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突破せよ日立!創業以来最大のビジネスモデル転換は正念場

ニュースイッチ 12/25(日) 15:20配信

次世代製造業目指しニッポン電機の先陣を切る

 日立製作所が創業以来最大のビジネスモデル変革に挑んでいる。目指すのは、IoT(モノのインターネット)技術を使って顧客の課題解決に当たるソリューション企業。人、組織、技術プラットフォーム(基盤)まで変化の波は日立全体に広がる。製品に加え関連サービスまで提供し、高収益を上げる次世代製造業への脱皮は日本の電機メーカーに突きつけられた共通課題だ。先陣を切る日立は壁を突破できるか。

 2016年春、日立は「フロント強化特別研修」と呼ぶ新たな人材育成プロジェクトをスタートさせた。注目は講師役の人選。商社やコンサルティング企業から転職してきた“異端”の日立マンがその任を受けた。

 生徒となったのは鉄道や電力など各フロントビジネスユニット(BU)から選抜された40人。育成のポイントは二つ。顧客との対話を通じて課題を把握し、それを解決するソリューションの骨格をつくる「顧客協創構築」、その骨格を実際のビジネスに仕上げる「ソリューション構築」の両スキルの獲得だ。

 「一緒に課題を見付け、解決策を探りましょう」。研修では実際のビジネス現場が舞台となった。講師役を含め4―5人のチームが、鉄道や電力会社といった顧客に対し3カ月間、営業展開した。

 人材戦略を担う中畑英信執行役常務は「まず顧客の課題があって、『その解決のためにこの製品が役立ちますよ』という提案が不可欠。製品主導のトークはなし」と研修の“ルール”を明かし、「モノがないことを前提にビジネスをつくってきた元商社マンらに講師として活躍してもらった」と解説する。

 この研修は、日立が成長戦略の1丁目1番地に位置付ける「社会イノベーション事業」拡大の方向に沿った取り組みだ。同事業はITとインフラ技術により顧客や社会の課題解決を目指すもの。

 例えばオフィスビル。センサーとIoTを使って照明の電力を最小化、共有会議室の使用状況を分析し部屋の数や大きさを最適化、監視カメラでエレベーターの待ち人数を把握し運行台数を調整といった各種サービスを組み合わせて省エネや設備の運営効率化につなげる。

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最終更新:12/25(日) 15:21

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