縁側をご利用いただく際のルール&マナー集を用意いたしました
ユーザーの皆様に楽しくご参加いただけるよう、主に投稿時の注意点などをまとめています。
ご投稿の前には必ずご一読をお願いいたします。詳しくはこちら⇒「縁側 ルール&マナー」
紹介文
ここは主にホンダFIT3HVの徒然ない世間話や、
ドライブ旅行記、オリジナル小説やCGなど
けっこうどうでもいい話題で盛り上がっております。
気だるい午後のひまつぶしにどうぞw
このページのスレッド一覧
| 番号 |
タイトル | 返信数 | 最終投稿日時 |
|---|---|---|---|
| [1498-5028] | ひまねこの縁側 その29 | 3 | 2016年12月25日 17:00 |
| [1498-4927] | ひまねこの縁側 その28 | 89 | 2016年12月25日 16:18 |
| [1498-4820] | オランダ旅行記 ネーデルランドの異邦人 | 31 | 2016年9月28日 23:09 |
| [1498-4745] | 2016/9/17 FIT3 富山オフ会のお知らせ | 64 | 2016年9月23日 01:30 |
| [1498-4685] | 長編冒険小説 Step Up! | 62 | 2016年9月5日 04:28 |
| [1498-4580] | こういう掲示板って | 8 | 2016年6月10日 00:15 |
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さらりと過疎を続けるひまねこの縁側。
ここが埋まって30に突入する日はいつになるのだろう。
私は間もなく入院となりますが、入院中のひまつぶしに、と思って
「黒猫のウィズ」というスマホ用クイズゲームをインストールしてみました。
とりあえず一般常識的なクイズゲームなので、知識や教養が試されます。
しかも案外面白いので、みなさんもひまなら試しにやってみてください。
無課金でふつーに進められます。
2016/12/25 16:24 [1498-5028]
>hiromi313(hrm1962)さん
尿管結石です。
通院で2回手術しましたが(超音波で石を破壊する手術)ことごとく失敗。
仕方なく入院と相成りました。
まあ4〜5日程度の入院なので大したことはありません。
「ひまねこの縁側 その28」の後半に詳しく書いてありますので、
おひまなときにでも読んでください。
2016/12/25 16:44 [1498-5030]
ドーナツ化現象となったひまねこ縁側。
果たして「その30」まで続くのか?
それともコンビニドーナツのように収縮化となるのか?
スリル満点のまったり縁側をそれとなくお楽しみ下さい。
2016/10/7 10:21 [1498-4927]
ひまねこの縁側 その27 のいちばん後ろから続いております。
>京香っちさん
もしかしたら、尿管結石だったのかも。
私は中学生の頃サッカー部でしたが、当時「水分補給せずに練習することで根性を身につける」
という練習をしていたのが祟って、それ以来尿管結石に悩まされてきました。
いちど石がひっかかると、そりゃもうとんでもない激痛となり、いかなる体勢をとっても
その痛みは和らぐことはなく、とにかくのたうち回るしかなくなります。
女性における出産の痛みに似ている、と言われる尿管結石ですが、いやほんとに
尋常でない痛みですわ。
でも、石が産まれる(=排出される)と、さっきまでの痛みがウソのようになくなります。
仙豆を食べた悟空のように、瞬時に全回復って感じです。
最近はほどよく水分をとってますので、結石に悩むことはなくなりました。
>hi632さん
さすが詳しいですね。
私も糖尿病の疑いがあったりして悩んでおります。
がんばって特効薬を作ってください。
フィットのミニカーを差し上げますのでw
2016/10/7 10:37 [1498-4928]
hi632さん
御返事有難うございます。卵巣の肥大による腰痛?あるかもしれないですね。
2〜3週間後に再び婦人科を受診し経過を見る事になってます。
糖尿病?
血液検査のHbA1cは通常値でした。大丈夫そうかも。一応、検査結果は手元にあります。
血圧が高いのは、梅干しが大好きで、1日に10個とか食べてしまうのが原因かと思います。イライラすると梅干し食べたくなるんです。後、ビールを毎日大量に飲んでしまっているのも原因かと…自己責任なので恥ずかしい(///∇///)
数値だけで判断する医者でなく、患者の話を聞いて判断してくれる医者に巡り会えたら良いなと思います。
ねこさん
尿管結石ですが、かなり痛いらしいですね。発狂したくなるとも聞いた事があります。
私、子宮線筋症という婦人病なので、毎月激痛に悩まされてます。酷いと、トイレも這っていくし、食事なんて作れないし、寝たきりで痛みと格闘しのたうち回るような状態になるんです。
不思議に思ったのが、血圧高くて、このままだと5年以内に何があってもおかしくないと言われたのに、何故血圧の薬を処方しなかったのでしょうか?
そんなに危険度が高いと言うのなら、薬を処方してもおかしくないと思うのですが…。
とりあえず、梅干しは食べないようにしました。ビールの量も減らしました。煙草は気持ち減らしました。全てに制限をもうけると、ストレスで悪化してしまうと思ったからです。
来週、2件目の病院での血液検査を聞きにいくまでは、なるだけおとなしくしてようと思います。
今夜は、旦那の帰宅が12時過ぎだったので、食事が遅くなり、こんな時間になってしまいました。
2016/10/8 02:54 [1498-4929] iモードからの書き込み
| また敵となるか、ガンダム! | RGを作ること、それが大人の特権だ | ここから先は通さん、と言っておこう | 最後はゴールドクラッシュに敗れました |
>京香っちさん
原因不明の体調不良はやはり不安になりますね。
気をつけてお過ごしください。
旦那さんの帰宅時間のため仕方ないのかもしれませんが、深夜まで起きているのも
健康にはよくないとは思います。
さて、RGシナンジュが完成しました。
赤の部分が非常にキレイな艶塗装がされており、それと金メッキパーツだけ塗りませんでした。
金パーツは黒パーツ等と組み合わせてエングレービングが再現され、めっちゃキレイ。
逆にいえば、それが再現されていたから買ったといえます。
各関節部もめっちゃ可動範囲が広く、理想のポージングができます。
ただし、ちょっと動かすたびに接触の微妙なパーツがポロポロと落ちますので
オモチャとして遊ぶにはまったく適してません。
このへんはRGゼータも一緒。完璧な変形ができるからといってガシガシ遊ぶと
いろんなところがポッキリいったりしますw
とにかくいいポーズがとれたら、それで固定して飾り、あとは手を触れずに目で見て
愛でるのがよいです。
シールドがけっこう重く、ふつうに飾ると左に傾いてしまいます。
しかも腕にきっちり固定できず、ちょっと動かすとすぐポロリしちゃいます。
でも、1/144のくせに指先まで動くのは凄まじい細かさです。
作ってるときは「へーっ!」「ほーっ!」などと感動しっぱなしでしたw
ちなみに前回作ったフルアーマーユニコーンと同じディスプレイケースで
飾りたかったのですが、ユニコーンのプロペラントタンクがデカすぎて無理。
仕方なく別々に飾ってます。
2016/10/8 20:45 [1498-4930]
2016/10/8 22:33 [1498-4931] 削除
自分はインスリンまで行ってませんが軽度の糖尿病です
乳酸菌の飲みすぎで・・・
今は薬を飲んでますが軽度でも薬を飲むと血糖値が極端に下がることがあり体調不良になることがあります。
まあ先日運転中に調子悪くなったんですが
+軽度のうつ病でもあるので
周りからはええぇって言われますが
正直今の職場(というか部署)はおかしいです
言ってることが朝と帰りで全然違ってるし・・・
まあ気にしてたら疲れるだけなんで
ということで今から関東方面へ遠征w
2016/10/8 22:59 [1498-4932]
>えりりん炭酸
まあ、偏食は糖尿病になりますから気をつけてください。
私もヒトのことはいえず、来週ある健康診断に今からビビってます。
ちなみに私も鬱病で3ヶ月も会社を休んだことがあります。
新潟から下関まで完全下道で旅してきました。
3ヶ月も休むのが最初からわかってたら北海道のペンションで居候とか
したかったんですけどねw(考え方が鬱じゃねーし)
2016/10/9 10:32 [1498-4933]
どもどもこんばんはーヽ(^o^)丿
ちょっぴりご無沙汰の銀狼のるーですょー☆
なにやら気づくのが送れましたが大黒オフしてたんですねー!行きたかったー!!!
でも嫁チャンに用事を言われてたので結局行けなかったのかー!(●>皿<●)グヌヌー!!!
・・・とまぁ過ぎたことは悔やんでも仕方ないので我慢しときますー(笑)
それから話がかわりましてー♪
10月30日、オフ会する予定です!みんからでも告知してみたので、だいたいは知ってるメンバーが何人かは集まってくれると期待してますo(^▽^)o
予定としては以下のとおりで、、、
日時:10月30日、9:00〜15:00
場所:@長池親水公園 A河口湖ニューブリッジキャンプ場
となってますー☆
詳しくは、みんからで告知してますのでワタクシめの名前で検索できるのかな?見つけて貰えたらたすかります。
もし見つけるのが困難だょーなど色々ありましたら、おっしゃっていただけたら対応しますね(^_-)-☆
2016/10/10 20:22 [1498-4937]
| 駐車場からリヤカーで荷物を運びます。 | ひとりでできた! | 初日の晩ごはん。 | 今回の荷物。 |
永らくご無沙汰のゆづぽんずです。(^^)
先週おにゅうの2ルームテントが届いたので試し張りを兼ねて
この連休は滋賀は竜王町の妹背の里でキャンプしてました。
ここはオートキャンプ場ではないので駐車場とテントサイト間は
荷物をリヤカーで運ばなければならず、また今回は子供の都合がつかず(笑)
ソロキャンプとなったので(たまにやります)結構大変でしたが、でも
キャンプ場は整備されてきれいだったしフリーサイトで広々使えたし
料金も安くてなかなか良かったです。(^^)
(テント1泊1張り 2,260円のみ、タープが別張りだと倍になります。
2ルームテントは1張り扱いなのでおトク)
なんか鶏肉焼いてる時に誰かから電話がありましたが(笑)
> 銀狼のるーちゃんさん
オフ会でキャンプ場を使うのは良いアイデアですね!
私のようなキャンプ好きにはタマリません。(^^)
ちょっと遠いので行けないのですが、時期・標高から
かなり冷え込むと思うので気をつけてくださいね。
2016/10/10 23:45 [1498-4938]
ゆづぽんずさんこんにちはー!
ツールームって利点があるのは知らなかったので、安いテント買って失敗したかもーって思っちゃいましたぁ(>_<)
なぜかうまくスマホの画像載せられないので、お見せできないですが、ワタクシめのテントは☆柄で目立つやつなのですょー(笑)
いやぁーコールマンのテントはしっかりしてそうで男らしさがあっていいですね(≧∇≦)b
パラソルタープも気になってたりするんですけど、あれってタープ扱いでの料金になるんですかねぇ??
普通のタープは大人数で遊ぶとき用に持ってて、少人数の時はパラソルタープが欲しいなぁーと思ってますー♪
2016/10/11 15:42 [1498-4939]
こんばんはー。(^^)
2ルームテントの利点はオートサイトでの省スペースと
荷物をコンパクトにできる事だと思います。
うちのタープは4本足で自立するタープテントなので
たたんでも結構デカいんです。(^^;
目的に合っていれば安いので良いと思いますよー。
コールマンのテントは巷に溢れてるので今まで避けてたんですが、
amazonで安売りしてたのでついポチッとしてしまいました。(^^;
ロゴスより布地が厚めなので寒い時期には良いかもです。
※耐水圧はなぜかロゴスの方が高いけど。
パラソルは...タープとは別のような気が。
テーブルセットは料金がかからずパラソルが付くと料金がかかるって
なんか変に思いますよねぇ。
2016/10/11 20:15 [1498-4940]
>るーちゃんさん
いよいよオフ会企画本格始動ですね。
いまのところ参加は未定ですが、大成功となるよう応援しております!
紅葉の季節は山中湖→河口湖のルートの渋滞が予想されますので、
気をつけてくださいね。
>ゆずぽんずさん
そのデカいテントでソロキャンプとはすごい!
テント内、広すぎて逆に落ち着かなかったのでは?ww
私はバイク用のテント(いちおう2〜3人用)しか使ったことがないので
もちっと広いやつに憧れてます。でもヘタレなのでワンタッチテントがいいなー。
キャンプオフ会ってのも楽しそうですね。
ていうか、いちどそんな感じのものを企画しようとしたときがありました。
でも、テントサイトにクルマを乗り入れたりできないと、肝心の「クルマを見せあって語り合う」
という意味が失われたり、十数台も一度に乗り入れが可能か、テントを持ってない人は
コテージやテントのレンタルの負担が余計にかかったりとか、
とにかく問題が多すぎたので企画そのものを自ら却下したのです。
でも、いまではだいたいカスタマイズも落ち着き「このクルマをどうするか」よりも
「このクルマで何をするか」に比重を置く方が多くなっていると思いますので、
この企画もやってみれば盛り上がるのでは、と思います。
来年あたりに何かできないか、ちょいと考えてみたいと思います。
2016/10/11 23:01 [1498-4941]
Myeフィッツはしばらく入院させてます。
乗りなれてないって事もあるけど、
代車のジェイドハイブリッド乗り心地は悪い!
ハンドルかたすぎ
2016/10/12 18:40 [1498-4942]
| 封筒型シュラフを2枚連結してクイーンサイズに(笑) |
> ねこさん
ですよねー、周りからも好奇の視線を感じてました。(^^;
試し張りの事情が無ければロゴスのドームテントだけでも
良かったのですが。
でも広いキャンプ場や大自然や宇宙の中では2ルームなんて
ちっさいちっさい!と納得して満喫してました。(笑)
> ケルル侍さん
Myeフィッツはどうしました?
2016/10/12 22:55 [1498-4943]
何やらキャンプやらオフ会等で盛り上がってますね。参加出来ないのが、凄く残念です。
本当に楽しそうねぇ。
アウトドア大好きな私は、羨ましくて羨ましくて、もう目がハートになって、ヨダレも出てます。旦那はアウトドアに興味がないみたいなので、私にはつまらないです。
やっと秋らしくなり、朝晩が冷え込んできましたね。先日は13℃くらいでした。
あれから、少し夜更かしを控え目にしてます。
あー、大好きな梅干しが食べたいわぁ。
点滴の跡が消えないし、針痕がポチッとふくらんでるし、押さえると痛い。看護婦さんが、下手だったのかもね。
2016/10/13 01:37 [1498-4944] iモードからの書き込み
どもどもー夜更かし中で、良いキャンプ場はないものかと検索に明け暮れてる銀るーですょー(笑)
ゆづぽんずさんへ☆↓
ゆづぽんずさんに教えてもらって分かったんですが、パラソル広げると料金発生なんてとこもあるんですね!
知らなかったのでそれは悩み所だなぁ。。。頭抱えちゃいますー(^_^;)
やはりシュラフ二枚連結よさそーですね☆
気にはなってたんですがお値段が高いので候補から外しちゃったんですょ。。。
今のところ寝具はエアベッド、携帯布団はあるので、寝るのはそこまで寒くなければいけるかなぁ?と試しキャンプしたくてウズウズしてます( ´艸`)ウフフー
ねこさんへ☆↓
ねこさんもキャンプオフは考えてみてたんですね♪
山中湖から河口湖、混むのはそこそこかなぁーと楽観的に考えてたけど、心配になってきたー!コミコミすぎたらどーしよ。。。調べてみます!ありがとうございますっ(^_^)ゞ
富士山近くで色々調べてみてたんですけど、キャンプ場で駐車場が無料のトコがあったりするので、「車を愛でる」は料金発生せずいけそーなので、あとは皆さんの食事、宿泊方法(テント泊or車中泊)によって一考しなきゃならんですかねぇ。。。難しいですょねぇ(-ω-;)
ケルルさんへ☆↓
フィットさん入院中なんです!?あんなにフィットに乗るのが楽しいっていってたので寂しいですょね(>_<)
早く帰ってくるのを祈っておりますですっっっ<(_ _)>
京香っちさんへ☆↓
旦那さんキャンプ興味ないだなんて寂しいですねー!!!(。>A<。)
やはり人間は自然の中でのヒトトキを楽しんだほーがいいと思うんです☆
自然を慈しみ、その中で自分を見つめ直したり、愛する人のことを考えたり、そんな時間を過ごすのってステキだと思うんです♪
なのでワタクシ銀るーとしては、京香っちさんはキャンプ好きみたいなので、旦那さん抜きで楽しんじゃうのもいいかななんて思っちゃいます(≧∇≦)テヘ
マスオさん状態なワタクシめは、たまぁーに1人でどこかフラッと出かけたりしてるので(嫁チャンの許可貰ってからw)、京香っちさんも1人だと心配されると思うので、お友達と一緒にキャンプとか楽しんじゃったりもいいかもですょー(^_-)-☆
2016/10/13 03:46 [1498-4945]
フィッツはアイドリングで充電しないヤツです。
治して原因を解明するまでメーカーに預けました。
確かに俺はフィッツの写真や動画を観て一人○出来る位にフィッツが好きなので早くドライビンしたいですよ!
ジェイドは運転が疲れます
2016/10/13 20:36 [1498-4946]
はじめまして… って誰だ君? なんて感じですね
すいません。 毎月キャンプに行っているエセキャンパーです。
ねこフィットさんは参加なさらないのでしょうか?
2016/10/14 02:53 [1498-4947]
皆様お久しぶりです(^^)
銀ちゃんさんのオフ会参加表明致します。キャンプオフは未体験です。次の日は朝から仕事なので日帰り参加となりますが宜しくお願い致します。詳しい日程など決まりましたら、こちらでもアドレスでも良いので連絡してください。
2016/10/14 16:30 [1498-4948] iモードからの書き込み
こんばんは〜♪
ねこさま こんばんは・・お久しぶりです
久しぶりに覗かせて頂きました♪
早いもので、来月初車検です
みなさまのフィットも車検時期でしょね(*^-^*)
2016/10/14 22:06 [1498-4950]
るーちゃんのキャンプオフ会、だんだん盛り上がってきましたね。
場所移動やバーベキューなどイベントてんこ盛りで、楽しめること間違いなしでしょう!
私はまだ予定が立たず、参加できるかどうかは未定ですが、
今回の企画運営のるーちゃんをみんなで応援して、みんなで盛り上げていきましょー!
2016/10/14 22:47 [1498-4951]
私と会いたいとは光栄です。
でも今回はるーちゃん主催で、いろいろと楽しみな企画が盛りだくさんですので、
ぜひそれを楽しみに参加して下さい。
2016/10/15 23:41 [1498-4956]
みなさんこんにちはー
出先なので、ちとコメント簡単になっちゃいますがスミマセン
30日のおふ、開催するつもりで動きますので、ご都合が良い方はぜひぜひ一緒にワイワイしましょ(^_-)-☆
で、バーベキューは、人数が集まれば出来るかなと思ってたのと、予約を入れないといけないので、明日まだ空いているか確認した上でまたコメントにてバーベキューもやるかどうかお知らせしたいと思います<(_ _)>
今日は試しにバーベキュー道具やらもって使ってみようと思ったんてすが、嫁チャン&わんこ連れのため、できなかったので、また練習は次の休みにでもやろうと思います(^_^;)
ひとまず、明日バーベキュー可能かどうかの確認後コメント入れますので、すみませんが少々お待ちくださいね☆
バーベキューできない場合は、それ無しでオフ会したいなとはおもってます
2016/10/16 16:38 [1498-4957]
ねこさん、オフ会の告知失礼します<(_ _)>
って何度も勝手にしちゃっててすみませんσ(^◇^;)
10月30日、バーベキュー場の予約も完了と、オフ会開催決定しますので、ご都合が良い方は是非おこしくださいましー☆
詳しい内容が以下の通りです。
日時:10/30、9:00〜15:00
場所:@ 長池親水公園集合 → A ニューブリッヂキャンプ場(河口湖湖畔)
オフ会内容:
長池親水公園にて、集合して山中湖&富士山をバックにしてカスタム話、記念になる写真をとって楽しみましょう(≧∇≦)b
次に、河口湖湖畔にあるニューブリッヂキャンプ場にて、昼食のバーベキューを開催。
バーベキューの食材は、ワタクシ銀るーが4〜5人前ほど(お肉と野菜)ご用意しますので、皆さんそれにガッツいてくださいまし(笑)
何か他に食べたい、ワシは米が食いたいんじゃ!と言う方は、ご自身でお持ちくださればバーベキューコンロで温めたり焼いたりも可能かと思いますのでご検討くださいね☆
お肉も食べたいお肉があれば持ち寄ってくれると助かります。もちろんワタクシめが用意したもので大丈夫ーってのでも問題ありませんので、気軽にバーベキューでみんなとワイワイしてくださると嬉しいです♪
なにぶん、バーベキュー初心者ではあるので不手際があるかと思いますので、バーベキューオフに協力してやるか♪ってゆー気持ちで参加してくれたらありがたいです(笑)
色々と説明が足りないところもあると思いますので、気になったことなどありましたら、コチラでもみんからでも直接メールやラインでもいいのでご連絡くださいましー<(_ _)>
2016/10/17 15:47 [1498-4958]
銀狼のるーちゃんさん
バーベキュー予約が取れて良かったです(^^)
私も米を持参致します。
キャンプなどで米を炊く小さい釜も用意してきます。
ドリンク類なども任せてください!
綺麗な景色を撮影したいのでカメラ&ビデオカメラも持って行きます。
何か他に必要があれば持って行きますので、遠慮なくおっしゃってください!
ktさん、ケルルさん、えりりんたんさん、その他の皆様待ってますよ(笑)
↑圧力?
2016/10/18 16:54 [1498-4959] iモードからの書き込み
私も参加しますよ(^_^)v
昨日ミンカラの方で参加表明しました。
凄く景色が良さそうなところなので天気が良い事を祈ってます。
2016/10/18 20:28 [1498-4960]
kt-1500さん
みんカラに書かれていましたね。
すみません私の確認不足でした。
景色も楽しみですが、また皆さん方とお会い出来る事がとても楽しみです(*^.^*)
2016/10/18 20:36 [1498-4961] iモードからの書き込み
おっ!なんか画像のせれました!!!
集合場所はこんな感じですょ(^_-)-☆
めちゃステキそうなとこですょねー♪
超さん、持ってこようかと考えてる物はお好みでキャンプで食べたいなぁーと思ったものでいいので、余り無駄遣いしないように気をつけてくださいねっ(ゝω・)
お米炊くのは大変かも知れませんけど楽しそうですね♪
もし、お米炊くのを失敗したとき用に、オニギリを何個か別で持ってくるのもいいかもしれませんね☆
アルミ箔でくるんで、コンロ温めれば美味しくいただけるかと(≧∇≦)b
あと参加される方は、みんからでも二名おりまして、お一人は全国オフでお会いしたことがある方で、もうお一人はご都合がつけば参加なさるとのことですが、初オフ会参加の方で、たぶん皆さん見たこと無いカスタムパーツを装備してるんですょ!!
なので皆さん暖かく迎えてあげてくださいね。つい暖かく迎えすぎて胴上げしてしまったらそれはそれで良しとします(笑)
それから、ワタクシめが持って行く物は以下の物なので、、、
「あれがあるといいなぁ♪」(´-`).。oO
「バーベキューするならアレを食べたい!」(●^皿^●)
などありましたら是非持ち寄ってくださると嬉しいです♪
ただ、あまり無駄遣いはしないように気を付けましょう(笑)
移動に高速使ったり、道中で飲食するのもあると思うので、なるべく節約しつつ、無駄遣いしない程度で皆さん楽しみましょーヽ(^o^)丿イェイ!!!
●銀るーが持参するもの
@バーベキュー道具など
・コールマンクールスパイダープロL(レッド)
・火バサミ
・トング×2個
・木炭(3〜5キロくらい?)
・黄緑色のタープ(3m×3m)←もしかしたら使わないかもです
・キャンプチェア3脚
・テーブル&ベンチ
・カラフル食器セット(四人セット)
・紙皿(食器足りない時用)
・紙コップ
・割り箸
A食材
・お肉(4〜5人前程度)
・野菜(まだ未定なので適当に)
※食材は、まだ何を買うか確定してませんのが、適当に鳥、豚、牛などを買うつもりです(^_^)ゞ
書き足りてないものもあるかも知れませんけど、なるべく足りない物はないようにしますねっ
2016/10/19 15:57 [1498-4962]
どもどもー<(_ _)>
おはよーございますっ銀るーです☆
やっとオフ会まで一週間きりましたー今のところ、当日の天気予報は大丈夫そうですょ♪
あとは次の休みの水曜に大体の用意は済ませようと思ってます(≧∇≦)b
調味料やタレを買うのと、あとはー、、、なんかあったかなσ(^◇^;)
まぁーとりあえず、コマゴマとしたものがほとんどなので、今日から買い出しメモの作成にとりかかります☆
あっ!それから、もし猫さんも都合がつくよ!ってときは来てくるたら嬉しいですー♪♪♪o(^▽^)o
2016/10/24 09:58 [1498-4963]
ちわー。
予定が合いそうにないので、今回はパスします。
う〜ん、肉を目の前に立ち往生とは、悲しすぎる。
いいなあ、バーベキュー。
参加できるのなら、伝説の「ねこやきそば」を振舞おうと思っていたのに・・・
(心にもないことをw)
2016/10/24 22:03 [1498-4964]
で、伝説のヤキソバンですと!?(OωO; )
「テテテ♪テテテ♪テーレー♪」(火サスの音楽)
それはきになりますねー!お忍びでねこさん来てくれることを共に祈りましょう破格さん(笑)
ちなみにコンロに鉄板もついてるので、ヤキソバはいつでも大丈夫ですょ(^_-)-☆
さて、明日は百均やスーパーのハシゴして足りないアイテムを揃えてきます!
前々からソロキャンプ用に買いたいものがあったので楽しみですo(^▽^)o
2016/10/25 09:29 [1498-4966]
にゃース。
ねこやきそばとは、記念すべき第一回のもてぎオフ会のランチで
私が、参加してくれた多くの方にアシストしてもらいながら振舞ったやきそばです。
300円でお腹いっぱい食べてもらおうと思って準備したものの、すこし足が出ましたw
まず難関が火おこし。
炭に火をつけて火力が安定するまでかなり時間がかかりました。
その間、鉄板、材料、皿などを準備し、いざ調理開始。
鉄板がちょっと小さくて3回にわけて調理しましたが、このへんは
参加してくれた方の奥さん方が手際よくこなしてくれました。
できあがってみると、そこそこ肉も入っているし、やきそばにしてはまあまあ、
なのですが、一食それだけ、としてみるとやや物足りなさは否めなかったという感じ。
しかもいろいろアクシデントもあって私は食べれなかったというww
まさに自分にとっても幻の一品だったわけです。
これ以降ねこやきそばは封印してきましたが、機会があればまた作るのも
やぶさかではないです。
ていうか、もし次回作るとしたら「ねこカレー」に挑戦してみたいです。
2016/10/26 21:36 [1498-4967]
るーちゃんへ
焼きそば食べたくなったので食材用意してきますね。
3食パック×1買うか×2買うか迷い中。あと豚のこまきれ・キャベツ
あっ、でもキャベツ高いからもやしでもいいかなと思ってます。
参加人数は今のところ4〜5人ですか?
天気良さそうなので楽しみにしています。
2016/10/27 19:52 [1498-4968]
ねこさんのお手製猫ヤキソバ食べたぁーい(●´∀`●)♪
ktさんへ↓
人数は6人なんですけども、お一人途中で抜けるので、バーベキューは5人になると思います(^_-)-☆
2016/10/28 22:20 [1498-4969]
実家からの帰りに、2週間振りに野菜とか購入しようと思いスーパーに行き撃沈でした。
キャベツ1玉400円超、白菜1/4カット300円で1玉1000円超だけど葉の巻き悪し。
大根…高っ。
ネギ…はぁ?。
9月の何倍の値段だよ?
買えた野菜は、もやしのみでした。
実家で、もっと野菜貰って来るべきだったと反省。明日、実家に行って来るかな。
『お母さん、毎回毎回大量に野菜とか要らないよ…もう冷蔵庫に入りきらないからさぁ…まだ残ってるから…』とかって言ってしまって、本当に御免なさいですm(__)m。
真面、そう思いました。
今年の天候は最悪で、植えた野菜がほぼ全滅。何度植え直したか…。いつまで、野菜の高値は続くんだろうね。
2016/10/30 04:21 [1498-4972] iモードからの書き込み
どうもー☆銀るーですー<(_ _)>
オフ会終わってから、なんだかバタバタしてしまい、コメントもろくに入れれず失礼しましたっσ(^◇^;)
山中湖&河口湖オフ、無事終了しましたけども、急な来訪者もいらっしゃりワイワイ賑やかにやらさせてもらいましたっ♪
ktさんのリーダーシップにより無事終えられたことは、ホントに感謝感謝でした。ありがとうございますー<(_ _)>
超さんの飯盒でのご飯も楽しかったですねー♪
初ゲストの、にちりんさん、FIT1645さんもいらっしゃって、ワタクシ的には大満足でしたが、まだまだバーベキューレベルがワタクシは低かったので、今後の課題にしたいなと思います(^_-)-☆
2016/11/3 19:53 [1498-4973]
>るーちゃん
山中湖オフ、無事に終わってよかったですね。
偶然と運命が重なって、私もほんの少しだけ出没しちゃいました。
気温が少し寒かったけど、バーベキューも楽しそうで何よりでした。
困ったことに、帰宅後に風邪をひいちゃいました。
パブロン飲んで寝まくってますが、咳が止まりません。
ヘタしたら肺炎・・・?
などと言いながら、この週末は越後湯沢のホテルで温泉&バイキングとか。
まあ、無理しないように、酒はほどほどにして早めに寝ますw
トホー
2016/11/5 08:27 [1498-4974]
オフ会お疲れ様でした。
風邪引いたのですか?
最近プラズマ肺炎が流行ってるみたいです
そう言えば飯盒真っ黒けっけになったので捨てました。
あれは使い捨てらしいです(爆)
思い付きました上手く美味しい御飯を食べれる方法
コンビニで白飯を温めて買って来る(笑)
次回オフ会は例の作戦でお願いします(^^)
2016/11/6 21:33 [1498-4975] iモードからの書き込み
ねこさん、暖かくして早めの回復できること祈ってますょー<(_ _)>
パブロン飲んだらワタクシは、一発でなおるんだけどなぁー。。。薬飲む=治ると思いこんでるからかしら(笑)
超さんの飯盒、メラミンスポンジで磨けば汚れ落ちた気も、、、ま、まぁー使い捨てとゆーことなら仕方ないですかね(^_^;)
ちょっと勿体ない気もするけど(笑)
2016/11/7 10:06 [1498-4976]
風邪は病院でクスリもらったからもう大丈夫。
・・・なんて思っていたら、なんと驚愕の展開!
数日前、寝ていたところ夜中に突然の腹痛に襲われ、救急車で搬送。
近くの緊急病院がベッドが満杯ばかりでたらい回しにされ、
結局30分もかかる遠くの病院で緊急治療。
腹痛原因は「尿管結石」。
わかる人はわかると思うが、想像を超えた痛みを伴う地獄の病気である。
搬送先の病院では詳細な治療はできず、とりあえず痛み止めと点滴をして
追い出された。
翌日の朝一に泌尿器科のある近所の病院で診てもらうが、そこも治療設備の
整っていないところで、さらに別の病院へ。
クルマで40分ほどかかる病院で、むかし同じ尿管結石で通院したことのある
(いちおう)信頼のおけるところで診てもらったが、検査をしまくって、
治療は後日・・・ということで、
現在はまた痛み止めのクスリで凌いでいる状態である。
ふつうの結石ならば、水を飲みまくってトイレでふんじばっていれば、なんとか
外に出ていくものなのだが、今回のは約1センチもある、アクシズ級の石なのだ。
なんか知らんがニューガンダムが懸命に押さえつけているらしいが、
それは大きなお世話である。
一刻も早く地球(体外)に落としてほしい。
がんばれ、シャア!
がんばれ、サザビー!
2016/11/12 20:25 [1498-4977]
ニューガンダムは伊達じゃなかった。
アクシズ(尿管結石)を超音波で破壊する手術は失敗だった。
くそう、ガンダムめ。貴様らのがんばりすぎだ。
手術後に食べたラーメンが、これまたクソまずいもので、踏んだり蹴ったりだった。
まだだ。まだ終わらんよ。
そんなわけで月末に再手術をすることに。
もしそれが失敗したならば、いよいよ入院することになるだろう。
(膀胱へ)行け、アクシズ。忌まわしい記憶とともに!
(膀胱へ)落ちろよー!(大当たり確定)
2016/11/17 12:05 [1498-4978]
| ツィーター |
いまさら何を、という感じなのだが、こないだツィーターを取り付けました。
もともとフロントドアの社外スピーカーはツィーター付だったので
わざわざダッシュボードの上とかにツィーターを設置するまでもない
とか思っていたのですが、最近になって音質的にだんだん物足りなくなってきて
安いやつをポチっちゃいました。
取付は意外と大変で、ナビ裏のスピーカー配線から分岐せざるを得なく、
ナビ部まで取り外すハメにw
こんなことならクルマ購入時にやっておけばよかった。
でも、その甲斐あって高音やボーカルなどがはっきり聞こえるようになって
非常に満足です。
http://item.rakuten.co.jp/prinet-kyoto/a
t-4450?s-id=top_normal_browsehist&xu
seflg_ichiba01=10000433
2016/11/22 23:31 [1498-4979]
どもどもーおはよーございまっすヽ(^o^)丿
銀狼のるーですー☆
ずいぶんと寒くなってきましたねー!ねこさんは寒さでコタツで丸まってるかと思いきや、ツイーターですかぁー♪
贅沢で有意義なドライブを楽しむため余念がないですね(≧∇≦)b
ワタクシめは、今回は訳のわからんと思われるパーツを発注しましたょー☆
たぶん、必要あんの?それ??ってアイテムなので乞うご期待です(笑)
あとですねーどうやら今週の土曜昼間と、夜に某フィットグループでオフ会があるっぽいので見てこようと思いますっ
昼間は昭和なんとか公園で、夜は大黒であるっぽいのです☆
詳しいことは要調査中なのですが、フィットたちが仕事終わりでもいるようならワイワイしてくるつもりでっすo(^▽^)o
2016/11/25 10:04 [1498-4980]
>るーちゃん
どうもです。
長距離ドライブをするとき、よくDVDを再生して音声のみを聞きながら運転してるのですが
メインの音声がどうも聞きづらく、音楽の高音も物足りなくなってきたので
仕方なくツィーターを導入したのです。
安物のツィーター内蔵のドアスピーカーは、しょせんそれなりだったわけです。
ケチらずに最初からツィーター外出しのセパレートのやつを買えばよかった。
11月も終わりだというのに、関東ではそれでもオフ会があるのですか。
すげえな関東。雪降っても、積もっても、やるというのか。
新潟ではありえないスピリットが、関東にはあるんだなぁ。
話はまったく変わります。
本スレのほうで、FIT3にエマージェンシー用のセルモーターを「無駄設計だ」と言って
フルボッコにされてる人がいました。
サイバーフォーミュラを知らんのか。
未来のF1といわれたCF、SUGOの開発したアスラーダGSXも、その後継機の
スーパーアスラーダも、あからさまにセルモーターでエンジン始動してるだろう。
必要なんだよ。いまも、未来も。
なんてことを本スレに書くと「中二病乙」と一蹴されるので、ここに書いておくのでR。
そういえば、今月の新潟の情報誌「WEEK!」にナイト2000に乗る新潟人が掲載されてた。
内装も劇中のものを再現し、しかも独自に日本語音声認識システムを開発・搭載しているとのこと。
かっけーのなんのってもう。
少年の頃一度は憧れたファイヤーバードトランザム。
それを現実に愛車とする人が、新潟にいたのだ。
そこにしびれる、あこがれるぅー!
2016/11/26 00:37 [1498-4981]
こんばんはd=(^o^)=b
最近、めっちゃ寒くなりましたね。今朝は−1.1℃でした(;^_^A先月半ばすぎまで暑くてエアコンつけてたのにな〜。
15000q越えてたので、オイル交換とローテーションをしなくてはと思い、ディーラーに電話で金額を問合せてみました。
next 4640円
green 4140円
ローテーション 3000円位と言われました。
私『ローテーション凄く高いですねぇ…いつも使ってる所(買った店)ではローテーションは無料でしてくれるんですけど…どうしようかなぁ』
と言うと、
ディーラー『前回3月に12ヶ月点検うちで受けてもらってるし、オイル交換と一緒なら、今回はサービスします』
って言われました。
いやぁ、ラッキー。言ってみるもんだなぁと思いました。
ついでに、窓が開かなくなるので部品交換もやってもらいたいので、火曜日にお願いする事にしました。
前は、ディーラーから定期的にチラシ届いてて、オイル交換が2500円で出来てたんですけど、ここ2年くらいチラシに載ってない。赤字になったのかな?
2016/11/26 01:42 [1498-4982] iモードからの書き込み
おはよーございまっす☆またまた銀るー参上してみちゃいましたっ♪
関東は雪ふっても翌日も寒くなければすぐ溶けちゃいますからねーなので雪降った雰囲気ですょ。雰囲気だけ味わっておしまいです(笑)
もう少し寒くなったら降雪の翌日、雪が残るかもーですねぇ
F1とかは詳しくないですけど、最先端かつ強固なフレームや安全も考慮してるわけだから、プロの想定する必要な装備と、素人の想定する装備というのは違いがあるんでしょうね。
F1は、展示車はみたことあるけど、座ったこと無いので一度座らせてみてもらいたいですねー♪
京香っちさんのとこのお店は良心的なとこでいいですねー♪
もしくは京香っちさんが交渉上手なのかなと☆どちらにしてもうらやましく思えちゃいますっっっo(^▽^)o
2016/11/26 09:52 [1498-4983]
>京香っちさん
こんばんは〜。
新潟方面のディーラーでは、オイル交換の値引系のチケットは主に誕生日月や
なんかキャンペーンをするときに送られてきます。
でも今の季節にオイル交換だけでディーラーに行くとちょっとイヤな顔をされます。
なぜかというと、今の季節はタイヤ交換にやってくる顧客でごった返しているからですw
ディーラーも大変です。
オレは来月の中旬に車検で、そのときにタイヤ交換をしてもらうつもりなのですが
それまで雪が降らなければいいのだけどなぁー。
たぶん無理。そのときはじぶんで交換します。
まあ、どうせ1時間程度で終わるのでどうでもいいのですが。
(休みの日にまで重いものを持ちたくないのが本音w)
>るーちゃん
サイバーフォーミュラは未来を舞台にしたアニメですw
まったくもってフィクションですよww
2016/11/26 23:38 [1498-4984]
トランザムは自分の知り合いにも乗ってる人が居ますが
何分維持費が・・・
ちなみにスーパーアスラーダのサーキットモードとエアロモードのRCカーなら実家に飾ってありますよ
サイバーフォーミュラってOVA途中からEV車になった記憶があるんだけど
(正確にはFCV)
初期のころって水素エンジンでしたっけ?
2016/11/27 01:12 [1498-4985]
るーちゃん、ねこさん
こんばんは(^o^)/
北国は、やっぱ大変ですよね。鹿児島は、殆どの人がノーマルタイヤだと思います。年に1〜2回くらいしか雪は積もらないです。
調子こいて下(市街地)に遊びに行ってると、上(自宅近く)は雪で帰宅困難になります(*´∀`)♪
土日は混んでるだろうという事で、火曜日を選びました。
誕生日月に割引とかっていいですね。こっちのディーラーでは無いです(;_;)
そういや、任意保険の更新案内がきたんですけど、対人の料率が4→5になってました。eco割引も13ヶ月過ぎたので対象外になり、20等級だけど、少し値上がりします。
現在、東京海上日動火災なのですが、内容(人身障害)に不満(入院・通院の日額払いが理想)があるので、富士火災(唯一、日額払いが残ってるらしい)に変えようかなと思っています。
皆さんは、日額払い?部位症状別払い?部位症状別払いなら、倍額にしといた方が良いです。最近は、かかった分だけの支払いに変わってきています。(元保険屋だから損しない掛け方したい)
2016/11/27 01:30 [1498-4986] iモードからの書き込み
>えりりんたんさん
トランザムは維持が大変そうですなぁ。
じぶんではどうにも買えないし維持も不可能だけど、一度でいいから
助手席に乗ってみたいです(とても運転など恐れ多い・・ていうか怖いw)
ちなみにサイバーフォーミュラですが、ほとんどのチームはOVAラストまで
水素エンジンのはず。
唯一ハイネルとグーデリアンのシュティールがEV(超電導リニアホイール)で
劇場版金田バイクのような音をしてましたな。
ブーストポッドは水素エンジン搭載車独特のもので、吸気中の酸素をイオン化し
濃縮することでエンジン出力を上げる、とかいう設定で、スパイラルブーストは
それをフラッシュオーバーさせて追加速を得る、とかいうものだそうです。
最高速700k/hオーバーとか、ふつうに死ぬわw
>京香っちさん
任意保険は、たしか東日本震災のあとに保険料の大幅な値上げを慣行したらしく、
等級が上がってるのに同条件の保険料が上がってるというとても納得のいかない
内容になってました。
これで事故って等級が下がったりしたら目もあてられませんね。
2016/11/27 02:16 [1498-4987]
昨日のこと。
夜勤のため夕方に通勤し、その途中に寄ったコンビニでクルマをぶつけられた。
コンビニの駐車場に停め、エンジンを切ってドアを開けたところで
その左にいたトヨタヴァンガードが思いっきりハンドルを切ってバックしたところ
オレのクルマの左後方にドガっと当たったのだ。
相手の運転手は30代の女性。
終始謝罪をし、見苦しい言い訳とか言いがかりとかは一切なく、全面的に非を認めていた。
あとで相手の保険会社から連絡をもらったが、完璧に相手の過失ということで
修理費用は全額出してもらうことになった。
上のレスで保険料の話をしていた矢先に、そんなことが現実に起きてしまい、二度びっくりだ。
まあ、じぶんの保険じゃないから痛くもかゆくもないけど。
そして今日。
尿管結石の再手術を行った。
結果はまたしても失敗。後日また再々手術となる。入院するかもしれない。
っざけやがってぇー!
石が詰まってると酒がまったく呑めないんだっての。尿管が委縮するから。
このままだと年末年始に酒が呑めないだろーが。
どうしてくれる(そういう問題か)
まったく、この11月はどうかしてる。
風邪ひくわ、病院行ったら高血圧と診断され余計な治療となるわ、
さらに尿管結石になるわ、手術はことごとく失敗するわ、
そのせいで会社の忘年会は出られなくなるわ、
トドメにクルマぶつけられるわ。
天中殺とはこのことか。
2016/12/1 00:51 [1498-4988]
F1の話かと思ったらさらに先のサイバーフォーミュラーの話だったのですかぁー!読んでから色々想像したりしてたら間違えてしまいましたーすみませんーσ(^◇^;)カンチガイw
えりりんたんさんのラジコン話きいてると、ワタクシもラジコンまた所有したくなりますっ♪
そのうちみんなラジコン持ち寄って、ラジコン大会でもしたいなぁーなんて、買うお小遣いがないけど妄想しちゃいます(笑)
保険は値上がりして大変だけど、京香っちさんの保険はディーラーでも取り扱ってるやつだったかな?と思いますけど、手厚いからいいですょね☆
ワタクシは、安いのでそれなりの手厚さでいいかと思ったので安いとこに変えちゃいました。
免許とりたてで一括払いにしてますが、15万もしてたのは高いからキツくって(^◇^;)
ねこさんはナニヤラついてないご様子で、今年の初詣ではシッカリお参りしてきましょ!
困ったときは日本人らしく神頼みでもなんでもしてくのがワタクシは好みです(^_-)-☆
かくいうワタクシもなんだかついてないようで、車を二回もぶつけてます。。。まぁ目立たないとこなのが救いかと、、、リアバンパー下部と、左前輪のホイールをぶつけました(-ω-;)
しかも先日注文したカスタムパーツが欠品中で日曜には取り付けたいなと考えてたのに出来なくなったのもありなのですょ
なんだか今年の終わりに近づくにつれてついてないなぁー!
2016/12/1 09:44 [1498-4989]
こんにちは(* ^ー゜)
ねこさんついてないですね。
手術とか想像しただけでビックリします。
新しい車(ハイブリッド)を買ったのでN-BOXは2月に売却します。
FIT3ハイブリッド?
オデッセイハイブリッド?
NSXハイブリッド?
次に会える日までお楽しみください(笑)
2016/12/1 15:37 [1498-4990] iモードからの書き込み
そろそろ超さんが現れるかなあ?と思ってたらちょうど良く書き込みなさってて、さすが超さん♪出番をわかってるー(≧∇≦)b
で!超さん車購入おめでとーございますっ!!<(_ _)>
きっとNSXだとワタクシは予想しておりますょー☆
なので、助手席でそのスーパーカーらしい走りを感じさせてくれる体験会をやりましょっ(笑)
ねこさんの病気はメチャ気になるところですが、安静になさって、体にいいものを食べてくれることを願いましょう。
お酒はほどほどに☆でお願いしますね。ねこさん(^_^)ゞ・・・でもお酒は原因ではないのかしら。。。
ワタクシも最近体にいいものを食べてない気がするので、野菜多めにしてかなきゃです!
さぁーて♪今度、会社の人間数名(お気に入りの若い20代の子たちw)つれて富士山近辺へまた行ってくるので、そろそろ洗車しなくちゃです☆
つい寒くて億劫になっちゃうけど、社内には枯れ草が散らばってるのもあるし、いい加減やらなきゃっσ(^◇^;)
2016/12/2 09:44 [1498-4991]
えー。
引き続きアクシズこと尿管結石の詳細情報をば。
先日の再手術の前に撮ったレントゲンでは、アクシズは数センチほど
下っているそうな。
つまり、少しずつではあるが膀胱へ落ちているようです。
まあ、ここからアムロが余計なことをするんでしょうね。
「たかが石ころひとつ、ガンダムで押し出してやる!」
そしてサイコフレームが光を発し、それに包まれたアクシズは地球圏を離れようと・・・
するなぁ!
堕ちろよぉー!(ショウ・ザマ談)
>るーちゃん
まあね、みんな見えないところ(特に床下とか)カリっとやってるもんだ。
私もたまにリップの底を地面にカリっとすることあるし。
ていうか、アクシズ発症してから酒なんて一滴も飲んでませんよ。
ひとりで酒飲んでも楽しくないし。
やっぱ仲間と呑むのがいちばん楽しいよね。
>超破格…comさん
新車おめでとうございます〜!
フリードでしょ。フリードだよね!
やっぱりなー。そうだと思ってたんだよね〜。
オフ会で乗ってきたら、参加者総動員してフリーザ様の痛車にしてあげましょう。
名セリフの文字も入れちゃいましょう。
「私の戦闘力は530000です」←運転席ドア
「覚悟はよろしいですね」←助手席ドア
「ぜったいに許さんぞ、虫けらども!!!!」←ボンネット
「今のは痛かった…痛かったぞーーー!!!!」←リヤハッチ
さあ、どう?
・・・どう、って言われても・・・
2016/12/2 10:26 [1498-4992]
銀ちゃんさん、NSX何でバレた(笑)
助手席で300km/h体感してください(^_^)
さすがねこさん勘が鋭いです(^^)
フリードハイブリッド
ヴェゼルハイブリッドかも知れませんよ
インサイト?
いひょうを付いてCR-X
もう発売してねえだろうと(爆)
新開発N-BOXハイブリッドだったり?
作ってねえだろうと(*^^*)
ある意味痛車になる事は確実かと…
一番ビックリするのはktさんかな(笑)
次のオフ会3月ぐらいにして頂けたら嬉しいです。(圧力)
2016/12/2 11:21 [1498-4993] iモードからの書き込み
オフ会は3月と。めもめもっと♪
3月のオフ会はどこでやられるんです??もうすでに楽しみにしてますよー(笑)
300キロで大爆走!そのままかべに激突!!大爆発!!!
「美しい花火ですよー♪」とならんことをいのってます(´▽`)ノ
って助手席でも300キロなんて怖すぎっ((((;゜Д゜))))
なにはともあれ、早くアクシズが落ちること祈ってます。ねこさん(^_-)-☆
しかしktさんが驚くとは。いったいなんなのだろう。。。気になるけど次のオフ会を楽しみにまちますょー♪3月まで(笑)
そーいえば最近、黒フィット3乗りの新潟人の人と知り合いになりました☆
まだオフ会参加経験はないそうですが、カスタムが進んで徐々にえりりんたんさん号に似た雰囲気になってきてました(≧∇≦)b
2016/12/2 15:37 [1498-4994]
訂正 CR-XじゃなくCR-Zでした(*^^*)
パチンコCR-Xマンでもない(笑)
ベンツハイブリッドかも
アクアかも
僕が買ったであろう車種を1つ書き込みして下さい
当たった方にはオフ会時現金三千円プレゼントします。
オフ会に来ないと渡しませんからね(笑)
銀ちゃんさん、NSXハイブリッドは300km/hは軽くでますよ(^^)
ぶつかる時は助手席から当たるように心掛けます(爆)
ktさんにこの前のオフ会の時に何が欲しい車か話したんだ(;o;)
果たして大ヒントになるかが注目です
3月は僕の要望ですので、一応納車予定は2月末なんです。オフ会の場所や日程を決めるのはねこさんです(^^)どこでも着いていくわ(笑)
1月でも2月でもオフ会の開催は大丈夫ですが、ただ寝る時が寒いです(笑)
2016/12/2 18:41 [1498-4995] iモードからの書き込み
2016/12/3 09:56 [1498-4996] 削除
2016/12/3 09:57 [1498-4997] 削除
あれ?破格さん何の車が欲しいか言ってましたっけ。
でもズバリ、フリード+ハイブリッドでしょう。私が欲しいって言ったんじゃなかったかな?
意表をついてオデッセイハイブリッドだったり。いずれにしても、これで車中泊し放題ですネ。
あっ、そういえば私も愛車、新車に乗り換えました。今回は少しこだわって、全国1000台の限定車Vino Navy Styleにしましたって、原チャリじゃないかい!
2016/12/3 00:32 [1498-4998]
kt-1500さん
フリード+ハイブリッドって言いましたっけ?
隣に停まっていたオデッセイハイブリッドとか言ったような気が…
フリードかオデッセイ
まさか当たり?(笑)
真相はwebで(爆)
そうなんです、これで車中泊も安心して出来るようになりました。
新車は自転車もOK?
ヤマハのパス
ママチャリじゃないかい!
2016/12/3 00:44 [1498-4999] iモードからの書き込み
2016/12/3 09:57 [1498-5000] 削除
2016/12/3 09:58 [1498-5001] 削除
皆様、お疲れさま。
今週はドタバタしてました。
月曜日、味噌作り(仕込み)&ふくれ菓子作り。
火曜日、ディーラーにてオイル交換&ローテーション&窓の部品交換。待ち時間にフリードHV車&ガソリン車の見積りしてもらってました。終ってから、任意保険の見積り。
水曜日〜今日迄、味噌作り(麹菌〜最終味噌合わせ迄)。終わってから、餅つき。
もう、体がクタクタでございます(∋_∈)
るーちゃん、私20等級だけど、長年毎月7000円くらい払ってます。フルカバーにしてるので、それくらいになっちゃう…。
今度の富士火災は、3年契約したので、もし事故で保険使っても4年目から等級が下がる(保険料が上がる)のにしました。
皆様の参考までに…
35歳以上限定
車両一般/免責0-0万
対人・対物/無制限
車両金額220万
新価保険金額220万
人身障害/無制限(普通は300万位〜最高2億が多い)
搭乗者傷害1000万/入院日額15000円/通院日額10000円(日額払いがあるのは、富士火災と損保ジャパンのみ、他の損保会社は部位症状別払いか、実損払い)
特約等…
早期割引、日常賠償責任、代車費用、車両運搬費用、搬送時諸費用、弁護士費用、他車運転、相手車全損臨時費用、車両臨時費用、車両保険無過失
これで月6490円
東京海上日動火災は、これより内容が悪くて、前年度と同契約内容で6610円→6940円と値上がりしておりました。
しかも車両金額220万→170万
新価保険金額220万→220万
ねこさーん、大丈夫??車ぶつけられたり、体も…本当に踏んだり蹴ったりですね。すんごい心配。かなり痛いらしいよね〜〜石。
2016/12/3 01:48 [1498-5002] iモードからの書き込み
2016/12/3 09:56 [1498-5003] 削除
カワサキ派さん
運営から音が目が合ったんでしょうね。
京香っちさん
保険にお詳しいですね。
そうそう500円ぐらい値上がりしました。
ソニーとかチュリーヒとかのネット保険は安いですがお薦めでしょうか?
2016/12/3 08:02 [1498-5004] iモードからの書き込み
「初めまして」も無しに飄々と書く新垢はいつものストーカーなので無視。
>京香っちさん
石は痛かった・・・痛かったぞー!!(byフリーザ)
でも痛かったのは最初の数日で、それからはこれといった痛みはなくなりました。
なんか、安全地帯かなんかに落ち着いているのでしょうか。
いちおう病院から痛み止めのクスリをもらっているので、イザというときも
なんとかなるかと思います。
でも怖いので、はやいところなんとかしてほしいです。
アムロが、しぶといんです・・・
2016/12/3 10:09 [1498-5005]
ねこさん
手術失敗とか怖いですね。
ずっと通っていて信頼しているなら病院なら中々代えられない現状もあると思いますが、セカンドピニオンとかどうでしょう?
腕の問題なんでしょうかね
ここは名医の銀ちゃん医師に任せましょう
神の手をもつゴットハンド
おりゃーこりゃーもうグイグイ引っ張って掻き回す
手術終了しました
結果はwebで(笑)
2016/12/3 10:21 [1498-5006] iモードからの書き込み
京香っちさんけっこうテンコ盛りな保険でいいなぁーけどやはり等級高いの胃のに保険料高いのとびっくり!ワタクシめとそんなに差がないかもです!
内容忘れちゃったけど、八万くらいだったので。
超さんの新車はきっと予想を覆す、超スペシャルな車かも知れませんょ!
ロールスロイスゴーストとか超さんには似合うので、葉巻をくわえながら降りてきてみてほしいです(≧∇≦)b
それと♪ねこさんの石が早く出てくることと、快気祝いオフを切望しまっす☆
そのオフ会の際に出てきた石をハンマーで砕くイベントをやりましょー♪
にっくき結石を破壊する大役は誰になるかミモノですね(笑)
しかしまた、明日は嫁チャン母のお使いがあるのが億劫であります(>_<)
月に数回ある休みの内、最近は半分くらいお使いがあるような。。。(´д`)ハァ
2016/12/3 20:14 [1498-5007]
2016/12/4 00:20 [1498-5008] 削除
2016/12/4 00:19 [1498-5009] 削除
2016/12/4 00:19 [1498-5010] 削除
2016/12/4 00:19 [1498-5011] 削除
超破格…comさん
ソニーやチューリッヒとかのネット保険ですが、保障内容次第だと思います。一度小さい文字で書かれた約款等で詳細を確認した方が良いです。うちは、チューリッヒの傷害保険には夫婦型で加入してますよ。月2500円。
るーちゃん
昔は、どこの保険会社も大差なかったですけど、十数年前から保険会社が儲かる内容(いかに保険金を払わなくて済むか)に変わってきてますし、ダイレクト系が出てきて、内容も各社様々です。自分の理想とする内容の会社を探すの大変でした。
私も知らなかった話ですが、アクアやプリウスはフィットに比べると保険料が高いらしいですね。理由は盗難が多いから…だそうです。
あと、代理店の人と長話をしてたんですが、価格コムで最初から車両保険に免責を付ける人が多いんですが、どう思いますか?ネットでも、毎月の保険料の負担を減らす為、免責を付けた方が良いみたいな事が書いてあった、と質問してみました。
答えは、自分の顧客には最初から免責付けてる人はいないし薦めない。0-0万か最悪でも0-10万(0-0万との差額は年1000円程度)だと言いました。ちなみに免責10-10万で差額が年1万円位。月に1000円位しか変わらない。せっかく車両保険かけるんだから免責つけない方が良いですよ。と。
私と全く考えが同じでした。正直、驚きました。
今は、0-0万の引き受けがない会社も多いです。もし、御自分が入ってる会社に0-0万があるのなら、一度見積りしてみてください。保険を1回使えば、手出し分(免責分)は直ぐに取り返せます。修理費が満額もらえず、更に1年もしくは3年も保険料upって、馬鹿みたいだと思います。
まあ、保険使わなかったら損ではありますが…。
あくまでも、個人的な考えですのですみません…。
2016/12/4 00:53 [1498-5012] iモードからの書き込み
2016/12/4 03:17 [1498-5013] 削除
超破格…comさん
ネット保険の事で、総合代理店の人に聞いてみました。
保険の知識がある程度あれば、全く問題無いとの事でした。知識がないと、本当に必要な特約等が抜けてたりするので、気をつけてくださいとの事でした。
あと、代理店の良い所…
例えば車両保険が100万ついてた場合
自損事故等で修理見積りが90万だった時に、代理店の人が修理工場にどうにかして100万の修理見積りを出してくれるよう頼み、損保会社に100万で見積りを上げ、全損扱いにしたりする事が出来たりします。
車両臨時費用特約が付いてれば、更に車両価格の5%〜10%(最高20万迄)を上乗せして貰えます。
保険に詳しくなければ、代理店(総合代理店が理想)等で見積りをとり、補償内容や特約の事等を詳しく聞いて、ネットで同じ見積りを取られると良いと思います。
ねこさん、何度も保険の話を持ち出してしまい、本当にすみません。
2016/12/6 01:48 [1498-5014] iモードからの書き込み
ほぇ〜保険て大変(!
ワタクシの場合一年ごとの支払い見直しなので、また来年の夏に考えなくてはですー(^_^;)
皆さん寒い中カスタムは進んでます??
ワタクシめは、発注したブツが未だに到着せず、あとから頼んだステッカーのほうが早くつきそうですょー
在庫がメーカーにもないらしく、いつ発注になるかお店の人も分からないらしく困ったものなんですょー!
まぁー前にも買い物したことあるとこなので遅くなるのはあるけど、詐欺られることはないと思うのでご心配なくです(^_-)-☆
2016/12/6 10:00 [1498-5015]
さて。
本日また病院で検査してきました。
アクシズは相変わらず膀胱の10センチほど上部の尿管にひっかかって
微動だにせず。
ついに年末に入院することになりました。
トホー
年末年始の飲み会などのお楽しみイベントとか、すべてパァ。
まさか結石ごときでこれほど治療が長引くとは思わなんだ。
来週の月曜日にはいよいよ車検と修理でクルマも一週間ほど入院だ。
トホホー。
そういえば、先日スマホとタブレットを新しくした。
5年ほど使っていたスマホが、メールが見れない不具合が勃発し
機種変更を余儀なくされたのだ。
新型機はサクサク動き、バッテリーも長持ち、なかなか良い感じだ。
タブレットは更新月(解約しても契約解除料がかからない時期)だったので
いったん解約し、新規で購入しなおした。
そうすることで機種代はタダ、しかも1ヶ月後に現金1万円キャッシュバックとか
意味不明のトンデモサービスで契約。
いままではタブレットからテザリングでスマホに通信する方式をしており、
いつでもスマホとタブレットの両方を携帯しなければならなかったが、
今回からはスマホとタブレット両方で通信できるようになったので、
必要に応じてスマホだけ携帯、という便利な使い方ができるようになったのが
嬉しい。
それにしてもタブレットはデカくなって持ちづらい。
だがバッテリーがすげえ長持ちするようになったので、まあ一長一短か。
2016/12/9 20:53 [1498-5016]
ねこさん
あっちゃー、年末に入院って…めっちゃ嫌ですね。でも、結石が詰まっちゃうと命にかかわるから、大事になさってください。
今夜は、『こうのとり』の打ち上げを見ました。家からですけど^_^;
家からだと、山の上に上がるまで30秒くらいかかりましたが、うちの旦那は初めて見たので、少し感動してましたよ。
夜の打ち上げは、本当に綺麗ですよ。
あ、願い事するの忘れた。
2016/12/10 00:54 [1498-5017] iモードからの書き込み
>京香っちさん
ご心配おかけしております。
我が家は私しかクルマが運転できず、入院・退院時は電車で行き来しなくてはならないので
めんどくさいことこの上ないです。
せめてもちっと暖かい季節のときに発症してほしかった。
宇宙ステーション補給機こうのとり。
打ち上げの様子が自宅から見えるとか、なんと羨ましい。
一度見てみたいものです。
動画に撮って逆再生すると「君の名は。」の隕石落下のシーンみたいに見えるかなw
そういえばお台場の1/1ガンダムが撤去されるらしいのですが、
宇宙に持っていって、衛星軌道上に漂わせてはどうだろうか。
めっちゃロマン!
2016/12/10 01:23 [1498-5018]
クルマを車検と修理に預けてきた。
代車はMC後アクアの白。これはディーラー所有の代車ではなくレンタカー。
修理に日数を要することで、保険会社側がレンタカー代を払ってくれるというので
ディーラー所有の代車を出さなくてもいいわけだ。
アクアの運転は実は初めてで、とりあえず20kmほど走ってみた。
まあ、FIT3HVのシフトと違うので操作に違和感があるのは仕方ない。
ついクセでPに入れずにパワーボタンを押して停車をしてしまった。
また、スタッドレスを履いているので、乗り心地を単純に批判するのもよくない。
いいところは、CVTがもっとも得意とする「なめらかな加速」だね。
止まるときも回生を感じさせない自然な感じのブレーキがなかなか良い。
EV走行はFIT3HVと同じ感覚だと思ったが、アクセルを戻した瞬間にすぐEVに
切り替わる素早さは、ちょっと感動。
視界性はFIT3と違和感がなく、同じフィーリングで走れた。
悪いところは、やっぱ車内の狭さとチープな内装。
エアコンの操作がセンターコンソールとステアリングに分けられており、
風量はセンターコンソール、温度はステアリングとか、操作性悪い。
運転した感じは、FIT3が「おもしろい」であるのに対しアクアは「安定してる」
という感想だった。
安定感は安全に繋がるファクターなので、それがアクアの販売台数に直結する
強みなのか、と感心させられたね。
たしかに、万人受けするというクルマはレンタカーや公用車、社用車として
採用されやすいので、法人契約的にもウハウハなんだろうな。
まあ、そんな感じで1週間ほどアクアに乗ってみることになったので
いろいろレビューしてみることにしよう。
2016/12/12 10:38 [1498-5019]
ガンダム撤去はさみしいですねー!車で20〜30分程度でお台場は行けるのですが、ずいぶんと見に行ってないのに寂しく思いますっ(>_<)
・・・でも撤去後はどうなるんでしょうね??フルアーマーになってかえってくる?それともマークツーにチェンジとか!!??なんてことならそれはそれでいいかも!と思えるのになぁー(´д`)
ねこさんアクア乗ってるんですねー♪フィットは確かに楽しい車ですけど、アクアもいいとこは色々あるだろーからレビュー楽しみにしてますね(^_-)-☆
最近カラフルなアクア増えたし、色んなアクアみたり、乗ったりしてるうちにカスタムしたくなっちゃったりして(笑)
プリン色や、変わった差し色入ったアクアをちょくちょく見るので、トヨタはお金あるなぁーと関心しちゃうことがしばしばですσ(^◇^;)
あっ!そーだ☆先日初めてステッカー貼ってみました☆
ひまねこステッカーも貼りたいんですけど、もったいないのと、リアガラスにガラコしたあとにいつも気づくので貼れてないですー(^_^;)
なのでまた貼るとこ妄想してみますっっっ!一番いいとこに貼りたいんですょねー♪
あと、どうやらktさんもステッカーをどこに貼ろうか悶々としてるらしいので御披露目してくれるの楽しみにしてるんですょー♪
2016/12/13 20:09 [1498-5020]
いよいよ今年もあとわずかになってきました
今年だけで約5万kmは走ったかと・・・
というわけで年末はまだ未定ですが、30,31日には関東遠征に行く予定です
予定は2つ
1つは秋葉で買い物・・・いつも行くけど買う物ない・・・ですが今回は買う物があるので
もう1つはコミケ・・・こっちはあまり用事はないんですけどせっかくなので
その前に3連休があるのですが、まだ1日休まないといけないので4連休にして東北めぐりか九州めぐりをしたいのですが・・・
いっそのこと新潟にお見舞いに行く?w
2016/12/15 01:44 [1498-5021]
さて、数日アクアに乗ってみての感想。
エンジン、ちょっとうるさいです。アイドリングの静かさはFIT3の圧勝。
運転席のフットレストらへん、狭いです。慣れの問題とは思うけど
FIT3に乗り慣れていると、ちょっと気になります。
しかし朝イチ電源ON時、EVからスタートするのはかなり羨ましい。
あと運転のモードで「EVモード」ってのがあって、可能な限りEVで
走行することができる。信号待ちからのスタートはかなりトロいが、
それはFIT3でエンジンをかけずにスタートしようとするときと一緒。
ちなみにFIT3と同じノリで運転していて、燃費は17km/l程度。
FIT3は23〜25km/lはイってるぞ。なんだろうかこの差は。
>るーちゃん
ワタシが、カスタムはもういいかな、と思っているのに対して
るーちゃんはまだまだぜんぜん物足りないって感じで、すげえ向上心だと思います。
まあ、あとになって「・・・シャトル買えたな」って気付くのですが
そういうのは言いっこナシですな!
