に趙名誉名人との三番勝負で1勝2敗と肉薄した「Deep Zen Go(ディープゼンゴ)」と同じソフトを搭載する「Zen19L」に連勝。12月1日にも再戦し完勝した。

 プロ棋士が驚いたのは碁の内容だ。碁石境界線を引いて領土の広さを競う囲碁布石は、少ない石数で効率的領土を広げられる隅から打ち始めるのが常識だ。Godは1局目は普通の布石を選んだが、2局目の初手は盤の中心・天元に打ち……

んで、例によってまとめた。

ネット上に超絶棋士神の手」が登場→みんな当然「ヒカルの碁」を思い出す【当たり前】 - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1062972

ちなみに、この朝日記事へのブックマークで、何件が「ヒカルの碁」に触れているかぞえるのも一興だ(笑)

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/articles/ASJDM75CMJDMUCVL031.html

ところで、ぼくはこんなことを考えた。

以下、それを小説仕立てに。元はtwitterなので、140字の字数制限がいろいろあったのだけど。

( https://twitter.com/gryphonjapan/status/812812017165680640 とダブル投稿

二次創作ヒカルの碁、その後」


「あなた、取材記者さんがお見えよ。週刊パトスの梶川さんって方」

「え?そんなの聞いてないぞ。あかり、お前はいつも警戒せず、そんなの取り次ぐんだから…。しょうがない、アポなしでも来たってんなら、会うだけは会うとするか」

 

「はじめまして、週刊パトスの梶川です。お会い頂き有難うございます」

「パトスさんが碁の取材なんて珍しいよね。それも俺にって、何の用?」

「いえね、あたしもケチなスキャンダル専門で、囲碁には疎いんですが…ただ進藤さんの経歴が面白くて」

 

「進藤さんは、専門の師匠さんとかいらっしゃいませんでしたよね。独学で突然出てきた、異色の経歴なわけで」

「それは佐為…い、いや、『才能』!才能だよね、まあはっきり言って」

「ただ…、ちょっと変な噂を聞きましてね」

 

「うわさ、って?」

「10年ほど前に、ネットに突然現れ、凄まじい強さで有名になった『sai』って人と、アナタの碁風がどこか似てると」

「ふ、ふーん…偶然じゃないの?知らない」

「でもね、塔矢行洋名人saiの対局は、貴方が斡旋したと」

 

「あ、あの対局は話題だったからデ、デマも多くてね!」

緒方さんが、デマを言ったと?」

「ぐっ…」

「まあいい、本題です…塔矢名人引退に追い込んだ『sai』…これってAiだったんでしょ?」

「何をいうんだ!」

状況証拠は、十分です」

  

「あの当時、名人を上回るぐらいの棋力を持ち、

そのくせ、ネットにしか出てこない…

Aiしか考えられないでしょ?

まだ当時は完璧ではなかったでしょうが、どこかのIT企業が密かに開発した…サイバーの『sai』かな?それで貴方も学んだ…」

 

「違うって言ってるだろ!」

「じゃあ納得いく説明を下さいよ。貴方とsaiの碁が、偶然じゃあり得ないほど似てることは、お墨付きを頂いたんでね」

「誰から」

「塔矢行洋さんから。Aiに最初に負けた名人では?と聞いたら」

「あの人にそんな取材を!」

 

「塔矢さん、ちょっとショックみたいでしたねえ…最後は『それでも、あの碁はいい一局だった』何の後悔もない、と言ってましたがね。で、どうなんす?」

「……SaiはAiじゃない、それだけは言っておく……」

「ふーん、根拠のご説明はなし、と。」

 

「ま、週刊パトスとしては、そのご反応だけで十分記事ができますよ。『かつて名人引退に追い込んだ、幻の囲碁Aiがあった?』と。?はつけて差し上げますよ。掲載されたら一冊送らせて頂きます。それでは…」

記者は、にやりと笑って帰っていった

 

梶川記者が去った自宅で、ヒカルは一人つぶやく。

佐為…お前みたいなオッチョコチョイが、感情もないAiなんだって、笑っちゃうよな。でも、Aiは確かに人間を超えつつある。『神の一手』も見つけるかも…お前の夢見たのは、これだったか?」

(完)



おまけ ヒカルの碁は「ネット漫画の傑作」でもある (過去の当ブログ記事より)



その部分だけ、過去記事から抜粋しよう。

今年10周年の「ヒカルの碁」を再読/そして大場つぐみ小畑健コンビの「バクマン」始まる。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080822/p3

実にもう、時と人と作品めぐり合う奇跡生まれる。

それが「インターネット囲碁」だ。

さきほど述べたように、この作品1998年に始まった。マイクロソフトもこの時、「Win98」をリリースしている。

個人的なことをいうなら、自分インターネット自由に使える環境になったのはこの前年の1997年だが(笑)、そのときはまだ、ダイヤルアップで深夜のテレホーダイに頼る時代でしたね。

連載が始まって少ししてからだから2000年ごろだろうか、まだ作中でも「インターネットは〜〜というものなんだ」という説明が入っているし、ヒカルを始めキャラクターの大多数もパソコンを持たず、日常で利用もしていない様子だ。ヒカルは「ネット喫茶」という珍しい店(当時)に、知り合いのコネでただで入室させてもらってネット囲碁を試みる。

しかし、ここで「インターネット囲碁」が出てくるのは、描かれてみれば本当にここにしかない、という、囲碁でいう「絶妙の一手」だった。

なにしろ藤原佐為は、ここでなら実体の無いことを気にせず、思う存分ハンドルネームSai」として碁を打てる(※実体が無いので、「佐為が碁を打つ」というのは、佐為が口頭でいう「15の六」とかいう石をヒカルが置く、の意)。

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そしてそのインターネット囲碁原則ギャラリーが見られるので、名人級の実力を見せる佐為Saiの噂はそれこそ世界規模で広まっていく。院生プロ棋士も倒しただけでなく、前述のヒカルの最大のライバル・塔矢アキラにも勝利する。

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しかし、正体が分からないため、幾人か、佐為バージョンのヒカルの強さを知る人は「Saiヒカルでは?」「少なくともSaiヒカルにはつながりがあるのでは?」との疑問を抱いていく。ヒカルはそのつどごまかしていくが、本人も佐為から習っている以上どうしても出てくる棋風の類似や、うっかりヒカルのもらした一言がわざわいして・・・というように話は広がっていく。

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インターネットが「匿名」でありつつ、広く第三者に公開されているという性質を、ここまでエンターテインメントの中で生かした作品を、いまだに小生は知らない。「銀魂」で電車男パロディをやった時ぐらいか(笑)インターネット社会に、本格的に浸透しはじめた時代だからこそ、新鮮な驚きをもって作り手も描くことができたのかもしれない。

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