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【相模原殺傷】後を絶たない安易な匿名 個人情報保護法を拡大解釈 千葉大集団暴行や鬼怒川水害でも

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【相模原殺傷】
後を絶たない安易な匿名 個人情報保護法を拡大解釈 千葉大集団暴行や鬼怒川水害でも

 事件事故や災害で「遺族感情」「人権」などを理由に安易な匿名化が進めば、外部による事案の検証ができず、当局の情報操作につながる恐れもある。結果的に被害者の人権を守ることにつながらない可能性を多分に含み、同法の規制対象から報道機関が除外されている理由もそこにある。

 「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」という要素は、欠けてしまうと情報として成立しない「核」だ。

 ワシントン・ポスト社主だったフィリップ・グレアムが「ニュースは歴史の第一稿」という言葉を残した通り、匿名や仮名では風雪に耐えうる記録にはならない。実名による報道こそ読者や視聴者への強い訴求力を持ち、情報の信頼性を高めるのだ。

 甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑法)は「プライバシーは配慮されなければならないが、公的機関が公表することと、それを報道機関がどこまで伝えるかというのは別の問題」とした上で、「情報の自由な流通が民主主義を担保していることを改めて認識すべきだ」と指摘している。(福田涼太郎)

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