>えりりん炭酸
入院中は溜まったマンガ本に勤しむのでお見舞いは不要です。たかが4〜5日だしw
旅行としては九州が絶対おすすめ。
なにが悲しゅうて雪のバラバラ降る東北へ行きたいと思うのか不思議です。
きりたんぽ鍋や横手やきそば、牛タンとか食べたいならお取り寄せが簡単にできるから!
それに比べて九州は天国ですぜ。
まず神戸からフェリーで大分へ。大分着いたらソッコーで名物の鶏のから揚げとプリンをゲット!
それから佐多岬を目指し、鹿児島では京香っちさんに黒豚のとんかつをゴチになりましょう。
熊本から雲仙普賢岳にフェリーで渡って、超絶ワインディングロードをフルタイムSモードで
温泉ゆでたまごを食べながら攻略したあと、ちゃんぽん+寿司!
福岡では激ウマ鍋とお好み焼きを食べ、メタボ+糖尿病をお土産にして帰るのだ。
あんまり食べてないけど、九州のみどころはこちらから・・・
http://engawa.kakaku.com/userbbs/1498/Th
readID=1498-4324/
2016/12/15 09:54 [1498-5022]
どもどもーこんにちはっヽ(^o^)丿銀るーです☆
いやぁーねこさん向上心とゆーより、ただの物欲かなぁーと思われますょーワタクシの場合σ(^◇^;)
まだまだカスタムしたい箇所はあるので、やりたいことだらけですょー
ちなみにまだやりたいカスタム外装編は以下のものたちです☆
・ノブレッセのフロントリップ
・モデューロのサイドステップ
・モデューロのリアダミーダクトの黒
・黒ホイール
・リアメッキガーニッシュ車体色化&リアナンバー付近の黒化
・ドアノブ黒化&ドアノブ運転席のみステッカー(enjoydriveとか?)
などなどがあるので、あと一年以上は嫁チャンにイビられることは確実ですね(-ω-;)
それから☆今月の28日(水)に嫁チャンの栃木のお婆ちゃんちに行くので、久し振りに温泉にゆっくり浸かりたいと思ってます♪
嫁チャン&嫁母はそのころすでに仕事納めしてるそーなので(ワタクシは
納めてないですがw)せっかくなのでキッチリ満喫したいと考えてます(≧∇≦)b
2016/12/15 15:35 [1498-5023]
一週間ぶりに愛車が戻ってきました。
なんか、微妙にパワーアップしてました。
まず、ぶつけられた所は元通りに修理してあったのは、お金がかかっているから
当然のこと。むろん修理代金は相手の保険会社からですが。
だが、わずかに塗装のはげた程度のバンパーが、新品に変わっていたのです。
パーツの隙間レベルのほんの少しの傷なので、ちょこっと塗装すればいいじゃん、と
思っていたのだが、そこがホンダクオリティ。
100%相手の保険会社に請求できるとあれば、ここぞとばかりに一斉とっかえ!
・・・と、それはそれでよかったのだが、よく考えてみてほしい。
オレのバンパーにはダミーエアダクトのところにリフレクターを付けているのだ。
もしかして、オミット(取り外し)されてしまった!?
などと青ざめながらクルマの後部を見てみると・・・
ものの見事に移植されてました。
しかも、ホンダディーラー修理担当のプロの仕上がりで、だ!
これには狂喜。
オレ個人のクオリティを遥かに凌駕するプロの施工で、やってくれたのである。
車検用に外したアースを導通してみると、きちんと発光した。
やったぁー。超ラッキーw
「こういう改造なんてお茶の子さいさいですよ」
なんて修理担当のヒトが言っていたが、いちばん最初に「こういう改造をしたい」って
持ちかけたとき「ダクト切ってリフレクターハメ込むとか無茶すぎですよ。
車検も通らないし、ちょっとそういった改造はお受けいたしかねます」
とか言って断られたのをオレは忘れていないぞw
ディーラーで断られたから仕方なく自分でムリヤリ取付したんだからなー。
そしてもうひとつ。
ここでは初カミングアウトなのだが、実は数ヶ月前にミッション交換をした。
ちょっとしたエンジン系のトラブルがあって、ミッションの交換をしてもらったのだが、
交換後に、今度はわずかな振動を運転中に感じるようになり、
この車検の際に見てもらったのだ。
そしたら、見事に解消されてスムーズな走りに戻っていた。
ほんのわずかな振動だったので直らなくても別にいいや、と思っていたが、
やっぱり解消されるとぜんぜん違った走りになっていて、ものすごく嬉しかったね。
そんなわけで、車検&修理は完璧に近い状態で戻ってきた。
すげえ欲を言えば、リヤハッチのワンポイントのヘコミも直してほしかったが、
さすがに当てられた箇所から離れていたのでムリだったようだ。
すっかり気を良くしたので、ちょいとワンポイント改造をしてみるじぇ。
うまくいったらお披露目するでゲスよ。
2016/12/20 04:20 [1498-5024]
ねこさ〜ん、無事に愛車が修理から戻ってきて良かったですね(⌒‐⌒)
アクアの乗り心地は如何だったでしょうか。最近、ド派手なアクアを見かけます。
ぶつけられた付近の修理ならば、大概一緒にやってくれますよぉ。
私、先月任意保険の契約したんですが、証書送られてきて気に入らない部分が出てきたので、まーた内容変更しちゃいました(* ̄∇ ̄*)
三年契約も止めました。新価特約が37カ月までだったので…残念。
次の更新の時は、少々保険料が上がるかもしれないけど、損保ジャパンにする予定。(新価特約が最長の61カ月だから)
但し、搭乗者障害が日額払いが残ってるのが前提なんですけどね。
新価特約は、新価価格の半額で新しい車に買い換えられるから、会社変えてでも長く加入出来るなら付帯したい特約ですね。車両保険だけだと、かなり不安なんだよね。
最近、朝イチでの上り坂での『ボォー』ってエンジン音が変なんだけど。すっごく気になる。何で、こんな音がするの?って気になって仕方ない。
下り坂でSモード使ってたから、こんなになった?とか考えたりしてます。まだ、旦那は知りません。
2016/12/20 04:58 [1498-5025] iモードからの書き込み
めりくりでごわす。
今年ももうすぐ終わりですね。
アクシズ除去手術のため28日から入院となってしまい、病室でも更新はできるとは
思いますが、とりあえず今回この一年を振り返ってみます。
いろんなことがありました。
どちらかというと、イヤなこと、不運だったことが多かったと思います。
まず、私主催のオフ会が一回しか開催できなかったこと。
その中で目に見えないトラブルが起き、二度目に予定していた富山オフ会を
中止せざるを得なかったのが、本当に残念でした。
開催直前に仕事の予定が入ったのも大きな原因のひとつなんですけどね。
富山オフ会を楽しみにしていた方、そして船上クルーズの準備の周辺情報の
アシストをしてくれたふじやまさんに、改めてお詫びいたします。
いま思うとそのトラブル以降から体調がだんだん悪くなっていったように思います。
11月には風邪をこじらせ、その治療の際に高血圧症と言われ、泣きっ面に蜂。
挙句の果てには尿管結石で救急搬送。
結石は、いままでだと1日やそこらで体外に排出されていたのに、今回は非常に頑固。
2度に渡る通院での手術はことごとく失敗し、入院せざるを得ない状況に。
あとクルマをぶつけられたこと。
まあ、当て逃げされるよりはよほどマシではあるが、修理されるまではやっぱり
気分は悪いね。
でも相手の女性も任意保険の担当者もいい人だったので、滅入ることはなかった。
よいこともいくつかあった。
まず北海道ドライブに行けたこと。
とにかく楽しかった。いきなり休みがとれたので準備がロクにできなかったが
ナビとスマホ、タブレットを駆使して楽しく回れた。
またいつか行きたいね。
今年は通算で6体もガンプラを作ったw
サンダーボルト版FAガンダム・ジム・ボール。V2アサルトバスター。
FAユニコーン、シナンジュ。
けっこうな快挙だ。来年はなにを作ろうかな。
あと、パチンコとスロットの運が非常によかった。
特に病院の帰りに行くと、必ず勝てる。
北海道でもサラっと勝って、うまいもん食べれたしw
でも調子こかないようにしないと。
来年は、あまり無理をしないレベルでまた楽しくやりたいと思います。
2016/12/25 00:45 [1498-5026]
はじめに
日本国内はバイクなんかでずいぶん旅をしてきたが、それに飽き足らず今度は
海外旅行をしてみようとか考えだした。
しかも一人旅。
英語? しゃべれないし。
文化? いやマジで知らないし。
通貨? てきとーに両替しとけばなんとかなるんじゃね?
若さというのはこんな無謀な冒険にも向かっていける。
小説「Step Up!」を完成させるには、やっぱり現地に取材しないと。
ただその一点のためだけに、はるばるヨーロッパへ赴くとか、
いま考えると「よーやったな」と思う。
そんなオランダの旅行記をはじめます。
「写ルンです」で撮った写真も今回デジタルデータ化したので
シーンに沿ってお見せしますので、それっぽくお楽しみに。
それでは、はじまりはじまり〜♪
2016/9/10 12:13 [1498-4820]
| これから離陸するところ |
ACT.1 OUT OF THIS WORLD
オランダKLM航空のジェット機の尻尾の窓側の座席にのぼるは独り座っていた。
「いよいよか…ついに始まる、今世紀最後にして最大のオレの冒険…」
ほぼ満席のジェット機はコンコースを離れ、ゆっくりと成田の滑走路へと進む。
機内にアナウンスが流れると、旅客はいそいそとシートベルトをしめる。
世界でも最高レベルのサービスを誇るKLMだけあってスチュワーデスはみんな美人だ。
懸命に救命具の取り扱いの説明をする姿が美しい。日本人のスチュワーデスは二人。
頼りにしてるぜ。
滑走路の最後尾でジェットエンジンがかん高く吠えたてる。
鳥が羽根を拡げるように、主翼後部のフラップが変型する。
「この発進の瞬間がいやなのよねぇ」
付近に座る老夫婦がつぶやいている。
たしかに、御老体にはつらい瞬間かもしれないが、のぼる自身には飛行機に乗って一番楽しい瞬間だ。
次の瞬間、機は堰を切ったようにロケットスタートした。
のぼるはシートにへばり付けられるようなGを受けながら、心の中で叫んだ。
「セイラ、ガンダムいきまぁーす・・・ああっ!!」
2時間と15分も遅れてのテイク・オフ。
約一人の愚か者を載せたKLMのジェット機は成田の空を旋回すると、天空の透過光に
照らされながら大空へと舞い上がった。
のぼるが社会人になって3年がたった。
社会に出て一人でどれくらいやっていけるのか、そう思って、一人暮しをはじめたり、
ソロツーリングをよくやっていたが、近頃なにか満たされない。
所詮日本という囲いの中で、日本語の手の平で踊らされてる、そんな漠然とした不安があったのだ。
「こうなった日本語の通じない外国に行ってやる!」
そう決心したのがその年の秋。
一口に海外といっても行き先は星の数ほどあるが、初めての海外逃亡ならば、多少無理しても
自分の行きたい国に行くべきだろう。
そうなると行き先は迷うことなくネーデルランドに決定だ!
オランダと呼ぶのが一般的なのだが、ここではネーデルランドと記させてもらおう。
ネバーランドみたいで雰囲気いいじゃん。
子供の頃から憧れた、風車とチューリップの国。
思えばのぼるの田舎志向は子供の頃からだったらしい。
海抜0メートルの平地が国土の1/4もあることから環境問題をどこよりも積極的に取り組んだり、
ヨーロッパを平和的に統一しようと各国の通貨をユーロにしようと持ちかけたのも、
このネーデルランドだ。
自然と共に平和で合理的な生活をしているようなイメージに、のぼるには想いを重ねていた。
「旅行」というといつも北海道とか、国内のイメージが常識としてあったため、
ネーデルランドなどそんな遠い外国になんてこれっぽっちも行けるとは考えてなかった。
それを、「行こう!」と決心したのは、歳をとるにつれて「夢をひとつひとつ叶えていこう」と
思えてきたからだった。
出発は翌年のゴールデンウイークと決めた。
それまでの期間、海外旅行とネーデルランドについて徹底的に勉強した。
インターネットやABロードで格安航空券を調査し、ツアーガーデンという旅行代理店で
志田さんという親切な男性と知り合い、海外旅行に関する知識を電話で徹底的に教えてもらった。
ビザの有無、パスポートの取得方法、空港での手続きの方法など、細かいことまで親切に
教えてもらえて、すんげー感謝してる。
本来ならネーデルランドの主要空港であるスキポール空港への直通便は、
ゴールデンウイークという時期を狙うと通常はキャンセル待ちとなるはずだった。
それを志田さんの方でキャンセル待ちの最前に順位を繰り上げてくれたり、
しかものぼるのわがままで窓側の座席をチョイスしてくれたり、本当に至れり尽くせりの
サービスだった。
彼がいなければ、この旅行は出発すらできなかったといっても過言ではないだろう。
ちなみに日本で予約したのは、その航空券だけ。ホテルは現地のvvv(フェーフェーフェー)
という観光案内所で予約することにした。
すこしくらい現地でホテルの予約を交渉するくらいの苦労はすべきだろう、という理由だ。
日本で予約すると割高になるし、安心した旅行も味気ないものだしね。
旅の苦労は後日いい思い出になる。それは今までの冒険で充分承知していたので、
不安はあっても、それは心地よい緊張感だった。
まあ、いくらきれいごとをいっても、これが間違いのはじまりであったのは想像するに
難くないだろう。
行き先はネーデルランドで決定したが、具体的にどの地域に行こうか、という問題があったが、
これも決定している。
マーストリヒト。
ベルギーとドイツとの3国の中間に位置する都市だ。他国と隣接する都市はいろんな文化が
ごちゃまぜになっているはずだから、絶対楽しいところのはず。
なんたって日本にはそういうのないからね。
これは専門学校のころから行きたいと思っていたところだ。
2016/9/10 12:19 [1498-4821]
そして、出発の日は来た!
5月1日の10:00成田空港発のKLM航空、
アムステルダムのスキポール空港直行便だ。
7:30には成田に到着した。搭乗手続きを余裕もってしようと考えていたら・・・
電光掲示板に「KLMアムステルダム行き 遅延」の表示が。
「あ?」
我が目を疑う。
しょっぱなからもうアクシデントだ。
とにかく掲示板に見入った。
いったいどれくらい遅れるというのか。
アナウンスによると、ネーデルランドから来た機が給油してそのまま戻る、その便にのぼるは
乗るのだが、成田に到着したのが予定より30分遅れたのだそうだ。
単純に考えると、出発が30分遅れるだけのはず。それくらいなら別にいいや、と思っていたが、
事態はそう簡単な問題ではなかった。
ロシアの領空を飛行できる時間帯というものが思いっきり制限されているので、それ以外の時間は
「領空侵犯」とみなされてしまう。
つまり、30分遅れるだけでも次の飛行可能時間まで足止めを喰うハメになるのだ。
それを計算した今回の出発時刻は12:15となり、2時間15分もの遅れだ。
「やべぇ…マジでやばいかもしんない…」
のぼるは狼狽した。
というのは、通常のフライトならば現地時刻の夕方前にスキポール空港に到着するので、
宿を予約する余裕は楽にある…そう考えていたのだ。
それが2時間以上も遅れて到着したとしたら、観光案内所が営業してるかどうかの問題にすら
なってしまう。
こうなったらKLMのチケットカウンターのおねーさんに交渉してみよう。
「オランダ現地の宿の予約をしてないのですが、フライトが遅延したことが原因で宿に泊れない
可能性は否定できない。この場で現地での宿を手配できないですか」
きれいな制服を着たきれいなおねーさんは満面の笑みで答えた。
「ムリですね」
ほのかな殺意が芽生えたが、空港内でコトを荒立てる真似はできない。
仕方なく成りゆきにまかせることにした。
ま、ここで慌てても仕方ない。大物らしくどっしり構えようじゃないかね、なあ中曽根くん。
とりあえずこの空き時間を利用し、現地でしようと思っていた両替をしよう。
空港の広いロビーのど真ん中に、でんと構える大和銀行の支店。
現地で両替するより手数料が高いので、イヤだったのだがそうも言ってらんない状況だ。
ネーデルランドの通貨はGL(ギルダー)。1ギルダーは70.16円。
(注・これは当時の通貨。現在は統一通貨ユーロとなっている)
のぼるは55000円を出し780ギルダーを手にした。
クレジットカードとこの現金をうまい具合に併用しよう。
世の中にはトラベラーズチェックという小切手みたいなものがあり、それなら支払が便利になる
らしいが、オレの目指すところは観光地でなく田舎だ。
「こんな紙切れは役にたたないねえ」などと言われたらどーしよーもなくなってしまう。
やっぱ現金が後腐れなく手っ取り早いね。
ようやくKLM航空の搭乗手続きが開始された。
のぼるはロビーのエスカレータを下り、税関に行った。
タグ・ホイヤーという高価な腕時計をしているので、帰国の際に税金を取られる可能性がある。
ここであらかじめ国内からの持ち出し品として申請しておけば安心だ。
それにしても、成田空港ではこのフロアに来るために「旅客サービス施設使用券」として
2040円を払わなくてはならない。遊園地じゃないんだからそーいうことすんなよな。ケチ!
いよいよ出国審査。
ゴールデンウイークのごったがえす旅行客のため数分順番待ちをする。
そしてのぼるの番。
緊張しながら審査官にパスポートと出入国カードを見せると笑顔で「よい旅を」
と出国のスタンプを押してくれた。
この瞬間にのぼるは日本にとって外国人になったのだ。
「さて、行くか!」
気持ちを新たに、たったひとつのズタ袋を右肩に担いでジェット機へのタラップを進む。
「ようこそ、いらっしゃいませ!」
「Welcome!」
スチュワーデス達が笑顔で迎えてくれた。
搭乗チケットを見せると、一番奥の二人掛けの窓側案内された。
となりの席にはちょっと太った外人の女性。
この機会に英会話を彼女からレッスンさせてもらおうかと思っていたら、荷物をまとめていたスキに
速攻でイヤホンを装着されてしまった。
仕方なく座席に標準装備されているKLM航空の発行する雑誌「ウインドミル」をパラパラと眺めた。
「あ」
あるページを見てがく然とする。
4月30日、つまり昨日はネーデルランド王国にとって最高の記念日のひとつ「女王の日」だ。
国中が王家の色であるオレンジ一色に染まり、飲めや歌えやのカーニバルになるという。
のぼるが到着するのはその次の日の夕方。
覚めやらぬお祭り状況で、ホテルの予約などできるのだろうか。
「ま・・・いっか」
いつものお気楽モードに入るのぼる。
そう。
これが、彼が幾多の冒険の中を切り抜けてきた「O型お気楽モード」なのだ。
ウジウジ悩んでも、不安になっても、今解決できない問題なら放っておく。
そういう気持ちの切り替えがこの状況でもできるというのは、我ながらいい根性してると思う。
まあ、そうでもなきゃ独りで海外旅行なんてできるわきゃ、ないわな。
「いよいよか…ついに始まる、今世紀最後にして最大のオレの冒険…」
2016/9/11 06:59 [1498-4822]
ACT.2 RANDING
離陸から20分くらいして機内が安定した頃、最初のドリンクサービスが来た。
のぼるのいる列にはスチュワード(男のスチュワーデス)が来た。
アーノルド・シュワルツェネガーのような男に「Soft Drink?」と聞かれた。
初めての英会話にビビって固まる。
「お、おれんじじゅーす・・・」
ダッセーことこの上ない。せめてプリーズくらい言ったらどうかね。
日本海を数十分眺めると、夢にまで見たユーラシア大陸が眼下に広がる。
とてもじゃないが人間ふぜいに開拓できるようには思えないような巨大な山脈が
連なっており、頂上付近には雪が覆い尽くされている。
旅をしているときというのは、非現実な世界だ。
現実に生きていることを否定するのではない、見たこともない風景の中に身を置く、
もしくはその目で見ることで非日常の世界に入り込むということだ。
そういう状況でのぼるはいつもわくわくするのだが、今回に限っては頭の中が、
伝説のプロレスラー、タイガー・ジェット・シンにブスブスと串刺しにされるような
恐怖に怯えていた。
この下の世界に一人置いていかれたら、生きて行ける自身がまるでなかったのだ。
ロシアの巨大な国。
ユーラシア最大の国にしては、その地方地方で暮らす住民の文化がまるでベールに
隠されているように分からない。
春なのに雪に覆われた平原、整備されずに三日月湖が散乱する川、そして時々見える
核サイロのような人工的なドーム。道路はたまにあるのだが、人が住む集落や村など
見たことがない。まるでそのまま地獄へ続くような直線道路だ。
そんな、地上の風景が延々と続くのだ。
だから恐いのだ。こんなの日本にはありえない景色なのだ。
この飛行機が降り立つネーデルランドはそんなところではないようだが、こんな
殺伐とした風景の延長線上、つまり歩いて行ける大陸上にそういうトコがあることが
不思議でならない。
付け加えるとして、機の主翼が意外にベラベラとしなって飛んでいることも、なんだか
たよりなさげで不安になる。いつ「ベキッ!」と折れて墜落してもおかしくない感じなのだ。
日本時間14:00、出発から2時間ほどしてから最初の食事がきた。
またさっきのアーノルドだ。
さっきも思ったけど、きれいなおねーさんが来いよ。
「Chikin or Beef?」
またも固まってしまった。
また英語にビビったわけじゃない。機内食は和食か洋食かが選択できるはずであって、
鳥肉か牛肉を選択するなんて聞いてないのだ。
でも固まってばかりではアーノルドを困らせてしまう。
機内で「地獄で会おうぜベイビー」とか言われてショットガンをぶっぱなされてはたまらん。
「ち、ちきんぷりーず・・・」
すごいよ、プリーズも言えたよ。
これでのぼるも国際人だよ。
目の前にアルミホイルのかかったトレーが置かれ、さらに「Soft Drink?」と聞いてきた。
「アイスティ、プリーズ」
のぼるは答えた。
流暢な(?)英語のコミュニケーションに満足し、のぼるは得意げに渡された飲み物を飲む。
「ぶふっ!」
ちょっとだけ吹き出した。
注がれた飲み物はアイスティではなく、中国3千年の歴史の誇る由緒ある飲料茶、ウーロン茶だった。
「そうじゃないだろ!」とアーノルドにツッコミしてやりたかった。
食事は、チキンのマスタードがけとパスタ、バターロールとサラダと焼魚、そして何故か寿司。
寿司といってもサーモンとかっぱ巻きだけ。そしてデザートにモンブラン・ケーキ。
なんとも理解しがたいメニューだ。
どう考えても常識ある立派な人間の選定したメニューとは考えにくい。
どちらかというとスーパーの半額惣菜で適当なものを見境なくチョイスしたときのメニューに近い。
2度目の食事は更にぶっとんでいた。
メインディッシュが焼そばでおかずが小割そば。
ダブルそばかよ。
日本人のオレも初めてのメニューだよ。
2016/9/11 07:14 [1498-4823]
機内で、ネーデルランドに入国する際の審査に必要となる用紙を渡された。
どんな目的で入国するのか、どこに泊まるのか、いつ帰るのかなどを英語で記入する。
記入例に従って書くが、宿泊場所が決まってないので「地球の歩き方」に載っている適当な
ホテルの名前を記入しておいた。
べつに悪いことなんてしていないのに、犯罪者のような気分だった。
現在、日本時間で19:00くらい。日本はもう夜なのに、機は太陽にさんさんと照らされている。
到着までまだ倍くらいかかる。
機内はカーテンを下ろして睡眠時間となっていた。
前方にある25インチくらいのモニターで時々現在の位置が表示されている。
先は長い。
多くの乗客はだいぶ疲れているらしく、毛布をかけて寝ている人が多い。
のぼるも少し眠ったが、喫煙席のため煙たくて眠れない(自分も吸うくせに)
前部の大型モニターで「ホームアローン」が上映された。
自分のイヤホンのチャンネルを合わせて音声を聞くのだが、数年前の学生の研修旅行でもバスの
中で観たことがある。
どこへ行っても上映するのは「ホームアローン」だけなのか。
とはいえ冒頭で飛行機が墜落する「クリフハンガー」などはこのタイミングでは観たくもないが。
まあ、ビジネスとかファーストクラスだと自分の座席にモニタが標準装備されて、ある程度
好きな番組をチョイスできるらしい。
のぼるは言わずとしれたエコノミーなので贅沢も言ってられないか。
座席も前後のピッチが狭く、自由度が低い。
せめて寝返りができれば、ね。
軽食タイムがきた。
機内では本当にやることがないので食べることがすげー楽しみ。
これはフェリーにしても同じことが言えるが、飛行機の方が自由度が低いぶんストレスがたまり
変に食欲が旺盛になる。これでは太るね。
イヤなことに軽食はカップヌードルとアイスクリームのどちらか、だった。
ほとんどのヒトはアイスをチョイスした。
当然だ。さっきダブルそばを食べたのだからヌードル系は誰もが嫌がるに決まっている。
頼むから人間心理を考慮したメニューにしてくれってば。
うーむ、これで世界屈指のサービスを誇ると言われてるのだから他の航空会社はどんな
サービスを提供しているのだろう。なんだか興味津々だね。
軽食が終わると、間もなく最後のドリンクサービスとなった。
スプライト系の飲み物が飲みたかったのでアーノルドに「サイダー、プリーズ」と頼んだら、
「Pardon?」と返された。
何度言ってもサイダーがわからないらしい。
「スパークリング・ウオーター」と言い直したら「Oh,OK!」とコップを渡してくれた。
飲んでみたら案の定「炭酸入りのミネラルウオーター」だった。
「Mother fucker!!」とか言ってドロップキックかまそうかと思った。
ちなみにサイダーとは日本にだけ浸透した名称。海外では「レモネード」と呼ぶのが一般的。
長い長い機内生活ももうすぐ終わる。
ネーデルランドに突入したらしく、地上の建物が活気あふれてきた。
となりの太った外人のおねーさんとは、トイレに行くときに「エクスキューズミー」と
言った以外なにも会話しなかった。
そのことに少し後悔しつつ、機は少しずつ降下をはじめた。
約12時間という機内生活。
帰りもこんな感じなのか、と思うと、そういう意味で帰りたくなくなった。
だんだんと地上が近付いてくる。
眼下に大きな空港が見えた。きっとそれが、アムスのスキポール空港だろう。
機内にシートベルト着用を促すアナウンスが流れる。
空港の頭上を大きく旋回した後、主翼後部のフラップが可変した。
着陸体制に入った。
ものすごい空気の抵抗を味方につけて、機はドンと着陸した。
間髪入れずに一気に減速する。消化をはじめてる胃の中のアイスが逆流しそう。
黒人のメカニックに改造されてド派手になったナイト2000のエア・ブレーキをしたときの
マイケルの気持ちがよくわかる瞬間だった。
機は完全に停止し、空港のタラップが接続された。
「長旅、大変おつかれさまでした。お忘れ物ないように順にお降り下さい」
アナウンスの声で乗客はそれぞれ立ち上がって荷物の整理をはじめた。
のぼるも手持ちの荷物を整理しつつ、腕時計を現地時間に合わせた。
今は日本時間で深夜0:00でネーデルランド時間では17:00。日本との時差は7時間だ。
12時間もたっているのに、昼間の12:00に出発してその日の夕方17:00に到着したという
へんてこなトリックにささやかに違和感を感じる。これが時差ボケか。
とはいえ約12時間もの空の旅。疲労だけは本物だ。
ため息をついている余裕はない。
はやく宿を手配しないと。
のぼるはズタ袋をかついで、タラップを進んだ。
なんか空気が違う。
まずそう思った。日本でいつものようにある無臭の空気が、ここでは違う香りがする。
なんだかチーズのほのかな匂い。一言でいえばそんな感じだ。
そんな香りによって異国に着いた、という実感が沸いた。
「さてさてさて! 来てしまったぜ! ネーデルランド!!」
抑えきれない興奮。もはや後戻りはできない。するつもりもない。
「7日間のネーデルランド旅行、絶対やってやるぜ!!」
2016/9/11 07:31 [1498-4824]
| 上陸直後のスキポール空港にて |
ACT.3 PAINS,TROUBLES,DIFFICULTY
ネーデルランド王国に無事上陸したのぼるは入国審査を受けた。
多くの旅行者は荷物受取所で自分の荷物がコンベアで運ばれるのをを待っていたが、
のぼるはズタ袋ひとつだけなので余計な手間はなかった。
審査官に「Sightseeing?」と訪ねられる。
サイトシーン・・・意味はわかるが、のぼるの脳裏には「とんねるずのみなさんのおかげです」で
昔ノリさんが「サイトシーン!!」と絶叫していたコントがよぎっていた。
「イ、イエス」
吹き出しそうになりつつ答えた。
思い出し笑いをするやつはスケベなやつらしいが、こんなとこに来てまでとんねるずを
想像するやつは、我ながらスケベというよりも変だと思う。
なんとか入国のスタンプをパスポートに押してもらった。
これで入国手続きは終了だ。
ゲートを通り、スキポール空港の中を歩く。
「さてさて、まずは電車でアムステルダム中央駅へ行かなければ!」
のぼるは電車の乗り場を探した。
ネーデルランドの鉄道は「NS」Nederlandse Spoorwegenの略。かっこよくレタリングされている
看板があったのですぐわかった。
目的地までの切符を購入しなければならないが、自動販売機はなく全て窓口での購入となる。
「プリーズ ワンウェイチケット トゥ アムステルダム・セントラルステイション」
発券窓口で緊張しつつお金をカウンターに出す。
アムスまでの片道切符を下さい、という意味だ。
機内でひそかにブツブツ勉強していたのだ。
「OK」駅員は慣れた手つきで切符をのぼるに差し出した。
「サンキュー」
のぼるは切符を受け取ると地下のホームへ向かった。
ふっ。英語のコミュニケーションなんてチョロいぜ。
なんだかヒザがガクガクしてるが、武者震いだろう。
ホームへ下ると、当然上りと下りの乗り場がある。
どっちで待てばアムス行きの電車が来るのだろうか。
どっち行きが上りでどっち行きが下りなのかがまずわからない。
ああわからない。
のぼるは近くにいたサラリーマン風のおやじに訪ねた。
「エクスキューズミー、ディスホームは ゴートゥ アムステルダム行き?」
「?」
まったく意味が通じない。
まったく英語になってない。
「えーと・・・ディスホームズトレイン ゴートゥ アムステルダム?」
「?」
ああっ、通じてないみたい。
どうしよう。もしかして変質者だと思われているだろうか。
などと疑心暗鬼していると、「Amsterdam CS」と表示された電車が来た。
のぼるはそれに飛び乗った。これに乗ればいいのだろう。
日本の鈍行列車とそんなに変わらない内装だ。
車内は会社帰りのサラリーマンで賑わっている。
発車して間もなく、列車は地上に出た。
ネーデルランドの街並みが広がる。
この国独特の積み木のような家々。鋭角な屋根、均等に並べられた窓。
どれもが本物だ。
日本でこの風貌の家を作ろうものなら「かぶれ」だの「レプリカ」だの言われてしまうだろうが、
ここではこういう家が当たり前なのだ。
長崎県にあるハウステンボスの風景が、ここでは当たり前の風景なのだ。
「うおお、たまんねっス!」
感激して窓にへばりついていると、のぼるの付くにいた夫婦がクスクス笑いながらのぼるを
指さしている。
やばい、浮いているか、のぼる!
「ハハハ、ヤーパン」そのダンナがのぼるに話しかけた。
ヤーパンとはオランダ語で日本人のことだ。
ちなみにオランダ語と英語はたいへん似ているので英語が話せれば、この国では充分通用する。
のぼるは英語すらろくに話せないが。
「イ、イエス」
思わず肯定してしまった。
日本人は金持ち、というレッテルが海外ではあるらしくしばしば狙われるという話をよく聞くので、
日本人ということは隠して旅をしようと決めていたのに。
そもそものぼるはビンボーなので気取ってもブランド品を着てない。
タグ・ホイヤーの腕時計はしているが行動時はジャケットのすその内側に隠している。
あとブランドといえばFILAのズタ袋くらいなもん。
そんなの世界中どこにでも売っているし高価な部類でもない。
「ぺらぺらぺらぺら」夫婦でなにやらのぼるについて会話している。
恐いヒトではなさそうなのだが、言葉がわからないというのは想像以上の恐怖がある。
日本語に訳したら放送禁止用語などマル禁サイレンが鳴るようなことを会話しているのかもしれない。
どうしようどうしよう。
疑心暗鬼していたら、夫婦は次の駅で降りていった。
なんだかなー。現地に住むヒトとコミュニケーションを取るのは、難しいんだな。
言葉の壁というのは想像以上の圧さがあるんだ、ということを痛いほど実感した。
ほどなくアムス中央駅に到着した。
いろいろ珍しい電車が停まっており、じっくり眺めたかったが、現状はとにかく観光案内所へ
行って今晩の宿を予約しなければ!
「間に合え、間に合え、間に合えー!!」
気分はコウ・ウラキ中尉だ。
情報によると、駅の中央ホールの右手に「vvv(ネーデルランドの観光案内所、フェーフェーフェーと読む)」があるらしい。
さっそくそこへ行ってみた。
しかし、閉っていた。
営業時間が終了しているのとは様子が違う。明らかに案内所そのものがツブれていた。
「なん・・だと・・・」
2016/9/12 21:50 [1498-4831]
いや、まだだ。たかがメインカメラをやられただけだ。
確か駅前にももうひとつ「vvv」があるはずだ!
とにかくそこへ行ってみた。
しかし閉っていた。
今度は営業時間が終わっていたようだ。
確かに今は18:30で、営業時間は17:00とある。とっくに閉店してるのだ。
それにしてもまだ夕方はじめくらいの明るさだ。5月の日本じゃ考えられない気候だな。
「どうしよう・・・!」
アムス中央駅に振り返る。
東京駅そっくりだ。
というより東京駅がこれを真似したのだ。
しかし今はそれに感動している余裕などない。
のぼるは駅の中の「もとvvv」に戻ってみた。
すると閉じられたドアに何かが貼られているのを見つけた。
「これは・・・!」
そのはり紙には、この駅の別の場所に「vvv」が移転した、と書かれてあった!
「これは・・・!」
のぼるははり紙に書かれた地図を急いで辿っていった。
なんとはじめに降りたホームの目の前に新生「vvv」はあった。なんてこったい。
しかし、のぼると同じことを考えている旅行者はたくさんいた。
ホテルを手配しようと「vvv」のドアの前に10人ほどツーリストが並んでいたのだ。
のぼるは躊躇せずに列の最後尾に並んだ。
ここ以外に宿を予約できる所を知らないのだ。
しかもここは19:30までの営業なので、まさに本日の最終防衛ラインなのである。
「ふう」
待ち時間中にまわりのホームの様子をじっくり観察した。
たしかこの駅には、かの有名な超特急列車TJVが通る駅のはずだが、見られなかった。
映画ミッション・イン・ポッシブルでラストバトルのシーンになった列車で、一目見たかったのだが、
まあ仕方ないか。
そのかわり2階建の特急が何本も停まっていた。のぼるは上越新幹線MAXはおろか2階建バスに
すら乗ったことがないので、ひそかに憧れていたのだ。
ちなみにこの2階建特急は「INTERCITY」といい、この国内を走る標準の特急列車だ。
そうこうしているうちに待ち行列は進んでいった。
19:00になった。「vvv」の職員らしき巨漢の男がドアの前に出てきた。
アブドラ・ザ・ブッチャーのような、刑務所でムチでも持った看守のような男だ。
まさか、30分前にドアだけでも閉めてオーダーストップにするつもりか。
予感は適中した。
のぼるの目の前にブッチャーが立つ。
のぼるの後ろにも4〜5人の待ちがいる。
やめてくれ、オレを追い出さないでくれ!
ここを追い出されたらオレには行くところがないんだ!
フランダースの犬のネロの気分で神に祈った。
祈りが通じたのか、ブッチャーはのぼるの後ろで受付を終了とした。
どうやらのぼるのシューズのつま先がギリギリ敷居の内側にあったからだったらしい。
ブッチャーはのぼるを店内に誘導してドアをクローズにした。
後ろにいた人たちは落胆してそれぞればらけていった。
「オレの後ろにいた旅人よ、すまん!」
と心の中で彼らの明日を祈った。
つま先ギリギリでセーフ、危機一髪とはまさにこのことだ。
もうすこし遅くここに来ていたらいまごろどうなっていたか、想像もしたくない。
しかし、危機はさらに続いた。
いよいよのぼるの受付、つまり一番最後の番となった。
「I'd like to reserve a room for tonight」
今晩の部屋を予約したい、と英会話ハンドブックを片手に受付のおねーさんに話した。
このおねーさんをのぼるは心の中でファンタと呼ぶことにした。
「Sorry,Amsterdam's hotel is full」
と言われた。
のぼるの直訳では「アムスのホテルはバカです」となった。
「?」
再度聞き直して、ようやくがく然とした。アムスにあるホテルは全て埋まっている、ということなのだ。
うそだろー! どーすんだよー!
「Oh my god! I'd like to reserve at a hotel near the
this city!」
持てうる英会話のレパートリーを騒動員して、ここから一番近い都市のホテルを予約したい、
と言うと、「OK!」ファンタは端末をカタカタと操作してくれた。
話によると、ロッテルダムという都市に1件ある、とのこと。
ロッテルダムとはよく聞くが、どこにあるのだろう。
地図で確認する。
このアムスから南西に約50km離れたところ。
さっき見た特急インターシティで1時間くらいかかると言っている。
げー。まじですか。
多少遠くても背に腹はかえられない。そこを予約してもらった。
ロッテルダム駅からホテルまでの詳細地図をコピーしてもらい、のぼるは店を出た。
駅の窓口でロッテルダム行きの切符を買う。
この国では鈍行だろうが特急だろうが料金は一緒だ。
特急券という概念がないのだ。これはいいね。
で、ここでのぼるは困った。
どの急行に乗ればいいのかわからないのだ。
時刻表の見方がまるでわからない。
足踏みしながら悩んでいたら、そこに勤務を終えたファンタがのぼるのそばに来てくれた。
「14aのホームの特急に乗ればロッテルダムへ行ける」とジェスチャーを交えてのぼるに教えてくれた。
「Thank you for your kindness!」
知る限り最上級のお礼をしてのぼるはそのインターシティに乗り込んだ。
ほんと、ファンタが女神に見えたよ。
2016/9/21 10:20 [1498-4876]
| インターシティの席で | ホテルの部屋の様子 | 味はあるが質素すぎだろ |
2階建てインターシティ、のぼるはもちろん2階の座席に座った。
少しすると女の子の旅人が一人、のぼるの前に座った。
「Excuse me?」
のぼるにあいさつした。かわいいっ!
間もなくインターシティは発車した。
21:00、街はようやく夕暮れ・・・。
女の子とコミュニケーションをとろうといろいろ話をしてみたが、半分も通じたかどうか。
しかしのぼるが話すたびに笑顔で「フフフ?」と返してくれる。
気さくな女の子だなー。
いやいや、呂律の回っていないシャブ中毒者に思われ、とりあえず相槌をうっているだけ
なのかもしれない。
彼女は30分くらいして停まった駅で降りていった。
「バイバイ?」
バイバーイ。楽しかったよ。
のぼるの処世術は海外でも通用する。それだけでも嬉しかった。
それにしても、この国の鉄道は改札がない。それだとキセルし放題ではないかという疑惑があるが、
車内でランダムに切符の拝見に伺うのだ。
だからのぼるは一度アムスの駅から外に出て、再びホームに戻ることが容易にできたのだった。
ちなみにキセルがバレると3倍の運賃を払わされるらしい。
22:00、ようやくロッテルダム中央駅に到着した。
あたりは完全に暗くなっていた。
「とりあえずメシ〜」
のぼるは今晩のホテルがとれたことによって緊張感が一気に解かれ、ものすごい空腹になっていた。
駅の構内にあったファーストフードでフライドポテトを買う。
この国ではポテトにマヨネーズをつけて食べるのが普通。
カロリーがちょっと気になるが、これがなかなかうまい。けっこうクセになるね。
ポテトを食べ歩きしながら駅を出る。
「・・・う」
背中を走る戦慄。
筋肉質の男2人が駅前で乱闘騒ぎをしている。
ベラベラと英語(かどうかは不明。もしかしたらラリって現地人でも意味不明だったかも)を
叫びながら殴り合いをしている。
また一方ではぶつぶつ独り言をつぶやきながら歩くヒトや、へんな匂いのするタバコを吸うヒト
(たぶんマリファナ)が・・・
治安が悪い。
マジでそう思った。
一刻もはやくホテルに着きたい。その一心でのぼるは歩を進めた。
少し迷いつつ今日の宿「セントラルホテル」に到着した。
ホテルの横に「弁慶」という世界規模の日本料理チェーン店があったのだが閉店していた。
一度入ってみたかったな・・・
なにはともあれ、ホテルに入る。
「Excuse me、I have a reservation for tonight」
予約してるんですが、とフロントのおやじに言うと、部屋のキーを渡してくれた。
ボッてる。
実はvvvで予約したとき前払いで1万円近く払ったのでけっこう綺麗なとこだろう、などと
思ってたのに、ドラえもんに出てきた「つづれ屋」みたいにボロい。
しかも素泊まりだぜ。ざっけんな。
朝食とか夕食がついて1万ならまだ許せるけど、食事なしで1万はないだろう。
やはり初日の宿くらいは日本で予約しておいたほうがいいかもしれないね。
とにかく、部屋に入る。
ベッドとテレビ、あとはシャワーとトイレ。
あとはなにもなし。ビジネスホテルってかんじだ。
「うあー・・・」
とりあえず、疲れた。
湯がぬるく少ししか出ないシャワーを浴びてベッドに横たわる。
「腹へった・・・」
そうだよな。ポテトだけでお腹いっぱいになるわけないもんな。
なにはともあれ、綱渡りだらけの初日は、終わった。
ここで横になってる自分が、奇蹟に思えてならない。
明日の予定も大幅に崩れたな。
ま、いいや。
明日になってから考えよう・・・
2016/9/21 10:33 [1498-4877]
| ロッテルダムの街並 | キューブハウス |
ACT.4 IN THE RANDAM'S CITY
朝だ。
一瞬ここはどこだろう、とボケた。
機内ではあまり睡眠ができなかったので無理もないか。完全熟睡状態だった。
しかし朝方がかなり冷えたな。足下にどけておいた掛け布団がいつのまにか
アゴまで掛かっていた。
親切なポルターガイストでもいたのかな?
着替えながらテレビをつけた。
天気予報が見たかったのだが、なかなかチャンネルが合わない。
「お?」
ふとチャンネルを回す手が止まる。
洋楽を紹介している番組だ。
なんとナイトライダーのテーマをラップでリミックスしている。
なんだか時代の流れを感じさせる歌だった。
9:00にチェックアウトした。
せっかくだからこのロッテルダムの観光をしよう、とホテルのドアを開く。
雨。
「どぅあ〜」
せっかくの旅行なのに雨。
考えてみればのぼるは北海道ツーリングをしようが能登ツーリングをしようが、
いつも確実に雨に見舞われる、典型的な雨男だ。
この体質が世界に通用した証明となった。
インターナショナルな雨男。嬉しくもなんともない。
とはいえ、小雨程度だったので荷物に忍ばせておいた折畳み傘を取り出し、雨の中を進んだ。
雨だろうが行かなきゃ損だ。
まず見ようと思ったのは、この都市の名所のひとつ「キューブハウス」だ。
この都市はユニークな形をした近代建築が多いらしく、その中でもすごいインパクトを持つ
建造物が「キューブハウス」だというらしい。
そこへ行ってみることにした。
ロッテルダムの大通りを歩く。中世ヨーロッパを思わせる歴史の長そうなレンガの建物がたくさんある。
たまんないよな、こういう世界ってのは。
そんな通りを進むと、大きく開けた石畳の広場に出た。
そこには、市場ができており、雨のなか活気あふれていた。
「お。行ってみよう」
のぼるは市場の露店を見てまわった。
パン、チーズ、野菜、魚、ペッパー、日用雑貨、おもちゃなどたくさんのものが売られている。
チーズは「トムとジェリー」でよく見た穴開きのものがあり、さすがネーデルランドだ、と思わせる。
腹が減っていたので、のぼるはパン売りの露店でチーズパンを買い、それをかじりながら歩いた。
日本にもよくあるような小さなチーズのちりばめられたパン。うまいね。
市場を抜けるとキューブハウスはすぐにあった。
何年のも前に流行ったルービックキューブをななめにしたような部屋、それがいくつも重なっている建物。
ほんとにヘンな建物だ。
マンションなのだが、日本じゃヘンすぎて誰も借りるヒトはいないだろう。
事実、実際に部屋を借りて住んでいるヒトは少ないようだった。
「こんなとこに住んだら、なんかバランス感覚を失いそうだな」
とかなんとか捨て台詞を残しつつのぼるは街を彷徨った。
近くの商店でオレンジジュースを買い、飲みながら駅へ向かった。
ちなみに普通の350mlの缶ジュースなのだが、日本円にして200円くらいもする。
なんか知らんがジュースが高い。でもビールも同じ値段で売られている。
なんか知らんが酒は安い。不思議な物価だ。
今度からジュースのかわりにビールを買うことにするか。
そうこうしていたらロッテルダム駅に着いた。
さて、ここからどこへ向かおうか・・・
当初の予定では、本日はミデルブルグへ行こうと思っていた。
ミデルブルグとは、北極海に面した街で近代テクノロジーのあみ出した最新の風車がいくつも
稼動しているところで、かつ中世ヨーロッパの面影を色濃く残した素敵な街だと聞いている。
特に近代の風車が何機も稼動している風景は、マクロスプラスというアニメを思い出し、
「ここは行かなきゃな」と思っていたところなのだ。
しかし、昨日のホテル予約で散々なメにあったこともあり、一刻も早く目的地に辿り着きたい
という思いに駆り立てられていた。
「ぬうう。こうなったら1日早いが・・・行くかマーストリヒトへ!」
プロジェクトNo.S23からG86へ移行!
のぼるは決心を固め、駅の窓口へ行った。
「Prease,one-way ticket to Maastricht!」
マースまでの片道切符を頼むぜセニョール、と駅員に話す。
「アハン? マーストリヒト? オア、マーストリヒト?」
何をわけのわからんことを言っているのか、この駅員は。
どうやらマーストリヒトと発音が非常に似ている地名があるらしく、のぼるの発音では
駅員が理解できなかったらしい。
「まーすとりひと!」「アハン?」「マァストゥリィフィトゥォ!!」「アハン!?」
半分キレかかりつつ、地図を見せてマースを指した。
「オウ! マーストリヒト、OK!」
やっと理解したようだ。駅員の発音だってのぼるのと大差ないじゃないか。
うぬう。現地の訛りは難しいのう。
ともかく電車に乗った。
各駅停車の鈍行列車なのだが、まあゆっくり行こうさ。
4人がけの席に一人で座り、ビールとチョコレートを出す。
さあ、出発だ!
2016/9/22 10:04 [1498-4880]
ロッテルダムからマーストリヒトまでは2時間半くらいかかる。
車窓から流れる風景は、それはそれは素晴らしいものだった。
この国のシンボルである風車、チューリップを中心としたたくさんの花畑、しだいに田舎へ
行くにつれて味が出てくる素朴な家々。
「あー。こんな旅ができるなんて、幸せだ・・・」
グイグイとハイネケンを飲む。
日本から果てしない距離を隔てたこのネーデルランドに来ている。のぼるはようやく
そういった実感が湧いてきた。
「なぜ、ネーデルランドなのか」という質問を今までいろんなヒトから聞かれた。
実は自分でもよくわかっていない。
海抜0メートルの超低地に多くの風車があったり、自由なる都市アムステルダムがあったり、
チューリップ畑があったり。考えてみたら、べつにわざわざ高い飛行機代を払ってまで来るべき
魅力的なところは別段ないと思う。
ネーデルの料理は他の国にくらべてうまいという噂も聞かないし、物価が安くて海外旅行に
いいというわけでもない。
これ、という決定的な見どころがないのだ。
しかし、のぼるはこれまでの旅の中で観光地へ行きたいと思ったことはほとんどなかった。
いつもヒトがあふれているところは避け、気の赴くままに素朴な風景を走ることが好きだった。
(バイク時代の話です)
それがたまたま雲ひとつない晴天だったときには、この上ない幸せを感じることが
できたりするのだが、今回の冒険はその延長線上にあると思う。
みんなが行こうと思わないところにこそ、自分の求める幸せがあったりするのだ。
とはいえ、インドのラクシャディープ諸島なんかに行きたいとはあまり思わない。
まあ、チャンスがあれば生きてるうちに行きたいとは思うが、絵に描いたような絶海の孤島に
行ってもするやることなくて困る、というのが本音だ。
いつからか「ネーデルランドへいきたい」と思いを寄せていたのは、「日本から遠い」
「日本にはない文化と風景」そして「誰も行かないけど行くとおもしろそうなところ」
としてなんとなく決めつけていたからなのだ。
そして、この国の中でもいちばん注目していた都市が、これから行くマーストリヒトだ。
3つの国境に挟まれた都市なんて、日本では想像できない。
きっと通貨や言語や風習がごちゃまぜになっていて、それが当たり前の都市なんだろう。
そんなことを想像したら、もう行かずにはいられない。
のぼるの頭の中では、もはやネーデルランド=マーストリヒトというとんでもない
偏見のカタマリのような図式が組み立てられていた。
それが、後に作られる小説の舞台ともなるのだ。
途中、アイントフォーフェンという駅でとなりのホームの特急インターシティを見たら
「マーストリヒト行き」と書いてある。
その特急のほうが早くマーストリヒトに着きそうだ。
のぼるは急いでそのインターシティに乗換えた。
行き先に間違いはなかったが、2階建てでないタイプのインターシティだったので
ちょっとがっかり。
そんなこんなで13:00。憧れの都市、夢にまで見たスプライトの活躍した舞台、
マーストリヒト中央駅に電車は到着した。
「うおっしゃあ! 来たぜマース!!」
ホームに降りて大きく深呼吸。ここからが本当の旅だ!
東にドイツ、西にベルギー。2つの国に挟まれた都市マース。
ここに5日ほど滞在して市街、市外を冒険するのだ!
2016/9/22 10:11 [1498-4881]
| アップルパークホテルの部屋 | なんでツイン |
ACT.5 MARRY STREET
マーストリヒト中央駅を出た。
「おお、雨も上がっているじゃん。ラッキー!」
駅前の交差点でいきなり事故りそうになった。
あまりに舞い上がっていたので、横断する際に日本の道と同様に右側を見て渡ろうとしたのだ。
外国では車線が逆になるのをすっかり忘れていたわけやね。
「ヒヤー」
おめーは藤子A不二雄かっての。
さて、ひとまず今日の宿を確保しなければならない。
街の散策はそれからだ。
のぼるはこの街のvvvを探して歩いた。
駅前通りはホテルやカフェなどで賑わっていた。
それぞれの店が互いに出しゃばらず、小粋でおしゃれな雰囲気を通りに装飾していた。
花もたくさん飾ってあり、とても瑞々しい。
しばらく歩くと大きな川に出た。
幅だいたい100メートルちょいのマース川。
水はすこし濁っているが、雨上がりなので仕方ないだろう。
川にかかる石畳の橋をゆっくりと歩いた。
この橋は自動車が通れないので歩行者天国みたいなものだった。
セント・セルファース橋という橋で13世紀に建てられたもの。
オランダ最古の橋のひとつで、かなり歴史的価値のあるものらしい。
「素晴らしい・・・」
アニメ映画「AKIRA」のドクターのような感嘆をこぼしつつ、のぼるは歩いた。
ズタ袋ひとつだけで見知らぬ街を歩く。
こういう気取らないラフな旅のスタイルが好き。
マジで自分に酔える。
橋を過ぎ、つきあたりを右に進むとこの街のvvvがあった。
石造りの建物の地下0.5階(!?)にあり、ファンタジー世界でありがちな、戦士たちが集う
酒場のような雰囲気の店だった。
店内は冒険者でけっこう混雑している。みんな今日の宿を探してきたのだろうか。
店員は3人で、それぞれ客の対応で翻弄されていた。
のぼるも負けじと店の奥に進んだ。
ふと見ると、日本人のような感じのする少年が一人、ホテルの手配をしていた。
だいたい22〜3才くらいに見える。
ただし日本人に見えるだけで、実際のところ韓国人だったりする可能性は否定できない。
彼のホテルの手配が完了したようだ。とりあえず話しかけてみよう。
「すみません」
思いっきり日本語で話しかけた。
これでシカトされたら彼は日本人ではない。
「はい?」
彼は思いっきり(思わず?)日本語で返事した。間違いなく日本人だ!
こんなとこで日本人がいるなんて、マジかよ。
「オレはのぼる。この街に今日着いて、4〜5日滞在するつもりなんだ」
「そうなんスか。ぼくは来紋(仮名)です」
来紋くんか。カタカナで呼ぶことにしよう。
「ライモンくんもゴールデンウイークで旅行なのかい?」
彼は首を横に振った。
「いいえ、ぼくはこの国に留学してるんです。たまたま長い休みがあったのでちょっと
旅行に来たんです」
なんと、留学生か。「ちょっと旅行に」でマースに来るなんて、一生に一度言えるか
どうかだな、そんなセリフ。
「もし時間があるなら、あとでマース駅で待ち合わせして一緒に見てまわらないか?」
「それはいいですけど、ホテルって郊外のとこしか空いてないですよ」
ホントかよ。昨日に続いて今日までも!
「では16:00にマース駅で待ち合わせしましょう」
ライモンくんはそう言うと外へ出ていった。
のぼるはvvvの店員に聞いてみたが、確かにこの近辺のホテルは全て満室らしい。
まあ、郊外とはいえ予約できるだけ運がいいと思うことにした。
アップルパークホテルという宿を予約した。
ちなみに英語がまったくダメなのぼるが店員とやりとりして予約するまで、ゆうに30分は
かかっていた。
アムロがガンダム起動させるまで5分もかからなかったのに(関係ないよ)
人と人がわかりあえるのがニュータイプだというなら、のぼるはその素質がないということだ。
のぼるはvvvを出て駅へ向かって歩き出した。
ホテルは駅をはさんで反対側にあるので、来た道を戻るかたちになった。
マース駅の反対側に出ると、住宅地が広がっていた。
とにかく緑と花のあふれる家ばかりで、日本でいうところの閑静な高級住宅地ってな感じだ。
それを過ぎると大通り(国道)に出て、ホテルはその道を渡ってすぐにあった。
8階建てのかなりきれいなホテルだ。レストランがとなりにつながっている。
自動ドアを開け、フロントへ行く。
vvvで受け取った予約チケットを受付のおねーさんに渡すと、笑顔で部屋のカードキー
と翌朝の朝食のチケットを渡してくれた。
このアップルパークホテルは、1泊朝食付きで1万くらい。昨日のようなじめじめした
ホテルかなと思っていたが、これならいいじゃん!
のぼるはエレベータで5階へ上がり、自分の部屋へ行った。廊下もきれいきれい。
「おお!」
部屋に入ると、なんとまあ広いこと広いこと。
それもそのはず、ツインベッドルームだったのだ。
なんてこった。これしか空きがなかったのか。
ま、いっか。
テレビもでかいし電話もある。バスルームは素敵な洗面台付きで広々!
昨日のホテルと値段は一緒なのに、なんだこの差は。
オシャレなアーバンホテルといった感じだ。
おおっと、アダルトのチャンネルがありますよ、旦那。
うおー、無修正。
すげー、パトリシア・マクファーソン(ナイトライダーの美人メカニック役)そっくり!
こんな美人の無修正なんて日本じゃなかなか見られないよね(誰に言っているか)
・・・そんなことより出かけよう。
のぼるは貴重品だけを持って外に出た。
2016/9/23 09:21 [1498-4889]
マース駅に戻った。
今は15:30。約束の時間までまだ時間がある。
のぼるは時間になるまで駅周辺を散策した。
駅前通りの路地裏をてくてく歩くと、ぎょっとするものを発見!
小さな中国系の輸入雑貨店に「月桂冠」という日本酒がウインドウに置かれている。
「うおお、こんなとこにポン酒が!」
なんか嬉しい。とはいえ、中国と日本をごちゃまぜにしないでほしいね。
そんなこんなで有意義に暇つぶしをしたところで駅前へ戻った。
ライモンくんが手を振っている。
「あ、のぼるさん、ぼくも今来たとこですよ」
「よっしゃ。行こうぜ!」
二人は話をしながら歩き出した。
話によると、ライモンくんはこの国のライデンという都市のコンピュータ専門学校に
留学しているとのこと。
この国で暮らしはじめて半年になり、ある程度の英語はできるようになったらしい。
なんともうらやましい。
「そういやライモンくんはどのホテルを予約したんだい?」
「ぼくは駅の反対側にあるアップルパークホテルっていうホテルです」
「マジかよ、オレと同じじゃん!」
「そうだったんですか。どうやらそのホテルしか空きがなかったんですね」
マース川を渡り、石畳の通りを進むと、いろんなカフェが並ぶところに出た。
外にテーブルと椅子をたくさん並べ、大きな樹の木陰でビールが飲めるという、
なんとも開放的なカフェだ。いいね、これがヨーロピアンの雰囲気だよね。
気付くと、のぼるの腹の虫がメタリカ並みの高速ドラムを奏でている。
無理もない。食事と呼べる食事はいまだかつてないのだ。
「なあライモンくん、メシたべよーぜ。すげぇはらへってるんだ」
落ち着いた雰囲気のライモンくんは笑顔でうなずいた。
「そうですね。どっかテキトーな店に入りましょう」
二人は食事のできる店を探した。
オープンカフェは軽食しかできないので、他の室内専門のレストランを探した。
ふたつの尖塔が高くそびえるロマネスク様式の聖堂、聖母教会のわきを通る。
この街はそれとなく神秘的な建物が多い。
「のぼるさん、あの店なんてどうですか?」
ライモンくんがわき道にあった小さなレストランを発見した。
下町の洋食屋さん、という感じの店だった。
「PLAKA」という店だ。
新潟駅の南口に同名のショッピングモールがあるが、こことは無関係だろう。
メニューが店頭に書いてある。どうやら肉料理がメインのお店らしい。
「いいじゃん。ここにしよう」
二人は店内に入った。
店内は客が誰もいない。レトロなインディアン風な曲が流れており、雰囲気は悪くない。
好きなテーブルに座ると、マッチョなウエイターが水を・・・水じゃない、酒を持ってきた。
ガラスのおちょこに入った、少しどろっとした感じの酒。なんなんだろうか。
とりあえずメニューを眺める。
「・・・わからん。読めん。ライモンくん、訳してくれ」
「えーと、ミートドリアとか、肉料理の盛り合せとか・・・ですね」
「肉料理の盛り合せ! それいこう。オレそれ!」
「じゃあぼくはミートドリアにします。飲み物はなんにします?」
「オレはビールだな」
「ぼくは酒はだめなのでコーラにします。じゃ、注文しますね」
「流暢な英会話の見本を見せてくれよな」
「いやー、ぼくの英語力なんてそんな大したもんじゃないんですけどね」
ライモンくんが「Excuse me」と言うと、奥からマッチョが出てきた。
見せてもらおうか、連邦のモビルスーツの性能とやらを。
2016/9/23 09:27 [1498-4890]
| 地獄の門 | 右:聖ヤンス教会 左:聖セルファース教会 | マースの市役所 |
「ぺらぺらぺらぺらぺら!」
ものすごい早口で話すライモンくん。
きみが何を言ってるのかわからないよ。
マッチョは彼の英語をちゃんと理解しているらしく、聞き直しもせずに伝票に記入している。
連邦のモビルスーツはバケモノか。
マッチョは注文を聞き終えると奥へ下がっていった。
「すげーな! オレだったら注文するだけで30分はかかるだろーな」
ライモンくんは照れた。
「そんなことないですよ。生活がかかってるから・・・」
のぼるははっとした。彼の言葉の裏に、留学は決して楽しいことばかりでない、という想いが
ちらっと見えたような気がした。
のぼるは水のかわりに出されていたおちょこの酒をちびりと飲んだ。
「かあっ!」
口の中がビリっっとする。ノドが焼ける。クチビルが弾ける。
どうやらこれは消毒作用の強い酒らしいな。あーびっくらこいた。
ビールとコーラが出てきた。
「では、異国の地で出会った奇蹟に」
「かんぱーい!」
グラスを弾かせ、二人はグイッと飲んだ。
うまい。キリリと冷えたほろにが系のビール、たまらんね。
ほどなく料理が出てきた。
大きな皿に山のように盛られた肉ばっかの料理。
2種類のハンバーグ、くしに刺した焼肉、そして肉野菜いため。まさに盛り合せだ。
対してライモンくんのドリアは卵焼きにひき肉を挟んだような、どちらかというと
女性好みの料理だった。
「うおお、うまそう! いただきまーす!」
「のぼるさん、ぼくにも少しわけて下さいよー。このドリアじゃ少ないですよ」
「いいとも。ガンガン食べようぜ!」
もう二人とも夢中。肉料理も最高でビールが進む進む!
大満足であった。
のぼるにとっては上陸2日目の夕食にしてはじめてまともな食事であった。
店を出た二人はこの付近を散策した。
多くのオープンカフェやホテルの並ぶ通りを進むと高くそびえる赤い塔が見えた。
聖ヤンス教会。プロテスタントの教会だ。
そのとなりにはネーデルランド最古の司教区教会堂の聖セルファース教会があった。
ふたつの教会の前は大きな広場があり、市民の憩いの場になっていた。
聖セルファース・・・たしかマース川を渡った橋も同じ名前がしていた。
なんだかイースに出てきそうなネーミングだね。
聖セルファースとは、マーストリヒト最初の大司祭の名前らしい。
異なる宗教の教会が並ぶなんて、日本じゃ考えられない。派閥争いの火種になること必至だよ。
「ライデンの街にもこういう教会ってのはあるのかい?」
「ありますよ。こんな感じの古風な教会です」
「へえ。どんな街なんだ、ライデンって」
「大学がたくさんある街なんです。日本でいう筑波学園都市みたいなとこです。ライデン大学
というとこには日本学科ていう学科もあるんで日本ともけっこうゆかりが深いとこですよ」
「じゃ、日本人もけっこういるのかな」
「そうでもないです。たまに見かけますが、日本人の友達はいないですね」
「そっか。だから言葉をはやくたくさん覚えたんだろう」
「それはありますね」
20:00。ようやく辺りが夕暮れになりはじめた。
二人はトボトボとホテルへ戻っていった。
「では、ぼくは明日ベルギーへ行きます。今日は楽しかったです」
「オレこそ通訳助かったよ。どうもありがとうな」
二人はフロントで別れた。
明日の朝食でまた会えると思ったが、ライモンくんは素泊まりのため朝食はないとのこと。
それから彼と会うことはなかった・・・
なんだか、どことなくクールな少年だったな。
のぼるは部屋に戻るとシャワーを浴び、ベッドに潜るとものすごい勢いで深い眠りについた。
すごく充実したが、歩き疲れたね・・・
さ、明日はどこへ行こうか・・・
2016/9/23 09:39 [1498-4891]
| マースのストリート | マース川 左奥は聖セルファース教会 | スプライトがウィリスに撃たれた現場 |
ACT.6 RAINY BREEZE
朝だ。
いま、何時だろう・・・
のぼるは寝ぼけながら電子手帳を開いた。
14:50・・・
「なにィーッ!?」
ガバッと飛び上がった。
うそだろ、チェックアウトの時間とっくに過ぎてるじゃねーか!
信じらんねー、そんなに疲れてたのかよオレってば!
大急ぎで荷物をまとめようとした時、ふと壁掛けの時計を見た。
7:50・・・
な、なんだ、14:50って日本時間じゃねーか。
びっくりした。おお、びっくりした。
味方のシュワルツェネガーとはち合わせたときのサラ・コナーみたいだった。
「ふう・・・」
タバコに火を付け、落ち着いたところでカーテンを開けた。
小鳥さんは元気かな?(赤毛のアン風に)
雨。
しとしととかったるく降っていた。
「・・・」
こればっかりは現実だった。
なんてこった。すっげーブルー。
どうしたものか、と「地球の歩き方」をパラパラ見る。
眼が点になった。
今日はvvvが定休日! これでは今日の宿が確保できないじゃないか!
なんてこった。すっげーダーク。
悪いことは重なるものだ。
とりあえず朝食を食べようではないか。まだ朝、今日という日ははじまったばかりだぜ。
のぼるはホテルと並び立つレストラン「アップルビー」へ行った。
ウエスタン風のレストランだ。
朝食はバイキング形式とあり、のぼるはここぞとばかりに皿に盛りまくった。
ぶっといソーセージ、大量のベーコン、いり卵、プルーンペーストのかかった
ライパン、アプリコットタルト、ミルクのタルト、チーズ、ハム、紅茶、コーヒー
トマトジュース2杯、ストロベリームース。
朝から食べる食べる。
外は雨、vvvは定休ときたらヤケ喰いしかないっしょ。
味付けは、ややあっさり風。
オランダの食文化は薄味が基本らしく、良くいえば素朴な味わいといったところだ。
でもチーズは濃厚でうまい。ジャムも美味だ。
窓の外は、相変わらず雨・・・
満腹になったところで部屋に戻った。
さて、どうする。vvvが定休なのは痛い。この天気じゃ自力でホテルを探す気力もない。
手っ取り早いのはこのホテルに連泊すればいいのだが、資金がもはや赤字なのだ。
旅行中は1泊3000円くらいの安宿(ゲストハウスなど)に泊まろうと思ってたのだが、
予測し得ない事態が続き、連チャンで1万円クラスのホテルに泊まっていたことはかなり痛い状況なのだ。
まあ、ホテルの支払いは全てカードなので現金は心配ないのだが、日本に帰ったあとが
地獄になりそうで・・・
「・・・決めた!」
のぼるは立ち上がってフロントへ進んだ。
「I'd like to keep my room,if that's possi
bble!」
「OK!」
連泊が決定した。
同時に、さらに深く落胆した。
金で全てを解決してしまった。自分が日本人のいちばんバカな見本になってしまったかのような
錯角に襲われた。
のぼるはこんなことでよく悩む。
今までのツーリング中のトラブルもよく金で解決した部分があった。
その全てを後悔しているわけじゃないが、中には知恵をしぼれば自力で解決できる方法は
いくらでもある、と後で気付くことがかなりあった。自分が我慢すればどうにかなる、
という状況もたくさんあった。
今回も、そのひとつだったのではないか。
そう思えてならない。
これが、弱さだと思う。こんな自分が大嫌いだ。
11:00くらいに雨が上がった。太陽は出てないが・・・
ホテルでごろごろしているのはもったいない。出かけよう!
明日はきっと青空で、いい宿も見つかるさ!(このへんがO型)
駅前通りに来た。
ふむ、どこへ行こう。
のぼるは歩きながらじっくりと行き先を考えた。
この街の文化を知るのにうってつけの、博物館が近くにあるらしい。
「うし! まずはそこへ行こう!」
のぼるはマース川に並んで走る道路をてくてく歩いた。
ひたすらまっすぐの道路。商店街もなく、これから開発が予想される地区だった。
20分ほど歩くと、ディズニー映画に出てきそうな太ったロケットのような銀色のドームのある
大きな建物が見えた。
そこがボンネファンテン博物館だ。
ここで、この街の文化と歴史を勉強しよう!
のぼるは館内に入った。
マーストリヒト周辺(リンブルグ州)で発掘された考古学的遺物、歴史を知るカギになる発掘品が
たくさん展示されている。
化石から中世時代の戦争グッズなど、時代の片鱗が少しだけ見えたような気がする。
まあ、全て英語で解説されているのでまったくもって読めないのだ。
雰囲気だけの世界だね。
この町は古代ローマ時代から、マース川を中心に栄えてきた。
「マーストリヒト」とは「マース川のほとり」という意味らしい。
ローマ軍の駐屯地になっていたので、それゆえに史跡が多いのだろう。
ちなみに、有名な物語「三銃士」の主人公ダルタニアンの最期となった地でもある。
ダルタニアンは実在の人物だったのか。へえー。
大昔、マール石という建築材料がこのへんで採石できたことで街は発展してきた。
その廃坑は郊外に現存し、観光名所にもなっているらしい。全長200?にも及ぶ巨大な
洞くつなんだって。
なんかしらんがナポレオンのイタズラ書きもそこに残っているらしい。
マースは、近隣諸国で戦争が起こるたびに占領され続けた街だったようだ。
この地理的特性から何度も他国に占領されたり、隣国への行き来の際に宿場町になっていたり
したためいろんな国の文化が融合した、いろんな意味で多国籍都市になっている。
この博物館には絵画を展示してある部屋もあるが、のぼるの期待したこの都市の風景画はなかった。
ほとんどがイタリア絵画や現代アートなどマースの歴史に関係ない絵ばかりだった。
それはそれで面白かったが。
2016/9/24 16:34 [1498-4896]
| ケネディ橋の下のスケボー広場 | 賑やかなストリート | 観光船の船着場 |
ボンネファンテン博物館を出た。
すぐ近くにマース川を渡る橋「J.F.ケネディ橋」が見えた。
なんつーネーミングだ。
橋を渡ると、その橋の下に造られたアスファルトの広場で数十人の少年たちがスケボーをして
遊んでいたのが見えた。
上手いもんだ。
のぼるも、もっと子供の頃にスケボーと出会えれば今頃どこかのストリートボーダーとして
人気者になっていたんだろうに。
などと徒然ない想いをしつつ、緑あふれる市立公園を歩いた。
小さな噴水があり、歩道にはたくさんのベンチがある。
この近くにあるリンバーグ大学の学生らしき若者が噴水と城壁跡のスケッチをしている。
たしか、この公園にある城壁のどこかで、ダルタニアンは処刑された、と聞いたな。
のぼるはベンチに腰掛け、タバコに火をつけた。
「あ、タバコがもうないや。どっかで買おう」
タバコを吸い終えると、のぼるは昨日ライモンくんと行ったレストランの地区へと歩いた。
小さな売店でタバコが売られている。
「LuckyStrike prease」
本来ならラッキーストライクはきつくて吸いたくないのだが、それかマルボロ以外に
知っているタバコがないから、仕方なかったのだ。
そういえば気付いたが、自動販売機はあまり見かけない。
タバコの自動販売機にかぎってはぜんぜん見かけない。
全て売店での販売だった。なんだろう、治安の問題でもあるのかな。
マリファナが合法だったりすごい自由のイメージが強い国なのに。コンビニもないし。
まあ、こんな中世ヨーロッパの面影を残すこの街でセイコマとかあったら
雰囲気ぶち壊しだな。
さて、どうしようかな。まだ夕方前、遊べる時間は残っている。
ふとマース川のほとりに立つと、観光船が南に向かって上っている。
ほほう、この近くに船着場があるのかな。
のぼるは観光船の来た方向へ向かった。
案の定船着場はすぐに見つかった。
「こりゃ、乗らなきゃウソだろ」
なにがウソなのかよくわからないが、のぼるは速攻でチケットカウンターで次の便のチケットをゲットした。
次の便まではまだ1時間くらい間があるので、のぼるは船着場と併設されたカフェで時間を
つぶすことにした。
「One beer prease」
マース川に突き出たベランダのようなオープンカフェ。川のそばのテーブルに座ると、
可愛らしいウエイトレスがビールを持ってきてくれた。
「サンキュー」
「You're welcome?」
「・・・Pardon?」
「You're welcome!」
まぬけな会話である。
彼女もまさか単純なお礼を聞き直されるとは思わなかっただろう。
少しするとのぼるの近くのテーブルに1匹のハスキー犬を連れた老夫婦が座った。
老夫婦はのぼると目が合うと軽く会釈をした。
「Hallo」
のぼるはチョビ(ハスキー犬)の前に立った。
「おー、かわいいなー。いいか、おすわり!」
チョビはすでに座っている。
「よーしよしよしよし・・・お手!」
のぼるはチョビに握手した。
チョビはなにがなんだかわからない顔をしている。
老夫婦はのぼるとチョビのやりとりを笑顔で見ていた。
「He is a clever dog」
老夫婦にチョビのことを誉めたら、二人は声を出して笑った。
「HAHAHA! Thank you boy!」
たしかに利口な犬だ。
ウエイトレスが運んできたポテトには興味を示さず、そのポテトを
老夫婦の手でチョビに向けてはじめてチョビは食べるのだ。
完全に主人に忠誠を誓っているかんじだ。
2016/9/25 18:00 [1498-4898]
| 川岸の豪邸 | 豪華できれいなマンション | 聖セルファース橋 |
そうこうしているうちに時間は過ぎ、クルーズ船の出航の時間になった。
観光船は隣の船着場に到着し、前の客がぞくぞくと降りていた。
のぼるは老夫婦にお別れをして船着場に向かった。
間近で見るとけっこう大きな船だ。
小さなフェリーてな感じだ。
乗船前に受付のおやじに記念撮影だとかいって写真を撮られた。
何に使うというのだ。
乗客はだいたい30人くらい。のぼるも船内に乗り込み、二人がけのテーブルに一人で座った。
英語のアナウンスが流れると、大きな汽笛を鳴らして船はエンジンの回転を上げた。
おお〜、いい感じいい感じ!
聖セルファース橋の下をゆっくりとくぐった。
ここで船内のウエイターが飲み物をオーダしに来た。
さっきビール飲んだから別にいいや、と言おうとしたが、他の客はみんな何らかの飲み物を
頼んでいる。
バカな! こーゆーとこの飲み物は決まって高いんだよ。サービス料が入るから。なのに
なんでそれでも飲みたがるのか! オレだけ頼まないとなんか仲間外れにされそうじゃねーか。
みんな踊らされている! いや・・・この場合踊らされているのはオレの方か・・・!?
仕方ない、一番安いコーヒーを頼もう。あ、アイスコーヒーにしよう。
「レイコー、プリーズ」
「What!?」
はああーっ! しまった! レイコーって日本語じゃねーか!(冷コーヒーの略。主に関西で使用)
「コホン・・・カフィ、プリーズ」
「OK,boy」
やかましい! ミスターと言え! 子供扱いすんな!
しかも運ばれてきたのはホットコーヒー。
しまったぁ、アイスだと言い忘れていた! うあー! なにやってるんだオレは!
「・・・」
冷静になろう。いいか、人間冷静さを失うと醜さだけが残るんだ。(誰に言っているか)
外の景色に集中しよう。
進行方向左手にボンネファンテン博物館が見える。さっき行ってきたとこだ。
進行方向正面にJ.Fケネディ橋が見える。さっき渡ったとこだ。
それをしばらく過ぎると左手にオートキャンプ場が見えた。
ひろびろとしたフィールドで、それぞれ自動車のそばにテントを張っており、これから
夕食でも作りはじめるか、といった雰囲気がひしひしと伝わってくる。
うおー。血が騒ぐ。
海外でキャンプツーリングとか一度やってみたいぜ。
それにしても船ってやっぱ好きやねん。岸辺から見た風景と趣が全然変わるよ。
岸にいると意外と気付かない部分とかあったりするからな。
もうしばらくすると、折り返し地点に接岸した。
このあたりになると街からだいぶ離れ、自然あふれる田舎風景が広がっていた。
ここは、博物館の中で説明した巨大な洞窟「聖ペーターズベルグの洞窟」の入口の近くだ。
洞窟への観光はこの船を使えば便利、というわけだ。
いまの時間では洞窟も閉館ちかくになっているので下船する客は誰もおらず、洞窟から
帰ってきた客が乗船してきただけだった。
船は岸を離れ、川を下っていった。
船がもとの船着場に到着すると、それぞれ下船をはじめた。
「う・・・!」
乗船前に撮られた写真が、船着場のボードに張られている。
しかも1枚200円くらいの金を取るというのだ。
もちろん買わなくても構わないのだが、これが買わずにはいられない。
見事な商魂。完敗だ。
さて、帰ろうか。今日のお遊びも消化しただろう。また明日にしようぜ。
のぼるはホテルへと歩を向けた。
そこで待ち受ける、今日最大にして最悪の出来事も知らずに・・・
2016/9/25 19:02 [1498-4899]
30分くらいかけてホテルに戻った。
あー、歩き疲れた。はやくシャワーでも浴びたいぜ。
のぼるはフロントで新しいカードキーを受け取り、部屋へ行った。
部屋のドアのカード差し込み口にカードを入れる。そうすればドアは開く。
・・・はずなのに開かない。
部屋を間違えたかな、とカードキーと見比べても間違いはない。
いったいどうなってるんだ!
のぼるはフロントへ戻ってジェスチャーを交えつつ必死に事情を説明した。
「だすけ、マイルームイズ、ノットオープン! オーマイガー!」
オーマイガーじゃないっすよダンナ。
フロントの女性は一応のぼるの言った意味を理解したらしく、パソコンを操作した。
「I'm sorry,Now you are safe.Prease open t
he room door」
といって再びのぼるにカードキーを手渡した。
これで大丈夫らしい。
のぼるは部屋に行って再びカードを差し込むと、今度はちゃんと開いた。
ああよかった。チキショー、コンピュータ管理してるなら、そのコンピュータをきちんと
制御しやがれってんだ! まったく!
とりあえずシャワーを浴びて、一息ついた。
だが・・・最悪の出来事というのは、このカードキー事件ではない。
こんなもんじゃ、ない。
「さてと、夕食にくり出そうか」
のぼるは一階へ降りた。
夕食はこのホテルのレストラン、アップルビーで食べようと今朝から決めていたのだ。
雰囲気がいいし、何より近いから。
レストランはとても賑わっていた。
ホテルの宿泊客だけでなく、地元住民と思える若者たちもたくさんいる。
ロックのBGMが流れ、半分バーと化している。
のぼるはカウンターに座ってメニューを眺めた。
メニューは写真付きだったのでそんなに難しくはなかった。
「May I help you?」
小粋なウエイトレスがのぼるに話しかけた。
とりあえずテキトーなワインとボリュームのありそうなパスタを頼むと、彼女は笑顔で「OK」
とカウンターの奥からワインを出し、グラスに注いでもってきてくれた。
「Thank You」
銘柄もなにもわからずに頼んだ赤ワインだが、ちょいにが系の実にうまいワインだ。
のぼるがニコニコしながらグラスを傾けていると、今のウエイトレスがニコニコしながら
のぼるを見ていた。なんだ、気があるのか?
「フ・・・お嬢さん、オレに惚れるなよ。ヤケドするぜ」
「?」
当然ながら言葉が通じない。どうせ通じないならマル禁サイレン鳴りっぱなしの放送禁止
マシンガントークをかましたろかと思ったが、いずれにせよ変態扱いされそうだからやめた。
カウンターの内側ではウエイターが注文の酒を次々と作っていた。忙しさの中にも楽しさが
あふれている。
BGMに合わせて踊りながらリズミカルにスクリュードライバーを作っていく。
トム・クルーズの昔の映画「カクテル」を思い出すねえ。
そうしていると、のぼるの注文したパスタがきた。
トマトピューレのたっぷりかかったきしめんパスタ、ポモドーロ。
そのわきにチキンライスが大盛り。
こりゃボリューム満点だ!
一口食べる。
う、む。けっこううまいが少々塩気が少ないな。
やはりオランダは全般的に薄味なのだ。
のぼるはパスタとチキンライスにペッパーを振った。
「む」
ペッパーが全然出ない。
ふつうのガラスビンに入った粗引きのブラック・ペッパーだが、よく見るとビンの穴より
ペッパーの粒が大きい。
そりゃ出るわけないでしょや。
「仕方ないな」
のぼるはビンのフタを取ってかけようとしました。
「あ」
勢いあまってビンの中のペッパーを全てぶっかけてしまいました。
「な・・・・・!」
のぼるは孤独に完全パニック状態となった。
大盛チキンライスの上に大盛ブラックペッパー!
いやそれかなりヤバいだろ!
ぶっかかったペッパーをスプーンで懸命に除去したが、かなりの粒がパスタにへばりついている。
やばい、これ以上はこそぎ取れない。
どうする、我慢して食べるか。
とりあえずパスタを一口食べてみた。激辛だ。
カレーは辛口派だが、これはそういう辛さではない。
まったくの別問題だ。しょっぱ辛いのだ。
焦りで冷や汗、辛さで脂汗がしたたる。
「ぼくは・・・とりかえしのつかないことをしてしまった・・・ララアーっ!」
仮にここでウエイトレスが決定的瞬間を目撃していたなら、笑い者にされつつも新しいものを
作ってもってきてくれたりしてくれそうなもの。
しかし幸運か不運か、ウエイトレスは他の客に気をとられていたので、この大惨事を知ってはいない状況だ。
見られていたならともかく、自らウエイトレスにこの間抜けな有り様を報告するのは人としての
プライドが許さない。
ここはぐっと我慢して、完食するのだ。
これは要望ではない。命令だ!
かくして激辛のパスタ&チキンライス完食バトルの火ぶたは切っておとされた。
一口食べるごとに口の中に激痛が走る。
水を飲むと逆効果だとわかっていても飲まずにはいられない。
生き地獄とはこのことか。
部屋に戻ったのぼるはすっかり生気を失い、ベッドに倒れ込んだ。
あしたのジョー状態であった。
2016/9/25 19:09 [1498-4900]
2016/9/26 21:39 [1498-4901] 削除
2016/9/26 21:41 [1498-4902] 削除
| ホテルの部屋からの風景 | 平和な街並み |
ACT.7 CROSS 3rd COUNTRY
朝が来た。
7:00に目が覚めた。胃がキリキリするためいつもより早く目が覚めてしまった。
内臓は昨晩のペッパーとまだ格闘しているのだろうか。まいったね。
それはそれとしてとりあえずカーテンを開ける。
「うお!」
雲ひとつない快晴!
これ以上ないくらいの天気だ。
窓からの景色が、昨日と比較にならないくらい最高だ。
昨日は雨のため見えなかった遠くの教会の十字架がはるか彼方に見える。
その向こうにはドイツに続くと思われる山々が連なっている。
これは、絶好の冒険日よりだろう!
のぼるは1階のアップルビーへ行って朝食にした。
ベーコン、いり卵、ハイジに出てくるようなコッペパン、カップケーキ、チーズ、ハム、
ミルクにコーヒー。
またもごっそりと食べる。
冒険の前の腹ごしらえだ。
エネルギー充填120%となったところで、波動砲でも軽く撃ちたい気分のまま部屋に戻った。
そして荷物をまとめ、9:00にチェックアウトした。
さらば、アップルパークホテル! 生きてる間にもう一度来れるかな。
「よっしゃあ、行くぜ!」
のぼるは気合いを入れて歩き始めた。
天気がいいと、街の風景までもアクティブに見える。
家が、草木が、道路を走る自動車までも全てが新鮮だ。
昨日の朝あれほどブルーだったのがうそみたい。
心から思った。晴れてよかった、と。
やっぱこうでなくっちゃね!
よーし、今日はバスに乗って国境へ行こう!
まずはvvvへ行った。
今日の宿を速攻で確保しておけば、行動が楽になる。
朝一番に行けば安くていいゲストハウスが楽勝でゲットできるはずだ。
vvvの受付のデリミタ(仮名)に話すと案の定、1泊朝食付き3500円の格安ゲストハウスを
紹介してくれた。
ゲストハウスとは、一般の家庭の一室を旅行者のために貸す、というものだ。
よし、安いから2泊しよう。
デリミタはさっそくそのゲストハウスにアポイントを取ってくれた。
予約したゲストハウスはここからすぐ近くにあるらしく、地図をおしえてもらい、
のぼるは早速外に出た。
この角を曲がり、突き当たりを曲がれば、ゲストハウスはある、はず。
なかった。
というより、わからなかった。
一般家庭の一室を貸すシステムならば、看板などの目印がないのは当然だ。
のぼるは付近の家々をしらみつぶしにあたったが、やはり見つからない。
デリミタが言うには、オーナーのクリーマおばさんが家の外に出て待ってくれているらしいのだが
それらしきヒトはどこにもいない。
仕方がない。vvvに戻ることにしよう。
のぼるはデリミタに助けを求めた。
「オレは現場へ行ったが、彼女(クリーマおばさんらしきヒト)はいなかったんだ」
と一生懸命英語で説明した。
デリミタは「仕方ないわね〜」という顔で再度ゲストハウスに電話してくれた。
「そこの椅子に座って大人しくしてなさい。クリーマ婦人があなたを迎えにきてくれるから」
デリミタはそうのぼるに説明した。
なんとも子供っぽい扱いをされ、非常に居心地が悪い。(自分のせいだろーに)
2016/9/26 21:38 [1498-4903]
| ミセス・クリーマ | 部屋の中で撮ってもらった |
10分ほどすると、少し太った感じのおばさんが店内に入ってきた。
彼女がクリーマ婦人らしい。
彼女もまた「しょーがないわねー」という顔をしていた。
のぼるはデリミタにお礼を言って店を出た。
おばさんと並んで歩く。
「あんた、出身は?」
彼女は英語で質問した。のぼるも必死に応対した。
「日本です」
「ふーん。スシトーキョーだね」
「・・・ははは・・・?」
「学生かい?」
「25才です」
「学生かい!?」
「違います」
「じゃ、サラリーマンだね」
「・・・そうです」
「なぜこの街に来たんだい」
「もう一度」
「なぜこの街に来たんだい」
「この街が好きだからです」
「それじゃ答えになってないよ」
「もう一度」
「それじゃ答えになってないよ」
日本語に訳すと非常に間抜けな会話である。
クリーマ婦人は一つの会話が成り立つたびに深いためいきをもらしていた。
彼女の心中はきっとこうに違いない。
やっかいな客を招いてしまった、と。
彼女の家はのぼるが行った通りのひとつ次の通りにあった。
どうやらのぼるが勘違いしていたらしい。
つくづくおっちょこちょいだ。
4階建てのレンガのマンションで最上階まで上がり、吹き抜けの中庭を通ると彼女の家に着いた。
なんだか不思議な感覚のマンションだ。4階が玄関で3階が居間でになっている。
「これが玄関のカギだ。あんたに渡すから。こうやって開けるんだよ」
「わかりました」
のぼるは玄関から入ってすぐの部屋に案内された。
「ここがあんたの部屋だよ」
「いい部屋ですね」
6帖ほどの部屋にテーブルとベッドと食器棚、そして洗面台。とりあえず2日くらいは快適に
過ごせる環境だ。
「朝食は何時がいいかい?」
「8時がいいです」
「わかった。じゃ、8時前にテーブルの前に皿とナイフとフォークを並べておくんだよ。
飲み物はコーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「コーヒーで」
「わかったよ。トイレは部屋を出てすぐにあるから、電気は必ず消すんだよ」
「おっけー。そうそう、あさっての朝、カギはいつ返せばいいのでしょうか」
「あぁ? カギはこうやって使えばドアが開くでしょ。わかった?」
「わかったわかった。で、カギはいつ返せばいいのでしょうか」
「カギはこうやって使うって言っているでしょーが。わかってんの、あハん?」
かなり血圧が上昇しているらしい。
顔を真っ赤にして説明している。
「・・・このカギ。いつ。あなたに返す?」
「ああ、そういうことかい。午前中ならいつでもいいよ」
「ではあさっての朝食のあと・・・9時にお返しします」
「わかったよ。それにしてもあんたの英語、まるでなってないよ。話にならないよ」
「ごめん。英語、でぃふぃかるとぉぉぉ」
「ま、あたしもあんまりわかんないけどさ」
この国の公用語はネーデルランド語。
英語はある程度わかる、という人がほとんどだ。
「これからどこへ行くの?」
「バスで国境へ行こうと思ってます」
「ははあ。いいねえ。気を付けて行って来るんだよ」
「ありがとう、ミス・クリーマ」
「おだてるんじゃないよ!」
婦人は笑いながら部屋を出ていった。
とりあえず英語がわからないなりに精一杯の会話だった。
婦人のごきげんもとれたし、まずはよかったよかった。
ラジオがある。音楽くらいはいつでも聴けるな。
それにしても質素な部屋だ。なんだかこの街の一般家庭を垣間見たようで、幸せだ。
この部屋でマースの残り2日間を過ごすことになった。
ようやくのぼるの希望通りの宿に泊まることができ、大満足だ。
婦人も話せばいいヒトそうだしね。
・・・そんなこんなで午前中がつぶれてしまった。
宿を確保するのに何時間費やしたんだ。
「さて、行くか、国境へ!!」
のぼるは軽装備で外へ出た。
おっと、カギはちゃんとかけて行こう。
2016/9/26 21:41 [1498-4904]
| ドリーランデンプントへ向かう途中 | 塔(展望台)から見た、アーヘンの街 | 行ってみたいねえ |
のぼるはマース駅前のバス乗り場へいった。
目指す国境のある地は、ドリーランデンプントというところ。
バスでファールスという地域まで行き、そこから徒歩で行く予定。
ファールス行きのバス時刻を確認し、駅のカウンターでバスのチケット(回数券)を購入した。
バスの乗り方が日本のシステムと違うのでちょっぴりドキドキ。
バスが来た。前乗り前払いだ。運転手のおやじにチケットを渡し、行き先である「ファールス」
と言うと、そこまでの券をやぶいてくれた。
のぼるは後方の座席に座った。あとはほっとけば終点のファールスまで連れていってくれるはずだ。
同乗者は5人くらい、とてもゆったりしている。
間もなくバスが発車した。
そういえば、保育所に行っていたガキの頃、将来の夢に「バスの運転手」と書いたことがある。
理由は若い保母さん(山口さん。実名)を送迎したかったから。ガキの頃からマセてたねー。
それはともかく(何を狼狽しているか)景色は最高だね。
マースの街を離れると民家はいきなり激減し、畑や草原の続く丘陵地帯になっていく。
このへんの民家は田舎の好きなお金持ち、というイメージがある。
家は当然、庭も車庫も大きくてきれいなところが多い。
いーなー!
こんなところに暮らせたら、どんなに幸せだろうか。
対向車にトヨタのイプサムを見た。しかし「ピクニック」という車名になっていた。
のぼるの愛車テリオスも見た。自分の車が海外で見れるととても嬉しいね。
自分がインターナショナルな感覚になれる。
自分がまだ行ったことのない土地へバスに揺られて連れていかれる、ドキドキの好奇心と少しの心細さ。
最近忘れてかけていた感覚だ。
これが、旅における「心」の醍醐味だね。
心が洗われるというか、本当の意味でリフレッシュさせられる。
専門学校のころから毎年のように一人旅をしてきたが、このような「言葉も知らなければ
知り合いも誰一人いない土地」でふらふら旅ができ、かつそんな精神的余裕ができるように
なったのは、知らずのうちにけっこう成長してたんだな、と我ながら思う。
単に開き直っているだけなんだけどさ。
45分ほどで終点のファールスに到着した。
ネーデルランド、ベルギー、ドイツの三国の交通の要所として栄えた、小さいながらにぎやかな街だ。
ドイツのアーヘンへと続くメインストリートに沿ってカフェやホテルが並んでいる。
メインストリートの両側を眺める。南はベルギーへ続く山のような上りの丘陵、北はドイツへ続く
谷のような下りの丘陵。
風車もあるしまるで実物大の風の谷だ。
ガンシップでも飛んでいたら本物だね。
この街にもvvvがあったが、目的地であるドリーランデンプントは地図で見てわかったから
立ち寄ることはしなかった。
寄ったところでコミュニケーションに費やす時間は計りきれないしね。
「よし、行くぞ!」
のぼるは南の上り坂に向かって歩き始めた。
立て看板に「Drielandenpunt」と書かれた矢印に沿って歩けばいいだけだ。
ドリーランデンプントとは「三カ国の点」という意味で、その名の通り三国の国境の交わるところだ。
目に見える国境って、日本にないからね。一度は見たいさ。
のぼるはひたすら歩く。
上り坂に沿って民家が立ち並ぶ。
だんだんと家が少なくなって森が広がってくる。
汗がだくだく出てきた。
でも気持ちいいね、ハイキング気分だ。
30分ほど登ると20〜30メートルほどの高さの巨大な木の塔が見えた。
展望台だ。登ってみよう。
塔の下には小さな売店があった。塔に登るにはこの店の主人に2ギルダー(150円くらい)を
払わなくてはならないらしい。しょーがねーなー。
のぼるは1ギルダーのコインを2枚、駄菓子屋のような店のおばちゃんに渡し、塔に登った。
のぼるは勝手にこの塔を「風の塔」と名付けた。登りながら、のぼるはドラクエ2の塔のBGMを
口ずさんでいた。臨場感抜群だ。ここでマンドリルとか出てきたら戦っちゃうよ。
オレそーゆーヒトだから。(ここでBGMはボスのテーマに変更する)
最上階に到着。誰とも戦ってはいないが、体力は疲れてひん死に近い。
だが、いい景色だ。
ドイツのアーヘンらしき都市がはるか彼方に広がっている。すげえ。
「ソロモンよ、わたしは帰ってきたー!」などと絶叫したくなるね。(意味不明)
地上へ戻った。ゲームならば最上階から飛び下りればすぐに外に出れるが、現実にそれをしたら
人生のゲームオーバーになってしまう。
しかもコンティニューきかないよ。
そういうことを考えるとゲームは少し恐ろしくなる。
面白くするために制作者の御都合主義でつくる世界なわけだからね。
つまり面白ければ面白いほど現実との隔たりがある。そのギャップを正確に認識できないヒト、
世の中に意外と多いのでは、と思う。認識できないのか、したくないのかは別問題として・・・
すっかり別の話になってしまったが、のぼるはさらに林の小道を進んだ。
いちおう、ドリーランデンプントは観光地らしく、小さなカフェとホテルが2件ほどささやかに
あった。送迎バスなんかもあって日本でいえば料亭とか旅館みたいなかんじだ。
上り坂はこのへんまでだ。ここからはなだらかな平地が続く。
林のわきに自然の花畑があり、とてもいい感じ。
ハイジがバク宙でもしそうなきれいな花畑だ。
2016/9/26 21:53 [1498-4905]
| ここが3国の国境 | オランダ最高峰の碑 | ここらへんでスプライトとランダムは出会った | スプライトが昼寝をした理由がよくわかる |
間もなく大きな駐車場が見えた。
どうやら目的地ドリーランデンプントに到着したようだ。
自然公園といった感じで、芝生が生えている広場にいろんなモニュメントがある。
そのモニュメントのひとつに「ネーデルランド最高峰」の碑があった。
ここは三国の中点であると同時にネーデルランドのいちばん高い地点でもあった。
ここに来てはじめて知ったよ。
とはいえ、海抜322.5メートルしかないんだけど。
マースから乗ったバスを含めずいぶん高いとこまで来たかな、と思っていたが、
こうしてみると大した高度じゃない。いかにこの国全体が低い位置にあるか、ということが
よくわかった。
そのもう少し奥に、あこがれの国境はあった。
50センチメートルほどの高さの円柱に「ネーデルランド」「ベルギー」「ドイツ」のそれぞれの
国境が分断されている。
ここが三国の中点、ドリーランデンプントだ!
円柱のまわりにはそれぞれの国旗が掲げられていた。
国境が分断されてるとはいっても、有刺鉄線とかベルリンのような壁などは一切ないし、
パスポートチェックもない。それぞれの国がお互いに信頼しあっている証拠ではないだろうか。
テレビのニュースで、インドとパキスタンの国境が緊張とかいう報道がよくあるが、ここでは
そんな緊張は一切ない。
まったく、同じ人間同士を認め合えない宗教のどこに意味があるのだろう。
「・・・」
知恵熱が出てきたところで休憩しよう。
のぼるは露店でフライドポテトとビールを買ってテーブルに座った。
フライドポテトは注文してから揚げるので、少し時間がかかったがとても美味しい。
マヨネーズのディップはクセになるね、ほんとに。
本当にいい天気。来てよかった。
しばらく休み、16:00に出発した。
ファールスまでのバス停までの帰り道、今度は違う道を歩いてみた。
民家を少し外れた畑の続く緩い下り坂。とても絵になるね。
花畑とかあって、そのど真ん中で大の字になって昼寝をしたくなる。
畑のど真ん中に一本生えた、ささやかに茂った樹がいいアクセントになっている。
数十年後には大きな菩提樹になるかな。そしたらもっとカッコいいなー。
いろんな想像をしながらのぼるはバス停に向かった。
バス停にはタイミング良くマーストリヒト行きのバスが停まっていた。
のぼるが乗り込むと、間もなく発車した。
1時間に1本あるかないかのバスだったので運がよかった。
いやー、歩き疲れた。
のぼるは窓を開けて風を浴びた。
いつのまにか眠ってしまったようで、気付いたらマース駅に到着した。
風があまりに気持ちよくて、すごい熟睡状態だったらしい。
のぼるはバスを降りてマース川に向かった。
「ん〜、充実した一日だった。夕食は何を食べようかな」
適当なレストランを探して、聖セルファース教会と聖ヤンス教会の前のフライトホフ広場についた。
「ん?」
なんだか様子が昨日と違う。
広場の片隅に露店が4〜5件ほど出ているのだ。
もう夕方なので店仕舞いの露天もあったが、1件だけはまだ営業している。
なんだか珍しいベトナムの春巻の店だった。
「へえ。なんかうまそうじゃん。よし、夕食は春巻で決まりだ」
のぼるは店のベトナム人のおやじに野菜春巻を2本、その場で揚げてもらった。
ついでにジュース(スプライト)も買って、店を離れようとしたら、
「Are you Japanese?」とベトナム人のおやじに聞かれた。
すこし躊躇したが「Yes」と素直に答えると、
「ハハン! You are my friend!」と言ったあとに「どもありがと」と日本語で話した。
「どういたしまして!」
と日本語で返したら、笑顔で手を振ってくれた。
外国人が日本語をしゃべると、想像以上にびっくりする。
特に海外で日本語に出会うととても新鮮だ。
のぼる自身、最初から相手は日本語など話すわけないと思わなければやってられないので
ちょっとした日本語でも非常に嬉しいものだ。
今朝クリーマ婦人が「スシトーキョー」と言ったのも、実はちょっと嬉しかったのだ。
ただ、いやな話になるが、スリなどはそういう心のスキを狙ってくるので財布の管理だけは
メチャクチャ厳重にしていなければならない。
さて、のぼるは広場の片隅にあった誰かの銅像の下に腰掛けて春巻を食べた。
パリパリの皮の中に塩味の野菜いためがぎっしり入っている。
チリソースにつけて食べるとあつあつでうまい。
2本で腹いっぱいだ。満足満足!
フライトホフ広場の周辺をそれとなく歩いてみると、偶然だが日本のアンティークショップを
見つけた。
ショーウインドウに浴衣が飾られており「ZAZEN-KIMONO」と書かれてある。
なんでやねん! とつっこみをいれたくなったが、まあ海外から見た日本文化なんてえてして
へんてこりんなもんだろう。
のぼる自身隅から隅まで理解しているわけじゃないし・・・
19:00。各教会の鐘の音をバックにゲストハウスに戻った。
マースは、これから夕暮れに向かう・・・
2016/9/26 22:07 [1498-4906]
| ゲストハウスの部屋からの風景 | 子供たちが玉蹴りをして遊んでいた |
ACT.7.5 MIDNIGHT WALK
日本ではもう暗くなっている時間なのに、ここではまだ夕暮れくらい。
子供たちも外でキャッキャ言いながら玉蹴りをして遊んでいる。
平和なもんだ。
ていうか、この旅では延々と歩いてばかりいたので、とにかく疲れた。
すこしベッドで横になるとしよう。
・・・・・
真夜中に起きた。
時計は1:30だって。よくもまあ、こんな深夜に目が覚めたものだ。
原因はふたつある。
一つめは、早く寝すぎたこと。20:00に部屋の明かりを消し、速攻で熟睡したのだ。
だから今くらいの時間に目が覚めてもおかしくはない。
二つめは、えらくノドが乾いたこと。
布団は暑くもなく寒くもなく快適だが、気候のせいか夕食のチリソースが効いていたのか、
ともかく異常に水分を求めた結果目が覚めたのだ。
前日泊まったアップルパークホテルでは各階にジュースの自動販売機があったので、その点では
どうにでもなったが、このゲストハウスではそうはいかない。
水道はあるが、できるだけ飲みたくないのが本音。
どうする・・・
「出るか・・・外へ・・・」
のぼるは英断した。
飲み物を求めて夜の街を歩くことにした。
着替え、財布から札を1枚だけ持って外に出た。
「う・・・」
寒い!
昼間は天気がよければTシャツで行動できるのに、夜は長そでのジャケットを着ても寒い。
慌てて部屋に戻ってトレーナを中に着てきた。それでも寒い!
いまの気温は10℃だって。ひー!
のぼるは飲み物を求めて街を彷徨った。
もちろんいたずらに徘徊するつもりはない。
昼間歩いていたときに自動販売機の設置してあるポイントを覚えていたので、
行き先ははっきりしていたのだ。
しかし、昼間あったはずの自動販売機は、夜になると例外なく全て店内に格納され、
堅い扉に錠をされていた。
ウソだろー。
日本のジュースの自動販売機は完全据置き型が当たり前だし、なによりそんな重い販売機を
毎朝毎晩店の外に出したりしまったりするのは面倒くさいだろうに。
のぼるは完全にあきらめた。
目の前にマース川に掛かる聖セルファース橋が見えた。
ガス灯の明かりがとてもいい雰囲気だ、と思っていたらまわりは全てカップルだらけ。
夜になるとここは恋人たちのスポットになるわけか。
「向こうのJ.Fケネディ橋の明かりが水面に反射してきれいね、ランダム」
「フッ、きみの方がずっと綺麗さスプライト」
「寒いわ・・・凍えちゃう」
「オレが暖めてあげるよ」
「寒いのは気温じゃないわ。あなたのギャグのことよ」
「ギャグじゃねっての。オレは本気できみのことを・・・」
「あたし(インドに)帰る」
「そりゃねーぜセリョリータ!」
「つまんないわ。Death!」
「デ・・デスですかぁ!?」
「Deathです!」
なんていう会話がささやかれているのか。(どういう会話だ)
それにしてもマジで寒い。
仕方ないから帰ろうか。
夜の通りに出るだけでもけっこう無謀なことしてると自分でも思う。
明日の夜はジュースの1本でも部屋に置いておいたほうがいいな。
ゲストハウスに帰ろうとしたとき、バーらしきお店が開いているのを発見した。
「ラッキー、こんな時間でもやってる店あるんじゃん」
ジュースといわずビールにありつけそうだ。店内には客も1人いる。
のぼるは店内に入り、速攻で「One beer Prease!」とマスターに頼んだ。
しかしマスターは「I'm Sorry」と言って両手を胸のあたりから離すジェスチャーをした。
閉店だと言いたいのだ。最後の客も立ち上がって支払をしようとしている。
「そんな・・・頼むよ、One beer Prease! 一杯だけ!」
しかし拒否され、仕方なくのぼるは外に出た。
寒い・・・世間の風ってやつが・・・うう・・・
のぼるはみじめな気分で自分の部屋に戻り、水道水を祈るように飲んだ。
「どうか当たりませんように」
そして再び深い眠りについたのであった。
2016/9/26 22:15 [1498-4907]
| 聖ペーターの砦からの風景 | カフェテリア貸切だぜ♪ | 朽ちた城塞跡。ラピュタみたい |
朝だ!
7:50に目が覚めた。やばい、もう朝食の時間だ。
急いでテーブルを片付けて皿やフォークを出して朝食の準備をした。
間もなくクリーマ婦人が朝食を持ってきてくれた。
「おはよう」
「おはようございます」
「朝食はこんなんで足りるかねぇ」
「もう一度」
「これで満足できるかっての?」
「問題ない」
「じゃ、食べ終わったらトレーごと廊下に出しておきなよ」
「アイ・マム」
婦人は出ていった。
さあ食べようか!
茶色の食パン、コッペパン、スライスチーズ3切れ、生ハム数切れ、そしてコーヒー。
昨日のホテルほど豪華ではないが、考えてみれば朝などこれくらいで充分だ。
マーマレード・ジャムをコッペパンに塗りまくってかぶりつく。うまい。
チーズとハムを食パンにのせてむしゃぶりつく。うまい。
コーヒーをノドを鳴らせて飲む。熱い!
お腹いっぱいになったところで本日のスケジュールのミーティングをしよう。
明日は朝一番でアムステルダムへ戻るため、今日がマースでくつろげる最終日となる。
というわけで、本日はマースの街を徹底的に歩きつぶそう。
のぼるは適当に決断し、外に出た。
まずはふたつの教会の前のフライトホフ広場に行った。
行ったところで意味は特にないのだが、マース散策はここから始まるような気がして、
とりあえず来てみたのだ。
広場の周辺のカフェは、まだ朝だってのに観光客がビール片手に賑わっている。
日本なら「いい生活してるよなー」などと上司にイヤミ言われそうなシチュエーションだ。
本心ではのぼるもあの集団の中に入ってゴイゴイとビールを飲みたかったが、そうもいかない。
街が、オレを呼んでいるからな。(酔ってるか?)
広場を過ぎ、しばらく歩くと、中世ヨーロッパを忍ばせる巨大なレンガ造りの門が見えた。
「地獄の門」というのだそうだ。
なんとも重厚なネーミングだ。この国最古の門なんだそうだ。
修羅の門はないのか、と思ったがなかった。「裏蛇破山 朔光」「ぬうう」「おおお」
その先にペストハウスなる建物があった。
ペストという伝染性の重病がヨーロッパ中に猛威を振るっていた当時、患者は「地獄の門」を
通ってそのペストハウスに隔離され、そこで死だけを待った・・・。
そんな凄惨な過去がここにはあったらしい。
そんな身の毛もよだつ場所も、今では市民にやすらぎを与える美しい公園になっている。
うーむ。なんだか恐い。
過去もそうだが現在もだ。
ペストを大流行させたネズミも今では千葉の埋め立て地でパラパラ踊ってるし、
時の流れというものは罪深いものなのかもしれない。
城壁に沿って公園を歩く。
途中に階段があり、そこから上にあがることができた。
まるでミニチュア版の万里の長城だ。
その途中には本物の砲台があったり(もちろん撃てないが)して、大戦当時の様子が生々しく
残っていた。
マースは国内でも有数の激戦区だったんだろうな。
城壁を後にし、のぼるは郊外へと歩いた。
ちょっとした観光名所「聖ペーターの砦」と呼ばれる丘に行くのだ。
緩やかな登り坂を淡々と歩くと、砦はあった。
「聖ペーターの砦」それは中世の時代からのマースの最終防衛ラインであり、そこを突破されたら
もはや街の平和は風前の灯となる、この街にとって非常に重要な拠点なのだ。
砦は頑丈にレンガで造ってあり、いたるところに砲台が設置されてあった。
砦というよりは基地というイメージが強いね。
で、この平和な時代になり、この砦は・・・内部を改装され、カフェテリアになっていた(笑)
のぼるは店に入り、窓際のテーブルに腰掛けた。
ミニスカートのメイドルックがよく似合うかわいいウエイトレスがメニューを持ってきた。
「One beer prease」
ウエイトレスは元気よく「OK」と言ってグラスのビールを持ってきてくれた。
うまい!
このビールは「アムステルビア」という地ビールで、コクがあるのにキレがある、
とてものぼる好みのビールだった。
「うむう、たまんねー。May I have another One?」
「OK♪」
ウエイトレスはスマイルで2杯目を持ってきてくれた。
のぼるの他に客はいないので、さっきまでヒマだったのだろう。
いやー、ビールはうまいしウエイトレスはかわいいし、景色も最高。
言うことなしだ。
ここが昔、激戦の現場だったことなど思わず忘れてしまう。それは悲しいこと
なのかもしれないが、悪いことではないだろう。
現代のここは平和で楽しく飲める場になった。
そこで楽しく飲んで何が悪いことがあろうか。
街の景色がここの窓から見える。
鋭角の屋根が多々並ぶ中にひときわ高くそびえる聖ヤンス教会の塔。
やっぱ街のシンボルだわ。迷ってもあの塔を目指せばたいていどうにかなるしな。
カランコロンとどこかの教会が12:00の鐘を鳴らしていた。
ああ、どこかの世界名作劇場の世界に迷いこんでしまったようだ。
そのへんでポリアンナが「チップマック〜」と叫びながら跳梁跋扈していたとしても
まったく違和感がないだろう(いや、アレはヨーロッパではなくアメリカの物語だが・・)
そうか・・・子供の頃に憧れたこういう景色は、ハウス食品提供の世界名作劇場を
毎週観ていた影響が強かったのだろう。
現在ですら「牧場の少女カトリ」や「ブッシュベイビー」のDVDが出たらマジで買おう
と思っているくらいだから、その想いは本物なのだ。
そんなへっぽこな想像をしているとは、ウエイトレスは思いもしてないだろう・・・。
「さてさて、もう行かなきゃな。明日にはもうこの街ともお別れなんだ・・・」
どこかで聞いたセリフをつぶやきつつ、のぼるは店を出た。
さて、今度はどこを探検しようか。
ささやかに砦をぐるりと1周してみると、のぼるは小さな歩道を見つけた。
明らかに観光客用の道ではなく、知るひとぞ知るといったけもの道だった。
2016/9/27 21:51 [1498-4908]
| 丘の上からのベルギーの街並み | ひつじ牧場 | 何気ない原っぱでさえも感動 |
「これは・・・」
もう行かずにはいられない。
ガキのころ裏山でドロにまみれながら探検ごっこをしたときの記憶が鮮やかに蘇る。
血が騒ぐとはこのことだろう。
森の歩道を草をかき分けながら進んだ。
どこへ続く道なのかわからないし、下手をしたら迷ってこの森から出られなくなるかもしれない。
「だったら戻れ!」と心の中のもう一人ののぼるが叫ぶが、そうもいかない。
この先に素晴らしい景色が待っているかもしれないからな。
今戻ったら後悔しちまうよ。
5分ほど進むと、開けてきた。そこは・・・
マジで素晴らしい景色があった。
丘の上の広大なひつじ牧場。
柵などなく、自然の芝生の中で20匹ほどのひつじがのんびりとしている。
まるでベイブ(実写の小ブタがしゃべるアメリカ映画)の世界だ。
丘の外れからはベルギーの街並みが見える。
やっぱこうこなくっちゃね。来てよかった。
すげぇいい眺めだ。
「とーとーとーとーとー」
ひつじのふかふかした毛並みに触れようと彼等に近付くと、集団で遠ざかる。
「とーとーとーとーとー!」
こっちが走って追いかけると向こうも走って逃げる。
常に一定の距離を保つようになっているようだ。
警戒心が強いのね。はぐれメタルか。北海道のひつじはもっと人なつっこかったぞ。
やっぱ英語で語らないとだめなのかな(そういう問題か)
のぼるはモフるのをあきらめて先に進んだ。
丘を下ると広い畑の一本道に出た。
これもまたなんともいえないシチュエーションだ。
フランダースの犬の、アントワープの街に続く一本道のようだ。
「うおおー、ネローッッっっっ!!」
思わずあのラストを思い出してしまった。
あれは生涯忘れられないクライマックスシーンだよ。
一本道の途中で森に続く小道を見つけた。
軽自動車がやっと通れるくらいの道だ。
やっぱり行かずにはいられない。
とうきび畑(だと思う)の間をてくてく歩いて森へ入っていく。
ひんやりとした空気が気持ちいい。
・・・などと思っていたのもつかのま、今度は行き止まりだった。
正確には、先に進めなくなっていた。
トンネルらしき入口に巨大な門が築かれており、厳重に錠がされていたのだ。
「おや」
門になにか文字が彫られている。
「Grotten St. pietersberg」だと。
ここが聖ペーターズベルグの洞窟の入口だったのだ。
噂ではこの洞窟は全長200キロメートルもある。
このためいくつもの入口がいたるところにあってもおかしくない。
むしろ当然だ。ここは観光客用の入口ではないが、立派な迷宮への入口だ。
えてしてこのように封印された迷宮にはお宝財宝が眠っていそうなもので、興味半分で探検したいが、
全長200キロと聞くとシャレにならない。
一度迷ったら絶対外には出れないだろう。運よく王女が捕われている部屋を見つけても、
番ドラゴンに見つかり「しかし逃げられなかった」の連続で炎の攻撃を受けたりしたら即死もんだ。
リレミトの呪文が使えるわけでなし。死んだら自動的に教会に瞬間移動されるわけでなし。
持ち金が半分にされ「おお、のぼるよ死んでしまうとはなにごとだ」などと神父にイヤミいわれる
だけなわけでなし。
「いやはや、霊験あらたかな洞窟(の入口)でしたな。さ、次行きますか!」
すっかりビビったのぼるは来た道を戻った。
もとの一本道に出てしばらく歩くと、小さな教会を見つけた。
最近建てられたようできれいな教会だ。
街の聖ヤンス教会や聖セルファース教会のように古くて大きくはないが、この田園風景に
マッチした素敵な教会だ。
教会のわきには多くの十字架が掲げられている。日本でいう田舎のお寺のノリだね。
ここでも大晦日の夜にキャンプファイヤーとかやってワラ人形をその火の中に投げ入れ、
そのあと酒盛りしておみくじで締めるのが風習なのかな(日本人が日本文化を曲解すんな)
2016/9/27 22:02 [1498-4909]
ちなみに、だが。
先ほどビールをいただいた「聖ペーターの砦」もStep Up!で出てきてます。
ヒロインのスプライトがバイク組み立て間近というところで、気分転換にここに来て
気持ちを整理した、というシーンです。
その直後から暴走バイクとのチェイスのシーンになっていくところですな。
しばらく歩くとマース川のほとりに出た。
川に沿って北へ歩けば街に戻れる。
川のほとりの住宅地を眺めながら歩く。
ベランダがすぐマース川になってる家。なんだかすごいね。
玄関開けたら2分でジェットスキーができる。マルサが来ても速攻で逃げられる体制がとれる。
10分くらい歩くとJ.Fケネディ橋の下をくぐった。
その先はいつも知っている公園と聖セルファース橋へ行くので、もう少し冒険するために
内陸方面へ歩いた。
マースでもまだ歩いたことのないところはたくさんあるからな。
一般のヒトが生活していると思われる住宅地のエリアだ。
バイク屋や小さな雑貨屋など生活感あふれるストリートを歩いた。
うむう。庶民的でワンダフルでエッセンシャルでドモホルンリンクな感じじゃないか。
(超絶意味不明)
そんなこんなで森永チョコボールのキャラクターのようにキョロキョロしながら歩いていたら、
知らぬ間に大変な事態になってしまった。
迷ったのだ。
来た道もわからない。迷ったときの頼りの綱である聖ヤンス教会のシンボルの塔も見えない。
どうしよう。
とりあえず、歩き続けた。
住宅地は、一度迷うと永久に迷い続けるのではないか、と錯覚させられるほど同じ景色がリピートする。
これは日本においても同じ。
以前のぼるは引越ししたばかりで迷ったという恥ずかしい過去を持つが、根本的に
方向オンチなのかもしれない。
「やべーな。バグってんじゃねーか。セーブしたとこまで戻れないかな」
どこでセーブしたのか、とつっこみを入れてくれる合方もいないままのぼるは途方に暮れながら
トホホーと歩いた。
夕方。
なんとかやっとのことで朝のフライトホフ広場に辿り着いた。
身も心も疲れ果て、広場の銅像の下に腰掛けた。
「やれやれ・・・これでマースでのイベントは消化したかな・・・」
本当に楽しかった。毎日10キロ以上は歩いていたので足がかなりイカれているが、
歩けば歩くほど楽しいところ、楽しいことがあり、辛いと思うことは全然なかった。
ほとんどが、気付いたら疲れてた、
という状態になっていたのだ。これが無我夢中モードというやつか。
アインシュタインの相対性理論の原理では、夢中状態では時間が早く進み、
うらぶれ状態では遅くなる、という。
まさにそれだ。
本当にこの4日はあっという間だったね。
フライトホフ広場のそばにあったファーストフードでポテトとチキンのくし焼きセットを
テイクアウトし、ゲストハウスに戻って食べた。
夕食にしてはなんだか質素に思えるが、これが意外とかなりのボリュームだった。
スプライトを飲みながら出窓の景色を眺めた。
いまは20:00。ようやく太陽が西に沈みかける黄昏どき。
前のマンションの前でまた子供達がサッカーをしている。
日照時間が長いと、それだけ遊ぶ時間が長い。うらやましいね。
さてさて、明日はアムステルダムだ。
そして明後日には帰りのフライトとなる。
名残惜しいよ、まったく。
のぼるは荷物をまとめ、明朝すぐに出発できるようにスタンバっておいてから眠りについた。
2016/9/27 22:16 [1498-4910]
ACT.9 LIBERTY TOWN AMSTERDAM
マーストリヒトと別れの日が来た。
顔を洗い、着替えるとクリーマ婦人が朝食を持ってきてくれた。
「今日はどこへ行くの?」
「アムステルダムです。明日日本に帰るので」
「そうかい。わたしもいつか日本とやらに行ってみたいねぇ」
「もう一度」
「わたしも日本に行きたいっちゅーてんじゃいや!」
「では一緒に行きましょうマダム」
「冗談は顔だけにしときな。じゃ食べたら食器を廊下に出しておきなよ」
「アイ・マム」
メニューは昨日と同じだった。
のぼるはマース最後の食事をよく味わって食べた。
それはあたかもこれから監獄へ閉じ込められてしまう最後の晩餐のような感覚だった。
それほどマースとこの宿の居心地がよかったのだ。
「来て良かった」という想いを通り越して「帰りたくない」という想いが駆け巡った。
ま、仕方ないやね。
この街でどっかのガレージ探してそこで暮らすとかいうどっかの物語じみた展開なんてないし、
仮にあったとしても言葉の壁のせいで職にも食にもありつけなくなるのは簡単に想像できる。
現実は冷たいもんさ。
出発の準備が整った段階でクリーマ婦人が部屋の鍵を取りに来た。
のぼるは婦人に鍵を手渡した。
「2日間、お世話になりました。本当にご親切感謝します」
「やだねえ、そんな言葉どこで覚えたんだい」
「もう一度」
「・・・いや、そんなことより、アムスの宿は決まっているのかい?」
のぼるは情報誌「地球の歩き方」のアムスのページを婦人に見せた。
「予約はしてないけど、このドリアホテルという宿にしようと思ってます」
「ふうん・・・ちょっと待ってな。そのホテルに電話して部屋が開いてるか確認したげるよ」
「ありがとう。助かります」
クリーマ婦人は電話をかけに階段を下っていった。
なんてこった。すげーいいヒト。
なんだかんだいっても優しいね。
やっぱ泊まるなら多少不便でもゲストハウスが一番だ!
ふつーのホテルじゃこんなことやんねーもんな。
婦人が戻ってきた。
「部屋はたくさん空いているから予約の必要はないよ。いきなり訪問すれば泊めてくれるってさ」
「もう一度」
「いきなり行ってオッケーだっちゅーの!」
「わ、わかりました」
「でも1泊120ギルダー(8000円くらい)もするねえ。他にもっと安くていいホテルが
あるんじゃないかい?」
「(何度か聞き返した後)うーん。そうかもしんない。とりあえずアムスのvvvで斡旋してもらうよ」
「それがいいね。アムス行きの特急インターシティはマース発10:31だ。そろそろ出発したほうがいいね」
「わかりました。それでは、お世話になりました」
「気を付けて楽しんでおいで」
「いろいろ親切にしてくれてありがとう。また会いましょう」
「ああ。そのときはたくさん英語覚えてきな」
のぼるはクリーマ婦人と別れ、外に出た。
この街にいた4日間、ぜんぶこのゲストハウスで泊まれていたらよかった。
安くて、メシはちゃんとあって、街に近くて、そして親切。
こんな宿はめったにないよ。よかったよかった。
のぼるは通りに出て、駅へ向かった。
聖セルファース橋を渡る。
マース川もこれで見納めか。
駅前通りでは市場が開かれていた。
のぼるはそこでスナック菓子とビールを買っていった。
アムスまでは電車で2時間半くらいかかるから、おやつ持参だ。(オヤジくせえな)
マース駅でアムス行きのチケットを購入すると、すぐに電車はホームに来た。
今度こそ2階建てか、と期待していたが1階建てのノーマルタイプだった。残念だー。
座席に座ると電車は動き始めた。
「また来るぜ、マーストリヒト・・・」
もう来れないかもしれない、と後悔するのではなく、次また来るために努力をしよう。
のぼるはそう思った。
しかし旅はまだ終わってはいない。今日はアムステルダムでいろいろ見るんだ。
初日にアムスの駅周辺だけは見たが、あのときは宿が取れるかどうかの切迫した状態だったから
ろくに覚えていない。今回はきっちりといろいろ見てまわろう。
自由の都市アムステルダム・・・世界中から冒険者が集う自由の聖地。
そんなフレーズを聞くと血が騒いで仕方ない。
インドから徒歩で歩いてきた旅行者がいても、不思議じゃないよ。
アムスでは何をしようか、とのぼるは情報誌をペラペラめくる。
車窓からは田園風景が広がっていた。
13:00アムステルダム中央駅に到着した。
この国のいちばん外れにあるマーストリヒトからアムスまで2時間半だから、
いかにこの国の面積が小さいかわかる。
大きさ的には九州と同じくらいなんだそうだ。
ユーラシア大陸の一部だから、すっげーでかい国なんだろうと思っていたが、
面積的にはそんなに大きいところではないみたいだ。
で、アムステルダムだが、13世紀にアムステル川の入り江にダムを作りそこに人々が住みはじめた。
それが現在のアムステルダムのはじまりだ。
港町として発展したアムスは、自由の都市として、各地で迫害された人々を受け入れていった。
港町として世界一に発展したアムスは、世界の物資が集まり、世界を見聞した人々の見識が
より街を「自由」「寛容」「合理的」に育てていったという。
第二次世界大戦、この街はドイツに占領されつつも、不条理な権力を嫌いユダヤ人を危険を
冒してまでもかくまった。
「アンネの日記」の現場でもある。
そのスピリットは現代において、またのぼるの目においてどう映るのだろうか。
2016/9/28 21:50 [1498-4911]
| アムステルダム・セントラルステーション | 駅前のストリート | ダム広場の戦没者慰霊塔 | ドリアホテルの部屋 |
のぼるは駅のホームに降りた。
駅を出る前にvvvで宿の手配をしよう。
まだ昼過ぎなので宿はどこでも空いているはずだが、手配だけは早く済ませたほうがいいからな。
先日お世話になったファンタがいた。
彼女はのぼるを見て「Oh!」とびっくりした。
のぼるのことを覚えていたようだ。
ま、記憶力がいいというよりは閉店間際のやっかいな客として心に残っていたのだろう。
「この間はお世話になりました」
「あの後どーなったの? ちゃんとホテルに着けた?」
「もちろん。いい旅ができたのもあんたのおかげさ。愛してるぜ」
「そっかー、よかったね。今日は?」
スルーかよ。
「そうそう。今日の宿を手配したいんだ」
「条件はある? 金額とか、朝食付きとか、駅から近いとか・・・」
「特にないけど、こんな感じのホテルがいいかな」
のぼるはファンタに「地球の歩き方」のドリアホテルの案内ページを見せた。
「ふうん。このホテルならまあまあ駅から近いし、このエリアにしちゃ安いほうだね。ちょっと待ってて」
ファンタは端末を慣れた手つきで操作した。
「大丈夫、部屋は空いているよ。ここで予約すると手数料のぶんだけ高くなるから、
直接ホテルへ行ってフロントと話したほうがいいよ」
「そっか」
ドリアホテルに空きがあるのは今朝から知っていた。
のぼるの知りたかったのはドリアホテルより安くてグレードの高いホテルがあるか、ということだった。
ま、いいか。この会話だけでも10分はかかっている。
ドリアホテルにしていいだろう。
もうめんどい。
のぼるはファンタにお礼を言ってvvvを出た。
さ、行こう!
アムスの中央駅を出た。
改めて駅の外観を望むと、本当に東京駅だ。
アムスの街はこの駅を中心に扇状に広がっている。
駅の裏側は北海に続く大きな運河。駅の表側は幾本もの運河が駅を取り囲むように広がる。
駅前から水上バスが運行されており、これを利用するとたいていの名所に行ける。
とりあえずのぼるは駅からまっすぐ走るメインストリートを歩いた。
様々な人種がごったがえす。歩くだけでも楽しいね。
ただしスリが多発しているらしいので、軽快の中に警戒を強めないと。
「第一種警戒体制発令! ミノフスキー粒子、戦闘濃度への散布急げ!」
頭の中はさながらホワイトベースのブリッジのようだった。セイラさんの声も聞こえそうだ。
「アムロ、聞こえて?」
冗談はさておき、先を急ごう。
5分も歩くと「ダム広場」に着いた。街の中心に広がる大きな石畳の広場。
この広場がアムスの心臓、アムスの歴史が始まった場所。
アムステル川を塞き止めて発展を開始した場所。
左手に白い尖塔があった。
15メートルほどの高さの、黒板のチョークにビッグライトあてたような塔に石膏でできた
人間が張り付いている。
これが戦没者慰霊塔だ。第二次世界大戦で亡くなった人々の霊を慰めるための塔。
塔のまわりは緩やかな階段状の丘になっており、観光客のたまり場になっていた。
のぼるは塔の下で日本人と思われる女の子を発見した。
ジーンズとYシャツのオーソドックスなスタイルで、ショートヘア。かなり好み。
どうやら一人みたいだ。お話しちゃおうぜ。
ようし、オレが日本人であることを隠し、とりあえず英語で話しかけよう。
「Excuse me,prease take a picture for me」
「Oh,Yes,of course!」
のぼるは彼女にカメラを渡した。
「なに、あなた日本人じゃない?」
う、いきなりバレた!?
「ち、ちがいます!」
「日本語で否定されても説得力ないわね」
しまった!
「なぜバレた・・・」
「日本語の「写ルンです」渡されたらモロバレでしょや」
「あ・・・」
つくづくドジだ。
「オレはのぼる。マーストリヒトという街から帰ってきたとこなんだ」
「あたしはみゆき。ロンドンから戻ってきたとこなの」
「ロンドンかぁ。よかった?」
「まーね。でも3回目だからそんなに目新しいとこはなかったわ」
何度も海外旅行・・・のぼるより若いのに、セレブだ。
「ねえ、マーストリヒトってどんなとこなの?」
みゆきはマースに少し興味を持ったようだ。
「そうさのう・・・」
「あはは! じじーくさい話し方!」
のぼるとみゆきはそこでしばらくおしゃべりして別れた。
「ぢゃーね、のぼるくん。バイバイ!」
「ああ。バイバイ!」
あー。可愛かった。電話番号ゲットしとけばよかった。
それにしても女の子一人で海外旅行とは、すげーバイタリティだな。
ちょっとのんびりしたところでのぼるはホテルを探した。
目的のドリアホテルはダム広場の脇道を入ったところにすぐあった。
1階はレストランで2階から上がホテルになっている。
のぼるは2階のホテルのフロントへ上がると、奥から受付のおねーさんが出て来た。
「I'd like to reserve a room for tonight」
「I see」
のぼるは1泊朝食付きにしてもらった。
おねーさんから部屋の鍵をもらうと、エレベータで4階まで上がった。
「ここがオレの部屋か」
ドアを開けると・・・前の客が散らかしていったままの状態だった。
このぉー、掃除してない部屋の鍵を渡すなよ。
廊下を歩くボーイに頼んで清掃してもらった。
ホテル側のせいなのにチップを渡すハメになってしまい納得いかないが、まあいい。
とりあえず荷物を放り出してシャワーを浴びた。
ゲストハウスではシャワーを浴びることができなかった(髪だけは洗面器で強引に洗った)ので
かなり切実だったのだ。
さっぱりしたところで、街にくり出そう!
2016/9/28 22:03 [1498-4912]
| アムスの街並み |
のぼるはホテルを出た。
まずは適当に歩こう。
観光名所で見たいところは特にない。運河が見たかったが、歩いていればいやでも見れる。
いや、ひとつあるか。「飾り窓」!!
この国ではマリファナはおろか、売春すら合法化されており、飾り窓の女性たちにも
れっきとした組合があって商工会議所にまで登録されているのだ。
とはいえ、アジアや中南米から人身売買に近い状態でこの飾り窓に連れてこられる女性が多いとも
聞く。
それが人間のすることかい。
のぼるはそこがどんな所なのか見に行くだけで、決して邪な気持ちで行くつもりはないのだ。
まあ、パトリシア・マクファーソン(じつばファンだったりする)くらいの美人がいたら、
そりゃグラッとはするだろうがね。
売春そのものに興味はない。無駄な文化だね。(そんなに否定せんても・・・)
そんな感じで歩いていたら、いきなり知らないオヤジに肩をたたかれて、
「How about this one?」
と言われ、小さく折られた紙袋を見せられた。
「は?」
オヤジは紙袋をそっと開けると、その中には乾燥した草の葉っぱが・・・
マ・・・マリファナ!!
大麻の葉。
コカインやヘロインとは違うソフト・ドラッグだが、のぼるにとっては同じ麻薬としか見えない。
煙草は吸うが麻薬はやらない、それがのぼるのポリシーだ(変か?)
「No thank you!」
のぼるは全身全霊をもって拒否した。
あぶねー。
飾り窓に思考が片寄ってて身に迫る危険に気付かなかったなんて。
「対空防御、左舷弾幕薄いぞ! なにやってんの!!」
あー。ブライトさんに怒られてしまったがや。
まわりをよく見ると、閉めきった喫茶店が多い。
さらによく見るとその中は異様に煙たい。
あれが噂に聞くコーヒーショップか。
見た目はその名の通り喫茶店だが、内部はマリファナ、下手するとヘロインなどがやりたい放題らしい。
一年戦争後の連邦軍のように腐敗してるぜ。
恐い恐い。飾り窓へ行くのはよそう。
のぼるは純粋に観光を決め込んだ。
水上バス、トラム(路面電車)、連結バスなど、日本ではなかなか見られない乗り物が
いたるところで見れる。
連結バス(BLT)なんて「つくば科学万博EXPO'85」以来だ。
あー懐かしい。
富士通パビリオンなんて今見ても新鮮だろーな。
HSSTもいまだ実用段階じゃないし。
想像していたよりも、ずっと未来は現実的だね(ポルノグラフィティ談)
腹が減ってきた。
そろそろ夕方だし、夕食にしようか。
のぼるはレストランを探してライツェ広場というところへ来た。
ファーストフードはけっこうあるが、最後の外食となると思い残さないために
立派な食事をしたくなるのが小市民というものだ。
「おっ!」
のぼるは小さな通りでひっそりとたたずむインド系カレーのレストランを見つけた。
ここにしよう。
「Akbar」というインドのレストランだ。
アムスへ来て、なぜにインドのレストランなのかよくわからないが、スパイシーな香りに
引き寄せられたような感じ。
こうなったらカレーしかないね。
店内は特にイスラムやヒンドゥーなどのドロドロした感はまったくなく、けっこうカジュアルな雰囲気だ。
「チキンカレーアンド、ワンビア、プリーズ」
シェフの女の子ミスティオは「Yes,sure」ととりあえずビールを持って来てくれた。
いやー。毎日ビール飲みっぱなしだったな。
べつにビールばかり飲みたいわけじゃない。
ジュースが高価なだけで、同じ値段ならビールがいいというだけ。
どちらかというと、ビールに飲み飽きて少し困っている。
やがてミスティオがカレーを持って来てくれた。
炒めた黄色のサフランライスには所々にカニの身が散っている。
そして、アラビアが発祥と思われる銀の器に、つんと鼻を刺激するチキンカレー。
これはうまそうだ。
いただきまーす!
カレーをいきなりライスの上にどばっとのせる。
これがのぼるの流儀だ。
「うん・・うん・・いける、うまい、うまい・・って・・うぐふうう!」
うおお、いきなり辛さが効いてきた。ぐわ、メチャクチャ辛い! 口が痛い!!
ミスティオがにこにこしながらのぼるのテーブルにやって来た。
「ライスのおかわりはいかがかしら?」
「・・・ありがとう、いただくよ・・・」
ミスティオはライスをてんこもりにして去っていった。
ちょっとまて! この辛さについてなんか一言しゃべってくれよ! どーせわかんないけどさー!
のぼるは汗をだらだらと流しながらミスティオ特製激辛チキンカレーを完食した。
ひぎぃー。胃が即効キリキリ痛んできた。
やっぱ地球の裏側まで来てまでもカレーを食べたいと思うのは間違いだったのかもしれない。
その土地その土地の文化あふれる郷土料理を食べるべきだったのではないか。
ネーデルの郷土料理といえば、豆の煮込みスープなどが有名だが、いかんせん薄味らしく、
日本人の口に合わないらしいので基本的に避けていたのだ。
また、ニシンの酢漬けは国民の大好物でのぼるも一口食べたかったのだが、残念ながら
初物はもうすこし時期があとらしい。
ニシンの酢漬けとはなんだかうまそうだったので楽しみにしていたのだが。
ただし、ニシンの卵「数の子」はこの国の人は全く興味ないらしく、ほとんど日本に
輸出しているらしい。
なんであんなにうまいものを食べないんだろう・・・数の子っていえば正月しか食べられないごちそうだろ。
あの食感がたまらないのに、まったく、この国にヒトは和の心がなってないよ。
(のぼるの和って一体?)
2016/9/28 22:14 [1498-4913]
2016/9/28 22:27 [1498-4914] 削除
店を出た。
いやー、メッチャクチャ辛かったけど、うまかった。
特にとろけるほどのチキンは特筆に値する。
一度ハマったらやめられないかもしんない。(まさか、麻薬かぁっ!?)
日没にはまだ時間があるので、市街を歩いた。
都市部に人口が密集しているため、必然的に狭い土地にせせこましく家を建てなければならない。
だからこの国の住宅は積み木を立てたような造りになっているのか。
運河が網の目のように細かく入組んでいる。
水と戦い、水とともに生きてきた。そういう生活感があふれている。
この場所ですら、海より低い位置にいる。
人類が滅亡するような地球規模の大災害が起こった時、まず壊滅するのはここだろう・・・
そう思わずにはいられなかった。
ひとつの防波堤が決壊しただけで、この街は簡単に壊滅しそうなイメージがある。
のぼるはしばらく歩いてホテルの部屋に戻った。
「おわったな・・・」
ベッドに腰掛け、深くためいきをついた。
やっぱ、旅行するなら、大都市でなく田舎がいい。
そういう意味でマーストリヒトを選んだのは大正解だった。
まあ、もう少し日があったならもう少しゆっくりできたのだろうが、今さら仕方のないことだ。
テレビを付ける。
「あ」
日本のアニメが放送されていた。「ピーターパンの冒険」だ。
昔のハウス食品提供の世界名作劇場シリーズの悪ノリ傑作だ。
金田ピーターパン、久しぶりに見た。
なつかしいね。
「さんをつけろよデコスケ野郎!」と今にも叫びそうなピーターパンだ(知らないヒトごめんなさい)
それが終わると、音楽番組になった。
新鋭のバンドが素敵なバラードを歌っている。
この曲はのぼるが旅をしている間、ずっと聞こえていた。
ホテルのテレビ、ゲストハウスのラジオ、そして街頭のスピーカー。
いったいなんていう曲なんだろう。
とても、心に残るバラードだった・・・
2016/9/28 22:27 [1498-4915]
ACT.10 TRULY MADLY DEEPLY
いよいよネーデルランドと別れの日が来た。
のぼるにとってのネバーランドの夢のひとときも、もうすぐ現実の中へ強制送還されてしまう。
まったくもって残念で仕方がない。
英語にしても、この期間でのぼるはずいぶん成長した。
来たばかりのときは、相手の話を一度日本語に翻訳し、それに対する解答を日本語で考えてから
英語に翻訳して話していたのだが、何日も過ぎると面倒くさくなって、
思考そのものが英語に近くなっていた。
英語で言われた言葉をダイレクトに英語で対応しはじめていたのだ。
これが人間の状況適応能力か、と我ながら感動したものだ。
その成長途中で日本に帰らなくてはならないのは、本当にくやしい。
のぼるは朝食のため1階のレストランに降りた。
バイキング方式の食べ放題だ。
さーて、何を食べようかな、と迷っていると、
「やだー、さっちーったら!」
「うそじゃないよー、みっちーだってそーじゃんか」
などと日本語バリバリで楽しく会話している2人の女の子を発見した。
彼女たちもこのホテルに泊まっていたらしいな。
「おはよう、子猫ちゃんたち。同席していいかな?」
「あら、日本語!」
「のぼるです」
「あたしはみっちー。このコはさっちー」
「へえ。どっかの仲悪い熟女みたいだな」
うるさい! どうせ仮名なんだからいちいちつっこむな!
「のぼるくんはいつまで旅行を?」
「いや、実は今日の便で帰るんだ」
「うそー。そーだったんだ。あたしたちは昨日着いたばかりなんだよ」
「のぼるくんはどこへ行って来たの?」
「この国の外れのマーストリヒトっていう田舎さ」
「田舎かあ、いいわね」
「素敵ね、あたしたちも田舎の街に行こうよ、さっちー!」
「いいわね。どーせ時間はたくさんあるからね」
「時間がたくさんあるって・・・きみたちどのくらいこっちにいるつもり?」
「半月くらいかなぁ・・よくわかんない」
「帰りの飛行機も予約してないからねー。あはは!」
あははってアナタ・・・なんてアバウトな。
「そうだ、今日はユトレヒトに行くんだ。あたしフロントで列車時刻と費用を調べてくるね」
「あいよ。しっかり聞いてきてね、さっちー」
さっちーは一人で階段を登っていった。
のぼるは状況がいまひとつわからない。
「さっちー、どうしたの?」
のぼるが質問するとみっちーは笑いながら説明した。
「あのコはとっても英語が上手で、計画性もバッチリなんだ。あたしはそういうの全然ズボラだから、
全部あのコに任せてるんだ。でもさっちーはそういうの得意なんだけど、一人じゃなにもしない
タイプ。あたしは純粋に観光したいけど計画性がないから、そういう意味で二人一組なのよ」
のぼるはコーヒーを飲みながら彼女の話を聞いていた。
「なるほど。ケンカとかしないの?」
「あはは、しょっちゅうするわ。でもすぐに仲直りするけどね。お互い一人じゃなにもできないから」
お互いの弱点を補える仲間。なんだか羨ましいコンビだ。
「のぼるは強いね。一人でさみしくなかったの?」
のぼるはいきなりの質問にコーヒーを吹き出しそうになる。
「さみしくない、というとやっぱウソになるわな。英語が思うように通じないときなんか
日本が恋しくなったよ。無意識に日本の店とか探しちゃうしな」
「でも、それでも一人で旅をやっちゃうところがすごいよ」
「そうかな。まあ、海外旅行は今回が初めてだったけど、昔から一人旅してたし、
それの延長線上みたいなもんだよ」
さっちーが戻ってきた。
「ただいま。10:00発のインターシティで小1時間てところだって。ちょうどいいんじゃない、みっちー」
「そうだね。よし、それでユトレヒトへ行こう!」
おもむろにさっちーはのぼるの顔を見た。
「・・・のぼる、顔赤いよ?」
あ。みっちーに誉められ、照れていたのが顔に出たか。やべー。
「まさかみっちーを口説こうとしてたんじゃないでしょうね!?」
「違う! そんなことしない!」
「そんなこととは失礼ね! あたしに魅力がないみたいじゃない!」
今度はみっちーに責められる。マジやべー!
「あたしのみっちーを取ったらだめだからね!」
「ちょっとさっちー、誤解を産むようなこと言わないでよ!」
「あー。おまえら百合か」
「そうよ!」
「違うわ!」
「やっぱり」
「(ハモリ)やっぱりってどーゆー意味よ!?」
朝からものすごいテンションに包まれ、のぼるの帰国に対する憂鬱はどこかへ吹き飛んでいった。
のぼるは二人と別れ、部屋に戻った。
さて、空港へ、行きますか。
2016/9/28 22:35 [1498-4916]
| アムス駅の中 | スキポール空港 | 搭乗待ち | さらば、ネーデルランド・・・ |
のぼるはチェックアウトし、駅へ向かった。
ダム広場のど真ん中で若者がスケボーを楽しんでいる。
みんな楽しそうだ。
「ポップ・ショウビットってのはこうやるのよ!!」
どこかの女の子が宙を舞っている・・・といいな。(あれは午後の話だって)
街は今日も活気立ってる。
多くの人が生きて、動いてる。
のぼるは、知らずのうちにこの国の人々から生きる楽しさを教えてもらったような気がした。
仲間にしか心を開かない多くの日本人。
誰とでも楽しくやりたがるネーデルランド人。
時々、ネーデルランド人のことを「合理的」と皮肉ることがあるが、個人的には彼等の思想には
賛同する。
社会のしくみを合理化して何が悪い。
今を楽しく生きるために、もしくは未来を楽しく生きようとしているのだ。
きっと、どこの国もそのためにあーだこーだしているのだろうが、この国はその理想社会を
どこよりも早く構築したのだと思う。
ヨーロッパを統一させようとがんばっているのもここだ。
ヨーロッパ単一通貨「ユーロ」を制定したのはどこでもない、この国なのだ。
やることがでかいね。まったく。
心を開いているからこそ、でかいことができるんだ。
電車でスキポール国際空港へ到着した。
搭乗手続きを全て済ませ、ロビーで搭乗待ちをした。
「ふう」
タバコに火をつける。
あとは、飛行機に乗るだけ。やることがない。
のぼるは窓の外でひっきりなしに離着陸するジェット機を見ながら、いろんな事を想像していた。
マースの風景、アムスの風景。そこで巻き起こる、あくまでも個人レベルのストーリー。
その想像は後に物語として形になることになる。
「日本行きのお客様、お待たせいたしました。ただいまから搭乗開始となります」
放送を聞いた旅行者は一斉に立ち上がった。
のぼるも、決心を固めて立ち上がった。
「よぉーし、やっっってやるぜ!!」
さあ、日本へ帰ろう。
そして、思うがままにこの国を舞台にした小説を書こう。
ぼくは強くなろう
信じる心を強く持とう
だってぼくは・・・
新たな始まりと
生きる理由と
より深い意味を手に入れたいんだ
日本に戻って半月が過ぎたころ、ネーデルランド内で聞きまくったバラードを発見した。
「サヴェージ・ガーデン」というデュオの「トゥルーリー・マッドリー・ディープリー」という
歌だった。
偶然か否か、その歌詞はのぼるの旅及び構築した物語に見事にマッチしたものになっていた。
https://www.youtube.com/watch?v=WQnAxOQx
QIU
ネーデルランドの異邦人(エトランゼ)
The end of files...
2016/9/28 22:44 [1498-4917]
あとがき。
ネーデルランドの異邦人、いかがでしたでしょうか。
自分自身、改めて読み返してみると、若いときの行動力ってほんとうに
怖いもの知らずなのだなーって思いましたね。
旅行中は冗談でなくほんとうに1日10kmくらい歩いてましたが、夜グッスリ眠った翌朝は
その疲れを引きずることなくリフレッシュして、再びガンガン歩いてました。
今ではちょっと考えられませんねw
小説「Step Up!」は、実はこのオランダ旅行の前から書き始めていました。
当初はマーストリヒトの街だけを舞台にして、スプライトとランダムを中心とした
やりとりを書いていたのですが、どうにも行き詰ってしまい、途中で挫折していました。
旅のあと、小説はほとんど全部書き直しました。
ヒロインははるばる遠くから旅をしてきたというのなら、マースへたどり着くまでの
道程もきっちり書かなければならないだろう、ということで、ずいぶん細かい設定を
追加してインドからの旅のシーンを書いていきました。
それだけ、マーストリヒトでの出来事やシーンを引き立たせたかったわけです。
まあ、作業的にかなり難しかったですが、完成してみると「やってよかった」と
素直に思えましたね。
オランダ旅行そのものは、とにかく言葉との闘いでした。
電車やバスの乗り方ひとつをみても、日本とまったく違うシステムなので、
それを理解するのにも一苦労。
メシを食べるのも、宿を手配するのも、ジュース一本買うのにも、一苦労でした。
でも、それだけの価値ある旅であったことは間違いありません。
いつかまた、行きたいと思います。
でも、もし行くチャンスがあったのならば、次はイタリアのヴェネツィアに行ってみたい。
たぶん近いうちに海に沈んでしまうようなので。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
なにか一言でも感想をいただけたら、嬉しいです。
2016/9/28 23:09 [1498-4918]
| 海王丸 | 昼食会場 新湊きっときと市場 | ふじやまさんのモーターボート(中央) |
みなさんお待ちかね!
秋のFIT3オフ会のご案内です。
ねこ主催のオフ会も、いよいよファイナルとなりました。
最後を飾るオフ会として、みなさんで激烈に盛り上がりましょう♪
場所は富山湾のそば「海王丸パーク駐車場」シンボルである大きな帆船、海王丸が停泊している
ベイエリアでとてもにぎやかなパークです。
参加は無料です。
常連の方はもちろん、お初の方もお気軽に参加してください。
また、FIT3オーナーでなくともFIT3に興味のある方ならば大歓迎です。
日中は愛車を自慢したり、お友達の輪を広げたり、海王丸を見学したりできますが、
今回はなんと、協賛のふじやま氏がモーターボートにみなさんを乗せて富山湾を
無料でクルージングさせてもらえる、というスペシャル企画があります!
(詳細は下のほうを見てね)
昼食は、近くの「新湊きっときと市場」の中でお好きなランチを食べましょう。
お弁当を持ってきてもOKです(ゴミは指定の場所に捨ててください)
15時くらいにオフ会は解散し、次はお楽しみ車中泊パーティに移行します。
クルマで10分ほど移動し、銭湯屋・カラオケ屋が併設された場所に移動し、
温泉や夕食を楽しんだあと、夜はカラオケ+酒盛りです。
近くにスーパーやコンビニもありますので、各自で飲みたいもの、
たべたいつまみを持ち寄って楽しく呑みましょう。
(カラオケ代2000円+酒ツマミ代実費をご準備ください)
飲み飽きたらじぶんのクルマに入って車中泊、ぐっすり寝ましょう。
翌朝、朝食をたべた後に解散となります。
(車中泊パーティーの詳細はあとでみっちりとご説明いたします)
とき 2016年 9月 17日(土)
ところ 富山県射水市 海王丸パーク駐車場
http://www.kaiwomaru.jp/
オフ会集合場所
下記の地図のオレンジのポイントらへん
https://www.google.com/maps/place/%E6%B5
%B7%E7%8E%8B%E4%B8%B8%E3%83%91%E3%83%BC%
E3%82%AF%E9%A7%90%E8%BB%8A%E5%A0%B4/@36.
7791032,137.1059896,1099m/data=!3m1!1e3!
4m8!1m2!2m1!1z5a-M5bGx55yM5bCE5rC05biC5r
W3546L55S677yYIOa1t-eOi-S4uOODkeODvOOCrw
!3m4!1s0x5ff79dd8a39265e7:0xf2e14a09b197
a8a1!8m2!3d36.7802516!4d137.106964?hl=ja
駐車場は使用許可は頂いておりますが、一般のクルマも停めるところですので
占有はできません。すみっこのほうに固まって停めましょう。
時間 9:00受付 → 10:00オフ会開始 ・・・・・ 15:00解散
ふじやま氏協賛企画:富山湾スペシャルクルージングについて
富山在住のふじやまさんのご厚意で、ご所有のモーターボートに乗って20〜30分くらいの
クルージングを楽しんでもらおう、という企画です。運がよければ蜃気楼が見られるかも?
ボートはオフ会会場から2キロほど離れた場所「海竜マリンパーク」にあります。
http://www.kairyu-marina.jp/
そこまでの送迎は私ねこが行いますので何の心配もありません。
(天候と波の条件により中止となる場合があることを予めご了承ください)
1回4名定員で、午前と午後1回ずつ。計8人が乗れます。
いちおう、濡れても平気な服を着てください。
午前・・・11:00オフ会場出発 → 11:30クルージング開始 12:00終了 → 昼食
午後・・・昼食 → 13:30オフ会場出発 → 14:00クルージング開始 14:30終了
オフ会参加希望の方は下記を明記のうえ、レスしてください。
(1)お名前(ニックネームでOK)
(2)人数
(3)FIT3の色(FIT3以外の車の場合は車種名と色)
(4)オフ会と車中泊パーティ 両方参加か
(5)富山湾クルージング希望?(希望者多数の場合は当日ジャンケン)
ひとこと
この海王丸パークはクルマのオフ会をよくやっている所なのですが、
ほとんどが無許可でオフ会をやっており、挙句に一部かなりマナーの悪い人たちが
いたりして、現在ではクルマのオフ会というのは原則として禁止しているそうです。
運営の方に今までのひまねこオフ会の実績を説明し、施設や他のお客さんにご迷惑を
かけないことを固く約束し、今回は特別に許可をいただきました。
不要な空ぶかし、ゴミのポイ捨て、指定された所以外の喫煙は厳禁です。
皆さんのご理解、ご協力をお願いいたします。
2016/8/10 11:36 [1498-4745]
オフ会後の車中泊パーティーのお知らせ
オフ会後、それぞれのクルマで移動します。
http://www.karaokemanekineko.jp/shop/kou
shinetsuhokuriku-area/toyama/takaokahime
no.html
カラオケ屋「まねきねこ 高岡姫野店」です。
この駐車場の敷地内に「スーパー銭湯1010」がありますので、
夕食の前か後に入ります。
http://yoriyu.com/printform.php?num=89
ただし、困ったことにボディソープやシャンプーが置いてありません。
タオルとともに、ご自分で準備してきてください。
ドライヤーはなんと有料(30円)まいっちんぐです。
夕食は近くにあるカレー屋でもいいし、スーパーに買い出ししてカラオケボックス内で
歌いながらわいわい食べるのもいいかもしれない。
そのときの雰囲気で、みなさんと決めたいと思います。
カラオケは18:00から予約してあり、ジュースだけは飲み放題となっております。
酒やツマミ等の持ち込みは自由ですので、ジュース以外なんでも買っていきましょう。
カラオケ代2000円 銭湯代420円 酒ツマミ1000円くらい?
翌朝は、コンビニ・マック・すき屋が近くにありますので、そのへんで朝食にして、
その後記念撮影などをしてから解散となります。
2016/8/10 11:54 [1498-4746]
前週でインパクトブルーのオフ会があるので微妙…
というか今週土曜日にズバリ新湊きっときと市場でオフ会やりますがw
海王丸パークについては今週のオフ会で最初その場所で集まり新湊きっときと市場でご飯を食べるという全く同じプランだったのですが
何分集まる台数が増えすぎて確保できない(お盆ということもあり)
ということで変わったのですが
マナーが悪い話は自分も聞いています
前回の場所もそうですが、最近こういうのが多く許可がとりにくくなっています。
ということで参加は未定ということでw
2016/8/10 22:01 [1498-4747]
今回も一番で参加表明します。
カラオケは去年の新潟オフから行ってないので声が出るかどうか?
前回ダムだったので今回はジョイサウンドがいいかな?
(1)kt-1500
(2)1人
(3)アラバスターシルバー
(4)オフ会と車中泊パーティ 両方参加します
(5)富山湾クルージング希望します
みなさんよろしくお願いします。
2016/8/10 23:05 [1498-4748]
うわぁ...
9月の連休はトリプルブッキングです。
申し訳ございませんが、また非常に残念ですが、
不参加になります。
行きたかったなぁ。
2016/8/11 01:34 [1498-4749]
ねこさん、皆さんこんばんは。
お久しぶりです。
今回もオフ会の参加を表明させて頂きます。
(1)さわけん・みゆき
(2)二人
(3)ブリリアントスポーティーブルー・メタリック
(4)オフ会と晩ごはん
(5)クルージング希望は無しです。
今回もよろしくお願いします〜(^^)
2016/8/12 00:37 [1498-4752]
>kt-1500さん
最後の開催でも速攻1番目の参加表明、ありがとうございます。
いままででいちばん盛り上がりましょう!
>sawakenさん
前回の長野オフ会で初参加していただき、今回リピート参加ありがとうございます。
奥さんと一緒にリピしてもらえることが、なにより嬉しいです。
お二人で仲良く楽しんでください!
>えりりんたん
海王丸パークで別のオフ会と(バッティングではないけど)カブることは知ってましたが、
まあ、仕方ないということで、がんばって来てください。
えり様の美声をまた聴かせてほしいのデスよ。
>ゆづぽんずさん
今回はいろんな都合で告知がやや遅れてしまい申し訳ありませんでした。
分身の術を使えば、こちらも参加できますよね!(無茶いうな)
2016/8/13 03:05 [1498-4753]
| 駐車場@ | 駐車場A | RCカーサーキット | 芝生広場 |
隣だったのでついでに写真撮ってきました
昨日はお盆で人が多いからということで断られましたが・・・全然車いないし
ここどちらかというと昼より夜のほうが有名なので
なお、駐車場は海王丸側ではなく橋の入り口はさんだ反対側にもあります。
そこが使えると迷惑がかからなくてよいのですが
(通常の駐車場より奥にもあるのですが砂利などであまりいい状態ではなかったので)
まあ橋の入り口側に固まればいいのかも
遊ぶところがあるので子供も楽しめるかと
ドローンが使えないのが残念ですが
橋には歩行者用もある用で次回はそちらまで行ってみようかと思います
ちなみにマナーに関して、昼についてはわかりませんが夜はかなりひどいです。
ライトアップがあるので夜でもかなりの人がいたのですが、そんなのお構いなしに爆音で吹かしたり、隅だけでなく一般客が止めているところまで侵食しているので
(入口入ってその近くにを通らないといけないので)
相変わらず参加は未定です
スーパーアスラーダのRC持っていこうかな
2016/8/14 17:45 [1498-4755]
何だか画像のアップロードがうまくいかないんですけど(^_^;)
どうもこんにちはっ!銀るーですょ(^_-)-☆
どうやらオフ会までにカヤック(2人か3人のり)は間に合いそうもなさそうです。。。(。>A<。)
なので、今回はキャンプ用のテーブル&チェアか、タープを買おうかなと計画中♪
タープはもしかしたら予算が足りないかもですが、オフ会にテーブル&チェアかタープだとどっちがあったほうが便利でしょ??
ねこさんのオフ会が、より有意義なものになるよーにできたらと思ってるのでキャンプ用品(兼オフ会用品?)ゲットしたいのです♪
まぁーのちのちには家族でキャンプするのでそれも考慮してなのもあるんですけどね☆
・・・それからオフ会参加はまだ鋭意嫁チャン説得中ですっっっ
たぶん嫁チャンの参加はナシで1人でオフ会に行くことになりそうな予感と、有給申請しちゃいました(≧∇≦)bイェイ♪
2016/8/15 12:10 [1498-4757]
>えりりんたん
写真ありがとうです。
車中泊も海王丸パークで、と当初考えたりもしましたが、マナーの問題もあって自粛しました。
どうしても車中泊パーティでは酒が入るので、その宴会場所及び周辺の迷惑等を考えると、
やはり別の場所に移動したほうがいいと判断しました。
けっこう都市部でもあるわけで、そうそう野外で騒げる場所も無いので今回はカラオケボックスでの
宴会ということに落ち着きました。
そこならどんなに騒いでも文句は言われませんからw
>銀狼のるーちゃん
前向きな検討を感謝です。
テーブルとタープについては少し待ってください。
オフ会会場の駐車場の近くに「ふれあい広場」という芝生の敷地があるのですが、
そこでタープ等の設置の可否を施設のほうに聞いてみます。
ダメな場合は、すみませんが諦めてくださいね。
設置できるとしたら、とても有り難い申し出ではあるのですが、施設のルールに則って
利用しないとなりませんので、ご了承ください。
2016/8/15 23:10 [1498-4759]
若干不便になるけど道路を挟んだ反対側の駐車場が借りられると迷惑にもならないのですが
ちなみに海王丸パークは22:00で閉鎖するそうなので、そもそも車中泊は難しいかと
近くにある道の駅新湊は、今回のオフ会の後ナイトオフのしてたのですがあまり止まってる車はいませんでした
があまり広くないので
なお、あくまでも個人的な意見ですが昼食ですが正直微妙でした
まあ土地が土地なので海鮮関係ばかり&自分が海鮮が好きではないこともあるのですが
まあ観光名所によくあることですが
なので自分は弁当作るか・・・どっかで買ってくるか・・・
2016/8/16 01:19 [1498-4760]
うぅ、、、ねこさんすみませんー!(。>A<。)
質問してたのにオフ会参加できなくなってしまいましたー<(_ _)>
同じ日に休み入れてる人がいて、人が足りないのでオフ会当日は出勤になってしまいました。。。orz
今回は参加できませんが、また別のオフ会でワイワイしたいですー!
くぅー!今回のオフ会は楽しみにしてたのにぃぃぃー!!!(。>皿<。)
・・・なので10月あたりにでもオフ会したいななんて考えてたり。。。σ(^◇^;)
2016/8/18 19:52 [1498-4765]
>るーちゃん
うあー。残念すぎる。
でも現実の仕事を優先するのは偉い!
今回会えなくても、きっとまたどこかのオフ会やプチオフなんかで会えますので
そのときゆっくりお話ししましょう。
2016/8/18 23:03 [1498-4766]
お知らせ2件です。
(1)オフ会会場でのタープ等使用について
オフ会会場のすぐ近くに芝生の広場「ふれあい広場」がありますが、
ペグ(杭)を芝生に打たなければタープ等の使用はOKだそうです。
(2)夕食について
オフ会解散後、夕食・銭湯・カラオケなどのイベントがあります。
夕食に関しては、カラオケ屋すぐ近くのパキスタンカレーにしようと
思っております。苦手な方は予めおっしゃってください。
場合によってはファミレスのココスにすることもあるかもです。
なお、銭湯は時間帯やそのときの疲労度によって、夕食の前にするか
後にするか、そのときに決めたいと思います。
2016/8/22 11:06 [1498-4770]
カレー店、もしかしてここですか?
http://tabelog.com/toyama/A1604/A160401/
16000629/
うまそうですねぇ。
この店の近くに朝5時からやっている温泉がありまして、(天然温泉 海王)オフ会当日、朝早く着いたらここで休んでから向かおうと思ってます。
http://www.onsen-kaiou.jp/
2016/8/22 13:08 [1498-4771]
>kt-1500さん
いえ、そこではなく、ザイカ・カレーハウスというお店です。
http://tabelog.com/toyama/A1604/A160401/
16006389/
でも、天然温泉海王はポイント高いですね。知りませんでした。
もしその近くにカラオケハウスがあれば、そっちを採用したいところです!
(ていうか少なくとも車中泊翌朝の朝風呂のできるところがあれば、
と思っていましたのでかなりの確率でそこを利用するかと思いますw)
2016/8/22 17:51 [1498-4772]
カレーバイキングのお店ですか。これは、楽しみですね。
まねきねこ高岡から天然温泉海王までの距離は2.5km、5分〜10分ほどです。
2016/8/22 20:50 [1498-4773]
天然温泉海王は先日行ってます
タオルなどは有料だった記憶はありますが
9時くらいに行きましたが車は結構止まってましたが混雑している感じはありませんでした
そしておそらく参加できないかと
日曜日が工場停止日で作業予定があるので
いくら4時間で行けるとはいえ当日帰るのはかなり厳しいので
2016/8/24 21:34 [1498-4774]
>kt-1500さん
そこのカレー屋はディナーもバイキングやってるかどうか、ちと不明ですが、
バイキングじゃなかったら、みんなでいろいろ注文してシェアするのも
楽しいと思います(電話で確認しろ、という話もありますが、日本語が通じるのか
不安で・・・w)
>えりりんたん
あら〜残念。
新湊大橋の中央部からバンジージャンプしてもらおうと計画してたのに・・・(おぃ
2016/8/25 09:24 [1498-4775]
初めまして。参加よろしくお願いいたします。爺さんだけど、いじってます。
(1)お名前:斉藤隆
(2)人数:1人
(3)FIT3の色:黄色
(4)オフ会と車中泊パーティ 両方参加か:不参加
(5)富山湾クルージング希望?:不参加(希望者多数の場合は当日ジャンケン)
2016/8/28 10:35 [1498-4785]
>nichireanさん
初のご参加ありがとうございます!
最後のオフ会にして初参加の方はいないかな、と半分諦めていたのでとても嬉しいです。
たくさんの仲間と、情報と、楽しい思い出を作ってください。
わからない点などありました、いつでもなんでも聞いてくださいね。
2016/8/28 21:17 [1498-4786]
ねこさん
大大々お久しぶりです。
覚えてらっしゃらないと思いますが。
富士さんプチオフ会以来となります。
やっと、休みと開催日が合致しましたので、
ぜひともオフ会への参加を表明させて下さい。
(1)富士夫GG(ふじお じぃじぃ〜)
(2)1人
(3)アラバスターシルバー(どノーマル)
(4)オフ会と車中泊パーティ オフ会参加します。
車中泊不参加
(カラオケ店での夕食は×、カラオケ前の夕食ならば参加)
(5)富山湾クルージング希望します
(ぜひとも乗船したいですね。)
みなさんよろしくお願いします。
2016/8/29 21:50 [1498-4791]
> 富士夫GGさん
ご無沙汰しております。お元気そうでなによりです♪
ご参加ありがとうございます。また楽しくお話しましょう。
なお、オフ会後の夕食は外食を原則に考えております。ぜひご一緒しましょう。
現在のところ、参加者は10名となっております。
訳あってここに参加申し込みのできない人が、私宛に直接連絡を入れて参加申し込みを
してくれた方が何人かおります。
もちろんそれでも参加OKです。
さあ、開催まであと半月ほどとなりました。
まだまだ参加受付しております。
ちなみに海王丸パークや新湊大橋はアニメ「ペルソナ トリニティ・ソウル」の舞台。
すぐ近くの高岡は名作「true tears」や「ゆるゆり」の舞台だったりします。
「クロムクロ」では富山のあちこちが舞台となっています。
なんたってクオリティの高いアニメを量産する「P.A.WORKS」は本社が富山にあるのですから。
時間のある方は聖地巡礼をしても楽しいかと思いますよ。
2016/8/29 22:33 [1498-4792]
前回に続いての参加でお願い致します(^ω^)
また幾つかパーツを取り付けました〜
詳細は当日と言うこどで ^_−☆
1)お名前 hiromi313
(2)人数 お一人
(3)FIT3の色 パールホワイト
(4)オフ会と車中泊パーティ オフ会のみ 今の所
(5)富山湾クルージング希望? 船酔い必至なのでパス( ̄◇ ̄;)
るーちゃんさんへ
今回は来れないんですね〜残念
オフ会開催は是非!西寄りの地域で〜〜(^○^)
あ!るーちゃんを見るたびに思うのですが…
ナオトインティライミに見えて仕方ないです…
私だけ⁇笑笑
2016/9/4 17:32 [1498-4806]
>hiromi313(hrm1962)さん
ご参加申し込みありがとうございます。
新作のパーツ、楽しみにしております。
新しいパーツを取り付けるたび、新鮮な気分で運転できますよね。
事故などなさらぬよう、現地でお会いしましょう!
さて、いまのところ参加予定人数をお知らせします。
オフ会参加の方 13名(お子様含む)
クルージング参加 7名
夕食参加 8名
カラオケ・車中泊参加 5名
となっております。
まだまだ募集しておりますのでどしどし参戦してください!
2016/9/4 22:45 [1498-4807]
hiromiさんー!今回はいけないんですょー(。>A<。)かなすぃ〜〜〜!!!
いやぁー実は密かにヒロミさんのサイドとリア参考にしたいと思ってて、もっかい見たいと思ってたんですょーなのに仕事なんて。。。orz
そしてなぜか昨日、夜な夜な普通の形のタープ買っちゃいました☆
ねこさんのオフで使えたら良かったですが、残念無念で次回までの我慢ですぅ〜(´д`)ハァ
ノブレッセパーツも早ければ明日の休みに数点付けれるかも!?なのでホントのホントに行きたかったですが、諸事情により仕事をやすめなかったと言う状況なのです。。。マスオさん状態はツライょ(笑)
・・・あ、ちなみにナオトインティライミは、すでに7回目ですょ(笑)
あ!あともひとつ!!横浜であったハイパーレブの取材にみんなで行ったら載せてもらえました(^_-)-☆
ルーフボックス載せノブは他には居なかったですσ(^◇^;)ニャハハ
2016/9/6 09:35 [1498-4815]
さて当日は一応休みなので
本日付け替えたタイヤが今週のオフ会から帰ってきてもまだ行けそうだったら参加します(ぉぃ
(1)お名前 えりりんたん
(2)人数 1人
(3)FIT3の色 青
(4)オフ会と車中泊パーティ オフ会
(5)富山湾クルージング希望? 定員でなければ参加、定員であれば不参加
帰りにまた富山ブラック食べてけあろうかな
2016/9/6 22:03 [1498-4816]
>えりりんたん
参加可能との事で安心しました。
さあ、はじまるザマスよ。いくでがんす。ふんがー。
まともにはじめなさいよ!
そういや富山ブラック食べられるの? 正直そっちがびっくりだ。
2016/9/7 16:19 [1498-4817]
先日、参加表明したものです。
私は埼玉県からの出発で6時間ほどかかりますので、1泊致します。
車中泊パーティとクルージングも参加したいと思いますが、まだ参加OKでしょうか?
なんせ初めての参加で初めての富山です。
わたし爺さんだけど、頑張って参ります。
よろしくどうぞ!
2016/9/8 17:21 [1498-4818]
>nichireanさん
二次会にもご参加いただけるのですね。もちろん大歓迎です。
みんなでワイワイ盛り上がりましょう!
カラオケの途中で退席し、クルマに戻って就寝ということも可能です。
最近の夜はけっこう冷えますので、長袖長ズボンのジャージと毛布があると安心です。
なお、カラオケは午後6時から、とありましたが、7時くらいからに変更します。
オフ会後 → 銭湯 → 夕食(カレー) → 買い出し → カラオケ → 就寝
という流れになる予定です。
2016/9/8 18:10 [1498-4819]
いよいよオフ会開催1週間後となりました。
準備の段取も順調です。
オフ会は雨天の場合、中止することもあります。
天気予報と相談しながら、木曜日の夜に開催の可否をここで告知いたします。
ふじやまさんのクルージングは、参加する方はふじやまカーとねこカーに乗って
ベイエリアへ送迎します(クルマで5分程度)
ただし、海や天気の状態によって中止することもありますのでご了承ください。
船が転覆なんてしたら蜃気楼どころか走馬燈を見てしまいますから。
なお、お子さんの搭乗には安全のためライフジャケットを着ていただくことになります。
これはベイエリアの受付で借りることができますのでご安心ください。
オフ会そのものは、特にイベントなどは考えておりません。
じぶんでアイテムを持ってきて、欲しい人に差し上げるもよし、
海王丸を見学するもよし(乗船料 大人400円・子供200円)
ただしアイテムの売買など現金のやりとりをする場合は、
トラブル防止のため私(ねこ)に必ずお声がけください。
二次会のお知らせ
オフ会後、カラオケ屋の駐車場へ移動し、銭湯(420円)に入ります。
その後、時間があれば車中泊の準備をします。
夕食について。
カレーハウス・ザイカというパキスタン系カレーのお店を17時から予約しました。
ディナーはバイキングではなく、単品での注文となりますので
お好きなカレー等を各自で注文してください。セットで1000円くらいです。
夕食後、すぐ近くのスーパーにて買い出し。食べたい酒とつまみを買ってください。
ただしソフトドリンクだけはカラオケ店でフリーで飲めます。
駐車場に戻り、車中泊の準備を完全にした後、19時からカラオケ突入となります(ひとり2000円)
カラオケ終了と同時にすぐ就寝できるよう、ジャージ姿でカラオケするのが望ましいw
ちなみに車中泊会場の道路向かい側にコンビニがあり、朝方のトイレ等はそこになります。
2016/9/11 11:16 [1498-4825]
>柴とハスキーさん
お久しぶりです。新潟オフ会以来ですね。
オフ会はまだまだ参加受付OKですよ。
車中泊パーティもぜひ参加してみて下さい。
2016/9/11 23:36 [1498-4827]
よかった(*´ω`*)
こういう機会がないと遠出しないんですよね…
楽しみです。
(1)名前 柴とハスキー
(2)人数 1名
(3)車 ヴェゼル ルーセブラック
(4)オフ会と車中泊パーティ 両方参加
(5)富山湾クルージング希望?
乗ってみたいですが、空いていれば…です。
よろしくお願いします。
2016/9/12 00:26 [1498-4828]
>柴とハスキーさん
ご参加ありがとうございます!
そして初の車中泊参加。大歓迎ですよ〜。
カラオケではまたハスキーな美声を楽しみにしております。
茨城からですのでちょっと遠いですが、事故とかに気をつけてお越しください。
オフ会翌日は、オフ会会場であった海王丸パークで大きなイベントがあります。
(そのせいでオフ会の日曜開催ができなかったのですが)
もし時間のある方は、そのイベントも楽しまれてはいかがでしょうか。
さて、富山で有名なP.A.WORKSの作品「クロムクロ」ですが
面白くて1話から最新話まで観ました。
もうちょっとで最終話なので楽しみにしてます。
第一話のラストで、海王丸パークを背景に敵ロボットが浮上してきたのには笑いましたw
基本的には黒部ダムを中心に話が進んでいきます。
黒部ダム。そのうち行ってみたいですね〜♪
2016/9/12 21:39 [1498-4830]
当日ちょっと天気が微妙ですね
自分は早寝早起きして出発し早めに帰ります
なんせ次の日仕事なので
まあ琵琶湖の時とそれほど状況は変わらないかと
問題は昼ごはんだけど・・・弁当作るか悩み中
ドローンが飛ばせればいいえがとれたでしょうが、残念ながら海王丸パークでは禁止されているので
ちなみに富山ブラックは食べれますよ
エビが入ってないものなら
2016/9/13 23:52 [1498-4832]
突然ですが、またもや急な仕事のため17日の開催が不可能という事態になりました。
楽しみにしていた方には本当に申し訳ありません。
延期はいまのところなく、中止ということになります。
取り急ぎ、ご連絡まで。
2016/9/14 17:16 [1498-4833]
改めまして、今回のオフ会は中止とさせていただきます。
まず最初に、現状において14名の御参加予定の方に深くお詫びいたします。
本当に申し訳ございませんでした。
オフ会開催日である17日(土)は1ヶ月前から当3連休は出勤になっても出れない、との旨
会社のカレンダーに書いておいたにもかかわらず、休日出勤となってしまいました。
有事の仕事は優先しなければならないとはいえ、本当に遺憾です。
この日のためにボートを準備してくれていたふじやまさんにも深くお詫びいたします。
以前にも、ふじやまさんと遊びに富山へ行く約束が、同様に仕事のため中止となったことがあり
多大なご迷惑をおかけしてしまいました。
個人的に今回の富山オフ会は、フィナーレということで今までの集大成としていちばん
盛り上げたいと思っておりましたので、とにかく悔しいです。
オフ会をコンスタントに企画し、それを企画通りに遂行できれば問題はなかったのですが、
前回の長野オフ会においても開催日の変更を余儀なくされたりして、かなり心が折れました。
せっかく参加できそうだったのに、開催日変更により参加不可になってしまった人も
何人もいて、ほんとうに申し訳ないと思っております。
開催地の駐車場管理運営をしている方(今回は富山県振興管理局)にもご迷惑をおかけしました。
カレー屋さん、カラオケ屋さんにも、せっかく私どものために席を準備して下さっていたのに
あえなくキャンセルとなってしまい、本当に申し訳なかったです。
次回は・・・無いと思って下さい。
企画し段取り組んで、楽しみに参加表明してくださった方が大勢いてくれた中で、
再びこのように中止となってしまったら、と考えると、恐ろしくて立ち上げることができません。
ですが、みんカラなどの別な方の企画されたオフ会などには参加したいと思っております。
参加する際にはこの縁側に告知しますので、そういった場でみなさんとお会いできれば、と
考えております。
また個人的に車中泊に出かけるときにも、前もってこの縁側に告知しますので、
参加できる方とご一緒に楽しくできれば、とも考えております。
そんな感じで、今後の活動は縮小傾向になり、車中泊パーティーをメインにできたら、と
思っておりますので、興味のある方はぜひご参加ください。
最後に改めまして、楽しみにして下さっていた方々へ、深くお詫びいたします。
申し訳ございませんでした。
2016/9/14 21:49 [1498-4836]
ねこさんお疲れさまです。色々とあって気を落とされてるとおもいますが、徐々にでも気にされないようにしていって貰えたらと願ってます。
今度からは「開催型フィット乗りねこ」から→「参加型フィット乗りねこ」に変貌しちゃってください(^_-)-☆
ぜひまたねこさんとオフ会で会いたいと思ってますので、気軽に参加型でいられるのもいいなと思ってます☆
そのときまでにワタクシめはキャンプ用品を用意しまくって、みんなでワイワイ、ねこさんウホホイできるようにしたいです(≧∇≦)b
・・・って実はこれより、山中湖あたりでのオフ会話をみんカラで持ちかけようと思ってるので、もしうまく行って&都合があうようなら遊びましょっ♪ヽ(^o^)丿
では、みんカラで山中湖作戦してきますー!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノヒャッハー!!!
2016/9/15 20:05 [1498-4840]
残念ですが仕事じゃ仕方ないですよね。
あっ、そういえば今度は逆にねこさんにお返ししなければならないものがあったんで、また近いうちにお会いしましょう。
2016/9/15 20:52 [1498-4841]
>ねこフィットV(さん)さん
つづらお崎での皆さんの笑顔を思い浮かべながら楽しくコメントを拝見致しました♪最近私も長距離を走る醍醐味に魅せられております。どこかで遊撃隊ステッカーのねこさんの愛車と出会う日が楽しみでございます<(_ _)>
2016/9/16 17:05 [1498-4847] iモードからの書き込み
主の猫さんを始め、ひまねこブラザースのみなさん
今回はオフ会が中止になってしまい残念でしたね。
しかし、走りたくて飢える子供たちは諦めきれずに車中泊の準備に取り掛かります!
明日の17日10時頃、新潟県道の駅天領の里にて数名の変態がニヤニヤ決行します‼
弾丸オフなのでどうなるか判りませんが
愛車を美ながら煙草を吹かすひまねこブラザースの同士よ。ちょっとヘ(・。・。)
2016/9/16 18:09 [1498-4848]
みなさん、励ましのカキコ本当にありがとうございます。
私は今後も日本各地を旅するつもりですので、旅先などで見かけたら
気軽に声をかけてください。
ケルルさん達がこの土曜日に新潟へ来るとの事で、夜遅くなるかもですが
せめて顔を出すくらいはしたいと思っております。
くれぐれも事故等には気をつけていらしてください。
2016/9/16 23:29 [1498-4849]
>ねこフィットV(さん)さん
びわ湖を望む展望台で、ねこさんの温かいお人柄に触れたのが、つい昨日のように思い出されます。ぜひまた関西へお越し下さいませ♪
2016/9/16 23:38 [1498-4850] iモードからの書き込み
おはようございます。
侍は長岡市の床屋で順番待ちしています!
今朝は新潟県に入るなり「ようこそ新潟へ」と
覆面パトロールのお出迎えでした
2016/9/17 08:34 [1498-4854]
おやおやー!男二人で新潟のお米を食い漁るオフですかね!?(笑)
熊谷遅くまでお風呂入れるのはいいですねー♪
今度、兄のいえ行ったときにでもみてみようかな(^∇^)
ってなわけで、ただいまワタクシめは、オフ会を10月に開催するために動き初めておりますょー☆
今のところ、10月16日、長池親水公園でやりたいなぁーと検討中なんですが、駐車場がそこまで広くないのが気がかりかなと(^_^;)
あとは日にちが確定できたり、また動きがあったらご報告&ご参加いかがですかー?のコメント入れにきますょー(^_-)-☆
2016/9/17 13:46 [1498-4856]
2016/9/22 17:04 [1498-4860] 削除
2016/9/22 17:05 [1498-4862] 削除
2016/9/22 17:05 [1498-4864] 削除
私ひとりが悪者として批判に晒される程度で済めば安いものです。
オフ会中止にはそういう別の事情も含まれていたということです。
詳細は書けませんが。
あと結果論ですが、天候が悪かったのでどのみち開催はできませんでした。
>kt-1500さん、ケルル侍さん、とお一人
新潟までお越しいただき、本当にお疲れさまでした。
少ない時間しか会えずお互いに物足りなかったとは思いましたが、
みなさんの顔が見れて本当に嬉しかったです。
謝罪するつもりが逆に励まされてしまいました。
まずは無事に帰れたようで安心しました。
この3名とふじやまさんには事情の詳細を納得してもらえ、少し胸をなでおろしていますが
やはり楽しみにしてくれていたのに中止という判断をしてしまったことは、
本当に申し訳なく思っております。
ほかの参加予定の方も、本当に悔しい想いをしていることと受け止めております。
2016/9/19 23:40 [1498-4865]
2016/9/21 18:26 [1498-4869] 削除
ねこさん、お二人に会えたようで良かったです☆
カキコミないから二人だけでねこさんとは会えなかったのかな?と心配してたとこでしたけど、カキコミあったので安心しました♪
イヤミを言われてるのは気にせずか、削除しちゃってもいいと思うんですけどね(^_^;)
それから、10月にやろうかなぁと思ってるオフ会は、10月16日にやろうと思います☆
そんなに日がないので、人数てきにプチオフ規模になると思いますが、よかったらみなさん参加してもらえるとうれしいです(^_-)-☆
場所:長池親水公園(山中湖親水公園とも言うらしい)
時間:10:00〜15:00
まだ、内容がバーベキューできるいい場所ないので何するか未定なんですけど、山中湖一周とかもいいのかな?と検討中なのと、ご意見ご要望あれば聞きたいな☆と思ってます(≧∇≦)b
たんに富士山と山中湖の絶景をみて、記念になるshotがとれたらなぁーくらいでしか考えてなかったのでアドバイスなど貰えるとたすかりますー<(_ _)>
あ、あともし人数が少なすぎたら(4人以上で決行予定)日程の変更もあるかもですσ(^◇^;)
2016/9/20 12:30 [1498-4870]
>銀狼のるーちゃんさん
おお、面白そうな企画ですね!
ただ残念ながら当日は参加はちょっとできないですが、好天と成功を願っております。
参加できそうな方は、ぜひアイデア等アシストをしてください。
富士山を眺めながらバーベキューとか、かなり楽しそうです!
2016/9/20 15:12 [1498-4871]
2016/9/21 18:26 [1498-4872] 削除
日にちミスッたー!(OωO; )
ぜんぜん無理だとおっしゃってる方が続出なのでオフ会の日にちかえます。すみません(^_^;)
翌週か、翌々週にしますけど、キマりましたらまたコメントいれさせてくださいましー<(_ _)>
2016/9/20 19:26 [1498-4874]
2016/9/21 18:26 [1498-4875] 削除
2016/9/21 18:26 [1498-4878] 削除
禁則ワードは自動監視され、運営によって削除されるようです。
また、悪意ある中傷表現など、かなり監視されてるようです。
2016/9/21 22:14 [1498-4879]
2016/9/22 15:03 [1498-4882] 削除
2016/9/22 15:03 [1498-4883] 削除
2016/9/22 17:01 [1498-4884] 削除
2016/9/22 15:04 [1498-4885] 削除
2016/9/22 17:01 [1498-4886] 削除
ありゃりゃ!?なにやら削除連発でびっくり!(OωO; )
お知らせなんですが、山中湖オフは10月30日にする予定です☆
たぶん人数的にプチオフになると思うんですが、バーベキューがもしできるようなら少し移動してやるかも知れないかと思います(^_-)-☆
もしどんな感じで考えてるのー?とか知りたい方は。みんからでワタクシめにメッセージいただけましたらラインとか教えて情報提供しようかなと思ってます(≧∇≦)b
2016/9/23 01:12 [1498-4887]
残念
30日は京都でフィットもろもろオフ会なので参加できません
というか29日は地元でアニメ&コスプレの結構大きなイベントがあるらしいのでそっちもどうしようか迷い中
2016/9/23 01:30 [1498-4888]
| 少女スプライトの冒険譚 |
全部終わるまで書き込みせぬようお願いいたします。
これは私が書いてきたフィクションの小説で、最も長編の物語です。
きっちり最後まで書き上げてありますので、よろしければご覧ください。
物語は、アメリカの同時多発テロが起こるずっと前の、まだヨーロッパが平和な時代。
ひとりの少女がインドからオランダのアムステルダムへ、自分探しの旅をする話です。
構想10年、製作1年。
信じられないヒトもいるかもしれないかもしれませんが、マジです。
大陸から隔離された絶海の孤島で育った少女スプライト。
彼女は、自分の生きる道を探すため世界の様々な人や文化を知りたいと願い、旅立ちを決意します。
想像を絶する過酷な旅。
目的地をまっすぐ見定めて歩き続ける少女には様々な運命が待っています。
思春期における絶望、悩み、孤独。情緒不安定な彼女ですが、持ち前の明るさで 問題を
ひとつひとつクリアしていき成長していきます。
そして、少女は運命の少年と出会う…。
そんな物語です。
私が高校生の頃にある程度の物語の外枠ができて、それから何度も執筆を 試みましたが、
未完で終わってばかりだった。
そんなとき、ハウス食品提供の「世界名作劇場シリーズ」が「家なき子レミ」を最後に
打ち切りになってしまいました。
(後にレ・ミゼラブルを筆頭に少し復活しましたが)
さまざまなアイデアの参考にさせてもらった世界名作劇場が終わった。
物語的に素直に感動できる数少ないアニメはもう見れないのか。
否! 自分で作ろう! そう決心したのです。
もちろんアニメではないですが、せっかく構築した物語を自分の内に とどめておくのは
あまりにもったいない。
ちゃんとした小説にして、自分自身にもケリをつけよう!
そう思って執筆を開始しました。
世界名作劇場は視聴率がとれなくて終わってしまったことは いうまでもないし、
仕方のないことかもしれない。
それを考えると、人気のないジャンルに手をつっこむという、 あまりに無謀な、
分のない勝負を挑んでいるのかもしれない。
でも、共感できる部分は絶対あると思います。
蛇足かもしれませんが、各章にイラストを載せました。
それなりに苦労して描いたものですので皆さんの想像の手助けになれば嬉しいです。
かなり長々しいあいさつでしたが、それでは本編をお楽しみ下さい。
ひまねこ presents... 「Step Up!」
From Now On...
2016/7/6 00:03 [1498-4685]
| 第一話 スケボーに乗った少女 |
「そろそろ彼女が通り過ぎる頃だな」
午後の診察を一通り終えたエイ・ネルゲンは聴診器をテーブルに置くと、椰子の木の立ち並ぶ
通りを一望できる出窓に腰掛けた。
「スプライト…ですか」
ナースキャップをかぶった、色白の肌の若妻スウォータはエイの側に寄り、チャイと呼ばれる
甘いミルクティーの入ったマグカップを手渡した。
「ああ。毎日村の学校が終わると、この道路を小さなモンスーンのように駆け抜けていくんだ。
彼女のあの元気な姿を見ないと一日が終わった気がしないよ」
スウォータは眉根に皺を寄せた。
「元気なのは結構ですけど、ケガだけはしてほしくないわ。毎日身体中に擦り傷や痣ばかり作って…
よその子にどうこう言うつもりはありませんが、もうすこし女の子らしくおしとやかに
なれないものかしらね」
「はは、彼女はこの島の中で一番よくケガをするから、この診療所一番の常連患者だ。
もはやあの子におしとやかなんて言葉は似合わないよ。だいたい子供は元気が一番、といつも
言うのはきみの方じゃないか」
「あの子はあと三ヶ月で中学校卒業するんだから、もう子供じゃありませんよ。卒業後の
自分の進路や将来を見据えて考えていなければならない時期なのに…」
スウォータはスプライトを、まるで自分の子のように想い、溜め息を漏らした。
「そういえば、もうそんな時期か。時が経つのは早いものだな…。フロート家の皆さんが
シリアからこのキングデラ島に越してきて、もう十余年が経ったのか…当時スプライトは
生まれて一年も経たない赤ん坊だったのに、もう中学校を卒業する時期になったのか…。
フロート家の長女として彼女はどんな道を進んでいくんだろうな。私個人で言わせてもらえば、
あの子はいつまでも自然の中で伸び伸びと暮らしていってほしいと思うんだがなあ」
「またそんな無責任な事を言って…」
スウォータは呆れて言葉が続かなかった。
「はは、無責任で結構。私は一介の医者だ。患者の将来進む道までは面倒みきれんよ。
この村の中学生は彼女を除いた全員がインド人だ。彼女だけブロンドの髪で蒼い色の瞳をしている。
そんな特殊な状況にも負けず彼女は持ち前の明るさで生きてきたんだ。これからの人生だって
ちょっとやそっとの逆境があっても負けることはないだろう。それに…」
エイが一言付け加えようとした瞬間、ネルゲン診療所の前をスケートボードに乗った一人の少女が
一陣の風の如く横切った。
「こんちは、ネルゲン先生!!」
Tシャツとジーンズという、一見男の子と間違えそうな格好の少女は片手を大きく振り上げ、
ネルゲン夫妻が手を振って返事しているのを確認するとそのまま素通りして海の方へ下っていった。
その姿を満足げに見通したエイは、改めて続けた。
「彼女は、あれでちゃんと将来のことを考えているのかもしれないよ」
「そう…ですかねぇ…」
スケボーの滑る音が遠くに消え、しばらく沈黙した後エイはチャイを飲み干し、ぼそりと呟いた。
「ただ、いくらしっかり者のスプライトでも、あのことを知ったらきっと平常ではいられないだろうな…」
スウォータは何も答えず、ただ悲げに瞳を閉じて俯いた。
軽快にローラーのベアリングが乾いた音を響かせるスケボー。それをブロンドの髪を靡かせて操る
少女スプライトは、アラビア海の風を全身に受けると目を細めた。
「ひゃぁーっ、気持ちいいーっ!」
右に左に体を振って器用に砂利を避けながら、珊瑚礁きらめくエメラルドグリーンの海に続く道路を
下っていった。
2016/7/6 00:04 [1498-4686]
海辺は内陸部から一転して近代的なホテルなどが立ち並ぶリゾートとなっており、
様々な国から訪れた観光客が通りを歩いている。
スプライトはボードのヒールを蹴り上げて片手でスケボーを持った。
「さあ、今日も稼ぐわよ」
砂浜に駆け降りると、スプライトは肌を焼いている人を物色しながら歩いた。
海外からの旅行者と思われる金髪のカップルに目を付けると、さっそくスケボーを投げ捨て、
てきぱきと衣類を脱いで予め着ておいた水着姿になった。
そしてカップルの側にちょこんと座ると屈託のないスマイルで話しかけた。
「すみませーん、あたしにサンオイルを塗らせてもらえませんか?」
カップルは、またもや遠慮のないインド人にしつこく金をせがめられるのか、とウンザリしたような
表情で彼女の方に振り向いた。だが声の主は額にティカをつけた東南アジア系のような顔ではなく、
色白な肌で蒼く透き通った眼をしたヨーロッパ系の面立ちをした少女であった。
カップルの二人は驚いて顔を見合わせた。
相手を安心させるために自分と人種が似た人を選んでスプライトは話しかけたわけだが、
それでも断られることは多いので、彼女は返答も待たず更に話を続けた。
「前金で一人1ルピーでどうかしら。それ以上は絶対に請求しません。ただ…」
スプライトはわざと語尾を濁した。これがいつもの彼女の手口だ。
「ただ…なんだい?」
男はスプライトの喋りかけた台詞が気になって質問した。
《かかった!》
スプライトはもはや獲物を釣り上げた気になって説明を始めた。これを聞いて断った客は
今までいなかったのだ。
「あなた方の故郷や旅の話を聞きたいんです。あたし、ほとんどこの島から出たことがないから
ユーラシア大陸の事をなんでもいいから知りたいの」
カップルはそれを聞いてすっかりスプライトに対する警戒心を解き、女性は笑顔でスプライトに
2ルピー硬貨を手渡した。
「そんなことならお安い御用よ。じゃ二人分お願いね」
「まいどっ!」
スプライトは自分の荷物の中からサンオイルを取り出し、得意気に掌に垂らした。
簡単な条件をわざと言いにくそうに最後に説明するだけで旅行者の財布の紐は緩む。
スプライトは見事な手口で小額ながら小遣いを稼いでいた。
ただし、彼女にとって本当の目的は後者である海外情報の収集であり、小遣いを稼ぐことは
どうでもよかった。
先程言いにくそうに話したのが実は本音だったのだ。
インドの都市部や観光地などでは、旅行者を相手にひったくりやぼったくりなどが
当たり前のように横行しているため、醜悪な治安のイメージを観光客に与えている。
このため観光者は必要以上に人と接しないようにしている。
だからスプライトがただ話を聞こうとしても、相手は無視してしまうことが多いのだ。
そこで彼女はこのような方法で夢見る勤労少女を装って観光客に接し、情報収集をしながら
ついでに小遣いまでもちゃっかり稼いでいたのだった。
「どうもありがとうございましたぁ」
スプライトはカップルにお礼を言うと荷物を持って通りの椰子の木の下に座り、
仕入れたばかりの海外情報を専用のノートに書き記した。
「イタリアのベネツィアは、一〇〇以上の小島を四〇〇以上の橋で結んだ都市…か。
運河の街というわけね。しかもあの有名な超豪華寝台列車、オリエント急行の終着駅なんだ。
いやー、素敵。いつか行ってみたいなー…ってトランスしてる場合じゃないわ。
次の情報をゲットしようっと」
スプライトは再びビーチに戻って新しい客を求めて駆けずり回った。
女は近頃このような事ばかりしていた。ただしスプライトにとってこれは仕事などではなく、
彼女の思い描くユーラシア大陸冒険の夢のために情報を収集している、いわゆる彼女の
個人的趣味でやっていることであった。
ここはインドの南西、アラビア海の美しい珊瑚礁に囲まれたラクシャディープ諸島。
あらゆる情報までも大陸から隔絶された、自然の最後の楽園とうたわれたこの諸島に、
十数年前フロート家の四人がシリアから越してきた。インド人ばかりが暮らすこのキングデラ島に
ヨーロッパ系の人間が移住したのは、医者のネルゲン夫妻に次いでのことであった。
父はアラビア海に生息する生物の生態を研究する海洋生物学者、兄は年々近代リゾート化
されつつあるこの諸島近辺の治安を守るための沿岸警備隊をしており、そんな家族と美しい自然に
囲まれて育ったスプライトは島の子供の中で唯一の異邦人であり、持ち前の明るさもあって
島の中のちょっとした人気者であった。
2016/7/6 22:09 [1498-4688]
「ただいまー!」
石造りの家のドアをバン! と勢いよく閉め、スプライトは居間に向かった。
「おかえりなさい、スプライト。もうすぐ夕食だからお父さんを呼んできて頂戴」
夕食の支度をしていた母親のラクティアがキッチンから顔だけを覗かせた。
「はいよー」
スプライトは自分の部屋に荷物を放り投げ、父親の書斎のある二階へ駆け上がった。
書斎のドアをノックし、スプライトはそっと中に入った。おびただしい数の学術書が足の踏み場も
無いくらい山のように積まれており、その奥の机で黙々とパソコンに向かって論文を作成している
父親ジョージアの姿が見えた。
「お父さん、お母さんが夕食だって…」
彼女は小声で父に呼びかけた。この部屋の中で大声を出すと積まれた本の山が崩れる恐れがある、
いや大声を出して本の山が崩れたことがあったのだ。
「お、もうそんな時間か。すぐ行くって言っておいてくれ」
「はーい…」
廊下に出ようとしたスプライトは、ふとドアの脇に飾ってある地球儀に足を止め、まじまじと眺めた。
「ははぁ。イタリアのハイヒールみたいな半島の付け根にべネツィアがあるんだ。きっとあたしの
知らない文化がたくさんあって、その中でいろんな人が生活しているんだろうな…
くぅー、行きたいな、大陸…」
スプライトはクルクルと地球儀を回しては、虚ろな瞳で溜め息を漏らした。
「…何してる、スプライト」
はっ、と気付くと背後でジョージアが自分を見ていた。優雅な空想世界が父の一言で
ダイナマイトを使用したビル破壊のように一瞬で跡形もなく崩されてしまった。
「はあぁーっ、お父さん、いつの間にいたの!?」
「ばか、大声を出すな。ここは私の仕事部屋だぞ、居ちゃ悪いか」
「あいや、そうでなくて…」
スプライトは大陸を旅したいと願う夢を家族に内緒にしていた。この夢が叶うことは家族と
離れることでもあるため迂闊に口にできないのだ。話したところで反対されるに決まっているし、
本気にもされないのではないかという懸念もあった。いまのところは同い年の親友ミスティオに
しか話していない、二人だけの秘密だった。
「まったく地球儀を眺めながらニヤニヤするなんて、世界征服でも企んでいそうで不気味だぞ。
いいから下へ行って夕食にしよう」
「…はーい」
食堂へ戻るとラクティアがシーフード・カレーを並べて待っていた。
「お兄ちゃんは? また今日も遅いのかしら」
スプライトは家族の揃わない夕食を不満そうに、スプーンを口に銜えながらテーブルに肘を突いた。
「行儀良くなさい。沿岸警備隊は人手不足なんですよ。あなたも中学校を卒業したら、
その有り余る行動力を生かして沿岸警備隊に志願したらどう? そうすればウィリーの負担も
軽くなって家族の揃った夕食も多くなるわよ」
ラクティアは、毎日学校から帰るなり鬼神の如き素早さで遊びに出掛けていく怠惰なスプライトを
皮肉った。
実際は四六時中遊びまわっているわけではないのだが、家族に内緒にしている以上そう思われても
仕方はない。
「女のあたしが警備隊に入れる訳ないでしょ。それにあたしがカナヅチなの知ってるくせに」
ふて腐れてカレーを行儀悪くかっこむスプライトの姿を見て、ジョージアはからかうように腐した。
「はは、お前子供の頃イルカの背中に乗ったまま海に潜って溺れそうになったんだったな。
そんなトラウマをまだ引きずっているのか」
「もうっ! 大きなお世話よ」
「ははは、すまんすまん。ちなみにスプライト、お前中学校を卒業したらどうするか
考えているのか? クラスのみんなは大抵家業の漁を手伝ったりするらしいじゃないか。
ま、私はお前の進む道に強制はしないし、お前がまだ勉学に励むつもりならコーチンの高校へ
行かせんでもないぞ」
大陸の高校に行ける、と聞いてスプライトの瞳がにわかに輝いた。
「大陸の高校?…うーん、わかんないよ。アハハ、ちょっと考えさせて。ごちそうさまでした!」
「アハハ…って…笑い事じゃないでしょ。待ちなさいスプライト!」
スプライトは訓戒から逃れるようにそそくさと自分の部屋に戻った。
ベッドの枕の脇に置かれたカセットテープのスイッチを入れ、今日一日で仕入れた外国の情報を
書き記したノートを寝ころがりながらじっくりと眺めた。
「コーチンの高校…か。大陸に行けることには違いないけど………。でも、それってあたしの夢が
叶うことと別の問題なのよね…」
テープから静かに流れる、悠久なる大地を想像させる管弦曲がスプライトを更に懊悩させるのであった。
2016/7/6 22:16 [1498-4689]
翌朝、教室の自分の席にバッグを置いて一息ついているスプライトに、ミスティオが話しかけてきた。
「おはよう、スプライト。 どうしたの冴えない顔して。いつもの根拠のない笑顔はどうしたのよ」
生粋のインド人らしく、インド独特の婦人服サリーの似合う、額のティカがチャーミングなミスティオ。
そんな彼女にスプライトは渋い顔で答えた。
「朝っぱらからご挨拶ね、ミスティオ。まぁ、あたしも人並みに悩み事があるわけなの」
悩み、と聞いてミスティオは「はは〜ん」と瞳を怪しく光らせた。
「もしかして恋の悩みかしら、そりゃ是非聞きたいわね。で、誰なのよ、あなたをそこまで
悩ませる罪な男って。誰にも言わないからあたしに話してみなさいよ」
スプライトは彼女のとんちんかんな発想に思わず吹き出した。
「あははは、相変わらずぶっとんでるわね、ミスティオ。そんなんじゃないわよ。
実はね、昨日の話なんだけど…お父さんがあたしにコーチンの高校に行ってもいいって
言ってくれたんだ」
「まぁ素敵! それは素晴らしいわ。あたしも親に高校へ行きたいって言ったんだけど、
お金が無いから家の漁業の手伝いをしろって言われたわ。あたしの将来はがんじがらめなのに…
あーん、いいなぁ!」
ミスティオは掌を弾いて親友の輝かしい将来を羨んだが、スプライトはそれをよそに
窓の外に広がる青空と椰子の林の彼方に望む海を眺めながら溜め息まじりに答えた。
「でも、あたし高校へ行ってもやりたい事なんてないわ。大陸に行けるというだけなら
素直に喜んじゃうんだけど」
「ああ、あなたいつも大陸へ行きたいって言ってたもんね。でも、大陸へ行けて高校も行けるなら
言うことないでしょ。だいたいやりたい事なんて高校に入ってから考えれればいいじゃない。
一体何を悩んでいるの?」
「あたしはただ大陸に行きたい訳じゃないの。なんというか…一人でいろんな国を旅して
たくさんの文化や人と出会って見聞を広めたいのよ。あたしなりの自由を試すっていうのかな…。
その経験の中で自分の将来を決めたいって思っているの」
「ははぁ、なるほど。巡礼の旅って訳ね」
「…巡礼…? まあ、そんなもんだと思ってくれればいいかなぁ…。とにかく、そうは言っても
未知の大陸の一人旅って正直言ってメチャクチャ不安なのよ。あまりにも目標が漠然と
しすぎているし…あたし女だし…。だからそうなると、素直に高校へ行って勉強するのも
悪くないかなって思うんだけど、それは自分にとって最善の道だと思えないのよ。
なんだか逃げているみたいでさ」
「なるほどー、自分のこれからの事で悩んでいるのね。あたしは、将来は家業を継ぐという事で
もう決まっているからその辺の悩みについては深くは分からないけど、あなたは自分の将来を
自ら選択できることを誇りに思うべきだわ。ただ、今の自分が選んだ道に、未来の自分を
後悔させない勇気を持つ事が大切なんじゃないかしら」
淡々とした口調から切実に感じられるミスティオの想いがスプライトの胸を熱くさせた。
「自分を後悔させない勇気…か。く〜っ、ミスティオってたまにいい事言うのね。見直しちゃったわ」
「それ、褒め言葉になってないわよ。それより、あなたのお兄さんてばお元気にしてらっしゃる
かしら。今度遊びに…ねぇ、ちょっとスプライトってば…もしもーし!?」
スプライトは微かに薫る海からの潮風に思いを馳せ、何人たりとも侵すことのできない夢中モードに
突入していた。
とはいえ、ミスティオに悩みを告白したからといって、それの根本的解決になった訳ではなかった。
ミスティオは自分のやりたい事をやりたいようにすればいいと言っただけで、一人旅に対する
不安要素を除去してくれたのではなかった。外周数十キロメートルのこの小島で、
先祖代々変わらず質素に暮らし続け、それが当たり前の生活になっているミスティオに
解決してもらえるとはスプライト自身、思っていなかった。
ただ、旅立つ勇気は誰からでもなく自分の中からほじくり出すものだと、改めて認識できただけでも、
スプライトはミスティオに話した甲斐があった、と思ったのであった。
「早く授業が終わんないかなー。またビーチへ行って大陸に関する話を聞きたいわ。
あたしの目指すべき所…はやく見つけたい…」
スプライトは、焦りを吹き捨てるようにため息をついた。
2016/7/6 22:23 [1498-4690]
数日が過ぎた、ある夕方の事だった。
薬品を棚に仕舞っていた医者のエイが玄関のベルに気付いてドアを開けると、そこには左手を
抑えながら立ちすくむスプライトの姿があった。
「おやスプライト、またケガしたのか。いつものようにそのまま中にはいってきたらよかったのに」
スプライトはエイの顔を見上げ、無理に作り笑いをしてみせた。
「えへ。ちょっとスケボーでオーリーしたら思いきり転んじゃったの…今日はちょっと派手に
やっちゃったみたいで、なんだか左手が動かないんだ。いててて…」
少し顔色が青ざめている彼女を見て、エイはいつもの擦り傷や捻挫程度のケガではないと察知した。
「どれ、少し見せてごらん」
スプライトの左腕が青く腫れている。患部を触ると、彼女は苦痛に顔を歪ませた。
「痛い痛い痛い痛痛痛ーっ!!」
「……ふむ。中でもう少し詳しく検査しなければわからないが、これは下手をすると腕の骨が
折れているかもな」
「うそ!? 骨折してるの、ネルゲン先生?」
「多分な。とにかく中に入りなさい、詳しく検査しよう。おーいスウォータ、急患だ。
氷を持ってきてくれ!」
スプライトはエイに連れられて診療所内のレントゲン室に入った。
スプライトの左腕を氷水で冷やしながらスウォータが脅すように追求した。
「一体何をやらかしたの? こんな、一歩間違えば命に関わりそうなケガをするなんて」
二人の心配をよそにスプライトは、とてもケガ人とは思えないような満面の笑みを浮かべて話した。
「実はね、今日とっても素晴らしい出来事があったの。詳しいことは今は言えないけど、
あんまり素晴らしかったからあたし大はしゃぎしちゃって。そんな感じで十段くらいあった階段を
スケボーで一気にジャンプしたら、着地した瞬間に派手にぶっ転んじゃった。
あたしのテクニックもまだまだ下手ね、修行が足りなかったわ。てへへ」
「呆れた。これに懲りてスケボーなんて乗らなくなると思ったのに…」
夜も更けたころ、スウォータから連絡を受けたジョージアとラクティアが診療所に駆けつけた。
またややあってから兄のウィリーも自転車に乗って来た。
「スプライト! 大丈夫か!?」
左腕を痛々しくギプスで固められ、ベッドで横になっていたスプライトは兄の訪問にびっくりして
上半身を起こした。
「どうしたのお兄ちゃん、お仕事は?」
「ばか、お前は寝てろ! 妹が大ケガしたって聞いて仕事してられる訳ねぇだろ!
で、ネルゲン先生、妹の、スプライトの具合はどうなんですか!?」
エイはレントゲン写真をウィリーに見せながら、淡々とした口調で話した。
「ええ。先程ご両親にも説明しましたが、左腕のとう骨としゃっ骨にひびが入っていました。
腕をギプスで固定しておきましたが、だいたい全治二〜三か月ですね。完全に折れていたなら
ここの診療所での治療は無理ですので、船でコーチンの病院へ行かなければならないところ
でしたよ。まあ、不幸中の幸いでした」
ウィリーはそれを聞くと、はあーっ…と深くため息をついた。
「そうですか…ネルゲン先生、本当にどうもありがとうございました…。まったく、スプライト、
あれほど気を付けろと言ってるのにお前は何をやってるんだ!?」
母も涙目で頷いた。
「そうですよ、スウォータさんから電話を受けた時、私がどんなに心配したことか、
あなたは分かっているの?」
スプライトは毛布を口元まで引いてたじろいだ。
「ごめんなさい。反省してます…」
「まあまあ、スプライトがとりあえず無事だったから良しとしようじゃないか」
父が宥めると、二人はようやく冷静さを取り戻した。
スプライトは今晩だけネルゲン診療所で入院することになった。フロート家がこの島へ
移住してきた当時からの付き合いもあるネルゲン夫妻が、責任をもって彼女の面倒を見てくれると
申し出たことから、両親と兄は自宅へ帰っていった。
深夜、暗い病室のベッドで横になっているスプライトは、見慣れない環境もあってなかなか
寝つけなかった。
「こんなんじゃ明日からビーチでオイル塗りのアルバイトはできないわね。でも、もういいわ。
遂に目的地がはっきりしたからね。あたし、今なら胸を張って旅ができそうな気がする…いや、
今すぐにでも旅出ちたい気分だわ。それなのにこんなケガで身動きがとれないなんて…
あー、本当にあたし何やってるんだろ………」
スプライトの焦燥感は夜空にきらめく人工衛星のようにいつまでも空の上を動かずに漂っていた。
2016/7/7 21:49 [1498-4691]
数週間が過ぎた。
スプライトは接骨の経過を検査するためネルゲン診療所へ訪れると、スウォータが診察室に
通してくれた。
「エイは今往診に行っていてまだ帰ってこないのよ。たぶんすぐ戻ると思うから、その椅子に
座って大人しくしていてちょうだい。私はすぐに検査ができるようにレントゲンの準備を
していますから。いいわね、お腹が空いたからって棚の薬品を無差別に飲んじゃダメよ」
スウォータはスプライトに過去にあった過ちを繰り返さぬよう、念を押して部屋を出ていった。
初めの数分は、一人椅子に座ってじっとしていたスプライトだが、やがて退屈に耐えきれなくなり
部屋の中をうろうろと歩き回った。
「むー。ネルゲン先生まだかなぁ…ん? これは…」
ふとエイの机の上に〈住民健康管理ファイル〉と書かれたバインダーが置かれてあるのを見つけた。
スプライトは宝箱を見つけた時のような胸の高まりを感じつつ、バインダーを手に取った。
「これは島のみんなの閻魔帳だわ。見ちゃおっかなー。ちょっとだけ見てもいいよね。
ほんのちょびっとだけ…」
スプライトは誰に向かうともなく呟き、バインダーを開いた。
「あたしのページにはどんな事が書かれているんだろう…あ、あった。なになに…
本名スプライト・フロート、出身シリア国ハマ、血液型O型RH+、備考…軽傷多し。
なにこれ? 事務的なことしか書かれてないからつまんない。あ、お父さんのページだ。
ジョージア・フロート、血液型はAB型…。そうか、だからお父さんってちょっと変わり者だって
いわれるのかなぁ…って、ちょっと待てよ、あれ?」
ふと疑問が沸いた瞬間、窓の外でエイが自転車に乗って帰って来るのが見えた。スプライトは、
あわててファイルを元に戻した。
「遅れてすまない。さっそく検査しようか」
「はーい」
スプライトは気持ちを切り換え、素直にエイに従った。
スウォータが準備してくれていたお陰で検査はおもいのほか早く済んだ。
椅子に座ってレントゲン写真を見るエイは感嘆の溜め息を漏らした。
「さすが健康優良少女だな。もうほとんどひびのあった箇所が分からないよ。よし、明日から
早速リハビリが始められるな」
「よっしゃぁ! もうすぐこのギプスも取れるのね!!」
スプライトは喜びの余り右拳でギプスを殴った。拳と患部の両方に激痛が走り、歓喜の表情が
みるみる歪んだ。
「痛い…」
エイに指示された毎日のリハビリも順調にこなし、ギプスの取れる日まで秒読みとなったある晩の
夕食後、スプライトはついに両親に告白した。
「あたし、決めた!! 中学卒業したら旅に出るわ。一人で旅をどれくらいやれるのか、
自分を試してみたいの!」
ラクティアは目を飛び出さんばかりに大きく見開き、テーブルを力のかぎり叩きつけた。
「なんですって!? 突然何を言いだすのかと思えば旅行なんてバカな事を。ましてや一人旅なんて
とんでもないわ、私は絶対許しません! やっと腕のケガが治りかけてきたというのに何たること…
あなたからも何とか言ってやって下さいな」
話を振られたジョージアは、頭を掻きながらゆっくりとタバコに火を付けた。
「ふー…。まぁ、まずはスプライトから詳しい話を聞こうじゃないか」
スプライトは逸る気持ちを抑えながら、ゆっくりと口を開いた。
「あたし…お父さんの書斎にあるパソコンのインターネットや多くの本を見たり、
ビーチの観光客の話なんかで大陸のいろんな話を聞いて、この島の世界が小さく思えてきたの」
父の書斎のパソコンは通信衛星を介してインターネットが利用できる。ジョージアはそれを
スプライトが無断で閲覧していたことを初めて知ったが、話を聞くと言った以上、
彼女の話を塞き止めて叱ることはできず苦笑した。
「決して島を嫌いになったとか、そんなんじゃないわ。ただ、大陸にはこの島の中じゃできない体験が
星の数ほど散らばっているって知って、じっとしていられなくなったんだ。
…あたし、すごいわがままだって自分でも分かってる。学校の友達の多くは卒業した後、
家業を手伝う生活が決まっているんだ。ミスティオだってそうよ。家族と共に漁業を営まなきゃ
いけないって、将来を自分で選択できるあたしが羨ましいって彼女は言ったわ。
その話を聞いた時、とてもいたたまれない気持ちになったわ。あたしだって、あたしなりに
悩んだんだ。本当はお母さんやお父さんに言われた通りこの島で働いたり上の学校へ行って
勉強をする方が大切なんじゃないか、正しいんじゃないかってね。でも………」
スプライトの話が詰まると、ジョージアはタバコを灰皿に押しつけながら呟いた。
「……そうか。家族の存在が、お前に足かせを嵌めていたのか…」
「違うわ! あたしが臆病だっただけよ!!」
スプライトは感情的になって否定したが、ジョージアはあくまで冷静に続けた。
「いや、そういう事じゃないんだ…少し私の話を聞いてもらおうか」
ジョージアの胸の内を察したラクティアが口を挟んだ。
「あなた、今はまだ…せめて二十歳を迎えてから言うべきでは…」
「いや、この娘は本気だ。私達はここで真実を言う義務がある」
「…そうですか。とうとう、話すときが来てしまったのですね」
「??」
スプライトは、父と母が自分のことについて話し合っているはずなのに何を言っているのか
全く理解できず、たじろいだ。ただ、漠然とした不安だけは本能で察知していた。
「ただいまー。お、なんだ皆怖い顔して。またスプライトが何かしたのか?」
警備の勤務の終わったウィリーが帰ってきた。
「丁度いい。お前も座って話を聞きなさい。家族にとって重要な話なんだ」
「どうしたっていうのさ」
「いいから、座りなさい」
ウィリーは訳も分からずとにかく椅子に腰掛けた。
2016/7/7 21:56 [1498-4692]
「これから話すことはお前達にとって、おそらく信じられないことだろうが、紛れもない事実だと
いうことを、予め言っておく」
ジョージアはそう言うと、運命の宣告に助走をつけるよう深呼吸した。
「まず結論から話そう。スプライトは私とラクティアの本当の娘ではない。いわゆる、養子なのだ」
「ええっ!?」
スプライトとウィリーは同時に絶叫した。
ウィリーは冷静に自分の幼年期を思い出すと、父の言った〔事実〕に抗った。
「ウソだ。俺が七才のときに、母さんは俺の妹を生んだはずだ」
ラクティアは感情を押し殺して口を開いた。
「確かにその通りよ、ウィリー。私は確かにあのとき赤ちゃんを生んだの。でも…」
スプライトは訳が分からず呆然とした顔をしていた。それを見てジョージアはラクティアを制した。
「順を追って説明しよう、ラクティア」
ラクティアは黙って頷いた。
「私達がまだ中東…シリアのハマの街に住んでいた頃の話だ。ラクティアの出産に
付き添わなければならない私は、ウィリーをホムスの街の実家に預かってもらっていた。
だから、そのときの真実をウィリーは知らないんだ」
ウィリーは当時その実家にいた事実を覚えていたため素直に頷いた。
「ラクティアのお産を目前に控えたある日、同じ病院の中でアルメニア人の友人である
エディタ夫妻からほんの数日間という約束で赤ん坊を預かった。それがスプライトだったんだが、
その数日間が全ての運命を変えてしまった。大きな…歴史に残る大きな内戦が街で
勃発してしまったのだ。政府軍の爆撃などでハマの街は瞬く間に紅く燃え上がり…
私達は硝煙と死臭の立ち込める街を必死に逃げるしかなかった。不幸なことに、エディタ夫妻は
この内戦で帰らぬ人となってしまい、またラクティアも銃声の轟く最中、体力を消耗しきった体で
出産したために、生まれた子供もすぐに動かなくなってしまった…私達にとっても地獄のような、
残酷な内戦だった…」
スプライトは絶句し、口を抑えた。
「それでもなんとかこの内戦を生き延びた私達は、これも何かの運命だろうと決心した。
共に生き残った、エディタ夫妻の赤ん坊スプライトを娘として育てよう、と。内戦が鎮静した後、
私達はエディタ家の親戚を探して事情を説明し、スプライトを正式な養子とする旨を話し許可を
もらった。もちろん反対されたら諦める覚悟はあったが、アルメニア人である親戚の方々は
元々難民…ただでさえ厳しい生活を強いられていたので人一人養えるだけの余力など残されては
いなかった。ましてあの、死者一万人を越す内戦の後ではなおの事、親戚の方々は快く我々に
スプライトを預けてくれたんだ。そして私の仕事、アラビア海に住む生物の研究のために、
四人家族になった我々はこのインドのラクシャディープ諸島にやってきたんだ」
ジョージアが話しおえた後、ラクティアが付け加えて説いた。
「始めは…正直言ってスプライトを憎んだわ。あの時抱いていた赤ちゃんがスプライトでなく
自分の子供であったならと、そう思わずにはいられなかった。でも、こういう運命…
因果というものも時としてあるものだって思って私はあなたを正式に養子にすることに
同意したのよ。あの地獄のような内乱を生き抜き、そして親を亡くしてしまったこの子を、
私達の娘として育てる決心をしたの」
ラクティアはそう言うと、ようやくスプライトの顔を見ることができた。
スプライトは視点が定まらず、唇が震えていた。
「あたしが…養子…あたし…お父さんの、お母さんの本当の子供じゃないの?」
「黙っていてごめんなさい…スプライト、ウィリー。決して騙すつもりは無かったの。
あなた達が分別のつく大人になってから話そうと決めていたの」
「スプライト、血は繋がっていないがお前は紛れもなく私達の娘であり、家族だ。しかし先刻の
お前の話、私達がお前の求める道の障壁となっていることを聞いて、これ以上お前に
黙っていることはできなかった…私達はお前を抑制する権利などないんだよ。
だから、この事実を伝えたんだ」
ジョージアはあくまで冷静を装って話した。
「今言ったことを心に受け止めて、もう一度考えてほしい。その上で出たお前の結論に、
私達はもはや何の反対もしない」
血は繋がっていない、という父の言葉を聞いてスプライトはネルゲン診療所で見た健康ファイルの
父のデータを思い出していた。両親のいずれかがAB型の血液であった場合、生まれた子供がO型に
なることはあり得ない。
………あれは、このことだったんだ…
錯乱寸前のスプライトは、父の話を裏付けるファイルの秘密を理解できたことだけで精一杯だった。
「少し、頭の中を整理する…ちょっと、一人で考えさせて…」
「スプライト…」
母の呼びかけに、スプライトは精一杯落ちついた声で答えた。
「ごめんなさい、すぐに元気になるから…」
スプライトは震える手で部屋のドアを閉めた。左手のギプスもガクガクしている。
真っ暗な部屋の中、スプライトはベッドに倒れこんだ。
自分の意思と無関係に頭の中がグチャグチャに暴走し、冷静な判断ができない。
「う……っ」
胸の奥から熱い何かが込み上げてくるのを、スプライトは怯えきって震え、声を殺してうずくまった。
しまいには毛布を頭まで被り、抑えきれないうめき声をあげていた。
2016/7/7 22:02 [1498-4693]
スプライトがいなくなり沈黙した居間。最初に口を開いたのは、遅れて一人カレーを食べていた
ウィリーだった。
「ひでーな、俺にまで黙っていてさ」
「…すまなかった、ウィリー。ただ、お前までスプライトに対して気遣う必要はないんだ。
血の繋がっていない兄妹として意識させたくなかったんだ」
ジョージアが息子に対して素直に謝ると、その潔さにウィリーは恐縮した。
「まぁ…あいつは俺にとって、ここまで一緒に生活してきた大切な妹なんだから、血の繋がりが
どうのいわれてもどうでもいいことだと思うよ。家族の絆っていうものは血縁なんかじゃない。
一緒に…共有してきたかけがえのない時間、思い出だと思うから。ただし、それは俺個人の
主観で見た自分自身のことだけどね」
ウィリーはそう言うと急に険しい表情になった。
「でもさ、あいつの本当の両親は別にいて、しかも自分が生まれた直後に亡くなっていたって
いうんだろ。そんな宣告をいきなりされたら誰だって訳分からなくなっちまうよ。
あいつ、意外に情緒不安定だから悪いほうに物事を考えなければいいけど…」
「悪いほうに…って?」
ラクティアが心配そうな目をして聞いた。
「今までの自分と俺たちを結んでいた、信じていた当たり前のものがいきなり壊されたって
思うかもしれない。そうしたら、もうあいつは俺たちの家族じゃいられなくなってしまうよ…」
遠慮のないウィリーの言葉が、ラクティアを戸惑わせた。
ジョージアは腕を組んで二人に説いた。
「何にせよ、スプライトが旅立つにしろ、留まるにしろ、自由に選択させようじゃないか。
……スプライトを養子にしようと決めたあの時、私は決して正しい選択をしたとは思っていない。
しかしそれを正しい選択だったと思えるように、思ってもらえるように今まであの娘に
接してきたつもりなんだ。スプライトがこれから下す決断は、それを審判してくれる。
だから今は黙ってあの娘の決断を待とうじゃないか、ラクティア、ウィリー」
ラクティアとウィリーは力なく頷いた。
ウィリーには、想像を絶する両親の苦悩にただ同情するしかなかった。
「お父さん、入るね」
夜遅く、スプライトはジョージアの書斎のドアを開けた。
「スプライト、少しは落ちついたか?」
ウサギのように瞳を赤くさせたスプライトは静かに床に腰を下ろした。
「うん。あたしシリア人じゃなくてアルメニア人だったんだね。ね、お父さん、あたしの本当の
お父さんってどんな人だったの?」
「素晴らしい人だったよ。もともとシリアに暮らすアルメニア人の方々は、旧ソ連に同盟を結んだ
自国アルメニアの戦乱から逃れてきた難民だったから、その苦労は計り知れないよ。
お前の本当の両親であるエディタ夫婦も例外じゃない。アルメニア人であるだけで
ずいぶん迫害されたそうだ。しかし二人はそんな逆境にめげず日々働いていたんだよ。
お前のお父さんエリミネータはハマの街に生活を根付かせてからは商才あふれる知識を生かして
立派な絨毯屋を経営していたんだ。お母さんスキャナはとても美しい人だった。お互い結婚して
いなかったら、きっとお前の本当の父親は私になっていただろうな」
「!!」
書斎の外で、中の様子に耳を欹てるラクティアの表情が一瞬強張った。
「まぁ、お父さんたら。うふふ」
スプライトは明るい笑顔を見せたが、すぐに表情を険しくさせて俯き、訥々と胸の内を打ち明けた。
「あ、あのね…話してくれて、ありがとう。あたし…やっぱり旅に出ます。そして旅の途中で
シリアに行く」
スプライトはそう宣言するとゆっくりと顔を上げた。その表情は自身と誇りに満ちていた。
「シリアに行って、この家の家族として、お父さんの娘、お母さんの娘、お兄ちゃんの妹として
生きていくために、自分自身のけじめをつけるんだ!」
ジョージアは、精一杯背伸びをして叫んだ娘の震えた肩を抱いた。
「スプライト…わかった。お前の信じる道を進みなさい。しかしお前、シリアへ行くのは
旅の途中と言ったが、最終的な目的地はあるのか? お前の考えている旅を茶化すつもりはないが、
流浪の旅には私はあまり賛成できないな」
スプライトは理解ある父親に安心し、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの得意顔で立ち上がり、
書斎の地球儀に指を当てた。
「目的地は当然決めてあるわ。ここから遙か北西のヨーロッパ、ネーデルランド王国。
その中心のアムステルダムという自由都市よ。そこであたしの持つ自由という意味を
見つけに行くの」
「そうか…。いいだろう、お前自信が決めた道だ。反対する理由は何もない」
そう言うと、ジョージアは一枚の封筒をスプライトに手渡した。
「これを持っていきなさい。シリアのハマの街に住むお前の伯母の住所だ。お前の父エリミネートの
姉にあたる人だな。会って話してくるといい」
「ありがとう…お父さん」
「アムステルダムに着いたら手紙を書いておくれ。できれば私からの返事の手紙を
受け取れる場所で、な」
「うん…わかった、必ず手紙を書くよ」
「人にとって一番辛いのはきっと、愛する人が自分のために何かを諦めることだ。お前には、
私達のためにも夢を諦めないでほしい」
ジョージアは毅然とした態度でスプライトの瞳を見つめた。
「だから…負けないように、泣かないように、元気で…頑張るんだぞ」
「お父さん…ありがとう…ありがとう!! あたしお父さんが、高校へ行ってもいいって
言ってくれたとき、本当に嬉しかったんだ!!」
スプライトはジョージアの胸の中で大粒の涙をこぼしながら泣き叫んだ。
ドアの外で様子を聞いていたラクティアもうずくまって顔を抑え、ウィリーは母のその震える肩を
優しく抱いた。
2016/7/7 22:13 [1498-4694]
中学校の卒業式、ギプスも取れて完全に治った手を突き出し、サリーに身を包まれたスプライトは
卒業証書を授与された。
その碧眼には、全てを断ち切ったかのような生き生きとした光が輝いていた。
そして翌日、出発の日はやってきた。
スプライトを見送りに、ネルゲン夫婦やミスティオをはじめ、島に住む多くの友人が桟橋に集まった。
スプライトは時間の許す限り一人ずつ別れの挨拶をした。
「スプライト…きみが居ないと寂しくなるけど、いつもきみの健康を祈っているよ。くれぐれも
ケガだけはしないようにな」
「ありがとう、ネルゲン先生。…ね、先生ってばあたしが養子だった事知っていたんでしょ?
ひどいわ、あたしを騙していたのね」
「バレてたのか。すまん、きみのお父さんから固く口止めされててね」
隣のスウォータが続けた。
「それに、そういう重要な事は私達からでなく、やはり家族の口から告げられた方がよかったでしょ?」
スプライトは舌をぺろっと出して見せた。
「わかってる、冗談よ。あたしだってネルゲン先生の立場だったらきっと同じように
言わなかったと思うもの。あはは…ほんとに、今までケガばかりしていたあたしの手当てを
してくれてありがとう」
「気を付けてな、スプライト!」
スプライトはエイとスウォータと固く握手を交わした。
「スプライト、これあたしたちクラスの皆からからの贈り物よ」
ミスティオがスプライトに黄色のリボンを飾った大きな麦わら帽子を手渡した。
「ミスティオ…どうしたの、これ?」
「えへ。椰子の葉を織って作ったのよ。インドの内陸は気温が四〇度を越すんだから、
これをかぶっていけば安心でしょ」
「あたしのために………ありがとうミスティオ、とっても素敵な麦わら帽子だわ。
あたし、大事にするから!!」
「元気でね、スプライト。巡礼の旅の途中で素敵な彼が見つかるといいわね、ふふふふふ」
スプライトは未だに巡礼の旅と誤解したままのミスティオが滑稽に思えて笑いだしたが、
すぐに涙があふれてミスティオに抱きついた。
「…ミスティオ…あたし、あなたからもらった勇気を忘れないから!」
「あたしの分までがんばってね、スプライト。私はいつでもあなたを応援してるわ」
「ごめん…ごめんねミスティオ…!!」
「どうして謝るの? 胸を張って行こうよ、ね?」
「…うん…なんとなく謝りたかっただけなんだ。ありがとう、ミスティオ」
ミスティオとの別れが済むと、ほぼ一通り挨拶は終わった。
スプライトは最後に家族の、母の前に立った。
「スプライト…遂に、行ってしまうのね…」
「お母さん…あたし必ず帰ってくる。だから待ってて。そうそう、言い忘れていたけど、
赤ん坊だったあたしの命を守ってくれてありがとう。あたし、たとえへその緒が繋がって
いなくたって…お母さんを、フロート家の家族であることを心から誇りに思うわ」
「ああ…スプライト…あなたは私の娘だわ。愛してる…!」
母は言葉少なに娘をきつく抱きしめた。スプライトは母親のやさしい力のこもった腕の中で、
この母の感触を忘れまいと涙ながらに強く心に刻んでいた。
それは他の誰から見ても、母と娘であり、親と子であった。
ジョージアとウィリーもその隣で安堵に満ちた表情で二人を見守っていた。
「間もなく出航ですよ、お嬢さん」
クルーから乗船の案内を受けた。
いよいよ出航の時間だ。
スプライトは荷物のトランクと愛用のスケボーを持ち、ミスティオから受け取った麦わら帽子を
被ると、大勢の声援を背に受けてコーチン行きの定期船に乗り込んだ。
甲板で見送るみんなを一望すると、冒険に旅立つ期待と不安で体の震えが止まらなかった。
そんな自分を誤魔化すため、精一杯背伸びをして出航の汽笛と共に見送るみんなに手を振り、
大声で叫んだ。
「本当にありがとう、みんな。あたし今日のこと絶対忘れない。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、
みんな……いってきまーすっっっ!!」
ウオオオオーッと一層激しい声援が彼女に向けられた。
スプライトは熱いものが激しく込み上げ、それ以上みんなを正視できなかった。
若干一五歳になるスプライト。
彼女の旅が、高速ギヤに切り替えられた船のエンジンとともに動き始めた。
………次にこの故郷の島に戻ってくるとき、自分はどんな人間になっているだろう。
前日の晩、小さなトランクに衣類や旅行道具をパッキングしていたときからそう思っていた。
もう後には退けない。
夢が現実になる瞬間だ。
小さな胸に詰まった勇気と好奇心と冒険心が、今まで悩みつづけた不安と後悔を凌駕せんばかりに、
今にも臨界に達し爆発しそうなほど高鳴る。
離れゆく故郷のキングデラ島を背に、船主に仁王立ちになったスプライトは涙を拭い、
そして息をすうっと吸い込むと思うままに叫んだ。
「よぉぉーっしゃぁーっっっ!! 絶対行ってみせる、自由の都アムステルダムへ!!」
「あなた…」
スプライトを乗せた船が水平線の彼方に見えなくなると、ジョージアの肩に寄り添っていた
ラクティアは大きなため息を漏らした。
「これで、よかったんですね…あの娘の進む道は」
「さて、どうだろうな。それもスプライトのこれからが全てだろう」
「そうですわね…。ところで、スプライトの出発の準備なんかですっかり忘れていましたが…」
「なんだ、ラクティア。急に改まって?」
「あなた、スキャナ婦人と結婚したかったんですって? 私、そんな話は全く聞いていませんでしたわ」
「うえ!? き、聞いていたのか? あ、あれはだな…もののはずみというかだな…言葉のあやと
いうやつでだな………」
「言い訳は家でじっくりと聞かせて頂きます!」
2016/7/7 22:21 [1498-4695]
| 第二話 旅の修理屋 |
赤レンガの建物に囲まれた街マーストリヒトで少年は育った。名前をランダムといった。
ランダムは今悩んでいた。毎晩のように夫婦喧嘩を繰り返している両親がとうとう
離婚しよう、と言いはじめているのだ。
夫婦喧嘩をするのは、いかなる家庭であろうと必ず起こりうる当たり前のイベントだ。
しかしそれが増長し、離婚してしまうとなると穏やかな話ではない。
ランダムのハイスクール進学を目前に控えたこの時期に、一体この両親に何が起こったのであろ
うか。
原因は、ごく単純だった。
夫に収入が悪い、と妻が罵ったことが喧嘩のそもそもの発端であった。
自分はスーパーのレジ係のパートをして家計を助けているのに、と生活の義務や感謝を楯に
家計の不満を夫に訴えると、この不景気な情勢では仕事があるだけでも幸せだ、
と夫は社会情勢の苦労話を持ち出して対立したのだ。
最初はそれだけだった。しかし何度も言い合いを重ねていくうちに論点が次第に家計の話でなく、
互いの宗教観に向けられてしまい、事態は手をつけられない程の泥沼と化してしまった。
最初はランダムも仲裁に入ってお互いの激情を塞き止めようとしたが、頭に血が登った相手に
何を言っても無駄であった。働きもしない子供に何が分かる、そんな暇があったら勉強して
いい会社に就職しなさい、などと言われ、話を取り繕う暇もなかった。
こうなるとランダムはどうにでもなれと匙を投げた。事態の結論に従うことで腹を括ったのだ。
ただ、最悪の事態にならないことだけを祈りつつ。
最悪の事態、それは離婚の正式な申請を役所に提出すること。ランダムの祈りむなしく数日後、
それは現実のものとなった。
やりきれない気持ちで、彼は自分の部屋の机で大きなため息をついた。
「…はぁ…」
「…はぁ…!! 着いたー。やっと大陸に着いたぞおー!!」
青空の下、コーチンの港に着いたスプライトは大きく深呼吸した。
彼女の住んでいたキングデラ島から、同じ諸島のアガッティ島を経由し船を乗り換え、
南インドの要衝の街コーチンまでほぼ丸一日の船旅であった。
この街は一七世紀にネーデルランドに占領されたこともあり、ヨーロッパ文化の遺
産や古い教会、西洋の屋敷などがところどころに目立っており、街を歩くスプライトの目を潤した。
生まれて初めての大陸に単独で乗り込んできたスプライトは見るもの全てが新鮮だった。
「うわぁ、うわぁ、うわぁー」
その日は街の安宿を予約し、船旅の疲れを癒すことにした。なにしろ船内は上下の激しい揺れで
寝れるどころの話ではなかったのだ。
そもそも旅の始めから熟睡できるほど図太い神経の持ち主ではないのだが。
安宿の部屋は、島の家の部屋に比べるととても狭くお世辞にも清潔とは言い難かったが、
初めて自分で行動しチェックインした宿を誇りに思い、満足していた。
「遂に始まった…あたしの旅。くぅー、明日からがんばるぞぉーっ!!」
「うるせー!!」
間髪入れず薄壁の隣の部屋から苦情の声が聞こえた。スプライトは、調子づいて周りの迷惑を
気にせず絶叫した事に反省しながらもその高揚感が消えることはなかった。
スプライトは興奮してなかなか寝つけなかった。
「あー、そういえば左腕を骨折してネルゲン先生の診療所で夜寝ていたときもこんな感じ
だったなぁ。あの日、あたしはビーチでアムステルダムの情報を聞いて興奮して、
心地よい緊張感に包まれて眠れなかったんだ…」
スプライトは目を閉じてあの日の出来事を思い出していた。
あの日、いつも通りに水着に着替えたスプライトはビーチで肌を焼いている観光客に話しかけていた。
「すみませーん、あたしにサンオイルを塗らせてもらえませんか?」
今回のターゲットは若い男の三人組だ。
それぞれ髪を肩まで伸ばし、ピアスやブレスレットなど光り物をお洒落に決めた、いかにも
遊びに詳しそうな若者であったため、スプライトはいい情報が仕入れられそうだ、と期待に
胸を膨らませていた。
交渉が成立すると、スプライトは男の一人の背中にオイルを塗ってマッサージを始めた。
「何、大陸の情報を教えてほしいって? ふーん、大陸っていってもなー…」
「なんでもいいの。あたしもいつか自由な旅がしたいんで参考にしたいの」
「ははーん、自由ねぇ…。それならこのウィリスさまがとっておきの都市を教えてやろう」
「え、どこどこ?」
「アムスだよ」
「アムス?」
「ああ、アムステルダムだ。この世で最も自由という言葉が似合う都市さ。オレたちのような
自由を求める若者が人種や思想を越えて集まる、言わば自由のための桃源郷みたいな街なんだぜ」
「はー……自由なる都市アムステルダムかぁ……ねぇ、それって何処にあるの?」
「北ヨーロッパにあるネーデルランド王国だ。海外を旅をするなら一度は行くべきだろうな」
「そうそう。なんたって飾り窓やコーヒーショップがイカした所でさ」
「かざりまど? 何それ。どんな所なの? おしゃれなカフェテリアもあるの?」
「あ、いや。なんでもない。ガキが行くとこじゃねーよ、ウヒャヒャ!!」
男は下品な笑いをして誤魔化した。
「むー。あたしガキじゃないもん! とにかくそのアムステルダムの事、もっと詳しく教えてよ」
三人の男から知るかぎりのアムステルダムの情報を仕入れたスプライトはほくほく顔で
スケボーに乗りながら、太陽電池の立ち並ぶ夕陽のシーサイド・ロードを流していた。
「くぅ〜。これだ。これだわ、あたしの求めていた目的地は。あたしはまだ自由でいたい。
まだ一四歳なんだから、将来よりも自分がどんな可能性を持っているのか知りたいわ。
それを探す意味でも、あたしは絶っっ対アムスへ行くんだ!!」
スプライトは慣れた足つきでクルクルと連続でスケボーを空中回転させた。
「ふふ、ふふふふ、うふふふふふーっ♪」
どうしようもなくスプライトの顔がほころぶ。
「この胸の高まりはスケボーで公園の階段からジャンプ一発かまさなきゃ気が済まないわ。
くわーっ、やっってやるわよ!!」
2016/7/9 21:54 [1498-4696]
「……で、舞い上がったあたしは、着地した瞬間思いっきりすっ転びーの、石段の角に左手を
強打しーの、結果全治三ヵ月………。ほんと、我ながらバカをやったものだわ…。
だいたい、あの時点ではまだあたしが養子だったなんて想像すらしていない時期だったから、
今思うとホント、毎日のほほんと過ごしていたんだ………」
宿屋の部屋の天井をゆっくり回る大きな扇風機を眺めながらスプライトはため息を漏らすと、
ようやく気分が落ちつき、熟睡することができた。
次の日の朝、スプライトは早くに宿屋をチェックアウトし、インド北西部に行く列車に乗るために、
街の中心にあるエルナクラム・ジャンクション駅へ急いだ。
運良く本日発の寝台列車の乗車券を取得すると、ムンバイ行きの汽車に飛び乗った。
初めての列車、最初の頃は次々と流れる岩山やぽつぽつ見られる小さな集落などの内陸の景色を、
幼い子供のような眼差しで眺めていたが何時間も見ているとさすがに飽きてきて、
スプライトは自分の寝台の座席に寝そべって世界地図を広げ、これからの計画を立てた。
「とりあえず今までためた小遣いやバイト代でアムスまでの片道分の汽車代くらいに
なると思うけど、焦る必要はどこにもないわ。各地を見聞しながらゆっくり行こう」
そう呟くと、スプライトは父親から授かった封筒を再度開封した。
「シリアにも、行かなきゃ…ね。アムスに行く前にそこだけは避けて通れないわ。
ここに書かれてあるロケート・エディタという人に会えば、きっとあたしの本当のお父さんと
お母さんの話を詳しく聞ける。とにかく…あたしの出生について、知らなくちゃいけない」
スプライトはロケート・エディタと呼ばれる人物の住所が書かれた便箋を見ながら口の中で
〔自分が自分であるために…〕と呟いた。
列車に揺られて十数時間後、ムンバイの街並みが広がってくると終点のヴィクトリア・ターミナス駅
に到着した。
目の前に迫り来る大事件も知らずに駅を出ると、スプライトは目のくらむような熱気と、
むせ返るような湿気に圧倒された。
「ぐわー、暑い!!」
インドを代表する企業のほとんどがこの街にある、国内最大の都市ムンバイ。かつてはボンベイと
呼ばれていたが、それはイギリス統治時代の都市名であって、現在は元のインド名に戻されたのだ。
いつの時代でもこの都市はインドの文化の最先端を切り開いた。新旧入り交じった高層建築が
多くそびえ立つ街並みは、人の流れもさることながら自動車の密度が異常に多い。
しかしそんな街の光景よりも、スプライトはミスティオからもらった麦わら帽子も意味を
持たないほどの凄まじい熱気、異常な気温の高さにまず目がくらんだ。
「うあー、地獄ら〜」
さもサウナの中に四六時中いるようで、全身の汗腺から汗が吹き出し、意識が朦朧として
呂律も回らなくなる。
「ほにかく、ひとまず宿を見つけらきゃ…冗談れなく本当に死んらうよ…」
列車の中の決意に燃えた信念は何処へやら、スプライトは千鳥足で街を彷徨った。
自動車が渋滞した大通りの、ひっきりなしに叩かれるクラクションに不愉快になりながら、
ごった返す人の中をかき分けて進んだ。
やがて人通りの少なくなった所で、小休止を取ろうと日陰で立ち止まると、スプライトは
ようやく自分の足にしがみつく小さな女の子に気付いた。
「うわ!? あなたいつの間に? どうしたの、両親とはぐれちゃったの?」
あちこち擦り切れているブラウスを着た女の子はスプライトを見上げて右手を差し出した。
「お金、チョコレート、お金、チョコレート」
その子は、物乞いだった。
インド内地ではこういった人々が多くいる、という知識は持っていたが実際に遭遇したのは初めてだった。
スプライトはどうしてよいのかオロオロしてしまった。
………かわいそうな子…
こんな場合は絶対に相手にお金や物を恵んではならない、ということも充分理解していたつもりだった。
しかし、いざそのような状況を目の前にしたスプライトはそれでもこの女の子を助けたい一心に駆られた。
感受性が人一倍優れているスプライトは、いつも相手を喜ばせることを考えて行動してきた。
それはこの子にも同じだった。自分がこの子を、少なくとも今だけは幸せにさせることが
できるのではないか、という思いやりに似たエゴがスプライトの中に膨張した。
スプライトは露店でチャイという、砂糖の入ったミルクティーを買ってその子に与えた。
「おねーちゃん、ありがとう。ありがとう」
チャイを飲む女の子の屈託のない笑顔を見て、スプライトは初めて罪悪感を感じた。
この子はこんなことを、さも当然のように繰り返して大人になっていくのだろうか、と。
スプライトはその場から逃げ出したくなった。
そんな時だった。
どこからか飛び出してきた三人の少年に、スプライトは景気よく衝突してしまい大きな尻餅をついた。
「いったー。ちょっと、あんたたち!?」
少年たちは謝るどころか振り向きもせずに足早に逃げていった。
気付くと一緒にいた女の子もいなくなっていた。
「何なのよ、もう…」
立ち上がって腰の埃を叩き落とすと、スプライトはぞくっと背筋に悪寒が走った。
………財布がない。
先刻あの子のためにチャイを買った後、ジーンズのポケットに仕舞ったはずの財布が忽然となくなっている。
今の衝突の瞬間に盗まれたに違いない。
スプライトは大慌てで少年たちの後を追った。
「シャレになんないわ…あの中にはあたしの全財産が入っているのよ。それがないと、
この先旅を続けられないじゃない!!」
2016/7/9 22:02 [1498-4697]
三〇分ほど付近を隈なく捜索したが、結局少年たちも、女の子も見つからなかった。
当然だった。土地に慣れていないスプライトが現地の住人を相手にルール無用のかくれんぼをして
勝ち目などあるはずもなかった。
スプライトはこうなったら、と警察の駐在所に駆け込んだ。
「すみません、財布…あたし財布を盗まれちゃったんです!!」
椅子にふん反り返って扇風機に吹かれた小太りの警察官に対し、スプライトは必死になって
先刻の状況を説明した。
「ふーん…で?」
警察官は、汗だくで憂悶しているスプライトを気にも掛けないような、のんびりした口調で
耳垢を吹き飛ばした。
「で、じゃないわよ。いま言った少年たちを見つけて、あたしの財布とその中身を取り返してって
言ってるのよっ!!」
「はいはい。お前さんが相当困った状況だっていうのはよく分かったよ。でも今お前さんが
説明した特徴の子供が、この街のあの地区だけでどれだけいると思っているんだ。
百やそこらの人数じゃねぇんだぞ。それに実際にその三人組とあんたがもう一度会っても
はっきりと認識できないのだろう。唯一顔を正確に知ってるその小さな女の子が少年たちと
グルだったとして、仮に見つかったとしても盗難事件なんて知らない、なんて言われれば
それで終わりさ。状況証拠がないからな。はっきり言って、盗まれたお前さんも悪い。
残念だが諦めるんだな」
スプライトは不快指数のメータを振り切られた蒸し暑さと、絶望と苛立ちのあまり
自我を喪失せんばかりに逆上した。
「冗談じゃないわよ、現場も調査しないうちに何結論出してんのよ!? 困っている人に力を
貸すのが警察の役目でしょーが、クソオヤジ!!」
クソオヤジ、と罵られて小太りの警察官も黙っていられる訳はない。男は額に血管を
浮き上がらせて机を思いきり叩いた。
「うるさい! この街にはガキの財布ひとつ盗まれただけで大騒ぎする警察官なんかいやしねぇよ。
暴動、ドラッグ、そして貧困。お前の言う〔困っている人〕とは一体誰のことだ。
そんな事も分からないお前のような、犯人の顔も特徴も知らない能天気なバカが一日に
何人同じような被害にあい、ここに来ると思ってる? 数えるのがバカバカしくなるような数だ。
それを一つ一つ調査していたらこの国の警察の機能はパンクしちまうよ。
だいたい、俺から見ればお前は運がよかった方だ。下手に自力で犯人を追い詰め、
返り討ちにあうケースだって珍しくないんだからな。命があっただけましだと思え!!」
「バカにして!! 警察の機能がどうとか言われても、さっきまでヒマそうに耳クソほじって
黄昏ていたオヤジじゃ説得力がないわね。あたしはれっきとした被害者なのよ、被害者!!
ガキの使いじゃないんだから、ハイそーですかって素直におとなしく諦めることなんてできないのよ!!」
「まったく、口の減らないガキだな。いいか、特定の人物と断定できれば捜査のしようもあるが、
逆に言えば犯人の特徴を正確に覚えていて特定の人物と断定できなければ警察もお手上げだって
言っているんだ。少しは頭を冷やせ」
警察官はそう言うと形式にのっとった被害届けの調書を取ろうと、ファイルを机の引き出しから取り出した。
「とにかく身分証明書…パスポートを見せなさい。お前さんこの国の人間じゃないんだろ。
大使館に問い合わせなければならないかもしれないし、お前の家族にも連絡しなければならないだろう」
家族に連絡と聞いてスプライトは、煮えたぎる脳味噌の中にドライアイスを投げ込まれるような、
凍てつく戦慄に襲われた。
本当の両親との決別を果たしアムステルダムに到着するまでは島の家族に連絡を絶つ、
という固い決意をこのような状況で崩さなければならないのか。
………いやだ!! 家族にこんな無様な自分を見られたくない、知られたくない。
スプライトは自分が犯罪者で事情聴取されているような錯覚に陥った。
身分を明かすことを疎ましく思えたのだ。
「あたしは……これでもインドの国民よっ! 外見で人を判断しないでよね!!」
スプライトは強気を維持しつつ警官に怪しまれないように後ずさりして、次の瞬間目にも止まらぬ
早さで荷物を持って通りに出た。
「バカおまわり〜!!」
捨て台詞を残し、スプライトは脱兎の如くその場から逃げ去っていった。
「なんだと、待てこの!!」
腹の太った警察官はスプライトを捕まえようと通りに出たが、彼女の姿はすでに雑踏の中に消えていた。
「…あのガキ、行くあてなんかあるのか…?」
2016/7/10 21:07 [1498-4698]
インドの自動車の運転手はたいてい暴力的な運転をしている。
車の限界を超えるようなスピードに命を懸けるだけでなく、他の車に追い抜かれるのを潔しとしないのだ。
ガンガンに飛ばしているところを他の車に追い抜かれると、敵を抜き返そうと必死になるのだが、
追い抜いた方もやはり負けん気の強い運転手であり、さらに他車も巻き込んでの公道デッドヒートが
展開されるのだ。
そんなクラクションが響き渡る郊外の道路のわきで、事故で故障した車があった。
これら無謀とも思える運転の成れの果てだ。
フロント部分がへしゃげてしまい、そのショックでエンジンがかからなくなった車。
機械に疎そうな華奢なインド人女性を横に、その車を懸命に修理する金髪の大男がいた。
「よし、これでうまくいくだろう」
男が運転席のイグニッションを回すと、ブオンと黒煙をあげてエンジンが生き返った。
「うわあ、直ったのですね。本当に助かりました!」
女性は手を叩いて、見ず知らずでありながら助けてくれたその男に感謝した。
三〇歳に片足を突っ込もうかという歳なのに全身を分厚い筋肉に包まれた、ボディビルダーの
ような体格をした白人の男は、油に汚れた革手袋を外して工具の後片付けをはじめた。
「とりあえずの応急処置をしただけだから、すぐに設備の整った修理工場に持っていかなければ
いけませんぜ」
女性は、謝礼のお金を男に渡すと深々とお礼をして車に乗り、走り去っていった。
それを見送ると男は額の汗を拭い、自前の工具を大きなナップサックに片づけて背負い、歩きはじめた。
「やれやれ、あんな女性でもハンドルを握ると性格が変わるのだろうか…ん?」
ふと対向車線に目を向けると、男は奇妙な光景を目撃した。
巨大な、蝶にも似た麦わら帽子に手足が生えたような生き物が、さかんに車をヒッチハイクしようと
親指を立てて立ち尽くしているのだ。
男は道路を渡りその物体の正面にまわると、さらにぎょっとした。
その奇妙な姿の生き物は、欧州系の女の子でしかも顔を汗と涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしていたのだ。
「うわっ!? なんだ、どうしたんだお前!?」
女の子は男に気付くと、力尽きたようにその場にへたりこみ、しゃくりあげながら涙を拭った。
「あたし……どうしていいか、分からないよ。これから何をどうしていいのか、全然分からない」
そうとうな事があったらしく、少女は自分で何を言っているのか分かっていないくらい動揺していた。
「どうしていいのか分からないのはこっちのセリフだ。なあ、一体どうしたんだ、
なにか困ったことでもあったのか?」
少女は俯いたまま何も言わなかった。
とにかくこんな車道のすぐそばでこのまま放っておく訳にもいかず、男は少女の手をとって
近くの公園のベンチに腰を下ろさせた。
太陽はもう西に沈みかけており、昼間の四〇度を越す猛暑も治まってきていた。
ベンチに座って一息つくと、少女はようやく落ち着きを取り戻したようであった。
「俺はマトリクス・トリニトロン…スペイン人だ。きみは?」
「…スプライト……スプライト・エディタ」
彼女は島の家族の姓フロートを名乗らなかった。今ですら、彼女は島の家族と共に暮らしたいと
心から思っているが、この旅の間はエディタ家の姓で通そうと決めていたのだ。
少なくとも、シリアの伯母に会うまでは。
「スプライトか。では早速聞くが、なぜ泣きながらヒッチハイクなんてしていたんだ?
相当に危険な行為だっていうことを自覚しているのか?」
マトリクスは、女性の単独ヒッチハイクの危険性を淡々と語った。インドは無謀運転のメッカであるため、
朦朧とした意識で車道に近づいたら命にも関わる、などと脅しもした。
スプライトは彼の話を聞くと自分の行為に反省をしながら、ようやくまともに口を開いた。
「あたし…旅立ったばかりでここに来たんだけど、全財産が入った財布を盗まれてしまったの…」
スプライトはゆっくりした口調で今日起こった盗難事件の経緯を彼に語った。
物乞いの女の子にチャイを買い与えたこと。三人の少年に財布を盗まれたこと。
警察に言っても助けてくれなかったこと。そして、そのあと途方に暮れて街をさまよい
歩いた挙げ句、道端でヒッチハイクをしていたこと。
マトリクスはスプライトの話を聞きながら、彼女のトランクに挟まれたスケボーを興味深く眺めた。
「ほう、いいスケボーだな。ローラーのベアリングもきちんと掃除され、グリスもまめに
塗られている。よほど大切なものなんだろう」
スプライトは自分の宝物を褒められて、傷心ながら少し嬉しくなった。
「うん。お父さんが学会の発表でミラノへ行ったときのおみやげなの。これに乗って何度も
ケガをしたことはあったけど、あたしの大切な宝物なんだよ」
「そうか…。ま、それが盗まれなかっただけでも良かったじゃないか」
スプライトはそれを聞くといきなり激怒した。先刻の警察官と同じく自分を小さな子供のように、
大人の理屈で丸め込まされそうな気分になったのだ。
「あたしだって、何度もそう思ったわ。警察にも似たような事を言われたよ。命があっただけ
マシだったってね。確かに自分やスケボーが無事でよかったとは思うけど、でも、それはただの
慰めであって何の解決にもならないわ! あたしがこれからどうやって旅を続けたらいいかなんて、
誰も…誰も教えてくれない!!」
再び興奮して支離滅裂になりかけたスプライトを、マトリクスは辛辣にあしらった。
「甘ったれんな。警察や俺を、これからの自分を助けてくれる都合のいい存在だとでも思っているのか?
そんな、金や他人を頼った旅を続けていくのなら、最初からしない方がまだましだったな。
やめちまえよ、旅なんて」
マトリクスはそう彼女を突き放すと、立ち上がってナップサックを担いだ。
「うわあああぁぁぁぁん!!」
声を張り上げて泣き叫ぶスプライトを背に、マトリクスは無言で立ち去っていった。
辺りは暗くなり、公園の薄暗い街灯がベンチで独り泣く彼女を冷たく照らした。
2016/7/10 21:18 [1498-4699]
一時間後、マトリクスは暗がりを歩いて公園に戻った。
スプライトはさっきのベンチに腰掛けて顔を両手で覆っていたままだった。
マトリクスは彼女の前に立った。
「お前…まだここにいたのか…」
スプライトははっとして顔をあげた。
「マトリクスさん…どうして…」
「俺は…泊まるところを探してさまよっていたら、偶然またこの公園に来てしまってな。偶然だ偶然」
マトリクスはそう言うと、照れを隠すように彼女の隣に座った。
………下手な嘘…でもあたしの事、心配してくれていたんだ…
スプライトは涙を拭い、悟りをひらいたような笑顔を見せた。
「あたし…マトリクスさんの言うとおり、警察やあなたに甘えていた。いや、それ以上に
甘えていたのは自分自身にだったんだ」
マトリクスは無言でスプライトの話を聞いた。
「あたしさ…旅立つ前は自分で何でもできる人間だと思っていたんだ。お金がなくても自分の足で
どこまでも歩いていけると思っていたし、どんな所でも平気で眠ることができると思っていた。
でも…現実は違ったわ。いきなり無一文になってしまっただけでこのざまでしょ。
無知で、無力で、無神経で…こんなに自分が弱い人間だったとは思わなかったわ…。
ほんと、惨めねあたしって…」
スプライトは自分の未熟さを心から反省していた。それは、旅という現実に初めて彼女が
向き合った瞬間だった。
島で生活していた頃、ミスティオに打ち明けた〔旅に対する漠然とした不安〕とはこのことであった。
楽しい出来事ばかりを紡いだ旅を理想に想いながら、そこに何の意味が介在するのかと、
心の奥で燻り続けつつも目を逸らして結論を出さずにいた。
いわゆる、旅をすることで自分が傷つくことを恐れて逃げていたのだった。
目的地を見い出せなかったことはそれに対する言い訳でしかなかったのかもしれない。
マトリクスは懐からヨレヨレになったタバコを取り出し、火を付けた。
「まあ、誰だって金を盗まれればパニックを起こしてしまう。所持金を計算してこれからの
行動計画をしている訳だからな。金がなければ食事もできないし、女のお前なら宿だって
切実な問題だろうさ。ただ、問題を目の前にしたら、パニくる前に自分の現実を直視し、
冷静に分析し、最善の対処方法を検討しなければならない。俺は、お前がそんな事もせずに、
人に頼ってばかりのクソガキだと思ったから突き離したんだ。こいつが今のままで旅を続け、
多くの人に迷惑をかけるくらいなら今やめさせたほうがましだってな。本当は俺にそんなことを
言う資格などないんだが…」
「ううん、そんなことない」
スプライトは首を振った。
「あなたのおかげで目が覚めたわ。盗難にあったのは自分の責任なのに、他人に責任を押しつけて
いたんだよね。確かに、そんな自分じゃこの先どれだけの人に迷惑をかけるかわからないわね、
アハハ。もう財布の話はやめる、あれは最初からなかったものとして諦めたわ」
最悪の状況の中でひらき直りにも似た境地に達した彼女は、不思議と落ち着きを取り戻した。
「それにしてもマトリクスさんって、すごい筋肉してるのね。旅をしながらボディビルでも
しているの? それともランボーのように傭兵とかしてる人なの?」
マトリクスは思わず吹き出した。
「何言ってんだバカ。俺は修理屋だ」
「修理屋?」
「ああ。旅をしながら、機械の故障で困っている人を相手に商売しているのさ。ラジオから
自動車まであらゆる機械を、元通りとまではいかないが使えるようにするくらいの修理ならば
お手の物さ。ま、大抵は事故や故障した車の修理ばかりだから力仕事が多いな。
そんなのを何年もやってきたから否応でも筋肉はつくさ」
マトリクスは力こぶをつくってみせた。
「インドには無謀運転の殿堂だと聞いて来たんだ。きっと事故も多いから修理の仕事も多く、
けっこう儲かるだろうと思ってな。予感的中、お前と会う直前も車を修理して稼いでいたんだぜ」
旅と職を合致させた生きかたにスプライトは心底羨んだ。技術さえあれば稼げる、という理論を
彼は実践していたのだ。対して自分は稼ぐための技術を何も持っていない。自分の技術…特技は
スケボーくらいしか思いつかず、それで確実に稼ぐアイデアなどまるでなかった。
スプライトは覚悟を決めてマトリクスの正面に立った。
「あたし…考えたことを正直に話すわ。あなたと共に旅がしたい。でも、あなたに助けてもらおうとか、
養ってもらおうとか、そういうのじゃない。あなたの持つ機械の技術を習いたいの。
弟子入りって言ったほうが手っとり早いわ」
「そうだな、お前はスケボーのメンテナンスもちゃんとやるマメな部分があるから、技術屋としての
素質はあるかもしれない。だが、俺は弟子を雇う気もなければ、余裕もないぜ。
ましてお前は旅慣れてもない味噌っかすだ。はっきり言って悪いが、足手まといになることは
必至だ。それに…」
「…それに?」
「百歩譲って男ならまだしも、お前ガキで女だろ。力にならないひ弱な戦力など、俺はいらんよ」
「…身も蓋もないことをはっきりと言うのね。ま、同情されるよりはマシだけど…さ!!」
スプライトはマトリクスの、筋肉に包まれた厚い胸板を思い切りパンチした。
頑丈なマトリクスはビクともしない。
2016/7/10 21:30 [1498-4700]
全てを受け止めそうな彼の強靱な体、そして甘えを決して許すことのない剛勇な精神は、
旅の師匠として申し分ない。スプライトはそう感じていた。
「…あなたに迷惑はかけないとは言えない。ご覧の通りひ弱だし、足を引っ張ることもあるかもしれない。
でもそれを補うくらいあなたの役に立つと言えるわ。自分でそう決めたもの。力だってつけるわ。
…あたしは一週間前に中学校を卒業したばかりだから、あなたから見れば確かにガキかもしれない。
旅慣れてもいなければ世間一般の常識ってやつもまだまだ知らないことだらけだわ。
それでもあたしは旅がしたい。したいけど、生きるために稼ぐ技術をあたしは持っていない。
それを学びたいの。お願い、マトリクスさん…子供だからとか女だからなんて言わないで…!!」
スプライトの必死の形相にも動じず、マトリクスは冷静に二本目のタバコに火を付けた。
「一つ、聞かせろ」
「…うん」
「お前の財布を盗んだ三人と、チャイを御馳走してやった女の子はグルだったと思うか?」
スプライトはギクリとした。事件が起こった直後、あの子は何故行方を晦ましたのかという、
喉につかえていた小骨のような苛立ちを、マトリクスは話を聞いていただけで見抜いていたのだ。
「…あたしは…違うと思う。根拠はないけど、そう信じてるわ」
彼女は思った通りに答えた。チャイを飲んでいるときの嬉しそうなあの子の笑顔が、
口には出せないが彼女なりの根拠だった。
しかしマトリクスはそんな彼女の優しさをあっさりと否定した。
「甘いんだよ。その子はグルだ。財布の紐の緩そうなお前に近づき、物を奢らせて財布の
仕舞い場所を物陰に潜む三人に教えていたんだ。事件のあと忽然ときえていたのがいい証拠だ。
慈悲深いインド人は、たとえ子供でも恩人の危機を無視して逃げる人はいないからな」
マトリクスはタバコの煙を星空に向けて噴かす。
スプライトは何も言えず、唇をぎゅっと噛んだ。
「これから俺と行動する以上、いいかげんな判断材料で自分の都合のいい方向に物事を考える
偽善者にだけはなるんじゃねぇ。結局傷つくのはお前自身なんだからな」
「うん…」
共に旅することを承諾してはもらえたが、スプライトは割り切れない気分だった。
マトリクスの言う事は、いちいち的を得ていた。自分がインドの住民であることを疑うくらい
彼はこの国を知っていた。自国の事情を説教のダシに使われ、反論できない自分が悔しかったのだ。
………自分の行為や推察は偽善だったのか?
スプライトはこれからインド内を旅する間、それについて何度も自問することになった。
インド人でも恩人の危機を無視して逃げる人はいるだろう、だからあの子は犯罪に加担するような子
ではない…そう思いたかった。
「まあ、お前気に入ったよ。ウジウジ悩む部分、純粋な部分、情緒不安定な部分を全部あわせた
向こう見ずな行動。それを見てると俺の青春時代を思い出すぜ。自分が物を恵んでやれば
彼等は本当に幸せになれるのか、あの頃は悩むしかなかった。納得のいく答が欲しかったよな」
スプライトは自分が子供扱いされていることに怒気を抑えきれず、ふて腐れた。
「なによ、人を小馬鹿にして。あなた、あたしのことを弄んでるでしょ!?」
「別に。ただ同情してるだけだ」
「キーッ!!」
スプライトは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
「サルかお前は…。とにかく、今日はこの公園でキャンプだ。テントの張り方を教えてやるから
一発で覚えろ。それが終わったら水を汲んでこい。いいな」
「キャンプ…? テント…?」
スプライトの顔から血の気が引いた。
てっきり宿に泊まれると思っていたのだ。
自分が師匠と決めた人とはいえ、大人の男とこれからテント暮らしの生活をしなければならないのか、
と非情な不安を感じた。
スプライトの表情を読んだマトリクスは、頬を歪ませて彼女を見下した。
「イヤか? は〜ぁ、これだからお嬢様はいやだねぇ。世の中そんなに甘くないのよォ。
今なら前言撤回を許可してやるから、帰れば?」
スプライトは〔キャンプは初めてだから〕と言い訳しようとした口を制止し、マトリクスの悪態に
逆上して立ち上がった。
「冗談じゃないっ!! やっっってやるわよキャンプぐらい!!」
彼女の負けず嫌いと潔さに、マトリクスは思わず苦笑いをした。
………今回の事件で、思ったほど自分がしっかりした人間じゃなかった、
何でもできると思っていたのは根拠のない口先だけの自信だった、という事が分かった。
でも、自分の弱点が自覚できるって、思ったほど嫌な気分じゃない。スケボーに乗った自分の姿が
商店のウインドウに反射して見えた時みたいに、自分の知らない自分に出会えたような、
ささやかな幸せを見つけた感覚だったわ。
わがままで、気が多くて、さみしがりやで、優柔不断で、おまけにすぐ泣く。
今までの自分は、そういう自分が結構好きだった。でも、一人旅を自身で選んだ以上そういう甘えは
全力をもって切り捨てようと思う。
マトリクスさんは、口は悪いけど決して嫌な人じゃない。あたしのような中途半端な優しさを
持っていないだけなんだ。
正直言って、彼がいなかったら今頃あたしどうなっていたか、自分でも想像できない。
命の恩人といっても言い過ぎじゃないわね。悔しいけど。
「負けないように、泣かないように、元気で……か……」
狭いテントの中、スプライトは父ジョージアの言葉を改めて自分に言い聞かすと、大きなイビキを
立てて眠るマトリクスの横顔をチラッと眺め、そして両耳を抑えながら眠りについた。
2016/7/10 21:39 [1498-4701]
| 第三話 イスラム万難物語 |
ランダムは決断を迫られていた。
両親が離婚をした後、どちらの元で生活するのか。
両親は二人ともこの国の人間ではなかったため、街の借家を手放し、お互いの母国へ帰るというのだ。
ランダムはマーストリヒトで生まれ育ったことからも、この過ごしやすい街に愛着があった。
気候、自然、街並み、そして彼を取り巻く友達。その全てが彼にとってかけがえのない宝物だった。
だから、今さら他国で生活することなど考えたくなかったが、両親が離婚する以上いやでも親の
どちらかについていかなければならない。
父親に付いていくか、母親に付いていくか、選択は二つに一つだった。
そもそも本当に子供を大切に想うならば、離婚など考えない。お互いに自分の事ばかり主張していたのが、
このような状況になって初めて思い出したかのように子供の心配をし、私と共に行こう、
いいえ私と、などと所有物扱いされているのが彼には我慢できなかった。彼にすれば、
生みの親としての義務感だけで養うような態度だったのだ。
愛のない親となど、一緒に住んでも無意味だ。
彼は決心した。このマーストリヒトの街で一人で生活しようと。
両親にそう話すと、当然のように反対された。しかし彼の決心は変わらなかった。
知り合いの大人に借してもらった小さな二階建てのガレージに自分の荷物を運び、
そこでランダムは独り暮らしをはじめた。
彼の両親は仕方なく諦め、ついにランダムとこの地に別れを告げてそれぞれの母国へ帰っていった。
一人マーストリヒトに残ったランダムは傷心のあまり、すっかり生きる気力を無くしていた。
「冗談じゃねぇよ、まったく…」
「冗談じゃないわよ、まったく!!」
インドの首都デリーからパキスタンの国境近くのアムリトサルの街に続く平原の一本道、
スプライトとマトリクスは修理した車に乗せてもらっていた。
「あたしお酒なんて飲まないわよ。真っ昼間から何考えてんのっ!?」
助手席で日焼け顔を更に真っ赤にしたマトリクスが後席のスプライトに、赤ワインのような
酒の入ったマグカップを勧めた。
「へへ、まぁそう言うなよスプライト。この方の奢りだ、飲まなきゃ失礼だぜ」
マトリクスが指す、運転席で車を運転するベトナム人の男も嬉しそうに彼女に勧めた。
「そうですぜお嬢さん。その酒はリェウネップというベトナムの米焼酎でさ。意外に甘いので
お嬢さんの口にも合うと思いますよ。なぁに、先程エンジントラブルを直して頂いたお礼です、
ジャンジャンやってください!」
「車を直したのはあたしじゃなくてマトリクスさんだよ」
「いや、あの何もない所でお前がオイルを買いに一〇キロも離れた街まで行ってくれたときは
本当に助かったんだぜ。一時間もかからずに戻ってきたんだからな。おかげで修理も思いのほか
早く終わったし、本当、おめぇは大したやつさ」
マトリクスは、インドでは宗教上の理由で好きな酒がなかなか手に入らなかったこともあって
すっかりご機嫌だった。
スプライトは、酔っぱらっているとはいえ珍しくマトリクスに褒められたので悪い気分ではなかった。
「(あれは、オイルの売っている街までヒッチハイクして行こうと思ったけど、誰も停まって
くれなかったから、スケボーに乗って他の車の後ろに無断でつかまり、街まで引いてもらっていたの。
だから往復二〇キロは思ったほど遠くなかった)」
と彼女は謙遜しようとしたが、余計な話はしないことにした。
「そうかなぁ、アハハ。じゃお言葉に甘えてほんのちょっとだけいただきまーす…」
スプライトは手渡された酒を、水を飲むように喉を鳴らして一気に飲み干した。
四〇度を越す日中の暑さには慣れたとはいえ、水分の補給は常に持って回る切実な問題だ。
彼女にとっては酒よりも水が飲みたかったが、このさい贅沢は言えなかった。
「ぷは〜っ!!」
正面に顔を下げたスプライトはとろんとした目で軽くしゃっくりをすると、突然暴走を始めた。
「くぅー…うんめぇ!! 甘酸っぱくてばぁかいいやんべだべよ、エヘヘヘヘ……
うケケケケケケケケケ!!」
陽気になって意味不明の言葉を叫び暴れまわる後席のスプライトをバックミラーで
見たベトナム人は、恐る恐るマトリクスの肩を叩いた。
「ダ…ダンナぁ…あの嬢ちゃんどうなっちまってんですかい?」
マトリクスはニヒルな笑みを浮かべてベトナム人に耳打ちした。
「へへ、このガキは酒を飲ますと面白れぇんだ。まぁ見てなって」
「おいマトおやじ、今の酒をもっといっぺこと…ええいシャラくせぇ、ボトルごとよこしやがれ!!」
スプライトはマトリクスの持つボトルをひったくり、口で栓を投げ捨てたかと思うとゴイゴイと
ラッパ飲みし始めた。
「お嬢さん、それは飲み口は良くてもかなり強い酒ですぜ! そんなに飲んだら…」
男が止める前にスプライトは一滴残らず飲み干していた。
「せからしかぁ!! そんなにあたいがイルカに乗って溺れたのがおかしいか? あ?
そんなに胸がないからって、水の抵抗がないからってバカにすんじゃねーよ!!」
「そんな、あっしはそんなこと一言も言ってませんぜ!」
ベトナムの男が狼狽していると、横で大笑いしているマトリクスが説明した。
「こいつ、酔うと自分のトラウマを片っ端から暴露するんだぜ。面白れぇだろ?」
「そうだったんですかい。ははは、変わったお嬢ちゃんだ!」
「なんじゃぁ、わしがシシトウと青唐がらしを間違えてひどい目にあったのが、そげにおかしいんかぁ!?」
彼女の次々変わる言葉づかいとバラエティに富んだ昔話で、車内は爆笑の渦に巻かれていた。
2016/7/14 10:00 [1498-4702]
「おいスプライト、大丈夫か?」
パキスタンとの国境を渡るための税関のある街、アターリー。市街地の入り口でベトナム人の男の
運転する自動車から降り、その車を見送った直後だった。スプライトは車内で酒を飲み過ぎたために
激しく嘔吐し、その透過光は国境の荒野を潤した。
マトリクスは彼女の介抱もせず、自分のシェラカップをウエスで拭いていた。
「ったく、もったいねぇな。いいかげん胃を鍛えて雑食に慣れろ」
胃の中の物を全て吐き出したスプライトはおぼつかない足取りで自分のトランクにしがみついた。
「む〜…そんなこと言ったって…。あたし、アヒルの孵化直前卵以外の食べ物は一通り食べれる
立派な雑食家よ。でも酒はどうしてもダメだ、すぐに記憶が飛んじゃうわ。うぇ〜、気持ち悪い…」
今は真昼だが、スプライトはマトリクスと出会ってから毎晩のように彼の晩酌に付き合わされていた。
マトリクスは無類の酒好きであり、彼にとってキャンプの酒というものは、機械でいえば
オイルのように、旅の生活の潤滑に欠かすことのできない大切なファクターであった。
彼女は、昼間はマトリクスに仕事、私事で散々こき使われ、丁稚奉公のような扱いを虐げられていた。
ただ歩くときでさえ、競歩のような彼のペースに必死で付いていかなければならなかったため、
最初の頃はテントを設営した瞬間に意識を失い倒れることもしばしばあった。
しかし何日かしてマトリクスに対応できる体力がつくと、焚き火を囲んで様々な世間話をすることに
楽しみを見つけ、毎日そのひとときを待ち遠しくなるようになった。
彼女が自分の過去や旅の目的をマトリクスに話したのもその頃だった。
パチパチと火花を散らす薪の暖かな炎を瞳に反射させ、スプライトは今の自分の気持ちを交えつつ
自分の過去を、氷を溶かすように丁寧に話した。
自分がシリアで生まれたアルメニア人であること。両親に先立たれたことを知らされぬまま、
インドのキングデラ島でシリア人であるフロート一家の娘として育ったこと。
マンネリ化した島の生活を離れ、大陸へ渡って旅をする決意を固めたこと。その際に家族から
自分は養子である、と告白されたこと。
シェラカップで酒を飲みながら静聴していたマトリクスは、話が終わると無言で彼女のマグカップに
酒を注ぎ、勧めた。酒でも飲んで、せめて焚き火の前では辛い過去は忘れろ、という意味だった。
スプライトはなんだか嬉しかった。マトリクスに初めて大人として扱われた気がしていたのだ。
マトリクスには、そんな気は毛頭なかったのだが…。
その晩のそれからの記憶は、翌日のスプライトにはなかった。自分が何をしたのか、何を言ったのか、
きれいさっぱり忘れていたのだ。ただ、なんとなくストレス解放したような気分になれたのは
よかったが、それから自分に対するマトリクスの視線が心なしか微妙に変わっていた感じが
していたのが不思議であり不気味だった。だが、酒を飲もうが飲むまいがこのひとときが
好きであることに変わりはなかった。
昼間は鬼のように厳しいマトリクスも、焚き火の炎の前では少年の持つような輝く瞳をさせた
笑顔に変わる、そのギャップがスプライトには心地よかった。
そのためもあるのか、スプライトは毎日の二日酔いの頭痛にもめげず、一生懸命動きながら
マトリクスから機械の修理のテクニックを学んだ。限られた工具や資材を有効に利用する知恵、
機械の基本構造とその修理方法などの技術など、技術屋としての基本を少しずつものにしていった。
また、毎日の生活で体力もずいぶん増してきていた。
マトリクスも彼女の並ならぬ成長ぶりに動揺していた。
出会ったときから彼女の機械いじりの素質を見抜いてはいたが、鼻持ちならないような子供の
スプライトがまさかここまで文句ひとつ言わずに働いてくれるとは思ってもいなかったのだ。
だから日増しに成長していくスプライトを見ていくことが爽快に思えていた。
マトリクスと行動を共にして二週間ほど経つと、彼女は単純なカーステレオの故障を初めて一人で
修理し遂げた。
ささやかとはいえ報酬を受け取った時の彼女の喜びは計り知れないものだった。
この報酬は今までの努力が報われた証明であるため、とりたてて苦労もなく島の観光客相手に
オイル塗りをして稼いだ時とは比較にならない満足感、達成感があった。
彼女は自分を成長させようと必死だった。心の奥に潜む、誰かをあてにした甘えを捨てて
自立しようとしていたのだ。
2016/7/15 17:59 [1498-4707]
| パキスタンの荒野を歩く |
アターリーの街に到着した翌日から、二人はパキスタンへ突入した。
パキスタン入国の審査では、スプライトは大した手間はなかったが、マトリクスは工具や
立派なナイフを持っており、また筋肉隆々の体格からえらく怪しまれ、執拗に荷物検査をされた。
彼にとっては、入国する際のいつもの儀式として気にもならなかったが、外で待っている
スプライトにとってはは心配で気が気ではなかった。旅慣れた師匠の方が入国手続きに
手間取るなんて、まさか某国の秘密工作員だと思われ電気椅子に縛りつけられて尋問されて
いるのでは、などと疑心暗鬼していた。
数十分後、酒を没収されただけでマトリクスは無事に入国許可が下りて外に出てきた。
スプライトはどんな仕打ちをされたのか心配だったと話すと、マトリクスは彼女の現実離れした
想像力にしばらく笑いを止めることができなかった。
パキスタンは完全なるイスラム国家だ。イスラム教は、六世紀にマホメットが興した宗教で
唯一神アッラーを信仰し、その前では、人はみな平等であると説く。
しかし平等を理想に掲げながら女性には厳しい戒律がある。女性は肌を露出することは厳禁で
あるためチャドルと呼ばれるテルテル坊主のような全身を覆う布の服を着て外を歩かなければならない。
また労働や教育が制限されたり、公共機関では男性と女性の座席が区別されるなど、
イスラムの説く平等の意味すら疑いたくなる戒律がある。
この戒律をろくに知らず歩くスプライトはすれ違う人々、特に男性から注目を集めていた。
彼女はTシャツとジーンズという決して露出度の高くない服装だったが、この国ではそれすらも
刺激的だったらしい。
腕があらわになり、胸、腰、足のラインがくっきりした服装がハレンチだと見なされていたのだ。
実はスプライトもイスラム教徒だ。しかしそれは名ばかりであって、実際彼女は毎日五回メッカに
向かっての礼拝などほとんどサボってばかりいるし、ラマダーンと呼ばれる断食月の日中でも
平気でカレーを食べていたりする、かなりアバウトなイスラム教徒であった。
ただしそれはフロート家が、そうさせていたのだ。
シリア人であるフロート家は代々イスラムであったが、人種の異なるスプライトは違った。
多くのアルメニア人はキリスト教だったのだ。
エディタ家も例外ではなく、このためジョージアは少なくともスプライトをイスラム教に
染めることに抵抗を感じていた。
宗教はスプライトの自由にさせたかったのだ。
もっともスプライトは宗教には全く興味を示さず、ただキングデラ島の住民や家族が
イスラムだったため名目上自分もそうしただけだった。
ただしキングデラ島ではイスラム独特の厳しい戒律はなく、みんな人として平等に暮らしていたし、
ビーチではみんなが水着になるのが当たり前だった。そのためスプライトのようないい加減な教徒が
容認されていたのであった。
スプライト自身は神を信じていないわけではない。だが、神のために生きるというイスラム的な
思想ではなく、自分が努力するだけ状況が良くなるという個人の幸せの仕組みに神のささやかな
奇跡を感じる程度の、ある意味キリスト的な思想を持っていた。
北インドやパキスタン内陸の日中の気温が四〇度を軽く越える猛暑は、彼女にとってジーンズすらも
苦痛であり、正直なところタンクトップとショートパンツだけで歩きたいとすら思っていた。
しかしイスラムを少しでもかじっている彼女は、女性の服装に関する戒律はある程度
知っていたつもりで、Tシャツとジーンズであれば充分普通の恰好だ、と完全にイスラムの本場を
甘く見ていたのであった。
このためスプライトはパキスタン人の、羨望のような視線にひとつの誤解をしていた。
自分が美人だから見とれている、と恣意的に解釈したのだ。
すれ違う人々に注目されるたびに、自分はグラマーな、モデルばりのセクシー美少女なんだ、
などと陶酔していた。人通りの多い通りで見知らぬ男にお尻を触られても、嫌がるどころか
「いやぁん?」などと映画のマリリン・モンローのような仕種をしたり、
自分に見とれてる相手に見とれて電柱とキスしたりと、間抜けな行動ばかりしていた。
実際はハレンチで尻軽な女だと思われていた訳だが、そのことをマトリクスから聞かされた時、
顔から火が出る程恥ずかしい思いをしたのは言うまでもない。
それからは、いくら暑くても長袖のジャケットとマトリクスから借りたダブダブの作業用ズボンを
ロールアップして着て、また長い髪を頭の上で結って麦わら帽子で隠し、端から見れば少年の
ような恰好で旅をしていた。
スプライト自身、イスラム教は理解していたつもりだったし、否定もしていなかった。
だから同じ宗教でも島と内陸ではここまでギャップがあるのか、とショックを受けていた。
ショックを受けていたといえばマトリクスも同じだった。命の次に大切な酒をほとんど飲めなかったのだ。
これもまたイスラム教の影響によるもので、通常の店ではまず手に入らず、また闇市で売っていたと
しても法外な値段で取引されていたのであった。野宿の最中はミネラル・ウォータやジュースを
飲むしかなかったが、我慢できず手持ちの工業用アルコールを飲もうとしてスプライトに
制されたことが何度となくあった。
2016/7/19 22:28 [1498-4709]
また外出する婦人の姿がめったにないために歩いていても面白くなかった。
たまに見かけてもほとんどが顔まで隠れるチャドルを着て歩いているため、話もろくに
できないどころか表情さえも伺えないのだった。
完全に下界から隔離された、神様のような扱いを受けている彼女らにマトリクスは
言いようのない憤りを感じていた。
このため彼のタバコの喫煙本数は飛躍的に多くなっていた。
「あたしも一応女なんですけど」
スプライトが自分の存在をアピールしたが、「話の他だ」と一蹴されてしまい哀れにも
いじけてしまうスプライトであった。
それでも二人は、知らずのうちに信頼が結ばれていた。
車の修理の仕事ではマトリクスの指示通りにスプライトは働き、それを彼女は覚える。
絵本などに出てくる小人のようにてきぱきと働く彼女をマトリクスは頼りにしていたし、
マトリクスの的確な判断や指示はスプライトの勤労意欲を刺激させたるものであった。
たまに敢行するヒッチハイクでは、マトリクスがやってもほとんど停まらない車でも
スプライトではかなりの確率で停まってくれる。その運転手の男が下心を持っていても
マトリクスが守ってくれる。キャンプでの食事作りもスプライトは、一人旅には有利な技能だから、
と喜んで作ったし、まさに利害が一致した関係だった。
しかしスプライトは彼の存在を手放しで喜ぶことはできなかった。
決して認めたくなかったひとつの事実、無茶をしてもマトリクスがフォローし守ってくれる、
という無意識のうちに彼に甘えていた自分に気付いていたのだ。
確かにパキスタンやイランなど中東の旅におけるマトリクスの存在は大きなものであった。
心ない大人に誘拐されそうなったり、インドのように警察に反抗しようとしたり、
知らずに生水を飲みまくって赤痢にかかった時など、一歩間違えば命に関わる状況では
いつもマトリクスが防衛してくれたのだ。
故郷の島で観光客相手に情報収集していた彼女は、女性の一人旅の危険性もさることながら
中東の情勢など旅に関する現地危険情報をまるで無視していた。
彼女の、楽しそうな観光地の情報しか仕入れないような方法では仕方がなかったことではあるが、
現実に旅をする以上このような情報収集の甘さは命とりにもなりかねない。
なんとかなるだろう、という楽天的な考えはこの土地の現実が許さないのだ。
この地方を何も知らずに一人で旅してたら、今頃間違いなく死んでた。スプライトは心からそう思った。
しかし、そう思うからこそ納得がいかなかった。
自分一人の力ではこんな旅はできないのか、自分の望んだことすら誰かの力を借りなければ
できない無力な人間なのか。
そして、女であるだけでこんなにも損をするものなのか、と。
女で生まれてよかったと思える事は今まで何度もあったが、この中東の旅では初潮を迎えたことも含め、
女であることがもどかしいとさえ思えることばかりだった。
しかしスプライトはこんな事にも気付いた。こんな風に悩める自分がいるのは、今この場を
五体満足で生きていられるからだ、と。
〔危ない橋も一度は渡れ〕というスプライト自身の好きな諺があるが、自分一人では
どうすることもできない危険な橋なら、他人の協力を受けたって恥ずかしくない。
始めから全て自分の力でやろうと肩の力を入れすぎるから失敗してしまうのだ。
お手本を学んで、そこから自分流にアレンジした方がいい場合だってたくさんある。
大切なのはその学ぶ姿勢だ。金魚のフンだのコバンザメだのと言われたっていい。
命あっての物種だ。要は気の持ちようなのだ。
スプライトは頭の中でそんなふうに結論づけた。
「お父さんが言ってたわ。今は大きなサメにこびりついたコバンザメでも、大きくなれば
ジンベイザメにだってグレート・ホワイト・シャークにだってなれるって」
彼女は、子供の頃に教えられたジョージアの仰仰たる例え話を鵜呑みにしており、
それをマトリクスに得意気に話した。
「なれねーよ、なに考えてんだバカ」
クールなマトリクスは彼女の、やる気と情熱がこもった笑顔を、地の底に突き落とすように
なぶってストレスを発散させていた。
2016/7/23 22:07 [1498-4713]
| ひまわりの種。まいうー |
イランでは、イラクとの戦争によってどれだけ人々の生活がすさんでいるのか、
などと懸念していたが、取り越し苦労だった。確かに現在もアメリカの経済封鎖によって
貿易は大きく滞っているが、そのために国内需要体制が強化されて意外にも食料や日用品、
雑貨は豊富に売られていた。露店のごった返した市場を見かけると二人は必ずその中を狂奔した。
数日分の食材を、少しでも安く仕入れるため執拗に商人と交渉する二人はこの土地で
生活する人から見ても後ずさりするほど凄惨たる形相をしていた。
インドを離れるにつれて次第にカレー文化が消えていったため、スプライトは毎日の食事作りに
四苦八苦していた。
彼女はラクティアのクッキングを思い出しながら食事を作っていたわけだが、その全ては
インド独特のスパイスが基調となる料理ばかりだったため、そのスパイスがなかなか
入手できない事態に頭を悩ませていたのだ。
大切な栄養源となる野菜は意外に高価であったが、彼女の働きによってなんとか毎日食べれる
程度には仕入れることができた。
大抵の日は野菜と鶏肉を基本にコショウで炒めたりコンソメでスープを作っていたが、
収入の多い日などは羊の肉を買って焼肉にして食べていた。
これが肉食主義のマトリクスにとっては何よりの贅沢だった。
スプライトは基本的に菜食だったので肉が食べれようと食べれまいとどうでもよかった。
ただし彼女は、土地によっては食材にされるヒマワリの種がたいそう気に入っていた。
スナック菓子のような食感がたまらず、依存症になったかのように歩きながらでも
生でボリボリ食べていると、ついにマトリクスに「リスかお前は」と言われてしまった。
警察が多く徘徊するイランでは、マトリクスはことあるごとに荷物検査を受けた。
彼の体つきや大きなナップサックがただの旅行人に見られなかったのだ。
物騒な銃を持った数人の警官に囲まれるとさすがのマトリクスも何も言えずに従うしかなかった。
その脇で見守るスプライトも、いつ撃たれるのかハラハラしていた。怪しい物を持っていないと
分かると警官も警戒心を解いて笑顔になるのだが、このような事が毎日のように起こるため、
二人ともかなりストレスが溜まっていた。
スプライトの目的地のひとつであるシリアへは、国際情勢が緊迫されているイラクを避けて
行こうとしたため、イランの北を迂回しなければならなかった。
イラクを通れば距離的に短いことは確かだが、いつ戦争が勃発してもおかしくない国に旅行目的で
入国できる訳がない。できたとしても生きた心地はしないだろう。
そんなリスクを背負ってまでショートカットする理由はない。
これはマトリクスが言いだした事だった。
彼ですら自分の身を守る自信がなかったのだ。
このイラクですら銃を持った警官や軍隊がウロウロし、目をつけられるたびに荷物検査を受ける始末だ。
イラクに入国したら警備はもっと厳しくなるだろう。スプライトは黙って彼に従った。
シリアへは一刻を争う切実な事態でもないし、このような情勢下では考えうる最上の安全策を
紡いで旅を続けるほかなかった。
商店街の片隅での静かなキャンプの夜、遠くから銃声らしき音が聞こえることが何度かあった。
テントの中でスプライトは、この瞬間に誰かが撃たれたのでは、流れ弾が自分達に当たるのでは、
などと疑心暗鬼し、ぐっすり眠れることは少なかった。
「あたしの本当の親も、今の家族の実の娘も、内戦で死んだらしいんだ。身内が戦争で命を
落とす事なんて、別世界の話だと思ってた。今ですら実感ないけど、あの内戦が、
全ての運命を狂わせたって、お父さんは言ってた。
あたしは赤ん坊だったからその時の事は覚えてないけど、今自分が生きていることって
すごい奇跡のように思えてきたわ。なんとなくだけど」
狭いテントの中、キャンドルランタンの光で工具の手入れをしているマトリクスは手を休めずに答えた。
「そうだな。今の島の家族がお前を守り、育てた。なかなかできるもんじゃねぇよ、他人の子供を
育てるってことはさ。どっかの野良犬を飼う事と訳が違うんだからな。お前の今の家族は
誇るべきいい家族だぜ」
「うん。あたしもそう思う。これからもそう思いたいから、あたしはシリアへ行かなければならないんだ。
本当のお父さん、お母さんとお別れをするために、ね」
「お前の本当の両親は、アルメニア人だったよな」
「そうみたい。実感はまだないんだけど」
「ふむ。アルメニアの多くの人は難民となっていろんな国を渡り歩いた、という話を聞いたことが
あるが、お前にもその血が流れているって訳だな」
「だからあたしも旅がしたいって思ったのかな?」
「そういう部分もあったんじゃねぇか?」
「うーん…確かに言われてみるとそうかもしれないって思うし、悪い気はしないわね。
でも、アルメニア人のあたしがそう思ったんじゃなく、あの島で育った人間としてのあたしの意思だからね。
血とか遺伝とか言われてもいま一つピンとこないわ」
「本人にとっちゃそうだろうよ。俺だって〔お袋似だ〕って言われても居心地悪いだけだったもんな」
「うそ、マトリクスさんってお母さん似なの? やだぁ、筋肉ダルマのお母さんなんて気持ち悪いわ」
「言うに事欠いて…さっさと寝やがれクソガキ!!」
「あはは、冗談よ。おやすみ、マトリクスさん。話を聞いてくれてありがとね」
「けっ!」
トルコとの国境は目前に迫っていた。シリアへ到着する日も時間の問題であった。
2016/7/26 17:35 [1498-4714]
| 第四話 ターニング・ポイント |
マーストリヒトの街に一際高くそびえるゴシック調の建物、聖ヤンス教会。その前の石畳の
広場の片隅でランダムは一人でチーズパンを食べていた。
両親と別れて三ヵ月余りが過ぎていたが、彼は高校にも行かず毎日アルバイトをしていた。
独り暮らしもすっかり慣れ、アルバイト姿も板についてきたようだった。
今はバイトの合間の小休止で、夕方からはブラウン・カフェで皿洗いの仕事をすることになっていた。
バイトは生活のためにしているわけだが、一人でガレージの部屋にいると嫌なことばかり頭に
浮かんでくるため、四六時中働くことで気を紛らせていたのだ。
体を酷使すれば、苦い過去に苦悩する余裕などなくなる、そう考えていたのだ。
自分の生まれ育ったこの街が好きだから一人きりになったとしてもここに残る決意をしたのだが、
彼は今急速にこの街が嫌いになりかけていた。
生き甲斐もなく、何の目標もなくただ何かから必死に逃げようとする彼の顔には、
笑顔のかけらも残されてはいなかった。
しかし自分を誤魔化すことも、もはや限界だった。
ある日ランダムは自ら禁断の扉、パンドラの箱を開けることとなった。精神的苦痛に耐えきれず
マリファナに手を出したのだ。
マリファナやハッシシなどのソフト・ドラッグはコカインやヘロインなどと違い、身体的な
禁断症状は起こらないという医学的根拠からこの国では合法とされる。
しかしこれらを吸うと痛快な気分になることから精神的な依存症をいざなう危険性があるため、
合法とする国はほとんどない。
皮肉にもマリファナのおかげでランダムの生活は活気あふれるものになった。
笑顔が戻り、毎日生きることが楽しくなった。
苦しさを紛らすために始めたバイトも奮励し積極的にやるようになると、店長も彼に対して
好印象を持つようになり周りにもよい影響をもたらしていた。
ある日ランダムはバイク・ショップの店頭に飾ってあるバイクに一目惚れした。
曇りひとつないピカピカの新車の輝きとバイクの持つ機能美に彼の心はくし刺しにされたのだ。
自分の収入では手が届かないため諦めざるを得なかったが、バイクの持つ〔風とひとつに
なれそうな感覚〕に魅了されていた。
中古でもいいから自分のバイクを買う、それが今の彼の目標になった。
しかし資金は思うように溜まらなかった。
タバコよりもはるかに高価なマリファナを毎日のように吸っているため当然の結果だった。
自分のモチベーションを継続させるために欠かすことのできないマリファナを、今更やめることなど
できるはずもなかった。
ランダムはマリファナとバイクにすっかり魅了され、いつしか家族の事は忘れていた。
それは彼が充実している事の証でもあったが、彼は気付いていなかった。
掌に持つ乾いた大麻の葉のもたらす現実は、偽りの幸せだということを。
「くぅーっ! 金がねえーっ!!」
2016/7/30 08:06 [1498-4715]
「うぁーっ! お金がない〜!!」
トルコを抜け、スプライトの故郷であるシリアに入国して早一週間が経っていた。
叔母の住むハマの街までもうすぐだというのに、スプライトは故郷の感慨を噛みしめることも
できず必死に空腹と戦っていた。
ヨーロッパに近づくにつれて物価が高くなってきたため、食料が思うように仕入れられなかったことも
原因のひとつだが、一番の原因は他にあった。
マトリクスと先日つまらない事で大喧嘩してしまい、別れてしまったのだ。
そのため彼女は一人で稼がなければならず、四苦八苦していた。
彼女の機械修理の技術はマトリクス流の基本を受け継いだ換骨奪胎のものだが、出会ってから
半年近くしか経っていないとはいえかなりのものになっていた。
その気になれば一昔の単純なエンジンの分解・組立もたやすいものだろう。
しかし故障した自動車などに出会う機会はインドやパキスタンに比べるとずっと少なくなっており、
またその華奢な体つきから信用がもらえなかったことから得意分野の仕事はなかなかできなかった。
どこかの農場で住み込みのバイトでもしようかと考えたこともあったが、ハマの叔母に会うまでは
今まで稼いだ手持ちの資金を目一杯倹約してもたせようと、
一日パン一個とミネラルウォータだけで旅をしていた。
「あたしだって、マトリクスさんがいなくたって生きていけるんだから!」
彼女は意地になって一面の穀倉地帯を歩いた。昼間は女性の運転する車を選んでヒッチハイクして
距離を稼ぎ、夜はどこかの農場の納屋でワラに縋って寝たりしていた。
そんな数日を繰り返し、彼女は遂にハマの街に着いた。
スプライトが生まれた年に、死者一万人を越えた内戦があったらしいが、今では当時の事件を
偲ばせる跡はどこにも残っていなかった。
街をゆったりと流れるオロンテス川の両岸には瑞々しい草木あふれる公園があり、いたるところに
巨大な水車が重い音をきしませて飛沫をあげながら休むことなく回りつづけている。
想像していた荒寥としたような街の雰囲気はどこにもなく、公園や商店街を歩くだけなら
平和な街そのものとしか思えなかった。
しかし路地裏に一歩足を踏み入れると、建物の隅で寝ころがっている人をはじめ片腕を無くした人が
意味不明の言葉をブツブツ言いながら歩いたりする、背筋が凍りつくようなスラムがあった。
ただしこういったスラムはハマに限らず、彼女が辿ってきた街にはどこにでもある光景だった。
逆にスラムがない街の方が気味が悪いかもしれない。
当然インドにもスラムはあったわけであり、マトリクスがいないとはいえ今更身構えることもなかった。
しかし、以前に多大な犠牲者を生んだ内戦があったという固定観念が、このスラムは
それによる影響によるものなのだろうか、とスプライトを思慮深くさせていた。
アルメニア人の居住区は街の外れにあった。
難民の扱いを受けている彼らはシリアの住民とは別に暮らしており、アルメニア人同士で固まって
質素に生活を送っている。
まるで街から隔離されたような、スラムのそれと変わらないようなひんやりした雰囲気に
違和感を感じつつも、スプライトはジョージアから受け取った手紙を片手に、
そこに書かれている番地を探した。
「このような所であたしは生まれたんだ…」
外でボール遊びをする子供たちに愛想笑いしても、口をへの字に曲げてじっとこちらを
警戒しているだけで誰からも笑顔は返ってこなかった。
スプライトの荷物を見て、物見遊山の観光客だと思ったらしい。
すれ違う大人にしても、どこかよそよそしい雰囲気があり、スプライトは少し落ち込んだ。
同じアルメニア人でありながら、別のナワバリに迷い込んでしまったような錯覚がした。
生まれ故郷でありながら、彼女には誰一人として知り合いがいない。
ただ父から受け取った手紙の女性が、自分と本当の両親を知っているだけ。
スプライトはそれがとても心細かった。島の父を疑う訳ではないが、何年も前の話を頼りに
尋ねることが今になって不安になっていたのだ。
「もし、その叔母さんが旅行や引越しなんかでこの住所にいなかったら…」
スプライトは疑心暗鬼した。会えなかったらどうしよう、会えたとして当時の事は忘れていて
あたしの事も覚えてなかったらどうしよう、などと結論の出ないことばかり頭に浮かんでは悩んでいた。
ここへ来るまでは、恐れるものは何もない、自分のことが早く知りたい、などと血気盛んだったのに
いざこの地に来てみると腰がひけてしまっていた。
彼女が一番恐れているのは、アルメニア人の歴史を聞かされて他国民族を嫌いになることだった。
トルコ人をはじめ、多くの民族がアルメニアを迫害した事実は島の父から聞いていたが、
伯母など実際に迫害を受けていただろうアルメニア人にリアリティあふれる迫害体験談を
私見を交えながら話されたのではたまらない。
自分がアルメニア人の家系に生まれた以上、その民族の辿ってきた歴史を具体的に知る義務は
あるだろうが、これから出会う他国民族の悪い印象を吹き込まれるくらいなら最初から
話など聞かないほうが幸せだ、ならば伯母とは会えないほうがいいのかもしれない、などと思った。
しかしそう思うたびに、ではなぜ自分はここまで来たのか、という疑問にぶつかった。
アムステルダムへ行く目的はともかく、少なくとも生みの親と本当の自分の話を伯母に聞き、
自分自身にけじめをつけるためにここへやってきたはず。
今まで何度も口にした自分の信念だ。
スプライトは歯を噛みしめながら、勇気を振り絞って歩きつづけた。
2016/7/30 08:14 [1498-4716]
しかし彼女の邪な期待は、残念ながら現実になってしまった。
やっとの思いでたどり着いた叔母の家の住所は空き家になっていたのだ。
近所に住む人に聞くと、叔母のロケート・エディタとその家族は五年前に流行り病に犯され、
全員がこの世にはいない、とのことだった。
………全てが終わった…
夕陽の丘、ハマの市街地を見下ろす城塞の跡。
夏草とともに立つ彼女は何の気力もなかった。
今日の寝床や食料問題など考えなければならない問題は山ほどあったが、今まで張り詰めていた
緊張の糸がぷっつりと切れていた。
ただ漠然とわかったのは、このアルメニア人居住区に限らずハマの街全体は暴動やテロに対して
どこか慣れてしまった感があり、それが先刻の子供たちのように他人を拒み自衛に走っている、
という街の雰囲気だった。
夕陽が地平線に沈むとようやくスプライトは我に返った。
「こうしてるだけじゃダメだ。別に両親の手掛かりが消えた訳じゃないし、明日いろいろ探してみよう。
今日はとにかく寝場所を探さなきゃ」
スプライトは城塞を駆け下りると、ふと師匠の事を思い出した。
「マトリクスさんのテントは楽だったなー…」
この辺りは東地中海に近いためシリアの中では比較的過ごしやすい温暖な気候ではあるが、
それでも昼間は暑く夜は凍えるほど寒い、砂漠のそれに近い気候だ。このためインドや
パキスタンに比べて寝場所を探すことが意外と難しかった。
テントならば四方からの風を遮ってくれるので、それだけでずいぶん快適に過ごせるのだ。
しかしそれも過去の話。マトリクスとケンカ別れしてしまった今ではそんな都合のよい利器もない。
まして女の子、迂闊な場所で野宿などできる訳もない。
彼女は繁華街の更に外へ向かった。街から離れた農場などの納屋なら安心して泊まれるからだ。
運がよければ食事もごちそうしてくれるかもしれない、などと邪な期待を背負いつつ
彼女は歩幅を広めた。
「はう〜…お腹が減って歩く気力もなくなってきた…」
目眩、動悸、息切れの三位一体攻撃が彼女を容赦なく襲う。
こんなことならもっと落ち込んで空腹感を麻痺させておけばよかった、などと徒然なる思いが頭を過った。
そんな時、街の外れに鋭角な屋根に十字架を掲げたゴシック調の建物が目に入った。
「ラ、ラッキー…教会だ。なんとか泊めてもらえないかな…」
呟く前に彼女の足はその教会に向かっていた。
門の前に立つと見た目よりも大きく立派な建物に少しだけ圧倒されたが、スプライトはそれでも
躊躇せず門を叩いた。
せめてもの礼儀で衣服の埃を払っていると、私服の熟年の優男が扉を開けた。
端麗な顔だちで丸眼鏡がよく似合う男だ。きっとこの教会の神父だろう。
スプライトは先手を取って口を開いた。
「旅の者です。ご迷惑かと存じますが、一晩泊めて頂けませんでしょうか?」
「!」
彼はスプライトを見て一瞬たじろぎ、目を見開いてじっと彼女を見つめた。
スプライトは、神父とはいえ無言で女性の顔をジロジロ覗き込む礼儀知らずな男に一抹の不安を覚えた。
「あの…あたしの顔になんか付いてますか?」
はっと我に返った神父は慌てて口を開いた。
「あ、これはとんだ失礼を。昔の知人にあまりにも似ていたものですから、つい…。
そうそう、この教会で泊まりたいのでしたね、もちろんいいですよ。遠慮しないで入りなさい。
私はこの教会の神父をしているタックス・シンプソンです。あなたは?」
スプライトは、やはり見たままの優しいヒトだった、と先刻までの懸念を焼き払い、安心して
荷物を持つとにっこりと微笑んだ。
「あたしはスプライト・エディタ。すみません、ご厄介になります」
「そうですか。スプライト・エディタさん……スプライト……エディタ……!?」
シンプソンの顔がみるみる青ざめた。
「スプライト!? あなたはまさかスキャナ・エディタさんの娘ですか!?」
実母の名をシンプソンが口にすると、今度はスプライトの顔が青ざめた。
「な、なんで? どうしてあたしのお母さんの名前を知っているの?」
「やはりそうでしたか、道理で似ていると思いました! ああ、君があのスキャナさんの娘だとは…
ああ神よ、この素晴らしき出会いを導かれたことに感謝します!!」
「ぐぎょろろろぉ〜…」
スプライトの腹の虫が、神父の十字を切る手を遮るほど大きな雄叫びをあげた。
こんな思いがけない出会いに感激してる最中でも彼女の腹は節操がなかった。
スプライトは真っ赤になって腹を隠した。
「あ、あたしったら…ごめんなさい…。でも、あたしも両親を知っている人と出会えて本当に
びっくりしているの。実はあたし、自分の両親の話を聞きにこの生まれ故郷にやってきたんです」
「なんと、一人で旅とは!」
その時、教会の奥から若いシスターが現れた。彼女の後ろには五人ほどの幼い子供が、
隠れるようにスプライトを怪訝な面持ちで覗き込んでいるのが見えた。
「シンプソン神父、お客さまですの?」
シンプソンは浮き足立つ感情を抑えながら、シスターに彼女がエディタ夫妻の娘であることを説明した。
「まぁ! こんな事ってあるのかしら、信じられませんわ。私が修道女になってこの教会に
赴任してきたばかりの事ですもの、あの話は今でも覚えていますわ。私はエディタ夫妻とは
お会いしたことはありませんが、フロートさんの事は覚えておりますのよ。
あぁ……ロケート婦人の話は本当だったのですね!」
シスターは歓喜して手を弾いた。
2016/7/30 23:57 [1498-4717]
「ウソでしょ、どうしてあたしの叔母や今の両親まで知っているの?」
スプライトは驚愕した。十数年前の出来事など親類以外で知っている人間などいるはずもない、
と思い込んでいたのだ。
「とにかく中に入りましょう。シスター、夕食の支度を急いでください。彼女は相当お腹を
空かせております故、積もる話はそれからにしましょう」
シンプソンがけしかけるとシスターは腕を捲くってみせた。
「はい神父、急いで支度をいたしますわ。みんな、このお姉ちゃんはお客さまですよ。
私たちと同じアルメニア人で旅をしてきたの。お迎えしてあげてね」
シスターはそう言うと子供たちを残して奥へ駆けて行った。
「あの…神父さん、その子たちは…?」
スプライトは子供たちの突き刺さるような視線がさっきから気になっていた。
「テロや暴動などで両親を失ってしまい、身寄りのなくなってしまったアルメニア人の子供たちです」
シンプソンはスプライトにそう説明すると「あなたと似たような境遇なのです」と付け加えた。
………あたしが、この子たちと一緒…
スプライトは、胸が締めつけられる思いがした。自分の半分もない背丈のまだ年端もいかない子供が、
両親と死に別れ孤児としてここで暮らしている。
肉親と死に別れて辛いのは自分だけではなかった。
いや、事実も知らずに世間から隔離された平和な島でのうのうと暮らしていた自分よりも、
地獄のような思いをして生きてきたこの子らの境遇を考えれば、むしろ自分の辛さなどこの子らに
及びもしないだろう。
「みんな、初めまして。あたしスプライトです、仲良くしてね」
スプライトは精一杯の笑顔を見せた。シンプソンは子供たちに、スプライトの両親は彼女が
生まれてすぐに死んでしまった、という過去を丁寧に説明すると、子供たちは
他人と思えない彼女の境遇に共感したのかすっかり警戒心を解き、笑顔とともにスプライトの
もとへ寄ってきた。
男の子が三人、女の子が二人。みんな仲の良い兄弟のようだった。
レンガ造りの教会の中に入り、綺麗な絨毯の敷かれた奥の食堂へ案内された。
テーブルに腰掛けて夕食を待つ間、スプライトは子供たちの好奇心の的となった。
「お姉ちゃんはどこから来たの?」
「どんな所で暮らしていたの?」
「どんな食べ物を食べてたの?」
「旅でどんな事があったの?」
「スケボーできるの?」
マシンガンのような質問の嵐。スプライトが一つ一つ丁寧に答えるたびに子供たちは感嘆の
溜め息を漏らした。
スプライトにとってもこの子たちは他人ではなかった。
運命の糸が一本ずれていたら自分もこの教会で暮らしていたかもしれない、という連帯感や
家族意識が芽生えていた。
夕食はパンとシチューと果物。スプライトにとっては、マトリクスと別れてから実に一週間ぶりの
まともな食事だった。
「いただきま〜…」
スプライトが大口を開けてシチューに手を掛けようとした瞬間、一同が主への祈りを捧げている事に
気付いた。顔から火が出そうになるほど恥ずかしい瞬間だった。
食事は胃が縮んでいるためか、さほど多くは食べられなかったが大満足であった。
「どうも御馳走さまでした。本当に助かりました」
食事の後片付けが終わるとシンプソンは、スプライトを含む全員を椅子に座らせたまま話を始めた。
「さて、まずエディタ夫妻について話したほうがいいでしょう。
あなたの父のエリミネートさんは人心を引きつける才能に長けた情熱家で、母のスキャナさんは
代々受け継がれた絨毯職人の娘でとてもお美しい方でした。
確かスキャナさんはヨーロッパ系の血が混ざっている、と聞いたことがあります。
あなたの髪がブロンドなのはそれが影響しているのでしょう。
お二人はこの教会で結婚式を挙げられました。当時のこの教会は改装前の質素なもので、
決して華やかな式ではありませんでしたがお二人はとても幸せそうでした。
お二人は絨毯屋を経営していました。過去の辛い難民生活を思わせない活発な明るさと豊富な経験、
知識のおかげで経営は順調だったそうです。お二人とも商売熱心でありながら信仰心も厚い方で、
毎週欠かさず夫婦揃って教会へ来ておられました。
一度この教会に立派な絨毯をいくつか寄与して頂いた事もありました。
実を言うと、この食堂の絨毯はそのうちの一つなのですよ」
「え…この足元の絨毯が…お父さんとお母さんが寄付したもの…?」
スプライトは驚いてテーブルの下を覗いた。
色とりどりの綺麗な花がさりげなく緻密に描かれた、食堂にとてもよく似合う柄の絨毯。
生地のせいか手入れのせいか、十年以上経っているはずなのに色褪せた感が全くない。
彼女はとたんに両親の存在を身近に感じた。今までは漠然としか想像できない蜃気楼のような
存在だった両親が、この絨毯を目前にして〔この地で実在していた〕ことを実感したのだ。
子供たちも彼らなりに教会のこの歴史ある絨毯の秘密に驚いていた。
「へぇー、ぼくたちがいつも寝ころがっていたこのカーペットはお姉ちゃんのお父さんお母さんが
この教会にプレゼントしたものだったんだ」
2016/7/31 00:04 [1498-4718]
シンプソンは話を続けた。
「私達アルメニア人はキリスト教徒であり、カスピ海と黒海に挟まれた旧ソ連共和国が
母国であることから様々な国や民族から迫害を受けていました。
そのため私達はアルメニア人以外の民族とはあまり友好的にはなれませんでしたが、
お二人は違いました。
アラブ人であれトルコ人であれ顧客や仕入れ先に対する人種差別などは一切ない公平無私な方でした。
旦那さんの人柄と奥さんの端麗な容姿が人種や宗教を越えた商売を可能にした、と人々は言いますが
実際には相当に切磋琢磨なされたのでしょう。
この地でアルメニア人が開業しようとするのは生半可な努力では不可能ですからね」
スプライトはその話を聞くと、なんだか自分が恥ずかしく思えた。
昼間、伯母の家に向かっているときに危惧していた、他国民族を嫌いになりたくないという想い。
両親はそんな保守的な考え方はせず、積極的に他人を受け入れようとしていたのだ。
自分の求める〔多くの人と出会いたい〕という理想と両親の生きざまが重なって見えつつも
スプライトは、自分のその理想の空回りに深く反省した。
「スプライトのお父さんやお母さんて、たくさんの人と接するために一生懸命だったんだね。
あたしなんてここで暮らすみんな以外の人は怖くて話もできないのに…」
女の子は羨ましそうに呟いた。
他の子供たちもその子と同じ思いをしているように頷いた。
………みんな他人と仲良くしたいんだ…
人種や思想が異なるために、虐げられる。スプライトはこの地で暮らす人々を含め、
世界中にあふれている人種問題や宗教問題がもう一つ理解できなかった。
しかし彼女は、いかなる人種や思想を持つ人でも、他人と友好関係を求める想いは万国共通の
思想だと信じていた。
そう信じることができたからこそ旅をしてここまで来れたのだ。
道中様々な困難はあったがそれは全て自分個人の弱さが招いた結果だ。
シンプソンの話はいよいよ運命の話に突入していった。
「今から一五年ほど前の事です。品物の仕入れのためエリミネートさんはトルコへ行かなければ
なりませんでした。二人は生まれて間もない赤ちゃんを、良き友人でありお得意様である
フロート夫妻に預け、エリミネートさんは馬車に乗ってトルコへ、スキャナさんは一人で店を
経営することになったのです。
ムスリム同胞団による大暴動が始まったのはまさにその時でした」
「ムスリム同胞団…?」
スプライトには初めて聞く言葉だった。
シンプソンはスプライトに理解できるように説明した。
ムスリム同胞団とはイスラムから生まれたイスラム原理主義者の集団で、もともとはエジプトの
政治腐敗を粛正するために結集された。
それが増長していつからか、唯一神アッラーの教えに背く中東各国の政府や政治家に対する
巨大テロ集団と化した。
ハマの街の内戦もそのムスリム同胞団が原因であった。
シリア政府が隣国レバノンに軍事介入し、イスラム教左翼グループとパレスチナ解放機構を
攻撃することに対してムスリム同胞団が対立し、大暴動に発展したのだ。
ただし一概にムスリム同胞団が悪ではなかった。
一万人を越える死者の多くは政府軍の爆撃によるものだったのだ。
内戦直後のハマは、まさに地獄と呼ぶにふさわしい荒野と化した。
辺り一面が人間の死体だらけで、この世のものとは思えない死臭が漂っていたという。
そして現在でも、地中には多くの骸骨が眠っているらしい。
「その暴動で、お父さんとお母さんは………」
スプライトは言葉が続かなかった。
「ええ…。実を言いますと、今の話は後にエリミネートさんの姉ロケート婦人から聞いた話なのです。
それまではその赤ちゃんも亡くなっていた、と私は思っていました。
ですが彼女に話を聞いて、あなたが無事に生き延びていてフロート夫妻の養子になっていた事を
初めて知ったのです。ロケート婦人が生きておられたらもっと詳しい話が聞けたのでしょうが、彼女は…」
スプライトを案じてか、シンプソンはその先を言わなかったが、ロケート婦人は五年前に
亡くなっていたことをスプライトは知っていた。
「ううん、いいんです。気にしないで下さい。それより、どうしてフロート家を知っているんです?
話を聞いていると、シンプソンさんやシスターは今のあたしの家族と何の関係もなさそうな
気がするんですけど」
スプライトの質問にはシスターが答えた。
「大暴動の後、ジョージア・フロートさんはこの教会へ一人で来られましたの。
当時、教会は被災者の簡易病院になって私も神父様もその対応に忙殺していたため詳しい話は
できませんでしたが、ジョージアさんは娘とエディタ夫妻のお墓を建てるために来られたのですのよ」
「あ…」
スプライトは思い出した。あの暴動で島の家族は娘をも失ったのだ。
2016/7/31 19:54 [1498-4719]
「ジョージアさんが親族でないエディタ夫妻のお墓を建てたのは、よほど親しい友人だからだと
思っていましたが、生き残ったスプライトさんを養子にする決意を固めたことによる
エディタ夫妻への礼儀だったのでしょうね。親族は当時、生活するだけで精一杯だったため
墓石を買う余裕はなかった、とロケート婦人はおっしゃっていましたから」
シンプソンの話を聞くと、スプライトはジョージアに対して尊敬と感謝の念を禁じえなかった。
「あたし…お墓が見たい。あたしの本当のお父さんとお母さんにちゃんとお別れしていないもの。
きちんと挨拶しなければならないって、ずっと思っていたんです。すみませんが明日お墓に
案内していただけますか?」
シンプソンは深く頷いた。
「もちろんです。私もそうするつもりでした。天国のお二人もきっと喜ばれるでしょう」
シスターは思い出したように壁時計を見た。すっかり長話に夢中になって子供たちを
寝つけることを忘れていたのだ。
「あらまー、こんな時間ですわ。みなさんベッドへ行きましょうね。就寝時間はとっくに
過ぎておりますわ」
「やだー。おれたちもっとスプライトの話聞きたいよ」
シスターがいくら言っても子供たちは口々に文句を言って席を離れようとしなかった。
しまいには「スプライトと一緒ならベッドへ行く」と駄々をこねる始末だった。
「いいよ。みんな、あたしと一緒に寝よっか!」
スプライトがそう言うと子供たちは大はしゃぎで喜んだ。
シスターは申し訳なさそうに彼女に耳打ちした。
「あなたのベッドは私の部屋に用意いたしましたのに、いけませんわ。それにお話は
まだ終わっておりませんのよ」
「いいのいいの。実はあたしも旅の疲れが溜まっているせいか、とても眠いの。
これ以上聞いても大切な話は耳から抜けちゃうわ。それにこの子たちには、あたしにできることを
してあげたいの。少なくとも境遇は同じ。あたしにとっては弟妹みたいなものだから…ね〜っ!!」
「ね〜っ!!」
一斉にハモる子供たち。すっかりスプライトに手なずけられてしまい、シスターは少しだけヤキモチをやいた。
「もうっ!」
「ははは。シスター、いいではないですか。話は明日でもできます」
シンプソンに宥められると、シスターは諦めたように溜め息をついた。
「そうですわね。じゃ、スプライトさん子供たちをお願いしますわ」
母親役を譲られたスプライトは子供たちを連れて食堂を出ていった。
残されたシンプソンとシスターは、スプライトの元気の良さに改めて苦笑していた。
子供たちの部屋に明かりが灯る。
人形やパチンコ、サッカーボールが床に点々と散らばっている子供らしい部屋だ。
全員で力を合わせて三つのベッドをぴったり並べ、そこに毛布を敷いて全員で寝ることにした。
「さ、みんなグッスリ寝よう!!」
「は〜い!!」
電気を消し、スプライトを中心にして固まるようにベッドに潜った。
意外に聞き分けのよい子供でスプライトは安心して眠れるかと思っていた。
「なんかお姉ちゃんってママの匂いがする…」
「え…あたしが? ママの匂い? へぇ…?」
「ずるいわビット! あたしをスプライトの隣にしなさいよ」
「おれも!!」
「やだよ、スプライトはボクのだ!」
「ちょっとみんな、ベッドの上で騒ぐんじゃない…きゃ! どこ触っ…いやぁん!」
ベッドの上は狂喜乱舞の目茶苦茶な暴動となった。
スプライトが煩瑣な子供たちに翻弄されている様子は、食堂の二人にも聞こえていた。
シスターは、子供部屋から「ズン!」と衝撃が聞こえるたびに、ハラハラして席を立ったり
座ったりしていた。
数十分後、子供たちは散々暴れまわったあげくようやく寝ついたが、スプライトは一人目が冴えて
眠れずにいた。
「お母さんの匂い…か。ちょっとだけ羨ましい…かな…?」
ようやく眠くなりまどろみはじめた次の瞬間、スプライトに群がるように眠る一人の男の子の手が
彼女の胸に触れた。
「やっ…! またこのマセガキっ!!」
「……ママ……」
寝言を呟くその子の頬に一雫の月光が流れた。
スプライトは胸が急に熱くなるのを感じ、自分の手を頭の後ろに戻した。
「……」
2016/7/31 20:00 [1498-4720]
次の日、軽く朝食を済ませると、スプライトはシスターに強引に連れられて彼女の部屋に入り、
鏡台の前に座らされた。
「スプライトさん、あなた今からお父さんとお母さんに会いに行くのでしょ。女の子なんですから、
せめて髪を綺麗にとかしてさしあげますわ」
「あ…ありがとう、シスター…」
スプライトはシスターに言われるままに髪をといてもらった。
「あたし、旅に出てしばらくしたらおしゃれなんてしなくなちゃったなぁ。髪形だって太く結んだ
三つ編みと麦わら帽子で誤魔化していたし」
「髪は特に痛みやすいんですのよ。ああほら、こんなにパサついちゃって。あなたは端麗美人とか
アルメニアの月の女神などとうたわれたスキャナさんの娘なのですから、美人でないはずはありませんの。
ですからちゃんとケアしないといけませんわよ」
「あたし…お母さんの写真とか見たときないんだけど、そんなに美人だったの?」
「私もお会いしたことはありませんので噂で聞いていただけですの。ですが私から見てもあなたは
美人だと思いますわ。神父様も昨日、あなたを見たときスキャナさんの面影が確かにある娘さんだ、
とおっしゃってましたしね」
「でへ。そーなんだ」
「…自覚するのは結構ですが、その薄ら笑いはおやめになったほうがよろしいですわね…」
シスターのおかげで艶のあるサラサラの髪になったスプライトは、教会の外に出て、法衣姿の
シンプソンの案内で両親の墓参りへと出掛けた。
スプライトから借りたスケボーを転がしながら通りで遊ぶ子供たちの声を後ろに、教会の裏の
瑞々しい樹木に囲まれた小道を二人で歩いた。
「スプライトさん」
「ん? なあに、シンプソンさん」
シンプソンは思い詰めたような顔をしていた。
「実はもう一つ、あなたに伝えなければならない事があります。この話をすることによって
あなたがどう思うか、私は心配で昨日から少し悩みましたが、正直に話すことにします」
スプライトは黙って頷いた。
「実は、ロケート婦人はジョージアさんがあなたを養子にしたいと申し出た際、一度断ったことが
あったそうです。ロケート婦人は生活を無理してでもあなたを育てようとしていたのです。
婦人は心からあなたの事を想っていたのです。しかし、あなたの幸せを想っていたからこそ、
その後決意を改めてあなたをジョージアさんに託したのです。アルメニア人でない彼に。
この意味、あなたは判りますでしょうか?」
スプライトは立ち止まり、俯いて肩を震わせた。
「…うん。島のお父さんは人種差別など絶対にしない人でした。それをロケート叔母さんは
信用したんだわ。叔母さんは…あたしの…ことを…想って…」
涙が溢れて言葉が続かない。
「ロケート婦人は、幸せになったあなたがいつか自分を尋ねて来ることを信じ、願って暮らしていました」
それが、五年前に流行り病で亡くなってしまった。さぞ無念だったろう。
それを考えるとスプライトは胸が引き裂かれる思いがして涙が止まらなかった。
「あたし…叔母さんの事…ただあたしや両親を知っているだけの人だと…思ってた…。
だから…亡くなった、と聞いたとき…話を聞ける人がいなくなって残念だとしか思わなかった…
叔母さんが…あたしの事、そんな風に…想ってくれていた事も知らずに…あたし…あたし…
すごく嫌な女だ…!」
スプライトはシンプソンの胸の中で堰を切ったように泣き叫んだ。
シンプソンは分かっていた。彼女は昨晩、子供たちの前で涙を見せないように我慢していたことを。
子供たちの前では勇気の手本を見せなければならない事を、彼女は知っていた。
「叔母さん…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
子供たちの前では強がって、大人ぶってみせても、やはり情緒不安定な十代の女の子。
子供と大人の境界線上で葛藤する女の子だ。
「スプライトさん、あまり自分を追い詰めないで下さい。天国のご両親やロケート婦人は
あなたを恨んでなどおりませんよ。もし罰が下されるしたら、あなたを泣かせてしまった
私に対してでしょうから」
「……うん……ありがとう、神父様」
スプライトは涙を拭いながら、シンプソンの気の効いた冗談に笑ってみせた。
シンプソンは一瞬どきりとした。彼女の微笑みが、スキャナのそれとうり二つだったのだ。
同時に彼はは嬉しくもなった。
彼女のこの笑みこそ、インドの島での暮らしが幸せであったことの何よりの証だと思った。
そしてまた、この若さにして単身シリアへ旅してきたことの強さと意地に敬意を抱いたのであった。
2016/8/5 22:31 [1498-4736]
林の小道を抜けると、多くの墓標の立ち並ぶ陽当たりのよい丘に出た。独特の神聖な雰囲気の漂う
歩道を進むと、シンプソンはその一角のふたつの墓石の前で足を止めた。
「ここですよ、スプライトさん」
右側の墓石には、〔夫エリミネート・エディタ 妻スキャナ・エディタ ここに眠る〕と
アルメニア語で刻まれ、左側は〔セラ・フロート ここに眠る〕とアラビア語で刻まれていた。
「セラ・フロート…島のお父さんとお母さんの本当の娘…。セラっていう名前だったんだ。
本当は…この子があたしになっていたはずだったんだ…」
「…あるいは、そうなっていたでしょうね」
双つの墓石。そこに眠る三人の魂は、スプライトの運命を証明する動因の軌跡。
スプライトは、島での暮らしがこの三人の命の上に成り立っていた、という事実を改めて思い知った。
「偉大なる祖国アルメニアの民にして、顕栄なる商人エディタ夫婦…。現世に生を受けながら
刹那の如く神のもとへ旅立ったセラ・フロート…。ここに永久の眠りにつく。その遺愛なる魂
地上を離れ、我等に別れを告げん…。されど、死者を死せりと思うなかれ。生きる者のあらん限り、
死者は生きん。我等のあらん限り、三人は生きん…。魂に平安を……」
シンプソンはスプライトのために、聖書を片手に葬礼を行った。
スプライトはまずセラの墓前に屈み、彼女の冥福を深く祈った。
「平安を……」
遙かな地中海を思わせるそよ風が辺りの木々を揺らせる。そんな静寂に包まれた二人に、
シスターの呼び声が聞こえた。
「神父〜…シンプソン神父〜!!」
二人が来た林の小道からシスターが駆けて来た。
「なんですか、厳粛たるべき修道女が大声など張り上げて。少しはご両親と対面なされている
スプライトさんをお気遣いなさい」
シスターは息せく口を慌てて塞いだ。
「す、すみません…私ったら。あの、神父にお客さまですの。お急ぎだと申しておりましたわ」
「私に…? アドレスさんとセルさんの結婚式の打合せですかねぇ。しかし、今すぐにという訳には…」
シンプソンはスプライトの方をを心配そうに見たが、彼女はそれを笑顔で返した。
「あたしなら心配いりません。しばらくしたら教会へ戻りますので、お気遣いなさらずに。
お客さまのために早く教会へ行ってあげて下さい」
スプライトは毅然とした態度で言った。それに安心したシンプソンは一言礼を残してシスターと
教会へ戻っていった。
二人を見送り、一人たたずむスプライト。大きく深呼吸をして震える胸を宥め、精一杯の笑顔で
両親の墓前に立った。
もう一度、墓石に刻まれた両親の名前を黙読し、そしてゆっくりと口を開いた。
「ただいま。お父さん、お母さん」
お昼過ぎにようやく教会へ戻ってきたスプライト。
彼女を心配して教会の裏庭を行ったり来たりしていたシスターは、彼女のその異様な姿を見るなり
絶叫して側に駆けつけた。
「いやああぁあ!! スプライトさんどうしたんですの、その髪!!」
「いやぁ、ちょっとナイフでズバッと。あたし…他にお供えできるものがなかったから、
せめてと思って…アハハ!」
当分三つ編みもできそうにないくらい襟元までバッサリと切ったスプライトは、頭を掻いておどけた。
「アハハってあなた…せっかくきれいにといてあげたのに…。でもまあ、何も気にしない、
何も飾らない一途な行動、何というかあなたらしいですわね。少しそこでお待ちなさい。
ハサミで後ろ髪をきれいにまとめてあげますわ」
「うん。ありがとう、シスター」
シスターが教会の勝手口に入っていくと、スプライトは振り向いて林の向こうを名残惜しんだ。
これから自分が生きていく間に、きっと何度となくこの場所を思い出すだろう。
その記憶を心に縫い付けるように、スプライトは林の奥を見ていた。
「両親との別れは、済んだのか?」
聞き覚えのある野太い声に、スプライトは反射的に振り向いた。
教会の礼拝堂から出てきた長身の大男。無精髭に、火の付いてないタバコをくわえたニヒルな横顔。
2016/8/7 17:43 [1498-4740]
「マトリクスさん…!」
スプライトは彼の姿を見て立ちすくみ、すっかり忘れていた彼との大喧嘩が昨日の事のように
記憶に蘇った。
彼女は、喧嘩の原因は全て自分にあると反省していた。
いつか会えたら誠心誠意謝ろうと思いつつも、まさか本当に再会できることなど夢にも思わなかった。
完全に意表を突かれたのだ。
「どうして………」
スプライトはうまく言葉が出てこなかった。
「全てのアルメニア人はキリスト教徒だ、と聞いたことがあって、教会に行けば会えるだろうと
来てみたらビンゴ、ここの教会の前でガキ共がお前のスケボーで遊んでいたから一発で分かったぜ」
「あたしのこと…嫌いになったんじゃなかったの…?」
彼女の問いに対して、マトリクスは何も答えなかった。柄にもなく照れていたのだ。
「嫌いになったのなら、わざわざあなたに会いに来たりしませんよ」
マトリクスの後ろで、礼拝堂から出てきたシンプソンが代わって答えた。
「この方はあなたの負った心の傷を心配して来たのです」
「まあ、そのなんだ、あのときは天国の両親に会う前の緊張してた時期だった事も分かってやれず、
少し言い過ぎたかな…って思って。その…悪かった。それだけ言いたくてな」
「マトリクスさん…あたしこそいろいろごめんなさい…」
「話はすべて伺いました。アムステルダムへ向かう旅の最中、ずっと一緒だったそうですね」
シンプソンが大男をあらためて見上げる。
「うん。あたしにとってマトリクスさんは…」
「スプライト」
マトリクスは彼女の話を止め、早々に荷物を担いだ。
「俺はもう行くが、お前はどうする?」
再会したばかりだというのに、彼はもう出発するというのだ。
マトリクスは、スプライトの短く切った髪を見て全てを悟っていた。どうするもこうするも、
彼女を煽動したのであった。
スプライトはおもむろにシンプソンを見た。
シンプソンは、もう少しマトリクスと話をしたがっているような、スプライトとの別れを惜しんで
いるような顔をしていたが、諦めるように苦笑し「あなたの好きにしなさい」と言うかのように
頷いてみせた。
スプライトの決心は固まった。
「…五分で支度するから、待ってて!!」
「三分だ!!」
「イエス・サー!!」
スプライトは、はしゃいで敬礼をすると教会の奥に駆け込んでいった。
シンプソンは彼女の元気な姿を満足げに見ると、マトリクスに首を向けた。
「いい娘でしょう」
「へっ…まあな。オレの弟子としては、少々出来過ぎだな」
マトリクスはわが子を褒められたように少しだけ照れた。
「スプライトさん、どうしたのですかそんなに慌てて?」
ハサミを手に持つシスターにスプライトは危うく衝突しそうになった。
「ごめんなさい、シスター。あたし、もう行く!!」
「え?」
………お父さん、お母さん。
子供たちの寝室に置いたトランクに荷物を投げ込んで閉じ、それにジャンプ傘を二本の帯で縛り付ける。
そして、ジャケットを着て麦わら帽子を持った。
「よーし、準備完了!!」
………あたし、自分がアルメニア人だって、いまだに実感が湧かないけど、
「急げーっ!!」
父と母が残した絨毯が敷かれた食堂の前を、わき目も振らずに素早く通り過ぎる。
………お父さんとお母さんの娘だってことは、実感したんだ。
外に出ると、シンプソンとシスター、そして子供たちが見送りに立っていた。
「あなたの進む道に、神の御加護があらんことを。さようなら、スプライトさん」
「ありがとう、シンプソンさん!」
………あなた方の持っていた、誇りとともにね。
「まったく、少しもじっとしてられないのね、あなたという人は」
「あたし、今や未来の自分に後悔させたくないんだ。ごめんなさい、シスター!」
………あたし、これからもこの想いを胸に旅を続けます。
子供たちは、口々に彼女への声援を涙ながらに送った。
昨晩彼女と一緒のベッドで眠った思い出がよほど楽しかったのだろう。
「みんな、元気で。現実に負けないように、泣かないように、いい夢みろよ!!」
………この旅が終わったら、今の家族が待ってくれているインドへ、帰ります。
そして麦わら帽子を頭にのせると、目の前に立つ男に拳を突き上げて叫んだ。
「行こう、マトリクスさん!!」
………さようなら、セラ。あなたがいたこと、あたし絶対忘れない。
「お姉ちゃん!!」
男の子、ビットが離れ行くスプライトを呼び止めた。
振り向く彼女にビットは、スケボーを彼女に向けて流した。
「忘れ物だよ!!」
………さようなら、お父さん、お母さん。
スプライトは流れてきたスケボーのヒールを踵で蹴り上げ、空中で一回転させてから片手で掴んだ。
「サンキュ!」
スプライトはスケボーを持つ手でVサインを投げた。
………さようなら………
2016/8/7 17:52 [1498-4741]
「…ごめんなさい、マトリクスさん」
地中海に続く夕焼けの草原の一本道。スプライトは懐かしいマトリクスの歩幅に合わせ、
並んで歩いていた。
「あー?」
「あたし、あの時…その…体がだるくてイライラしてた時に、面倒な仕事を頼まれちゃったから、
ついカッとなって思いもしないような悪態をついちゃったの。本当にごめんなさい」
「…そうか…お前、あの日だったのか。バカだな、そういう時はひとこと言えばいいんだ。
そうすりゃ俺だって、無茶な仕事を無理に頼みゃしねぇよ」
「だって…恥ずかしいもん…そんな…女にしかないようなもん…言えないもん…」
語尾がだんだん弱っていった。
「あー、なんだと? 聞こえねーよ。ケジメつけたんだろ。シャキッとしやがれ!!」
「わ、わかってるわよ! 怒鳴らなくてもいいでしょが、クソオヤジ!!」
「…んだとクソガキャ!! また踵落とされてぇか!?」
二人の果てない口喧嘩が夕映えにこだまする。
またいつもの二人の会話のペースになったことで、妙な居心地の良さを覚えたのは
スプライトだけではなかった。
もう過去を振り返ることはない。今度は自分の自由のために旅をするのだ。
スプライトは駆けだして、西に沈む夕陽に向かって思うままに叫んだ。
「うおーっ! 行くぞアムステルダム!! …ってしまった!! あたしロケート伯母さんの
お墓参りしないで来ちゃったよ、どうしよう!?」
「知るか。戻りたきゃ一人で戻りな。あばよ。以上!」
「そんな…ちょ、ちょっとぉ、待って…待ってよマトリクスさん!!」
「スプライトさんはスキャナさんに似て心優しい娘になっておりました…。あなたが
フロート夫婦に彼女を託したのは、決して間違いではありませんでした…」
シンプソンはロケート婦人とその家族の十字架の前で、婦人の意思をスプライトに
伝える使命を終えたことを天国に向かって話していた。
その側でシスターは恍惚とした表情で夕陽を眺めていた。
「はぅ〜ん。あの筋肉…逞しくて素敵でしたわ…」
「…何か言いましたか、シスター?」
シンプソンに呼ばれ、シスターははっと我に返った。
「あ、いえ何でもありませんわ神父、あはは。スプライトさんもマトリクスさんと旅ができて
きっと幸せでしょうね、うはははははは!!」
シンプソンは静かに目を閉じ十字を切った。
「…主よ、この罪深き哀れな小羊にどうか天罰を与えたまえ…」
「ふえっ!?」
2016/8/7 17:58 [1498-4742]
| 第五話 VSOEの終着駅 |
ランダムの生活は泥沼と化していた。アルバイトもろくにせず、毎日不良仲間とマリファナを
吸ったりショッピングセンターで万引きをして過ごしていた。
中学生の頃の彼は、他のクラスの先生からも一目置かれた優等生だった。
試験では常に学年の上位におり、スポーツも万能。そして何よりも他人を思いやる優しい性格は
クラスメートから信頼され、人気も高かった。
彼のその人柄の秘密には、両親の姿が深く係わっていた。
両親は昔から仲が悪く、事あるごとに言い合いばかりしていた。
そんな二人を見て育ったランダムは人一倍争いごとを嫌うようになり、他人の喧嘩も真先に
仲裁に入る正義感の強い性格になった。
転職を繰り返す父親の姿に、自分は努力して立派な会社に就職しなければと思って一生懸命勉強をした。
母親のヒステリー姿に、感情を抑え冷静になることの大切さを覚えた。
それは、根本をいえば両親への当てつけだった。
自分たちの行為を、正反対に演じる自分を見て気付いて欲しかった。
仲良くなってほしかった。
それだけだった。
だから、両親が離婚し離れ離れになった今、心の拠り所を失ったランダムが
このような状態になるのは時間の問題だった。
バイクという生き甲斐と目標ができても、それに正面を向いて一直線に努力する気にはなれなかった。
ただ目の前の快楽に溺れ、現実逃避を繰り返していた。
ある日、小学校の頃から仲が良かった年上のブラウザがランダムの住むガレージに遊びに来た。
ブラウザは言葉遣いも乱暴で、いつも掛けてるサングラスやジャラジャラした貴金属の
アクセサリーから、見た目はストリート系の不良そのものだが、実際は心の優しい、
ランダムの良き理解者のひとりだった。
彼は母子家庭ということもあって中学卒業と同時に家族のために働いていた。
だからランダムの辛い気持ちをよく知っていて、独り暮らしのランダムを心配で励まそうと考えて
来たのであった。
しかしブラウザの予想に反し、ランダムは元気な笑顔で迎えてくれた。
(好きで家族と別れた訳じゃないはずなのに)ブラウザは困惑した。
ランダムの性格は彼が一番よく知っていた。
少なくとも無邪気にゲラゲラ笑うような状況であるはずがない。
原因はすぐに分かった。
ベッドのシーツに微かに染みついたマリファナの匂い、それが全てを物語っていた。
ランダムは、この匂いはこの部屋に住む前からあった、とみえみえの嘘をついて誤魔化した。
しかしそれはブラウザの怒りを逆撫でしただけであった。
ブラウザは渾身の力を込めてランダムを殴った。
どうしようもなく腹が立った。
子供の頃から兄のように慕われ、弟のように慕ったランダムが、ドラッグに手を出したなんて!
ランダムは立ち上がって拳を握り反撃した。
家族がバラバラになった悲しみから逃れるにはドラッグしかなかった…それを否定される筋合いなど、
他人にあるはずない!
ガレージの二階の部屋の中、二人は殴り合った。
ドラッグによって封じていた感情をランダムは爆発させた。
憎しみ、悲しみ、苛立ち。
いつしかそれを避けて、逃げて、誤魔化していた。ランダムは殴られるたびにだんだんと
それを思い出しはじめていた。
「楽な方に、逃げるな大馬鹿野郎!!」
ブラウザのカウンターでランダムは派手に吹っ飛び、投げ捨ててあった洋服の中に突っ込んだ。
ランダムは起き上がれず、完全にノックアウトした。
ブラウザはランダムの胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「俺の勤めてる工場に来い。物を破壊する仕事だ、スッキリするぜ。社長には俺から
話つけておくからよ…一緒に働こうぜ、ランダム」
パンドラの箱を開けて、幾多の邪悪が飛び出したあと、最後にひとつだけ残ったもの…。
それは、希望だった。
青く腫れて膨らんだまぶたを微かに開け、ランダムははっきりと思い出した。
この街に残って良かった、と。
「先輩…」
2016/8/10 09:47 [1498-4744]
「洗剤…」
青く光るアドリア海を横目に、スプライトはガソリンスタンドの一角で一人洗濯をしていた。
買物をしたとき品物を入れるナイロンの袋を蛇口に吊り下げ、その中に水をためて洗濯物と
洗剤をぶち込み乱暴に揉みほぐす。汚れが落ちたら水を何度も換えてすすぐ。
二人分の洗濯をしなければならないので一度では洗いきれず、何度も同じ作業を繰り返していた。
マトリクスはスタンドの隣に張ったテントの脇で、木々の間に吊るしたロープに洗い終えた衣類を干していた。
「もう、秋も終わりだな…。ヤツと出会って、もう半年が過ぎていたのか…」
散りゆく紅葉を眺めながらマトリクスは柄にもなく感慨にふけていた。
シリアのハマの街を出てもう三か月が経っていた。
シリア、トルコ、ギリシャを過ぎ、現在はアルバニアに来ていた。
いろいろな街や遺跡、雄大な景観を渡り歩き、いろいろな人々と出会ってきた。
両親との決別で過去の自分に一応の決着をつけたスプライトは、今まで以上に前向きになった。
出会った人の中にはアルメニア人を思いきりけなす人もいて、そのたびに落ち込むこともあったが、
決して引きずることはなかった。
アルメニア人に生まれ、シリア人に育てられ、インド人とともに生活してきた。
今では、その全てが彼女にとっては幸せであり、誇りだと確信していた。
過去にアルメニアを迫害してきた国を過ぎても、それだけの理由でその国を嫌いになることはなかった。
国を嫌うことは、その国に住む人をも嫌うことになるからだ。
意地悪な輩が彼女の情緒を乱すことがあっても、それを補って有り余るような親切な人との
出会いがあった。
同年代の旅人にも何人か会い、励ましあったりもした。
「マトリクスさん、洗濯はこれでラストだよ」
スプライトは彼に脱水済みの洗濯物の入った袋を手渡した。
「おう、ご苦労。それにしてもお前、もう少し色気のある下着を履けよ。男物のトランクスを
履くなんてどうかしてるぜ。干し甲斐がねぇんだよな」
「やだ。トランクスだったらそのまま海に入っていけるもん。着替える必要がないから便利だわ」
「泳げねぇくせに何イキがってんだクソガキ。そもそも機能性を重視したって普通の女は
そんなことしねーよ」
「つーん、普通の女でなくて結構よ。あ、そうそう、あたしスタンドの店員のお兄さんの車を
洗車することになってたんだ。水道の使用をことわりに行ったとき、ついでにアルバイトも
約束したのよ。五〇〇レクもらえるから何日かの食費になるでしょ。んじゃ、行ってくる!」
スプライトは腕を捲くってスタンドへ駆けていった。
マトリクスは彼女の気のきく手回しと状況適応能力の高さに改めて驚いた。
アルバニアに来てまだ三日だというのに彼女はこの国の言葉であるアルバニア語を次々と覚え、
アルバイトの交渉までできるようになっていたのだ。
「スプライトの処世術は天性のものだな、まったく…大したやつだぜ」
ハマの街を旅立ってからというもの、旅をすることで多くの人と出会いたいというその精神は、
十代の柔軟な記憶力も手伝ってか彼女を今まで以上に開豁させていた。
そんな彼女にマトリクスは嬉しくなった反面、少し心細くなった。
最初、彼女は自分を頼って着いてきたのだが、最近は立場が逆転しそうな気配がしてきた。
彼女の元気と行動力に一体どれだけ助けられてきたのだろうか。
機械の修理技術もかなりの腕になっており、ほとんど自分が手を出すことはない。
あと必要な技術といったら、自分の技術を自覚して、できることとできないことを見分ける
判断能力と、そして場数くらいだ。
食事においても、彼女と出会う以前なら缶詰ばかりだったのに、彼女のおかげで放っておいても
温かい食事を作ってくれる。
さっきの洗濯にしても、面倒くさい仕事は彼女が全てやってくれた。
マトリクスはもともと孤独を好む旅人だった。
全てを自分ひとりで行動してきたし、それが当然だと思っていた。
しかし、だからといってスプライトを邪魔だと思ったことはなかった。
むしろこれからもずっと一緒に旅したいと思っていた。
だから喧嘩別れしたとき、わざわざハマの街の教会へ彼女を尋ねていったのだ。
一人になったときに生活が苦しかったのは、むしろマトリクスの方だったのかもしれない。
一人でいるのは寂しい。
その感情がロンリーツアラーにとっては最大のタブーである事は彼がいちばんよく知っていた。
旅生活の上で他人を頼りにすることは都合のいい甘えだ、と彼女と出会ったときに話したのは
誰でもない、自分なのだ。
「…へっ!! 俺も焼きが回ったかな。漁夫の利を狙ってミイラになった気分だぜ」
マトリクスは唾を吐き飛ばすと、タバコをくわえて残りの洗濯物の処理をはじめた。
2016/8/11 10:23 [1498-4751]
夕方、スプライトが顔をほころばせながら駆け戻ってきた。なにやらいい情報を仕入れてきたようだ。
「マトリクスさ〜ん!! 大変大変、大ニュースだよ!!」
「どうした、クロイツフェルト・ヤコブ病でも再発したのか?」
「ばっ…そんな病気かかってないわよ!!」
いつになくスプライトは真剣だった。
「なんだよ一体?」
マトリクスは腰を据えて話を聞くことにした。
「あのね、ベネツィアへ向かうトレーラーが給油しに明日の朝あのスタンドに来るらしいんだ。
スタンドのお兄さんが明日、その運転手にあたし達を乗せてくれるように頼んでくれるって。
ベネツィアはここから二〜三日で着くって言ってたわ。すごいラッキーでしょう?」
二〜三日、と聞いてマトリクスは背中を走るものを感じた。
ここからイタリアのベネツィアまではゆうに千キロはある。
それをたった二日ばかりで行けるというのだ。
今まで二人は、何度かヒッチハイクはしてきたが、せいぜい隣町あたりまでしか乗ることはなかった。
今度は国を一気に四つも飛び越えることができるのだ。
スプライトは鼻唄を歌いながら夕食を作った。
ようやくヨーロッパらしい都市へ行けるとあってすっかり上機嫌だ。
中東の危険区域はまだまだ続いており、このアルバニアにおいても街では物騒な銃器を持ち歩く
警官が多くいる。
局地紛争はこの地域でも多いのだ。
彼女にとって拳銃やライフルはいつまでも見慣れることはなかった。
いつ殺されてもおかしくないような錯覚になるし、内戦や紛争と聞くだけでも両親やセラの事を
思い出し、悲愴感が蘇ってしまう。
彼女は一刻も早くこのそんな地域から逃れたかった。それが思ってもみないところからチャンスが
転がってきたので彼女は浮かれずにはいられなかった。
イタリアは平和でグルメな国というイメージが彼女の中にあり、また島で暮らしていた頃から
目をつけていた都市でヨーロッパ大陸縦断の玄関でもあるベネツィアは、まさに平和な国への
入口だと決めつけていたのだ。
「あの夕陽の向こうにイタリア半島があるんだよね。早く行きたいなー」
スプライトはパンをかじりながら夕陽に染まった海を眺めた。
「ふん、過剰に期待して運転手に断られたらショックでかいぜ。もしもの事も考えろよな」
「あら、やけに謙虚じゃない。もしかしてこのアドリア海の景色をもっと楽しみたいんでしょ?
確かにベネツィアからは大陸を横断するから当分の間海は見れなくなってしまうわね。
あたしもこの地中海の雄大な景色をできればもっと堪能したいとは思うけど…」
「なんでそう勝手に話を飛躍させるんだお前は。いつも言っているだろう、常に最悪の事態を
想定して行動しろって。その事を言っているんだボケ!」
「心配しなくても今回は大丈夫だよ。スタンドのお兄さんも、その運転手に何度も乗せてもらって
旅行したことあるって言ってたもん。あたし達だって絶対乗せてくれるわよ、絶対」
スプライトは何を言われても動じないくらい舞い上がっていた。
「ガソリンスタンドっていうのは盲点だったわ。少なくとも自動車が必ず止まらなければ
ならない場所なんだから、ヒッチハイクが成功する確率は高いはずだよ。今度からそうしようかな。
ね、マトリクスさん?」
「…そうだな」
マトリクスは癇が高ぶっている自分を抑えていた。
今は余計なことは言わず、彼女を調子付けたままにしておこう、そう思っていた。
次の日、予定通りスタンドに到着したトレーラーの運転手はスタンドの若い従業員から話を聞くと、
二人を乗せてくれる事を快く承諾してくれた。
予め準備を整えていた二人は、荷物を持ってトレーラーのコンテナの隙間に乗り込んだ。
世話になったスタンドの若い従業員に別れを告げると、二人を乗せたトレーラーは爆音とともに出発した。
「スプライト」
流れるアドリアの蒼い海を眺めながら、マトリクスは口を開いた。
「んー? なあに、マトリクスさん」
スプライトは声を弾ませて返事した。彼女はトレーラーに思ったとおり乗れてご機嫌だった。
「お前はアムステルダムに…何を求めに行くんだ? こんな、男の俺ですら苦労している旅を
女のお前が無理してやって、その先に求めるものは何なんだ?」
「何を求めに…? そりゃあ…アムス自体へは観光のようなものだよ。行きたい観光名所が
たくさんあるんだ。でもいちばん惹かれたのは自由の都っていうフレーズなんだ。
なんだかわくわくする響きじゃない。あたしの旅の最終目的地はそんな素敵な呼び名がついた都市だから、
旅そのものも一層わくわくしてるの。アムスに近づいていることを実感するたびにドキドキしてるんだよ」
スプライトは胸に手を当ててにっこり微笑んだ。
「でも、それは表面上の話なんだ。いつかあたしも自分の道を選ばなくてはならない。
何かの仕事をするにしても、誰かのお嫁さんになるにしても、まず自分自身が納得できる自分を作り、
同時に自らの選択範囲の幅を広げたかった。だから旅することをあたしは選んだの。
多くの世界を知るためにね。それが…あたしの旅の目的、望みなんだ。だから、アムスは
旅の目的じゃなく手段だったんだ」
「それが…本音なのか?」
「…そうだよ。一体どうしたのマトリクスさん? 昨日から元気ないじゃない、全然らしくないわ。
どっか具合でも悪いの? あの日?」
マトリクスは手刀をスプライトの脳天に思い切り振り下ろした。
スプライトの目はグルグル回りながら火花を散らした。
「そうじゃねぇ。実はな…」
マトリクスは決意を固めた。
「ベネツィアで…俺たちはお別れだ」
「なんですって!?」
スプライトは耳を疑った。頭に血が上った状態でなければマトリクスが軽々しく
口にするはずのない言葉だった。
2016/8/13 12:14 [1498-4754]
2016/8/15 02:49 [1498-4756] 削除
「冗談…でしょ?」
マトリクスの顔は真剣そのものだった。
「お前はネーデルランドへ向かい、俺はスペインに戻らなければならねぇ。ベネツィアは
その分岐点の街だ」
「そんな話は聞いてない! アムスまで一緒に行ってくれると思ってたのに…!!」
「最初に言っただろ、俺はスペイン人なんだ。何度も一緒に国境審査を受けていたのだから
知っていたと思っていたがな。まあ…俺も一時はアムスまで面倒をみようかと思っていたことも
あったがさっきの言葉を聞いて安心したよ。お前はもうひとりでやっていける。
いや、やっていかなければならない。中東の警戒区域を過ぎてからは、お前の望む行動を
とらなければお前の望む本当の旅はできねぇぜ」
一人旅。それは彼女が最初に望み、そして自ら挫折したことだった。以前喧嘩別れして
一人になったときも、彼女は心細くて仕方なかった。
自ら望んでいたことなのに、孤独がこんなにも辛いことだなんて思いもしなかった。
………いやだ、一人にしないで!!
スプライトはその言葉を飲み込んだ。言えばついさっき語った自分の信念は曲がってしまい
大言壮語になる。
鉄壁の防具に守られたまま旅をして何になるというのだ。
三度目の正直、一人で旅をしなければならない覚悟を今度こそ態度に、行動に現さなければならない。
「…そうね。そうしなきゃあたしはダメだったんだよね…!!」
水の都ベネツィアに到着したのは三日後の早朝だった。
ベネツィアは百を越える小島から形成された運河の街。それゆえ自動車の通れる幅の道路がなく、
街には一台も車がない。
当然トレーラーも街の入口の大きな運河の港までしか行けないため荷物を渡し船に受け渡す
システムになっており、二人もその港で降り、コンテナの受け渡しを手伝ってからトレーラーの
運転手と別れた。
海上の街へ続く全長約四キロのリベルタ橋を感慨深く歩いた。
「ついに到着したね、ベネツィアの街…」
「ああ」
二人は小さな石橋をいくつも渡り、街の奥に見える時計塔を目指して色大理石の街並みを歩いた。
まだ朝早いというのに多くの観光客で賑わっていた。
トレーラーに乗っていた三日の間、二人は今まで語ることのなかった自分の過去について
とことん語り合った。
マトリクスの過去の話で彼女がいちばん驚いたのは、奥さんがいたことだった。
旦那に何ヵ月も一人旅をさせるなんて、旅を承知した奥さんもいったいどういう神経を
しているのだろうか、スプライトは素直にそう思った。
自分があれだけ島の母親に反対されたというのに…。
しかしその話を聞いて安心もした。
スペインへ帰るのは奥さんのためであって、決して自分を嫌い見限られたわけではなかったのだ。
このことでスプライトの心の片隅に残っていた小さなしこりはきれいに洗い流された。
街並みも、人々も、平和そうに流れている。決して追い立てられることのない生活習慣が、
街の時間をゆっくりにさせている。
………このまま、刻が止まればいいのに…
辛い気持ちがスプライトを襲った。
憂鬱を誤魔化すためスプライトは街の風景を眺めた。
彼女がまず気付いたのは、歴史のありそうな古い建物にはいずれも翼の生えたライオンの彫刻が
取り付けられてある事だった。
翼のあるライオン。それはかつて千年もの間地中海を支配し欧州最強とうたわれた
ベネツィア共和国の国章だったものだ。
イスラム教の尊者でありかつてのベネツィア共和国の守護聖人でもあるサン・マルコという人物の
シンボル・マークで〔復活の象徴〕をあらわすものだった。
………翼。
人間は地上にしか生活できない。
だから翼をもつ生物に憧れる。
もし人間が大空を自由に飛ぶことができるなら、どんなに痛快だろう。
きっと、今も繰り返されている醜い争いごとなど起きなかったのではないか。
空を飛べたなら、人間はもっと多角的な、多次元的な物の考え方ができて、自然界に存在する
人間としての役割を誰もが意識し、戦争や大気汚染、森林伐採など地球に大打撃を与える行為は
最初からしなかっただろう。
しかし現実には誰一人翼の生えた人間など一人として存在しない。
人間をつくった神様が翼の所有を許さなかったのか、それとも生物の進化の過程で翼を
持てなかったのか、もしくは捨てたのか。とにかく最初からそんな人間はいなかったのだ。
「そっか…大切なのは平和をもたらす翼などではなく、翼に憧れる考え方そのものなんだ…!!」
「なんだスプライト、いきなり変な事を言いだして」
思わず頭に浮かんだ結論が口に出てしまった。
「あ…いや、あの翼のあるライオンの彫刻を見て平和の意味を考えてたんだけどさ。今も昔も
人間は翼に憧れていたんだなって」
「そうなんだろうな。海だろうが山だろうがひとっとびで越えられそうなイメージあるもんな。
俺もよく思ったよ、どうして人間は空を飛べないのかってな」
「それで、マトリクスさんはどう結論付けたの?」
「別に。飛びたいっていう願望は今もある。だが仮に俺が飛べたとしたらきっと堕落してたと思うぜ」
「だらく? 重たくて墜落する、の間違いでしょ?」
マトリクスは片足を軽く振り上げ、スプライトの脳天に振り下ろした。
スプライトの目はグルグル回りながら火花を散らした。
「俺たちが歩いてきた軌跡を思い出してみろよ。いくつもの海や山を苦労して越えてきたじゃねーか。
苦労したから、それを越えて目的地に着いたときに〔やったぜ!!〕とか思うだろ。
そういう達成感やいい意味での征服感がなければ人間なんて成長しねぇんだよ」
「あ…」
2016/8/15 22:32 [1498-4758]
スプライトははっとした。アルバニアからこのベネツィアまでは、何の苦労もせずトレーラーに
乗せてもらってきた。それは言い逃れのできない、自分が享楽主義であったことの証拠だ。
「もしかしてマトリクスさん、トレーラーに乗ることは反対だったの?」
「……」
「ごめんなさい、マトリクスさん…あたしが楽をしたいがために…」
「あ、そうじゃねぇ、気にするな。お前が頑張ってバイトしたおかげで楽ができたのだからいいんだよ。
俺だって早く警戒地区から抜け出したかったんだしな」
マトリクスは慌ててフォローした。別れを目前に気まずい雰囲気にしてはいけない。
「うん…」
この街に早く到着することは、別れが早まることと一緒だ。
マトリクスは本心を言うことができなかった。
スプライトもまた彼の本心を知ることもなかった。
サン・マルコ広場。そこが二人の別れの場だ。
周辺に時計塔、大寺院、美術館、鐘楼を配置した雄大で均斎のとれた美しい広場は
観光のメッカとして多くの人で賑わっていた。別れの場としては少々騒然とした雰囲気があったが、
賑やかな所で元気良く別れようというスプライトの提案だった。
「いよいよ、お別れだね。今までいろいろと教え助けてくれてありがとう。また、どこかで会えるよね」
「ああ。しばらくはグラナダの街にある自宅で暮らしてるから、もし近くに来ることがあったら
遊びに来いよ。トリニトロンっていう名字はあの街で一件しかないから探せばすぐに見つかるぜ」
「うん。アムスからの帰りはフランスへ行こうと思っているから、きっと行くよ」
「お前には俺の方こそ世話になったな。旅の間、俺も若返った気分だったぜ。最後に一つだけ聞かせてくれ」
「うん」
「お前にとって自由とはなんだ?」
スプライトは自信と誇りをもって答えた。
「全ての責任を、自分自身で背負うことだよ」
マトリクスは厳しい表情で頷いた。
「よし。現時刻をもって師弟関係の縁を切る! これからは一人の旅人同志だ。いいな
スプライト・エディタ!?」
マトリクスは右手を差し出した。
「ありがとうマトリクスさん。あたしは見ての通りあなたにお礼できるものを何一つ持ってないから…」
スプライトはマトリクスの大きな右手を両手で力一杯引っ張ると、彼の右頬にキスをした。
「こんなので許してね」
彼女の意外な行為に唖然としているマトリクスを尻目に、スプライトは荷物のトランクを持ち、
手を振りながら後ずさりした。
「さよならは言わないよ、いつかまた会いましょう。あたしの三番目のお父さん!!」
「スプラ…」
マトリクスの返事も聞かず、スプライトはトランクを軽々と振り回しながら広場の出口に向かって
駆けていった。
観光客の雑踏に彼女が紛れて見えなくなると、マトリクスは右頬に残った少女の微かな温もりを
撫でながら呟いた。
「三番目のお父さん、か…。なんか、独り立ちしてゆく子供を見送る親の気持ちってのは、
こういう気分なんだろうな…。しかし、遂にあいつの本音は聞けなかったな。あいつの旅の目的は
きっと…もっと根本的なところにあるはずだ。まぁ…一番大切なものは自分の中に閉まって、
自分自身でケリを着けなきゃだめだから、俺が一緒にいても何一つ解決にはならねぇか…
しっかりやれよ、スプライト…!!」
ヨーロッパ大陸に向かってリベルタ橋を走りつづける。
その脇の鉄橋をベネツィアのサンタ・ルチア駅から発車したばかりの、濃紺と金色のストライプの
列車がゆっくりと走り抜いていった。
「あ…」
涙を拭いながらスプライトは客車の窓の下に刻まれた文字を読んだ。
………V.S.O.E
「ヴェニス・シンプロン・オリエント・エキスプレス……オリエント急行だ!!」
少女は思わず立ち止まって世界に名高い超豪華寝台列車を眺めた。
とても列車とは思えないような豪華な内装が道端からもよく見える。
シックな明かりに照らされた食堂から、ワインレッド色のドレスを纏った貴婦人が
スプライトに向かって手を振っている。
スプライトは呆然と口を開けたまま手を振って返した。
「素敵…」
列車の最後尾が通り過ぎたあとも、あまりの華やかさにしばらくスプライトは立ちすくんでいた。
もちろん実物を見たのは初めてだった。
「そっか…あたし、てっきりベネツィアがオリエント急行の終着駅だと思っていたわ。
でも逆にいえば始発駅でもあるんだ。どうして気付かなかったんだろう!!」
少女は再び走り出した。
「あたしも同じ、ここが始発駅だ!!」
2016/8/16 18:37 [1498-4762]
| (1) | (2) | (3) | (4) |
物語の途中ですが、少しインターミッションを挟みます。
物語はここから先はいよいよ佳境となるオランダ編に突入します。
お楽しみに。
その前に・・・
今まで描いたスプライトのイラストを紹介します。
物語のシーンと直接結びつくイラストは、その部分に挟み込むように入れてましたが、
物語と直接関係ないイラストが多いので、まとめてここで紹介します。
(1)風車をバックに。2002年の年賀状として描いたイラストです。
どの国のシーンなのか、まったく考えずに描きましたw
背景写真は山形県立川の風車群を撮ったものです。
(2)牧草地帯をバックに。
シリアあたりのシーンだろうと思って描きました。
実際の背景写真は北海道です。
(3)きれいな小川のほとりのワンシーン。
バックの草木と手前の花はネット素材、その他はフォトショの効果を
駆使して描きました。水の光とか波紋とかけっこう苦労しました。
(4)海辺でのワンシーン。
故郷ラクシャディープの海です。
珍しく水着のスプライト。苦労して水着の布地を描きましたが、
ことのほかぴっちりすぎた感じになり、ちょっとエッチw
2016/8/16 19:06 [1498-4763]
| (5) | (6) | (7) | (8) |
(5)砂浜を駆けるシーン。
物語にそんなシーンはありませんが、まあそういうシチュw
海はネット素材、空だけ描きました。
ちなみにジーンズはリアリティを出すためにジーンズ素材の
テクスチャを貼ってますが、膝を曲げてるのでかなり苦労しました。
(6)路地を駆けるシーン。
スプライトらしく元気に突っ走る感じを表現しました。
背景は、新潟のビッグスワンのカナール脇の路地です。
フォトショの効果でスピード感を出してみました。
スケボーを挟んだトランクは、描くとかなりめんどいですw
(7)アルバニアにて、アドリア海をバックに洗濯をしているシーン。
すみません、本編に載せるのをすっかり忘れていました。
マトリクスが手に持っているのはスプライトのパンツです。
スプライトは洗車のアルバイトをゲットして調子こいてる感じに描きました。
珍しくシーンに忠実なイラストで、背景まで全て手書きです。
(8)ベネツィアからこれから向かう冬のスイス、スキー場で遊ぶシーン。
初めての雪に浮かれているスプライトです。
キツネの帽子がやたら可愛らしく描けてしまったw
ジャケットの模様はフォトショの効果を駆使したものですが、
スプライトのイメージカラーであるスカイブルーの色合いにならずに
えらく苦労しました。
2016/8/16 19:53 [1498-4764]
| 第六話 黄昏の出会い |
長い冬が過ぎ、暖かな日差しと新緑の薫る季節がネーデルランドに訪れた。
ドイツ、ベルギー、そしてネーデルランドの三国の国境に位置する、四方を小高い山々に
囲まれた小さな街ファールスは三国の交通の要所として古くから栄えていた。
この街で、隣国から毎日のように訪れる観光客をよそに、町外れの自動車解体工場で元気に働く少年がいた。
「ランダム、フォークリフトを倉庫にしまって油差しておけ。それが終わったら今日はもう上がっていいぞ」
気難しい顔をした上司ドリーランから命令を受けた、帽子からはみ出たくせっ毛が水際立つ少年は
油まみれの作業着で両手を拭きながら、元気に返事をした。
「わかりましたーっ!」
ランダムはさっそくフォークリフトの操縦席に乗り込み、慣れない手つきでハンドルを回転させ、
ゆっくりと工場の隣の倉庫へ運転していった。
蒸し暑い倉庫の中せっせとフォークリフトの駆動部分にグリスを塗っていると、サングラスを
かけた少年が中に入ってきた。
「ようランダム、おれの方の仕事は終わったぞ。早く帰ろうぜ」
「ブラウザ先輩、このグリスアップが終わったらオレも終わりです。もう5分程待ってて下さい」
「OK。…どうだ、おまえがここに来て五ヵ月になるが、仕事もすこしは慣れたんじゃねぇか?」
ランダムは手を休めずにそのまま答えた。
「うーん、どうかなぁ。まだ昇降装置の運転もできないし、まだまだですよ」
ブラウザは懐からタバコを取り出し、火を付けた。
「そうか。昇降装置は資格がないと運転できねぇけど、近いうちにおまえもその資格を取らせてもらえるさ」
「だといいんですけどね」
その時、倉庫のドアが大きな音をたてて開き、先刻ランダムに命令した上司ドリーランが中に入ってきた。
「やべぇ!」ブラウザはあわててタバコの火を消したが、時すでに遅かった。
「こらぁブラウザ! 倉庫の中でタバコ吸うなとあれほど言ったのに、まったく、これだから
お前はダメなんだよ! だいたい…」
憤慨するドリーランに、すみません、もうしません、とブラウザは平謝りするほかなかった。
こんな光景は日常茶飯事なので、ランダムは気にせず作業を続け、上司の説教が終わるころには
工具を片付け、私服に着替えて帰り支度を完了させていた。
「おまたせしました、帰ろう先輩」
ブラウザは、ドリーランが倉庫から出ていき、事務所へ入ったことを確認してから思いっきり悪態をついた。
「くそったれドリーラン! 覚えてろよ、てめーなんざ、そのうちニシンと一緒に酢漬けにして、
マース川に沈めてやるぜ!!」
「先輩、ニシンは海へ行かないと捕れないし新鮮なうちに酢漬けにしないとおいしくないんです。
だからこんな内陸じゃ、それはちょっと無理ですよ」
大真面目につっこむランダムを見て、ブラウザはため息混じりに彼の肩をポンと叩いた。
「…冷静にあげ足を取るなよランダム…」
緑の草原と花畑、野菜畑の続く一本道を疾走する一台のオンボロ自動車。後部の屋根がなく
荷物置きになっているライトバンだ。
ランダムはトレードマークの、つばのついた帽子をかぶり、助手席に足を組んで座っていた。
「ったく、いいことねえな〜」
運転席のブラウザはため息を漏らしながら瓶のコーラを一口飲んだ。
「うさ晴らしにカジノでも行ってみたらいいんじゃないですか?」
「観光客相手にぼったくっているようなカジノなんて、行っても金の無駄さ。それよりランダム、
明日は休日だろ、アムスのライブハウスへ行こうぜ!」
ランダムは首を横に振った。
「俺、休日は家でバイクを組み立てているからダメです」
「ケッ、相変わらず付き合いの悪いやつだな。それにしても、解体工場で拾ってきたあのバラバラの
バイク、いまだに作っているのか。あんなもん本気で組み立てるつもりかよ?」
「もちろん。今の俺はバイク一筋ですからね!」
「へぇへぇ。お前も好きやね…ま、がんばってくれや」
ブラウザが呟いた次の瞬間、ランダムは奇声を上げた。
「あぁっ!?」
突然の奇声に、ブラウザは飲んでいたコーラを鼻から吹き出した。
「ぶほっげほっ…いきなりでかい声を出すんじゃねえ。どうしたんだよ?」
「先輩、車を止めてください。人が…人が死んでる!!」
ランダムは窓の外の、小高い丘の上にそびえる大きな菩提樹を指した。
「なんだと!?」
ブラウザは、急ブレーキをかけて車を停め、ランダムが震えながら指す方向を、目を凝らして見た。
確かに、菩提樹の下で、ぐったりと倒れている人が見える。
「こんな、何もない平原に人がいる事なんて滅多にないのに…死体遺棄か…!?」
「あぁあ、どうしよう、殺人だ、警察だ、いやインターポールだ、FBIだ、いやダメだ
FBIじゃ話にならん、ロボコップ…そうだロボコップだ。この状況を打開できるのはヤツしか
いない…助けてラバカーップ!!」
ランダムはすっかり狼狽し、パニック状態になった。それを見たブラウザは〔こいつ
マリファナだけでなく幻覚剤にまで手を出していたのでは〕と思わずにはいられなかったが、
今はそんな事を考えている場合ではない。
「ラバカップじゃねぇよ。落ちつけランダム、とにく近くまで行ってみよう」
二人は自動車を降り、小高い丘をそろそろと登って行った。
菩提樹に近づくにつれ、倒れている人の様子が、はっきりと見えてきた。
顔は、大きな麦わら帽子が覆いかぶさっているため確認できないが、水色のジャケットと
ブルーのジーンズ、そしてバスケットシューズの恰好で、その側には二本の帯で傘をしばり付けて
ある大きなトランクが置いてあった。
トランクにはなぜかスケボーが挟まれて固定されていた。
2016/8/21 07:03 [1498-4767]
「ふむ、これらを分析すると、被害者は十代中頃。旅行中に行き倒れたか、あるいは何者かに
殺害された…ただし荷物が荒らされていないところをみると、強盗目的の犯行ではない…か」
ブラウザは私立探偵きどりで、まだ生えてもいない顎ひげをいじるそぶりをした。
「それって…見たまんまじゃないですか…」
ランダムは、顔をこわばらせながらも、つっこみを入れずにはいられなかった。
「やかましい! いちいちつっこむんじゃねーよ! とにかく念のため脈を…」
ブラウザが倒れている人の手首を持とうとした、その時であった!
二人にとって、かつてない戦慄が走ったのである。
「ぶぇっきし!!」
突然、目の前の死体が、ビクッと痙攣し、顔を覆っていた麦わら帽子が数センチも浮き上がるほどの、
すさまじいくしゃみを発した。
「わあっ!?」
二人は、余りにも突然すぎた出来事に奇声を上げ、同時に腰が抜けて、その場に尻餅をついた。
「う〜さむー。やばい! 寝すぎちゃったわ。早くちゃんとした寝床を見つけないと陽が
暮れちゃう…って、あら?」
麦わら帽子を取ったその顔は、紛れもなく女の子であった。
しかし、ランダムとブラウザにとっては、その事よりも、動かないはずの死体がいきなり活動を
はじめたという目の前の事実だけに目を丸くしていた。
「…誰、あなたたち、もしかしてチカン?」
はっ、と自我を取り戻したランダムは、ようやく喋ることができた。
「ち…違う、きみは麦わら帽子で顔を覆っていたから女の子だと判らなかったんだ。それに、
てっきり死んでいるとばかり思っていたから…」
それを聞いて、少女は憤慨した。
「なによ、顔だけで性別を判断するなんて、失礼な人ね。このナイスバディで判断しなさいよ」
「ナイスバディ? …いや、そんなことより何で君はこんな所で寝ていたんだい?」
「そうだぜ。ゾンビなら墓場で蘇りやがれ!」
呆然としていたブラウザも、ようやく我に返ってすかさず話の腰を折った。
少女は自分のプロポーションを〔そんなこと〕と一蹴され、ショックのあまり目眩を覚えた。
「むー。本当に失礼しちゃうわね。あたしは、歩くのに疲れたからこの木陰で一休みしてただけよ。
そしたら、いつの間にか熟睡しちゃって…」
生真面目なランダムがその続きをフォローした。
「気がついたらこんな時間になってしまった、という訳か」
少女は「うん」と頷いた。
「仕方ねーな、車の荷台に乗れよゾンビ。とりあえずマーストリヒトの街まで運んでやるから」
ブラウザは彼女の事情を察し、オンボロ自動車を顎で指した。
「やったラッキィー!!」
彼女は途端に元気な笑顔になった。
今までの不機嫌面は演技だったとしか思えないような転換の速さだ。
少女は立ち上がって荷物のトランクを持ち、かるく束ねたブロンドの髪を背中になびかせると、
夕陽の逆光によってキラキラときらめいた。
「えへ。ありがとう、助かったー。あたし、スプライト・エディタ。見ての通り、一人旅をしてるの。
よろしくー」
スカイブルーの瞳の少女、スプライトは麦わら帽子を被るとランダムに微笑んでみせた。
「俺はランダム・シェイド。車に乗っているあの人は、同じ工場で働く先輩でブラウザ・ニードルさんだ。
俺の方は呼び捨てで構わないよ」
「うん。あたしもスプライトって呼んで」
そう言うと、スプライトはブラウザを睨み付けた。
「言っておくけど、あたしゾンビじゃないからね!! ねえ、わかった?」
ブラウザは視線を逸らしながら呟いた。
「ゾンビじゃなければ、口の減らないオバタリアンだな・・・」
このあたりの日の入りは遅く、夜の七時を過ぎても夕陽は輝き続けていた。
この上なく顔を腫らしたブラウザの運転するバンは、スプライトとランダムをせせこましく
後部の荷台に乗せて、ひたすら真っすぐに、マーストリヒトの街を目指して疾駆していた。
荷台の鉄板の上にじかに座る二人は、激しい振動の中で楽しく会話をも弾ませていた。
「スプライト、きみはどこの国の人なんだ?」
「えーとね、あたしはアルメニア人でありシリア人でもあるけど国籍はインド人なんだよ」
「はぁ?」
ランダムは彼女の言っている意味が分からず眉をしかめた。彼女にとっては事実であるが、
事情を知らない人にとってはまるで不可解な説明だ。
スプライトは、あまり立ち入らない程度に自分の過去を話した。
しかしこの平和な田園風景の中で中東の内戦が云々とは雰囲気的になかなか言えるものではなかった。
まして初対面の人前でそんな凄惨な過去をいきなり暴露するのもナンセンスだ。
物心がついたときには既に養子になってインドで暮らしていた、といった程度の趣旨を説明した。
それでもランダムは哀れみの目でスプライトを見たが、彼女は笑ってそれを制した。
「気にしないで。肉親を知らないことは不幸かもしれないけど、後ろめたく生きる必要なんて、
これっぽっちもないはずでしょ。この旅だって今の家庭が嫌いになったから飛び出してきた訳じゃないわ。
むしろ今の家庭に居続けたいからだったんだよ」
「そうなのか…」
ランダムはそう言って、改めてスプライトの顔を見た。
先刻までは、ただの旅行好きの能天気な女の子としか見ていなかったが、話を聞くうちに
彼女のその笑顔の裏には相当の葛藤があったのだろうと感じていた。
自分も、そうであったように。
2016/8/21 07:17 [1498-4768]
「それにしても、インドから陸路でここまでよく一人で旅して来れたもんだな。俺には想像も
できないよ。冬はどうやって旅していたんだ?」
ランダムは尊敬の眼差しでスプライトを見たが、彼女は手を振ってそれを否定した。
「あはは、実は旅を始めた直後からベネツィアまでは、旅の途中で知り合った中年のオジサンと
一緒に旅をしてたんだ。一人だったら絶対死んでたわ。間違いなくね。イタリアからは一人で
旅をしていたんだけどすぐに冬になっちゃったの。あたし南国育ちでろくな防寒具を持って
いなかったから、とてもじゃないけど野宿なんてできなかったわ。だからスイスではビザが不要な
三か月間ずーっとサース・フェーの街外れのペンションで住み込みのアルバイトをしていたんだ。
雪を見るのも生まれて初めてだったから毎日がびっくりの連続だったわ。二メートルもの長さの
氷柱なんて見たことある? すごいよねー。スノーボードも何度かやったけど、スケボー感覚で
滑れるからすぐに覚えられたわ。夏はスケボー、冬はスノボーっていう人が結構たくさんいて
楽しかった。でも嫌なこともあったわ。スイスって物価が目茶苦茶高いのよ。たかが卵ひとつの
値段にしてもインドじゃ露店でチャイが十杯以上は飲める値段なのよ。あ、チャイっていうのは
ミルクティーの事ね。スイスの卵はブロイラーのものじゃないから高価なんだって聞いたけど、
そんなのインドじゃ当たり前のことだしもっと安く買えるわ。当たり前のことを当たり前にやって
どうして値段が高くなるのかしら。不思議よねー。でもそのかわりスイスのワインってとっても
美味しかった。飲み口がいいから気付くと足腰が立たなくなって記憶も…」
ランダムが唖然として自分を見ている。スプライトははっと我に返った。
調子にのって聞かれてもいない事を得意気にベラベラ喋っていた自分に気付いた彼女は、突然言葉を
失い真っ赤になって俯いた。
ランダムはそんな彼女を見て堰を切ったように高笑いした。
「はははは!! スプライト、きみ面白いよ。勝手に早口で話しはじめたと思ったら、あるとき突然
恥じらって黙りこくるんだもんな」
「だって…久しぶりの英語だから舞い上がっちゃって…インドでは観光客を相手に英会話も
勉強してた時期があったから結構得意なんだ。ランダムはこの国の人なの?」
ランダムは少し考えてから話した。
「ま、ね。今向かっているマースの街に住んでるんだ。あ、マースっていうのはマーストリヒトの略ね。
ネーデルランドっていうと、風車とチューリップのあるのどかな田園風景みたいなイメージが
あるらしいけど、マースは違うぜ。ベルギーとドイツに囲まれた街だから、それぞれの国の文化が
融合したハイブリッド・シティーなんだぜ」
「…ふうん。なんだかランダムって観光名所のガイドさんみたいね」
スプライトはくすくすと笑う。
ランダムはそれを見て、少々照れながら話した。
「はは、故郷でもあるマースの街は、俺の誇りだからな。旅をしている君に、少しでも知って
もらいたいのさ。ちなみにブラウザ先輩はドイツ人で、子供の頃アーヘンという街からこっちへ
引っ越してきた人なんだ。ネーデルランドは、過去二度の大戦で何度もドイツにやられたから、
ドイツと聞くとあまりいい顔をしない人が多いけど、マースにそんな人はいないよ。
何処の国の人も笑顔で迎え入れてくれるいい街さ」
宗教が違うだけでいがみ合うどこぞの国とは決定的に違う。スプライトは彼の話を聞いて、
そう思わずにはいられなかった。
「ねぇランダム、もっとマーストリヒトの事を聞かせてよ」
彼女の持つ感性が街の雰囲気にマッチしたのか、スプライトは俄然マースの街に興味を持った。
それに応えるようにランダムはマーストリヒトの過去の歴史を話した。特に、〔三銃士〕という
有名な物語の主人公ダルタニアンがマースの街の城壁で最期を遂げた、という伝説はスプライトに
深く印象付けた。
「ダルタニアンって実在の人物だったの? あたし、幼い頃に三銃士の絵本を読んだことがあるけど、
まさか実話だったとは知らなかったわ」
「ははは、物語自体はかなり脚色されてるから、実話とは言いにくいけどね。あとは、最近の話だけど
欧州の統一通貨ユーロが制定された所でもあるんだ。今でこそヨーロッパの通貨は統一されているけど、
以前は国毎に別々の通貨単位だったんだ。それをヨーロッパ各国の首脳がマースに集結して、
現在のような統一された単位にしようと公式に制定したんだ。いわゆるマーストリヒト条約って
いうんだけどね。今、ヨーロッパは国家同士がひとつに統一されようとしているんだ。
その先陣を切った条約がその、マーストリヒト条約なんだぜ。」
「それは素敵だわ。統一された国家であれば国家間の紛争の火種がなくなるから、少なくとも
平和になりそうなイメージがあるもんね。ま、一口に統一っていっても言語とか様々な諸問題も
あるんだろうけど、国同志が統一国家を目指すことは本当に素晴らしいことだわ。そういえば、
確かにイタリアからは入国手続きもすごく簡単になったわね。西アジアや中東では入国するのに
いちいちビザを取らなくちゃいけなかったけど、イタリアからは三ヵ月間はビザ不要の国ばかり
だったわ。そういった意味でも、平和なところに来たんだっていう実感が沸くわねー」
スプライトはしみじみと語った。
彼女の旅の最終目的地であるアムステルダムまであと十日ほどで到着しそうな現在、彼女は
自分のゴールに向かって着実に進んでいることを実感していた。
夕陽が草原を黄金色に輝かせている、そんな幻想的な風景に思いを馳せる彼女は次の瞬間に
待ち受ける事件など想像すらしていなかった。
べふ!!
突然、三人を乗せて走る車から気の抜けるような轟音が発生し、十数メートルほど慣性走行した後、
運転するブラウザの意思に反して完全にエンジンが停止した。
2016/8/22 07:20 [1498-4769]
民家の全く無い、果てまで続く野原の一本道のど真ん中。
辺りには、小鳥がさえずりながら急いで自分らの巣へ戻ろうと、通りすぎていくのが見えた他には、
動くものは何一つ無かった。
停止したオンボロ車に乗っている三人も例外ではなかった。
三人とも突然の出来事によって、石のように固まり、呆然としていた。
「な…なにごと…!?」
スプライトが呟いた事をきっかけに、開いたまま一時停止していた一同の口が、堰を切ったように
暴走を始めた。
「先輩! 何をしたんですか、車止まっちゃったじゃないですか!?」
「知らねーよ、俺は普通に運転していただけだぜ。勝手に止まりやがったんだよ!」
「うそー、壊しちゃったの?」
「違う!〔壊した〕のではなく〔壊れた〕って言ってるんだ、ゾンビは黙ってろ!!」
「ゾンビ言うなぁ!!」
「とにかく急いで原因を調べないと陽が暮れちゃいますよ!」
「わかってる。ランダム、工具貸せ」
「え、俺工具なんて持ってないっスよ。家か工場にはあるけど…」
「っかやろー! この業界で働く人間が、命の次に大切な工具を携帯してなくてどーすんだ!?」
「す、すみません…」
「なによ偉そうに、自分だって工具なんて持っていないじゃないよ!」
「バカにすんな! ちゃんと持ってるぜ、ほれ」
「何それ、この車の車載工具じゃないの。あってあたりまえの工具を見せびらかして、
何自慢ぶっこいてんのよっ!」
「ぬうう、なんて汚い言葉づかいしやがるんだ、このゾン…」
ゾンビ、と言う前にランダムが口を挟んだ。
「とにかく、それで故障の原因を調べてみましょう」
「…そうだな」
ようやく三人は冷静さを取り戻した。
「むう、とりあえずエンジン周辺の配線をチェックしてみよう。ランダム、手伝ってくれ」
「はいっ」
最初のうちは、エンジンのオーバーヒートだろうと高をくくっていたが、エンジンをしばらく風に
当てて冷やしてもまったく動かなかったため、ランダムとブラウザは本格的に焦りはじめた。
二人はボンネット内部のあちこちをいじってみたが、ついにエンジンはプスンとも云わないまま
太陽は西の彼方へ沈んでしまった。
辺りは、夜と呼ぶにはまだ多少は明るいが、真っ暗になるのは時間の問題であった。
「なんてこったー、さっぱり原因がわかんねー!!」
「だめだ…お手上げっすね、こりゃ…」
ブラウザとランダムは、ついに根をあげてしまい、草むらで二人同時に大の字に寝転がってしまった。
「全然直らない?」
荷台で心配そうに二人を見守っていたスプライトが、車を降りて寄ってきた。
「ああ。陽が暮れる前に街に着くと思っていたんだけど、ごめんなスプライト。街までは車で
20分くらいだけど、ここからは歩いて行くしかないよ」
スプライトは得意気な笑顔で腕をまくってみせた。
「大丈夫、あたしにまかせて。ブラウザさん、あたしに車をちょっといじらせてくださいな」
「あ、ああ…」
よし、とスプライトは薄地の革手袋を両手に着け、車の運転席の下を覗き込んでごそごそと配線を
いじりはじめた。
ランダムは立ち上がり、作業をしている彼女の脇へ歩いた。
「スプライト、きみ車なんて直せるのか?」
彼女は手を休めず、作業しながらランダムに答えた。
「あたし、中東を一緒に旅したオジサンから機械の修理を教わったんだ。インドや中東は自動車の
事故や故障が多いから毎日旅をしながらトラブった車を修理して稼いでいたんだよ。
あ、ランダム、ライトあったらここを照らしてもらえるかしら?」
ランダムは、自分のバッグからマグライトを取り出し、スプライトの手先を照らした。
「逞しいんだな、女の子なのにメカに強いなんてさ。一人旅をしている事ですら、俺には
真似できないってのに」
「旅なんて誰にでもできるんだよ。よく一人旅はハイリスク・ハイリターンだとかいわれてるけど、
旅立てば絶対後悔なんてしないよ…あ、これだわ。セル・モーターに繋がる配線が焼き切れてる。
ヒューズも飛んでるわ。これじゃエンジンが始動しないはずだよ」
スプライトは手持ちの工具と車載工具を駆使して配線を修繕した。
ヒューズも予備と交換して一通り修理は完了した。
イグニッションを回すと、今までプスンとも動かなかったエンジンが甲高い咆哮をあげて蘇った。
ランダムとブラウザは歓喜の声を上げた。
「すごい、やるなあスプライト!!」
「うおお、すげえ! 本当に俺たちよりメカに詳しいんだな」
ブラウザは外に突き出ているスプライトのお尻を撫で褒めた。
「ひッ!?」
ばらした配線を整理していたスプライトは反射的に頭を上げると、コンソールに後頭部を景気よくぶつけた。
強打した頭を押さえながらはい出てくると、彼女は痛みのせいかお尻を触られた悔しさのせいか
涙をぼろぼろ流していた。
「なにすんのよエッチ! コブができちゃったじゃないよっ、このド変態!」
彼女は、叫ぶと同時にブラウザの股間を力任せに思いっきり蹴り上げた。
「ほが…ッ!?」
急所を蹴られたブラウザは、声にならない雄叫びを挙げてその場をのたうち回った。
マトリクスから教わるまでもない、最も単純かつ効果の高い護身術だ。
「な…なんてことしやがる…人が褒めてやってんのに…」
「やかましい! お尻触りながら褒めるのがあんたの褒め方なら、まったく逆効果ね。
せっかく直した車、部品単位にバラすわよっ!?」
「おー、やれるもんならやってみやがれ、そんときはお前の命をバラしてやるぜ!」
「なんですってぇ!? ヒトがせっかく親切で修理してあげたのに、そんな言い方するわけ!?」
「へっ、小さな親切大きなお世話だよ!!」
「ひっどーい、あたしのお尻を触っといてよくそんなことが言えるわね!?」
「それとこれとは関係ねぇだろボケ!!」
「ボケとはなによボケとは!!」
ランダムは、とりとめのない二人の口喧嘩をよそに、荷台に腰掛けたまま一人ため息を吐いていた。
「ふー…今日も日が暮れたか…」
2016/8/27 08:05 [1498-4780]
三人を乗せた車がマーストリヒトの街に到着したときには、辺りは完全に夜になっており、
屋根のない荷台に乗っているランダムとスプライトは、車に積んであった毛布を掛けて寒さを凌いでいた。
「スプライト、今日は泊まる所ないんだろ。俺の家に泊まっていきなよ」
少し頬を赤らめてランダムは言った。それは年頃の女の子を誘っている照れとは微妙に違う、
どこか人に言いづらい依頼をしたいような表情だった。
「…あたし、今日の寝床に困っているのは事実だけど、知らない男の子の家で安心して泊まれるほど
無神経じゃないわ。親切で言ってくれたのでしょうけど、ごめんなさい」
スプライトが道理を言うと、ランダムは自分の不行状を反省し、しばらくの間沈黙した。
しかし彼はそれで引き下がるわけにはいかなかった。
「確かに…出会って間もないのに信用してくれとは言えない。でも、どうしても君の助けが必要なんだ。頼むよ」
「どういうこと? 事情を説明してよ」
「…実は、バイクの組立を手伝ってほしいんだ。俺、バイクが欲しいんだけど金がなくてさ、
働いている解体工場からバラバラになったバイクの部品をもらってきたのはよかったんだけど、
自力で組み立てる技術がなくて…ブラウザ先輩の助けを借りても無理だったんだ。
でも、君の手助けがあればなんとかなるんじゃないかって…そう思ったんだ。
俺の、バイクの組立に協力してほしい。頼む。お願いします!」
ランダムは両手を合わせてスプライトに頭を下げた。
ランダムの表情は嘘偽りのない真剣そのものだった。
「そんな事言われたって…」
スプライトは、アムステルダムを目前に足止めされるのは心外だった。それが正直な気持ちだった。
ゴールを目の前にして少々気持ちが高ぶり、焦っていたのかもしれない。しかしランダムの直向きな
態度を邪険にするような辛辣さは彼女にはなかった。
………これって、あたしがマトリクスさんに助けを求めたときと一緒だ。
そう思った瞬間から、自分の知識や技術が彼の助けになるならできるだけ協力したい、
と能動的になっていた。
「…ごはんとベッドを提供してくれるんなら…まぁ、いっか」
「もちろんさ!!」
ランダムは便悦した。スプライトもまた、少々の懸念を抱きつつも食事とベッドを保証されたことに
内心はバラ色だった。
車は街の中心を流れる運河、マース川に架かる幅約百メートルの橋の上を走っていた。
「わぁ、遠くに見える橋のガス灯が、水面に反射してきれい…」
バイクの組立ならほんの二〜三日あればなんとかなるだろうし、このマーストリヒトの街に
短期間でも滞在できるのは悪い気分ではない。そう思った。
「そろそろ街の中心部だ、降りる準備をしよう」
ブラウザは、橋を渡ってすぐの交差点で車を停めた。
ランダムとスプライトは荷台から降り、運転席へ駆け寄った。
「それじゃ先輩、彼女は俺の家で泊めていきますので」
「おう。バイクの修理、しっかりな。俺も明後日の午後お前の家に遊びにいくから、それまでに
完成させておけよ」
「了解です」
「それとスプライト」
「…うん?」
ブラウザはギヤを入れ、エンジンを吹かした。
「ランダムを襲うなよ!」
そう言うとブラウザはタイヤを鳴らし、ドップラー効果付きの高笑いを辺りに響かせながら
彼方へ去っていった。
「ばっ…このゲロ野郎! 立場が思いっきり逆だろー!?」
スプライトが絶叫しても彼女の怒りは辺りの建物にこだまするだけだった。
彼女の横で、荷物の入ったズタ袋を肩に担いだランダムがボソリと呟いた。
「口悪いねきみ…」
「あら、聞こえちゃったかしら? まぁ、わたくしとした事が、ウフフフフ?」
「いまさら猫なで声になっても遅いよ」
「ごろニャおぅん?」
「俺帰る」
「うわー、待ってよ!」
スプライトは、あわてて荷物のトランクを持って、先に歩くランダムに向かって駆けていった。
商店街を外れ、民家の密集した裏路地の先にランダムの家はあった。
自動車が2台ほど入りそうな大きさの二階建てのガレージ、ランダムは鍵を開けてそのシャッターを
引き上げ、電灯のスイッチを入れた。
「ここが俺の家だ。遠慮しないで入ってくれよ」
明かりに照らされたガレージのコンクリートの床面には、バラバラになったモーターサイクルの
部品と、使い古された工具が一面に散らばっていた。
機械油の匂いがスプライトの鼻をつんと刺激したが、彼女は構わず中に入って近くの部品を
手に取って眺めた。
「ふうん、これを組み立てようっていうのね?」
「ああ、そうさ。でも作業は明日からにしよう。きみだって疲れているだろう、今日はメシ食って
寝るだけにしようさ」
「ぐぎょろろろおおぉぉぉ〜」
メシ、と聞いてスプライトの腹の虫がガレージ中に音を響かせた。
彼女は少し恥じらいながらも、持っていた部品を放り投げて大喜びした。
「やったー、ごはんごはん! 三日間何も食べていないから拒食症になるところだっ
たわ。くぅ〜、うれし〜っ!!」
「二階へ上がって来なよ。大したものは作れないけどさ」
ランダムは、奥にある鉄製の螺旋階段を登りながらスプライトを手招きした。
「うんっ!」
二階の明かりを付けると、そこは彼のプライベートルームになっていた。
一階のガレージと同じ広さの部屋の中央に、ソファーとテーブル、窓際にはシングルベッドと
洋服ダンス、奥にキッチンと冷蔵庫。
キッチンの隣にはトイレとシャワーのドアが見えた。
「ふーん、予想どおりって言っちゃ悪いけど、質素な部屋ねぇ」
「まぁな。一人暮らしだから、これだけで充分なんだ。さ、ソファーにでも腰掛けて
待っててくれよ。すぐにメシつくるからさ」
「うん」
ランダムは荷物を置いてキッチンへ行き、ポットに火をかけた。
2016/8/27 08:20 [1498-4781]
「おまたせ。さあ、食べようぜ」
ランダムは夕食を載せたトレーをテーブルの上に置いた。
コッペパン、茹でたソーセージ、オニオンスープ、スライスチーズ、そしてセロリがたっぷり入ったサラダ。
「いただきまーす!!」
スプライトは、心から幸せそうな顔をしながら、さっそくちぎったコッペパンにチーズを挟んで口に入れた。
それからはもう無我夢中だった。
食後のコーヒーに砂糖を入れ、スプライトはようやく一息ついた。
「そういや、あたしランダムの事を何も知らないわ。だいたい、家族はいないの?」
ランダムは、マグカップを口に運ぼうとした手を止め、カップをテーブルに置いた。
「家族は…」
「離婚でもしたの?」
スプライトは遠慮のかけらもなくズバッと聞いた。
悪気のない無邪気な表情を見て、ランダムは苦笑した。
「ま…ね」
ランダムは、やるせない過去を他人にできるだけ悟られたくなかったし語りたくもなかった。
しかし彼女の過去が自分のそれと似た部分もあり、何より本人がそれを衒いもなく話して
くれたことから、自分も過去を彼女に話すことにした。
幼い頃から両親の仲が悪く、一年前ついに離婚してそれぞれの母国へ帰っていったこと。
そして一人でこの街で暮らす決意をしたこと。
ただし、不良時代の自分のことは決して語らなかった。
マーケットで万引きした事やドラッグをしていた事など、気軽に他人に話せるはずもない。
「…そうだったんだ…ごめんなさいランダム。あたしの住むインドでは離婚なんて
まずあり得なかったから、あたしにとって非現実的な別世界のことだって思って…冗談の
つもりだったんだ。本当にごめんなさい…」
スプライトは彼の心の傷に土足で踏み込んだような暴言をひどく反省した。
しかしながら、両親と別れたという点について自分と同じ苦悩の道を歩んだ彼に、スプライトは
人並みならぬ共有感を抱いていた。
スプライトの困惑した表情に、ランダムもまた困惑してしまった。
「あああ…いいんだいいんだ、気にしないでくれ。そんな顔をされたほうがかえって困ってしまうよ」
「…うん。あなたがそう言うなら」
スプライトは気を取り直し、ケロッと笑顔に戻った。
「さて、後片付けをしなきゃな。スプライトはもう寝るかい、それともシャワーでも浴びてからにするかい?」
スプライトは、シャワーと聞いておもむろに自分の服に鼻を近づけた。
「あたし…もしかして、匂ってる?」
スプライトが恥ずかしそうに聞くので、ランダムはあわててフォローした。
「そんなことは全然ないよ。でも、匂ってからじゃ遅いだろ、シャワーは浴びれるうちに
浴びたほうがいいよ」
「そうね。じゃ、バスルーム借りるわね。鍵はかかるよね」
「覗きゃしないって。鍵もちゃんと付いてるから安心して入んな」
「…うん」
スプライトは力ない返事をして、トランクを丸ごと持ってバスルームに入っていった。
ランダムは台所のラジオを付け、蛇口をひねった。
「やれやれ、感受性が強いのか情緒不安定なのか、コロコロ表情が変わる娘だなぁ」
ブツブツと呟きつつ、慣れた手つきで皿やコップを洗い、瞬く間に夕食の後片付けは終わらせ、
明日の朝食の下ごしらえをも涼しい顔でやり遂げた。
ランダムがソファーに座って、瓶のコーラを飲んで休んでいると、スプライトが首にタオルを下げ、
Tシャツとショートパンツ姿でため息混じりにバスルームから出てきた。
ランダムは、彼女の恰好に顔を赤らめながらも、冷静なそぶりをした。
「コーラ飲みたければ、冷蔵庫にあるから好きに飲んでいいよ。じゃ、俺もシャワー浴びてくるから」
そう言うとランダムは急ぎ足でタオルと着替えを持ちバスルームに入っていった。
「…男の子の家に安全に泊まるってのは、ほんと、難しいわ…」
部屋に一人残されたスプライトは冷蔵庫からコーラを取り出し、栓を抜いてベッドに座った。
そして炭酸を逃がすように瓶を軽く振りながら、少しずつ飲んだ。
「ん〜、冷たーい。でも欲をいえばビールが飲みたいな…ヒック!!」
火照った体に冷たい炭酸飲料を流し込んだためスプライトはしゃっくりをした。
その瞬間、スプライトの意識はフッと吹き飛んだ。
スイスからの長旅の疲労、そしてランダムに対する警戒と緊張が開放されたのだ。
スプライトはコーラの瓶を床に落としベッドに倒れ込んでしまった。
2016/8/27 23:22 [1498-4782]
| 第七話 命の絆 |
朝の光とともに二人は朝食を食べていた。
スプライトは昨晩の醜態に狼狽しつつも、ハムを挟んだチーズパンにかぶりついた。
「ランダム、昨日はごめんね。コーラ飲んだ瞬間に記憶がぶっ飛んじゃって、気付いたら
今朝になってたの。毛布かけてくれてありがとね」
ランダムはマーマレード・ジャムを塗ったパンを食べながら微笑した。
「はは、気にすんなよ。俺の方から無理いって泊まってもらっているんだから。ただその…
薄着で寝るなよ。朝方なんて特に冷えるんだから」
「うん。気をつけるよ」
スプライトは彼の真意を汲み取りつつ返事をした。ランダムの忠告は毎日野宿している彼女にとっては
愚問だった。
要するに目の毒だからという意図を伝えたかったのだ。
食事の後片付けを済ませると、二人は一階のガレージに下りて早速バイクの組立準備に
取りかかった。
バイクの原型も想像できないほどバラバラに分解された各部品。
改めて見渡すと、確かに半端な技術では組立は不可能だと思えた。
なにしろ再組立など考慮せずに解体したものだ。
パーツごとに番号をふるような洒落た真似をするはずもない。
どの部品がどの配線に繋がりどこに組み込めばいいのか、一見では全く見当がつかない。
スプライト自信、付け焼き刃のような技術であり、完璧に動くバイクに仕上がるか自信はなかった。
「うーん。とにかくやってみましょ。判るところから順番に手をつけていけばそのうち形になるよ」
二人は手分けして作業に取りかかった。
スプライトはエンジンの組み立てを、ランダムはスプライトの指示でハンドル部分の組み立てをやった。
黙々と作業をするランダムを横目で見ながら、スプライトは一年前の事を思い出していた。
………マトリクスさんと出会った当時、あたしもあんな感じだったかな…
何かを求める手段として必要な技術を学ぶこと。彼女の場合は旅をするために稼ぐ手段を
マトリクスから学ぼうと必死に働いていた。
「ねぇランダム、バイクを組み立てたらあなたは何をするつもりなの?」
ランダムは手を休めずに答えた。
「ツーリングをするんだよ」
「ツーリング? バイクで旅をするの?」
「そうさ。バイクは風を感じ、風とともに走れるんだ。まあ、毎朝の通勤にも使う目的もあるけどね。
週末にヨーロッパ各地のいろんな風景を見て過ごせると思うと今から楽しみだよ」
「なるほど、ウイークエンド・ツーリングという訳ね。素敵じゃない! あたしなんて
故郷の島から大陸まで丸一日もかかるんだから、旅行をしようとすると大変な騒ぎになっちゃうんだ。
カジュアルな旅なんて羨ましいわ」
ランダムは照れながら頭を掻いた。
「俺もきみと一緒さ。俺は滅多にこのマースの街から出ないから他の街のことをあまり知らないんだ。
でもバイクがあればどんな街でもひとっとびで行けそうな気分にさせてくれるから、
旅に出る勇気が沸いてくるんだよな」
………なんか、あたしと似てる。
島を離れて大陸を旅したいと思っていた自分。彼もまた同じような想いを抱いていたのだ。
自分の知らない世界へ行きたい、という願望は万国共通のものなのだろうか。
スプライトは彼の願いを支援したい、と思いレンチを持つ手に力を入れた。
スプライトは、ミスティオをはじめ島の友達や観光客から貰った旅立ちの勇気をランダムにも
伝えてあげたかった。
旅自体はかなり暴挙だった気はするが、少なくともやってきてよかったと思えるのだから。
「そうだスプライト、きみはアムステルダムを目指しているんだろ? だったらこのバイクで
送っていくよ。そうすりゃ一日たらずで着くぜ。勤めてる工場だって連絡すれば休めるんだ、
遠慮することないぜ」
ランダムは得意気に拳を見せたが、スプライトは首を横に振った。
「せっかくだけど遠慮するわ。だってせっかく憧れのネーデルランドに来たんだもん、
ゆっくり歩きながら行きたいわ。昨日は夕方まで寝過ごしたせいであなたやブラウザさんの
好意に甘えて自動車に乗せてもらったけど、あたしは徒歩旅行が基本なんだ。
自分の足で旅をするって、ベネツィアでオジサンと別れたあと自分にそう誓ってここまで来たんだ」
ランダムはそれを聞くと手を止めて俯いた。
強い娘だ、と思った。肉親と死に別れ、養子として生きてきた人はもっと落ち込み、人生に
悲観的になっていそうなものだが、彼女はまるで違う。
その不幸を踏み台にして更に前向きになろうとしている想いがひしひしと感じられる。
「一人旅って、いろんな意味で自分を強くさせるんだな」
「そうかなぁ。でもあなただって強いと思うわ。だって両親が離婚したときに独り立ちを決意して
この生活を始めたんでしょう。あたしの今の両親が離婚するなんていったら、多分あたしは
悲しみと絶望で何もできないと思うわ」
独り暮らしを始めてから辛いことだらけだった。
しかし自分はそれから逃げることしかできなかった。
ランダムはそれを考えると自分が強い人間だとは決して思えなかった。
旅をするにしても、バイクがなければできないという固定観念があり、自分の足でやろうとは
全く思わなかった。
それを平気な顔で実践している彼女は、ランダムにとって理解不能な存在だった。
今思うと、昨日彼女を意地を張ってまで家に招待した理由は、機械修理の技術よりも旅に対する
前向きな姿勢、もしくは家族という観点で悲運を背負っている者の、同じ匂いに惹かれから
だったのかもしれなかった。
「そもそもきみはアムスへ行って何をするつもりなんだ?」
スプライトは〔よくぞ聞いてくれました〕とばかりに微笑んだ。
「飾り窓とコーヒーショップっていう所へ行くの。すごい素敵な所だって聞いたんだ。ランダム知ってる?」
ランダムは目眩がしてコンクリートの壁に思い切り頭をぶつけた。
2016/8/27 23:29 [1498-4783]
| マーストリヒトの市街地にて |
「か…飾り窓? コーヒーショップ? まさかそこへ行くためにインドから来たわけじゃないだろうな?」
「アムスは自由を求める人が集まる街だって聞いたの。その人々はアムスへ来たら必ず行く所が
飾り窓とコーヒーショップだって言っていたからね!」
自信満々に答えるスプライトを見てランダムはますます目眩を覚えた。
「(聞くんじゃなかった…)」
多分、ここで飾り窓とコーヒーショップの本当の意味を教えたら彼女はものすごいショックを
受けることになるだろう。
それを考えるとランダムは話す勇気が出せず、別の話題に振ってしまった。
それからは楽しい話題が次々と飛び出し、会話が途切れることはなかった。
作業も思いのほか順調に進み、気付くと夕方になっていた。
「ありゃ、もうこんな時間だ。夕飯の買い出しに行かなきゃな。スプライトも一緒に行こう」
「うん!」
二人は手を洗って表に出た。
市街地の一角にあるスーパーマーケットでランダムが野菜を吟味していると、スプライトは
調味料の売り場で何かとにらめっこしていた。
「…何してる、スプライト?」
「このお店、いろんな香辛料が売られているんだね」
「香辛料? スパイスのことか?」
「ねえランダム、今日の晩ごはんはあたしに作らせて。インドのおいしいカレーを御馳走したいの。
ね、いいでしょ?」
「そりゃ願ったり叶ったりさ、遠慮なく御馳走になるよ。うまいやつを作ってくれよな」
「OK、あたしにまかせて! でも支払いはまかせた!!」
「ホゲー」
食材を揃え、ランダムの家に戻るとスプライトは早速調理にかかった。
カレーを作るには少し時間がかかるというので、ランダムは一階のガレージで明かりを点けて
バイクの組み立て作業を続けた。
「インド育ちなのにヨーロッパ系の面立ちなんだもんな。髪の毛もブロンドだし。ほんと、
不可思議な娘だよな…」
しばらくすると二階から食欲を刺激するスパイシーな匂いが漂ってきた。
それに誘われるようにランダムが二階に上がると、丁度スプライトがカレーを器に盛りつけて
いたところだった。
カレーとヨーグルト、そして円盤状の薄い食べ物がテーブルに乗せられていた。
「おまちどー、今できたとこだよ。さぁ食べよー♪」
ランダムはテーブルに腰掛けると、改めてその香りに舌鼓を打った。
「うおお、美味そう!! このクレープみたいなものに乗せて食べるのか?」
「そうよ。チャパティといって小麦粉で作るインドの主食なの。カレーはアールー・キーマカレーと
いってジャガイモと挽き肉のカレーだよ。さ、あったかいうちに食べてみて」
ランダムはチャパティをちぎると、それにカレーを乗せて食べた。
「うん…うん…いける、美味い、美味い…って…うぐふううう!!」
ランダムは突然口を抑えてのけぞった。
「うおお、いきなり辛さが効いてきた!! ぐわ、メチャクチャ辛い!! 口が痛い!!」
「あら、ほんと? いつもより辛さを抑えたつもりだったんだけど…ごめんネ♪」
ランダムが油汗びっしょりで食べているのに対し、スプライトはしれっとした表情でぱくぱく食べていた。
食後にスプライトはインドでお馴染みの飲み物であるチャイを入れた。
「ぐわー、甘い!! なんだこれ!?」
「何って…チャイだよ。ショウガと砂糖を効かせたミルクティ」
「極端なんだよ辛さと甘さの差が!!」
「そうかしら。インドじゃこれが当たり前なんだけどなー」
ランダムの乱り顔をよそにスプライトは美味しそうにチャイを飲み干した。
ランダムの口にインド料理が合わないのは少し残念だったが、彼女にとってカレーを作る
本当の目的は別にあったので気落ちすることはなかった。
それから二人は眠くなるまでお互いの国の文化の違いを語り合った。
気候、物価、服装、食物、宗教など、話せば話すほどあらゆる分野でインドとネーデルランドは
異なる国であった。
もちろんそれは二人それぞれの個人的主観だけで説明しあっているだけだが、遠く離れた国の
人間同志がお互いの文化を認め合い、わかりあえること、喜びあえることが二人には
たまらなく幸せであった。
ただしランダムはインドの食文化だけは理解できなかったようだが…。
2016/8/28 21:31 [1498-4787]
次の日、二人は再びバイクの組み立て作業に取りかかった。
「よし。エンジンは一応組み上がったし、組み立ての目処はたったわ。うまくいけば今日中に
出来上がるんじゃないかな」
「ほんとか? よーし、がんばろうぜ!!」
ランダムは俄然はりきってレンチを握った。
昨晩の続きの世間話に花を咲かせながら淡々と作業をしていると、ガレージの前を通りかかった
二人の子供が組み立て中のバイクに興味を示して寄ってきた。
「ランダム兄ちゃん、何作ってるんだよ?」
「あたしたちにも手伝わせてよ!」
ランダムは笑顔で彼らを迎え入れた。
「まったくヒマなやつらだな。いいぜ、一緒にやろう。スプライト、こいつら近所の顔見知りの
子供でアナーロとディジーっていうんだ。なんか…簡単な作業させてやれないかな」
スプライトは「OK」と快く返事をして腰を上げた。
「あたしはスプライト。遠い国から旅をしてきたんだ。よろしくね」
そう言うと彼女は二人にそれぞれ穴の開いた円盤状の部品と鉄のブラシを手渡した。
「これはブレーキ・ディスクっていうんだけど、これにこびりついたサビを鉄ブラシ
で落としてほしいんだ。できるかしら?」
「この円盤をピカピカに研けばいいんだろ。まかしとけ、やろうぜディジー!!」
「うん!!」
子供は喜んで頷いた。ランダムとスプライトは手袋を二人に与えてやり、再び作業を再開した。
四人でべらべらと話をしながら作業をしていると、今度はランダムの中学校時代の同級生の少年、
プレクサとヴェンダがガレージにやって来た。
「ようランダム、なんだよ女の子とバイク作ってんのか?」
「へぇ、彼女かわいいじゃん」
彼らがスプライトの顔をじろじろと眺めると、彼女は愛想よく笑ってみせた。
「んふ、ありがと。あたしスプライトです。あなたたちも手伝ってくれる?」
「別にいいけど…なあランダム、この娘機械いじりできるのかよ?」
プレクサとヴェンダはスプライトが積極的に場を仕切って作業している姿が不思議に見えた。
ランダムはニヒルに片笑みを浮かべて説明した。
「スプライトは俺やお前らよりもバイクや車の修理に詳しいんだ。一昨日だって、
ブラウザ先輩ですらわからなかった車の修理を見事にやってみせたんだぜ」
「へえ、そんな華奢な体でよくやるなぁ」
「でもエンジンとか重いものはあたしやランダムだけじゃとても持てそうにないの。あなたたちは
逞しそうだし、手伝ってくれるととっても助かるわ」
スプライトはひ弱そうに体をくねらせた。それを見せられたプレクサとヴェンダは
「よし、力仕事ならまかせろ」と腕をまくり、鼻息を荒くさせて手伝いはじめた。
ランダムは呆れ顔でスプライトに耳打ちした。
「なに非力を装ってんだよ」
「失礼ね、非力なのは事実なのよ。力のいる作業で手伝ってもらいたい所はたくさんあるんだから、
人手は多いほど早く完成するでしょ」
ランダムは彼女がプレクサとヴェンダに色気を振りまいたことが気に入らなかった。
誰にでも愛想よく振る舞う彼女にとっては、自分も彼らと同等の扱いをされているだけだったのか、
と憂慮したのだ。
それは単純に嫉妬という感情だということは気づくこともなかった。
ともかく、この狭いガレージの中で六名が狭苦しく作業することになった。
取り留めない世間話に話が盛り上がる一方、バイクもみるみる形になってきた。
エンジン、ラジエータ、フォーク、マフラーをフレームに次々と取り付けていき、午後すぎには
完成しそうな勢いで作業は急ピッチで捗っていた。
スプライトは作業が一段落したところを見計らって、二階でみんなのためにお菓子を作り、
螺旋階段を下りてきた。
「みんなお疲れさま。インドのお菓子のサマーサを作ったんだ、一休みしよ!」
スプライトはお菓子をのせた皿とチャイの入ったマグカップをそれぞれに手渡した。
スパイシーな香りのするポテトフライのようなもの、一同は恐る恐る口にした。
「美味い!!」
全員が感嘆した。
特にランダムは昨晩の檄辛カレーと檄甘ミルクティの一件で彼女の作るインド料理は絶対舌に
合わないとの懸念を抱いていたが、このサマーサのおかげでそれは一掃された。
スプライトもみんなの笑顔を見て嬉しくなった。
「口に合ってよかった。そのサマーサは昨晩作ったカレーで余ったジャガイモと香辛料を混ぜて
小麦粉の皮で揚げたんだ。チャイもランダムの好みに合わせて甘さをうんと控えてみたんだ。
名付けてチャイ・ヨーロピアンテイストだよ」
「なるほど。俺たちはポテトフライにマヨネーズを付けて食べるのが当たり前だったけど、
こういうスパイシーな味付けも悪くないな」
ランダムは満悦して彼女の手料理を平らげた。
「でもアナーロ君とディジーちゃんのはうんと甘くしてあるんだ。それが本来のチャイの味なんだけど、
美味しいでしょ」
「うん、とっても甘くてクリーミー!!」
子供たちも大満足だった。
「ちょっと待て。スプライト、お前今ランダムに〔昨日作ったカレー〕とか〔ランダムの好みに合わせて〕
とかって言ったな。それどういう事? まさかランダムの家に寝泊まりしているんじゃねぇだろうな?」
ヴェンダの鋭いつっこみ。スプライトは〔やばい〕と思いつつも涼しい顔で答えた。
「あたしは街の安いゲストハウスに泊まっているのよ。でもそこでは夕食が出ないし、レストランは
高くつくからランダムの家で彼の夕食も作る条件で自分の夕食を作っていたの。
そんな…見ず知らずの男性の家で泊まれるほどあたしははしたない女じゃないよ」
「なんだ、そうか。そうだよな。よかった」
ヴェンダとプレクサは納得した。
しかしスプライトはそう言いつつも改めて罪悪感を感じていた。
間違いは無かったとはいえ、確かに端から見ればはしたない女なのかもしれない、と。
それはランダムも同じだった。
彼女を自分の家に引き込んだために彼女を困らせてしまった、と。
2016/8/28 21:41 [1498-4788]
ランダムとスプライトは微妙に気まずい雰囲気のまま再び作業を開始した。
二時間もすると、バイクはほぼ組み立て終わり、あとは配線や調整などの細かい作業を残すだけとなった。
手伝ってくれた四人はやることもなくなり、夕方に実施する走行試験を見に来る、と言い残して帰っていった。
「スプライト、ここまでやってくれれば充分だ。残った作業は全部自分でできるから、
きみはこの街の散策でもしてきなよ。ほとんど街に出掛けてなかったんだから羽をのばして
遊んできな」
「うん。じゃ、そうする。夕方前には戻るから。空気圧の調整、忘れないでね」
スプライトはそう言うと通りに出て歩いた。
気まずい状態のまま二人きりで作業はできなかった。
スプライトは気持ちの整理をつけるためにも一人になりたかったのでちょうどよい機会だった。
ローマ軍駐屯地になって以来の長い歴史を持つマーストリヒトの街は、その中世ヨーロッパ時代を
忍ばせる史跡が多い。
教会を中心とした多くの建造物。緑に囲まれた城壁跡。
街の中心をゆっくり流れるマース川に架かるレンガ作りの橋。
そんな風景を見ながら街をぐるりと一回りした後、スプライトは街外れの小さな丘に登った。
〔セント・ペーターズベルグの砦〕と呼ばれるその丘からはマースの街は一望できる、この町の名所であった。
スプライトは砦跡の城壁に腰を下ろすと、マース川から流れてくる微風に目を細めた。
「あやー、気持ちいい〜。さてさて、バイクもほとんど完成したし、明日にはまた出発しなきゃね」
髪をかきあげると、スプライトは表情を曇らせてぼそりと呟いた。
「ランダムとも明朝にはお別れなんだ…」
スプライトはできることならランダムと一緒にアムステルダムへ行きたかった。
だがバイクにタンデムして行こう、という彼の誘いを断ったことを後悔していたわけではない。
ただ、もう少し一緒にいれる時間が欲しかった。
〔家族〕を失ってしまった悲しみが彼をどれだけ苦しめたか、傷つけたか、スプライトには分かっていた。
状況がどうあれ、子供として親を想う気持ちは自分と同じだ。
スプライトはランダムが心から好きだった。
それは恋愛としてではなく、人間としての信愛だった。
だから、もっと多くの話をしてランダムを勇気付けたかった。
しかし明日は月曜日。
ファールスの解体工場で働くランダムに対し無理を言うことも、自分が待つこともできない。
「どうしようも…ないよね。マトリクスさんとだって同じだったじゃない。旅をしていれば
いつか別れるんだ」
スプライトは自分自身に言い聞かせた。
………今の自分が選んだ道に、未来の自分を後悔させない勇気を持つことが大切。
スプライトはミスティオから教えてもらったこの言葉を心の中で繰り返した。
「旅先からランダムに手紙を書こう。んで、インドに帰ったら文通しようっと!!」
そう心に決めるとスプライトは立ち上がった。
「さ、帰ろ。なんだか雲行きが怪しいわ。ガレージに戻るまで降らなきゃいいけど」
スプライトは足早に丘を下り、ランダムの家へ向かった。そこで起きる大事件も知らずに…。
2016/8/30 22:48 [1498-4795]
ランダムの家のガレージから、ウオンウオンとけたたましいバイクのエンジン音が響いていた。
路地を歩いてきたスプライトは、バイクが完成してランダムがエンジンを吹かしたものだと思っていた。
「ランダムったら、バイクが完成したのがよっぽど嬉しいのね。でもいきなりあんなに吹かしたら
エンジンが壊れちゃうわ」
スプライトがガレージに向かって駆けだした瞬間だった。
エンジン音が一際甲高く吠え、いきなりガレージから出てきてスプライトの目の前を通り過ぎた。
運転している人間はヘルメットを被っていないため、一瞬とはいえ容易に認識できた。
明らかにランダムでなく、別の見知らぬ男だ。
「ちょっ…!? 何!? 誰!?」
スプライトは訳がわからず、とにかくガレージに戻った。
「ランダム…きゃ!?」
バイクの排気ガスで騒然としたガレージの隅、ランダムは額から血を流し隅でぐったりとしていた。
スプライトが駆け寄ると彼は意識が戻り、大慌てで彼女の肩を掴んだ。
「バイクを…盗まれた! スプライト…」
「なんですって!? ランダム、あなた大丈夫なの? 額から血が…手当てを!!」
「俺は大丈夫だ。でも…バイクが…!!」
炯々たる眼光とスプライトの肩を掴む力が、痛いくらいに彼の憤怒を物語っていた。
スプライトは一刻を争う事態に即断し「取り返す!!」と力強く叫んだ。
そして二階へ上がって自分の荷物からスケボーとジャンプ傘を持ち出し、再びガレージの外へ出て
駆けだした。
「スプライト…やめろ、危険だ…!!」
ランダムの忠告も耳に入らず、頭に血が登ったスプライトは走り去っていった。
ランダムは力を振り絞って起き上がり、片目にかかった血を拭った。
「くそ、いやな予感がする…止めなければ!」
大通りに出たスプライトはバイクの行方を見失った。
車通りの激しいここからでは甲高いあのエンジン音を聞き分けることもできない。
「ん・・? これは・・・!」
スプライトはアスファルトの路面にバイクから漏れたと思われるオイルの跡を見つけた。
「しまった…オイル漏れだ。早く整備し直さないとエンジンブローするわ!!」
皮肉にも整備不足がバイクの足取りを追える結果となった。
スプライトはスケボーに飛び乗り、オイルの跡が続く方向へ疾走するオープンタイプの
スポーツカーの後部バンパーにジャンプ傘の柄を引っ掛けた。
彼女の腕に、引きちぎれんばかりの凄まじい衝撃が走る。
苦痛に顔を歪めながらもスプライトは急激な加速にスケボーのバランスをコントロールした。
妙な衝撃を車体に感じた運転手の男がルームミラーで後部を見ると、見知らぬ少女が自動車の
後部にしがみついている。
男はびっくりして振り向いた。
「ばっ…なにやってんだアンタ!?」
スプライトは大声を張り上げた。
「お願い、スピードを上げてこのまま直進して!! 切実なの!!」
男は訳もわからないままスプライトの迫力に押され、言われるままアクセルを踏み込んだ。
スプライトの怒りは頂点に達していた。
バイクを盗んだ犯人が心底憎かった。
自分が手塩にかけて組み立てたバイクを、しかもランダムに怪我を負わせてまで横取りするなど、
許せるはずがなかった。
「はっ!!」
と、気付くと前に続くはずのオイルの痕跡が目の前に迫る交差点で右に曲がっている。
………しまった、このスピードでは曲がりきれない!!
スプライトはとっさに傘の柄を車から放した。
スピードを維持しつつジャンプし、宙に浮いたスケボーを両足に挟むと傘の柄を
歩道のガス灯の柱に引っ掛けた。
傘の柄を支点に遠心力がかかり、彼女の慣性はグルッと直角に右折。
そしてスケボーで着地すると同時に別の自動車に傘を引っ掛け、追跡を再開した。
それを見ていた歩行者はあまりに瞬間的な出来事だったため、我が目を疑っていた。
なにしろどんな乗り物でも不可能な進入スピードでカーブを曲がっていったのだ。
確かに見事な機転であったが、無茶苦茶なコーナリングをしたためスプライトの両手は激痛に襲われていた。
脱臼しなかったのが彼女自身でも不思議であった。
彼女の執念が実ったのか、盗まれたバイクの甲高いエンジン音が彼方から微かに聞こえてきた。
「追いついた! もう逃がさない!!」
2016/8/31 21:38 [1498-4797]
スプライトが必死の追跡を展開している頃、ランダムの家にブラウザが遊びに来ていた。
ランダムはガレージにはいなかったためブラウザは螺旋階段を登って二階に上がった。
「なんだ、二階にも誰もいねぇのか。バイクがないところを見ると二人でどこか走らせに
行ったんだな…。それにしても、なんだこのスパイシーな香りは…?」
ブラウザは仕方なく表に出て自分の車に乗り、大通りに出た。
するとすぐにランダムが息せき切って走っている姿を見つけた。
「おう、ランダム。こんなとこでなにやってんだよ、スプライトはどうした?」
ブラウザの声に振り向くランダム。
その顔は額からの流血で真っ赤に染まっていた。
「な、なんだお前血が出てんじゃねぇか!?」
ブラウザの心配をよそにランダムは車の助手席に乗り込んだ。
「先輩、大急ぎで車を出して! スプライトが盗まれたバイクを追って行ったんです。
前に続いているオイル漏れの跡を追って下さい!!」
マース川に掛かる橋。
それを爆音とともに渡るバイク、その直後にスプライトが捕まっている車が接近していた。
ようやく声が届く距離に近づいたところでスプライトは大声で叫んだ。
「止まれ、今すぐ止まりなさい!! そのバイクはオーバーホールしたばかりな上オイルが漏れて
エンジンブロー寸前なのよ!!」
バイクを駆る男はスプライトを見ると、スケボーだけで追跡しているその姿に我が目を疑った。
しかしもっと慌てたのはスプライトの方だった。
微かに見覚えのある顔、いつどこで出会ったのかすら彼女は忘れていたが、確かに以前出会った
ことのある男だった。
「あ、あなた…誰だっけ…!?」
「へっ!! そんなスケボーで追いつけるかよ、ウヒャヒャ!!」
男はスプライトの疑問も知らずにアクセルをぶん回して加速した。
「あっ! 加速しちゃだめだ!!」
スプライトは車の全面にまわり、片足でバンパーを思い切り蹴って加速した。
「止まれって…」目一杯手を延ばし、傘の柄をバイクの後部ウインカーに引っ掛けた。
「言ってるでしょーが!!」
ようやくバイクを捕らえることができたのも束の間、スプライトの全身はバイクのマフラーから
吹き出される黒煙の排気ガスとエンジンから滴るオイルにまみれた。
「うわ…!!」
無数の信号無視を強行した挙げ句、バイクは買い物客で賑わう駅前通りの市場の真っ只中を爆走した。
衣類、野菜、パン、チーズ、魚や雑貨を片っ端から目茶苦茶にはねのけ、多くの主婦が集まる
午後の優雅な買い物市場は、一瞬のうちに阿鼻叫喚のスラムと化した。
それでもスプライトは、デッキブラシに顔面を強打されようが飛んできたキャベツに
ボディブローを食らおうが傘を持つ手を放しはしなかった。
「と、止まれ〜っ!!」
ランダムを乗せて必死に追跡するブラウザの車は、ちょうどマース川を渡っている最中だった。
「くそ、嫌な予感が静まらない…。無事でいてくれ、スプライト…」
「ランダムお前、バイクを盗んだやつの事、知っているのか?」
ブラウザの問いに、ランダムは静かに頷いた。
「ウィリス・バーグ…俺が以前よくマリファナを買っていたドラッグの売人です。俺が
買わなくなったから直接家までやってきて売りにきたんですが、俺が〔ドラッグはやめた〕と
断ったら急に怒りだして…挙げ句にドイツへ行く足に、とバイクを奪っていったんです」
「スプライトはその事を知っているのか?」
「まさか。俺が…ドラッグをしていた事すら彼女は知りませんよ!」
「へっ…そいつはどうかな…」
ブラウザはアクセルを乱暴に踏んだ。
2016/9/2 23:56 [1498-4798]
バイクは騒然とした駅前通りを抜け、ロケットのような銀色の巨大なドームの博物館が
彼方に見える一本道を爆走していた。
「思い出した!! あなたウィリスっていう名前の人だ。間違いない、インドの島でアムスの情報を
教えてくれた人だ!!」
男はギクリとしてバイクにしがみついているオイルまみれのスプライトの顔を眺めた。
「お前…インドのドラッグを仕入れたついでに行った諸島の、あのオイル塗りのガキか…!?
なんでこんな所に?」
「あたしはあなたが教えてくれたアムスへ行こうとここまで来たのよ! ウィリスさん、
一度しか言わないからよく聞いて。いますぐバイクを止めて返してくれたらあなたの犯した罪は
とがめないし、警察にも言わないわ。自由にしてあげる。だから早くバイクを止めて!!」
ウィリスは「フン」と鼻で笑った。「お前に俺の自由を左右する権利なんか…」
アクセルを開け、ぐんとスピードを上げた。「ねえんだよッ!!」
ウィリスは片足でスプライトの頭を何度も蹴った。
ろくに反撃も防御もできないスプライトはウィリスのなすがままとなった。
「やめて…痛!! やめてよ!!」
「ウヒャヒャヒャ! オイル塗りのガキはどこへ行ってもオイルまみれだな!! さっさと
その手を放しやがれ!!」
スプライトは完全に怒り心頭に発し、柳眉を逆立てた。
「もう…絶対許さない!!」前向きの全体重をスケボーにかけ、それをバネにして思いきり
オーリーし「このぉーっ!!」空中で傘を振り上げた。
「ガキが…」ウィリスは悪魔のような形相で懐に手を入れた。
「イキがってんじゃねーよ!!」
渾身の力で振り下ろした傘がウィリスの脳天に直撃する、一瞬前だった。
ダァン!!
彼の手に握られた拳銃がスプライトに向けられて乾いた銃声を発した。
スプライトのジャケットの腕に付けられたアルミプレートが火花を散らす。
スプライトの視界は真っ白になった。
拳銃から吐き出された空の薬莢が、波ひとつない水面に落ちる水滴のように、静かに
アスファルトの地面に高音を響かせた。
次の瞬間、彼女のスケボーは空中で真っ二つに割れ、スプライトは力を失って地面に叩きつけられた。
その道の先をウィリスは、罪の意識もなく冷静に走り抜けた。
「ウヒャヒャ!!」
次の瞬間、彼は予期せぬ事態に陥った。
バキィン!! という凄まじい轟音とともにバイクの後輪がロックし、制御不能に陥った。
「ヒャ…!?」
ウィリスの抵抗むなしくバイクは無残にも転倒し、彼も地面に叩きつけられた。
周辺にはバイクのエンジンからの焼け焦げた匂いが黒煙とともに立ち込めた。
スプライトの予感通り、エンジンをオーバーホール仕立てでいきなり慣らし運転もせず
高速回転で走行したためエンジン内部に過大な負荷がかかり、文字通り破壊させてしまったのだ。
エンジンオイルを漏らしながら走行した事も原因の大きなひとつ。
エンジン内部を潤滑させるオイルが、最後にはほとんど空の状態で走行していたため
こうなってしまう事は当然の結果であった。
静寂に包まれた辺りにポツポツと雨が降り始め、稲光とともに本降りになった。
間もなくランダム達がスプライトの倒れている現場に到着した。
ランダムは車から飛び下りると青ざめた顔でスプライトの側に駆け寄った。
「スプライト!! しっかりしろ、大丈夫かおい!?」
泥にまみれたスプライトは意識もなくぐったりとしていた。
「ウソだろ…呼吸も…脈も…冗談だろ!?」
致命傷となる外傷は見当たらないのに、彼女の生命活動は停止していた。
「ブラウザ先輩、はやく医者に連絡を!!」
「お、おう!」
ブラウザは目の前の街の博物館へ走った。
「スプライト…どうしよう、俺のせいで…俺がバイクの修理なんて頼まなければ…こんなことに
ならずに済んだんだ…!!」
ランダムは大粒の涙をこぼしながら、ぼろ雑巾のようになったスプライトのジャケットを脱がし、
胸の中心部を掌で体重をかけて心臓マッサージした。
「頼む…生き返ってくれ…スプライト…頼む!!」
ランダムの祈りは虚しく青空に響くだけであった。
心臓マッサージや人工呼吸を何度繰り返しても、自発呼吸や血液循環は回復せず彼女は
ピクリとも動かなかった。
どしゃぶりの雨の中、半狂乱になりながらランダムは心肺蘇生法を繰り返していた。
「スプライト…死ぬな!! 目を開けろォーッ!!」
2016/9/3 00:02 [1498-4799]
………ここは、どこだろう。
やけに意識がはっきりしている。
真っ白の空間の中で身動きがとれないまま、自分は誰かに抱かれていた。
………あたし、死んだの?
自分を抱いている女性にそう問いかけると、彼女は優しく微笑んだ。
その女性は自分にそっくりの大人の女性だった。
………お…お母さん…お母さんなの?
その隣に、優しそうに自分の頭を撫でてくれる男性がいた。
始めて見る人なのに、懐かしい香りがする男の人。
………お父さん…あたしのお父さん? ねえ、答えてよ。返事してよ!!
声は届かない。
男は前を向いて喋った。
「この娘の名前は、スプライト・エディタ。取り囲む全ての人に笑顔を召喚する、幸せの妖精だ」
続いて自分を抱いている女性が前を向いて喋った。
「数日の間、申し訳ありませんがこの子をよろしくお願いします」
二人の前にジョージアとラクティアが現れた。
「ええ。責任を持ってお預かりします、エリミネートさん、スキャナさん」
「スプライトちゃん、初めまして〜。いい子でちゅね〜。これから生まれる私達の赤ちゃんとも仲良くしてね」
エリミネートとスキャナは自分をフロート婦人に預けると霧に包まれるように消えていった。
………待って、お父さん!! お母さん!! 行っちゃいやだ、帰ってきてよ!!
二人が完全に消えた瞬間、ダァンダァンとけたたましい銃声が止めどなく鳴り響いた。
………やめて、やめてよ!! この音…大嫌い!!
この銃声が、自分の両親の命を奪ったものだと思うと心が張り裂けんばかりになる。
しかし銃声は止むこともなく続き、更に空からの爆撃音が痛いほど耳に響く。
………やめて…やめて…やめて!!
銃声と爆撃音の中、ラクティアの悲鳴が聞こえた。
「いやあああぁあ! 私の赤ちゃん…赤ちゃんが…!!」
………やめて…こんなの、もういやぁ!!
銃声が止み、しばらく沈黙が走る。
ふと、目の前にげっそりとやせ細り生気を失ったラクティアが立っていた。
その手にはナイフがきらめいている。
「この娘が…憎い!! 私の娘が死んだというのに、なぜ他人の娘が私の目の前で生きていなければ
ならないの!? この娘が…この娘が死ぬべきなんだわ!!」
錯乱したラクティアはナイフを振り上げた。
………お母さん…!?
ラクティアはしばらく動かなかった。
いや、動けなかったように見えた。
ナイフを持つ手が小刻みに震えている。
「うう…ううう…っ」
ラクティアはその場に泣き崩れた。
「私は…私には…できない…。この娘の運命を引きちぎることが…この無邪気な笑顔の全てを
無にすることが…あまりに残酷すぎて…うう…これが運命の悪戯だとしたら…あまりに酷い…
酷すぎるわ…神様…!!」
ラクティアは泣き叫んだ。
………セラのお母さん…あたしのお母さん…泣かないで…。
ジョージアは自分を抱いて言った。
「この子、スプライトを私達で…育てよう。それが私達の責任だ」
毅然とした態度で立ち上がったラクティアは微笑んで首を横に振った。
その瞳はもはや信念に輝き満ちていた。
「そんな…責任とか義務などという事務的な言葉は嫌ですわ。私達の…生き甲斐…でしょう、あなた?」
ジョージアは満面の笑みでラクティアを抱きしめた。
「ラクティア…きみは最高の女性だ。これからスプライトが大人になるまで、本人とウィリーに
重大な秘密を作ってしまうことになる。辛いだろうが…」
「覚悟の上です。私、この子がフロートの姓を誇りに想ってくれるように、一生懸命がんばりますわ!」
………あたし、幸せだよ。お父さんとお母さんとお兄ちゃんと暮らせること、心から幸せだよ…
「幸せに、私達の小さな妖精」
エリミネートとスキャナが微笑む。
「幸せに、スプライト」
見知らぬ女性が微笑む。今まで会ったこともないはずなのに、不思議と知っている気がする優しい婦人。
「負けないように、泣かないように、元気で頑張るんだぞ」
ジョージアとラクティアが微笑む。
周りの人を笑顔にさせる幸せの妖精という名。エリミネートとスキャナから授かった命の絆。
それを紡いで大切に育ててくれた人々。
「あなたの進む道に、神の御加護があらんことを」
シンプソンとシスターが微笑む。
遙かな時を越えて両親の記憶を託してくれた、生まれ故郷の聖人。
「これからは一人の旅人同士だ。いいな!?」
マトリクスがニヤリと笑う。
自分の独り立ちを見守ってくれた、旅の恩師。
その全てが、眩い光の中へ消えていった。
………ありがとう。命を生んでくれて、守ってくれて、育ててくれて、ありがとう。
頬に一筋の涙が流れ、雫となって小さな波紋を作った。
2016/9/3 12:03 [1498-4800]
ネルゲン診療所の病室によく似た天井。
自分を呼ぶ声に薄目を開けると、周りから大歓声がわいた。
「い…生き返ったぁーっ!! スプライトが、生き返ったぁーっ!!」
「バカ者ども、静かにせんか!!」
白衣を着た白髭の老人がみんなを制した。
ベッドに横たわるスプライトを取り囲む、マーストリヒトで知り合った全ての友達。
アナーロ、ディジー、ヴェンダ、プレクサ、ブラウザ、そして頭に包帯を巻いたランダムがそこにいた。
「ワシはディジーの祖父、イノベイト。医者じゃ。そしてここはワシの医院の病室じゃ。
スプライトさんとやら、気分はどうかね?」
イノべイトが髭を弄りながらスプライトに問いかけると、彼女は窓の外の雨上がりの夕陽を
眺めながらゆっくりと口を開いた。
「あたし…どうしたの…?」
「四、五時間ほど昏睡状態じゃったがの、もう大丈夫じゃな」
「あたし、ウィリスに撃たれて…それで…」
「弾丸はあんたのジャケットを掠めただけだったようじゃな。両手を多少傷めていたが、
目立った外傷は擦り傷程度だけじゃ」
「そう…」と呟くとスプライトははっとした。
「そうだ! バイクは…ウィリスは…?」
ブラウザが説明した。
「バイクは…スプライトが倒れていた先で…壊れてた。エンジンがグシャグシャになっていたし、
フロントフォークがねじ曲がっていたから、修理は…まず無理だ。乗っていたウィリスは
その近くでのたうち回っていたから、とりあえず二、三発殴って警察に引き渡したぜ。
麻薬絡みの相当の犯罪者だったらしく、アムステルダムで指名手配されていた奴だったらしい」
スプライトは溜め息をついた。
「そう…バイク、壊れちゃったんだ…」
「へっ、お前まで壊れていたぜ。なんたって心臓が停止していたんだからな」
「え? あたし…死んでたの?」
「…まあ、俺は信じてたぜ。お前はゾンビ女だから殺しても死なないってな」
ブラウザは頭を掻きながら言った。
照れ隠しが下手なのはマトリクスなみだ。
「もうっ、ブラウザさんったら…」
イノベイトは優しい口調でランダムを指した。
「ワシが現場へ駆けつけるまでランダム君が適切な心肺蘇生法を行っていたため、助かったんじゃよ。
あのまま呼吸と脈が停止したまま放っていたら、長時間脳に血液が循環しなかったため
一命は取り留めていたとしても記憶障害や…下手をしたら脳死になっていた可能性が高かったじゃろう」
「ランダムが…」
今まで口を閉ざしていたランダムがスプライトの枕元に歩み寄った。
しかしその表情は爆発寸前の火山のように険しい。
以前腕をケガしたときに駆けつけた兄のそれとそっくりだった。
「この…この大バカ野郎!! あんなにボロボロになるまで、死ぬまでバイクを追いかけるやつが
どこにいる!? ここに集まったみんながどれだけ心配したのか、わかっているのかよ!?」
ランダムは大声を張り上げた。
その瞳にはあふれんばかりの涙が夕陽を反射している。
スプライトは彼を正視できず、ベッドのシーツを頭まで覆った。
「ごめんなさい…ランダム…怒らないで…」
頭に血が上って蛮声をあげるランダムをイノベイトが制した。
「落ちつくんじゃランダム君。とにかく今から彼女を診察をしなければならん」
イノベイトがそう言うと、孫娘のディジーがみんなを部屋から押し出した。
「ほら、男どもは出てった出てった!!」
2016/9/3 23:33 [1498-4801]
病室を追い出されたランダム達は溜め息まじりに部屋の脇の椅子に腰掛けた。
「ランダム兄ちゃん、どうしてお姉ちゃんにあんなひどい事を言ったんだよ?」
アナーロがランダムを睨んだ。
「そうだぜ。らしくねぇじゃねーか、ランダム」
ブラウザがそう言うと、ランダムは悔しさのあまり頭を抑えた。
「分かってます…彼女が目覚めたときは、まっさきに優しい言葉をかけようと思っていたのに、
言葉が出なかった…何て言ったらいいのかわからなかったんです…」
プレクサがランダムの前に立った。
「バカだな。スプライトはな、お前の事が好きなんだぜ。お前のためを想ってバイクを追いかけたんだろ」
「俺のため…? 違うよ、彼女が俺のどこが好きだっていうんだ。機械の知識、旅に対する認識、
生まれや育ちだって俺は何一つあの娘に好かれる要素を持っていない」
ランダムが吐き出すように言うと、ブラウザは呆れて肩をすくめた。
「そんなもん、ここにいる誰だって知らねえよ。ただ、お前の家で作ったカレーの意味だけは分かるぜ」
「カレー? あれがナンだっていうんですか?」
ブラウザはゆっくりとタバコに火を付け、ひとつ煙をふいた。
「匂いだよ。お前の部屋に微かに染みついたあの匂いをスパイスで消そうとしていたんだよ、彼女はな。
きっと両親と別れたお前の心の傷を誰よりも理解して、その苦しみや悲しみの呪縛を必死に
解き放とうと考えていたんじゃねぇかな。その意味、お前ならわかるよな」
「あ…」
ランダムははっとした。両親と別れたのは、彼女も一緒だ。孤児だった彼女も同じような悲しみを
抱いて生きてきたことは、もはや疑う余地もない。
「好かれる要素がなくても、共有できる事実はあるんじゃねぇか」
ランダムは下を向いて黙ったまま微かに頷いた。
椅子に座った少年たちは、それから誰も口を開こうとしなかった…。
「あたし…なんか夢を見ていたような気がする…」
病室のベッドの上、上半身裸で聴診されながらスプライトは呟いた。
「見たこともない景色や聞いたこともない音が、あたしの心の中を巡ったんだ…」
イノベイトは聴診器を外し、スプライトの眼球を検査しながら語った。
「人は死に直面したとき、いままで生きてきた思い出が走馬灯のように意識の中を巡るという。
じゃが、それは全て自分の中の記憶なんじゃよ。覚えているはずのない出来事も、脳の奥底に
眠って通常じゃどんな事をしても蘇ることのない思い出すら、身体の危機に直面したときには
洗い出されるように人間の脳は出来ておる。でなければ生と死の狭間で、天国へ行った人と
対面したのかもしれん…医学的根拠は乏しいがの。いずれにせよ、もしその夢を覚えているなら、
あんたは幸運の持ち主じゃな」
スプライトは舌を検査されながら天井を眺めた。
「ほとんど忘れちゃった…でも本当の両親の顔は微かに覚えてるわ。どうしてだろう…
赤ん坊のときに死に別れたから、絶対覚えているはずないのに…」
「お前さんは銃で撃たれたショックで心臓麻痺を起こしたようじゃが…赤ん坊の頃、
同様に銃声などが原因で記憶に刻まれるほどのショックがあったんじゃないかね?」
「あ…」
確かに。
生まれたばかりの時、シリア国政府とムスリム同胞団による内戦でいやというほど銃声は
聞いているはずだ。
そのためウィリスに撃たれたことがきっかけとなってあの頃の記憶が蘇ったのかもしれない。
「銃のトリガーは…記憶のトリガーでもあったんだ…」
スプライトはぼそりと呟いた。
「うまいね、お姉ちゃん」
ディジーが冷めた目をして言うと、スプライトは顔を赤らめて叫んだ。
「ばっ…茶化すんじゃないわよ!!」
「あはは、怒った怒った〜」
一通り診察を終えたイノベイトは、微笑しながらスプライトに乾いたTシャツを手渡した。
「その元気があれば何も心配はいらんわい。まったくもって、丈夫な娘じゃ」
「ご親切に…ありがとうございました、イノベイトさん」
スプライトに礼を言われるとイノベイトは照れ笑いをしてみせた。
「ふぉふぉふぉ。まぁ、若いうちは限界を知らないからこそ、無茶ができる。その無茶の中で
得られた思い出は、一生の宝物じゃ。今までの思い出はもちろんじゃが、これから作ろうとする思い出は
もっと大切にするんじゃぞ」
「うん!!」
スプライトはにっこりと微笑んでみせた。
2016/9/4 07:34 [1498-4803]
イノべイトとディジーが病室から出てくると、部屋の外で待ちわびていた少年たちは次々と立ち上がった。
スプライトは、と少年たちが聞くよりも先にイノベイトはブラウザの頭をげんこつで殴った。
「バカ者が! 病院内でタバコなど吸いおって!! ノースモーキングの張り紙が読めんのか!?」
憤慨するイノベイトに、すみません、もうしません、とブラウザは平謝りするほかなかった。
「あの…」
不安げにランダムがイノベイトに近づいた。
イノベイトは微笑んでランダムの肩をぽん、と叩いた。
「ドアの向こうの彼女がきみと話をしたい、と言っておる。行ってあげなさい」
「は、はい」
イノベイトはそう言うと、再び鬼のような形相でブラウザを睨み付けた。
未成年の喫煙の健康に及ぼす影響を延々とブラウザに説教するイノベイトを背中に、ランダムは
おそるおそる病室のドアを開けた。
質素な病室の中。病棟衣を着てベッドに腰掛けていたスプライトは、彼に優しく微笑みを見せた。
「スプライト…その、さっきはごめん。自分でも何を言っているのかわからなくて、思っても
いないことを…」
「いいのよ、全然気にしてないから。それよりあなたの頭の怪我は大丈夫なの?」
「ああ、こんなのかすり傷だ。どうってことないよ」
「そう、よかったわ」
スプライトは部屋の隅に無造作に置かれた、二つに割れたスケボーを指した。
ランダムはそれを手に取るとスプライトに手渡した。
「スケボー…壊れちゃったね。このスケボーは島のお父さんが学会発表でミラノへ行ったときの
おみやげで、あたしの宝物だったんだ。旅の間もいつも一緒で、あたしの心の支えになって
くれてたんだけど、最後にはあたしの楯になってくれたんだね。でも、不思議と全然悲しく
ないんだ。故郷のシリアであたしが探していた自分の真実は、自分の記憶の中にあったんだって
分かったからね。それが分かっただけであたしは旅をして、あなたと出会えて、よかったって思ってるの」
「スプライト、俺にもわかるように説明してくれ。何を言ってるのかわからないよ」
ランダムの狼狽をよそにスプライトは話を続けた。
「んふ。いいの、独り言だよ。あたしね、自分で出来ることと出来ないことがまだ区別できない
子供だけど、いつも体当たりでぶつかってきたんだ。今回ばかりはちょっとやばかったけど、
あたしにとってはそれだけの価値があったんだ。あなたの力になりたい…そう思って作った
バイクを、横から出てきてかっさらったウィリスが許せなかった」
「バカだな。それが命を賭けるほどのものかどうか、区別くらいつくだろう?」
「ううん、それだけじゃないんだ。ウィリスはあたしがインドにいた頃、あたしに
アムステルダムという都市の情報を教えてくれた人だったんだ。アムスはこの世でいちばん
自由という言葉が似合う都市だってね。あたしは彼の情報をきっかけに旅立ちを決意したんだよ。
その恩人ともいうべき人があんな人だったから、余計に許せなかった。いつも心に想い描いていた、
自由なる都市の姿…寝てるときだって何度も見たんだ。そこで暮らす人、立ち寄った人みんなが
自由で、そして幸せになれる都市の夢を…。そんなあたしの旅の夢の源が…あんな人からの
情報だったなんて…何のためにここまで来たのか、何を求めてアムスへ行けばいいのか…
わからなくなって…やるせなくなって…」
スプライトの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。ランダムに見せる初めての弱音だった。
「それが原因で逆上し、あんなに無茶をしたのか…。まったくきみってやつは…」
「…ねえランダム。あたし怖い…アムステルダムって、本当に…」
「行けばわかる。でも自由な都市であることは間違いないんだ。アムスに到着したとき、
きみならきっとその意味がわかるはずだよ。俺には想像もつかないような長い距離をきみは
歩いてきたんだ。それだけでも大きな価値があったんだぜ。でも、ゴールを目の前にして
怖じ気づいちゃダメだ! それこそ今までやってきた意味がなくなってしまうだろ」
ランダムの熱弁にスプライトは生気を戻した。
「うん…そうだね。その通りだわ。ウィリスに決着をつけたなら、自分にも決着をつけなければ
ならないんだ! ありがとう、ランダム!!」
2016/9/4 12:17 [1498-4804]
ランダムは唇を噛んで決心を固めた。
「俺の方こそ、ありがとう。昨晩のカレーの意味、わかったよ。俺も、もっともっとがんばって
前に進まなきゃだめなんだ。バイクが壊れてちょうどよかったよ。何かに頼っていたら俺は
いつまでたっても前に進めないんだ」
スプライトは無言で涙を拭って満面に笑みを浮かべた。
「へへ…お互い知らないところでウィリスに関係していたんだな。でも、そのおかげで俺たちは
出会えたのかもしれないんだよな。へへ…」
「ふふ、そうだね。ヘンテコな部分であたし達は糸が繋がっていたんだ。まったく皮肉なものだね。
あはははは…!!」
二人は緊張が解けたのか、廊下まで聞こえるほど大きな笑い声を響かせた。
そしてランダムは次の瞬間、ベッドに腰掛けたスプライトを胸中に抱き寄せた。
「ヘンテコな糸でいい。俺…スプライトと繋がった糸を断ち切りたくない…!! きみと一緒に旅がしたい…!!」
スプライトは彼の突然の行為に驚きながらも、目を細めて話した。
「ん…あたしも…本音はあなたと同じ気持ちだよ。でも…あたしはランダムとこれ以上一緒にいたら、
絶対甘えてしまう…弱くなってしまうんだ」
そう言うとスプライトはランダムを突き放し、顔を見せないように俯いた。
「あたしは…自分でも信じられないくらい、嫌な人間なんだ…。あたしの故郷の島、
キングデラ島にはあたしと同年代の友達はみんなインド人なんだ。あたしだけブロンドの髪の、
欧州系の人種なんだ。そのせいでクラスメートから特別な視線を受けたわ。男の子から何度か
告白されたこともあった。みんな、自分たちと違う姿のあたしに憧れていたんだと思う。
でもあたしは嬉しくなかった。寂しかったのよ…どうしてみんな、あたしと違う人種なんだ、ってね。
それに、あたし泳げないから島の友達が遊ぶようにフリーダイビングとか一緒にできなくて…
疎外感が増すばかりだった。そんなあたしのためにお父さんはスケボーを買ってきてくれたの。
あたしはそれから毎日一人で遊ぶようになった…スケボーだけが唯一の遊び道具だったんだ。
それでも強がって、島のみんなには無理に元気な笑顔を作っていたけど、そう思うたびにあたしは
ヨーロッパに強く憧れていたんだ。そこへ行けば相手も自分も対等な関係を持てるだろうって、
そう思ったんだ。だから、ある意味あの島から逃げてきたのよ。それが…本音…なんだ。
だから、あなたのように本当に話せる、許せる、信頼できる人に…あたしは甘えてしまうのよ…。
あたしはあなたが想ってくれるほど頼れる人間じゃないし強い人間でもない!
旅を続けるたびに気付くのは自分の弱さばかり。後ろめたく生きてるからだわ。精一杯頑張って
歩いてるのに、根底に流れている島の友達に対する申し訳なさが、あたしをズタズタにするんだ!
エゴの混ざり合った自己満足と自己嫌悪の繰り返しで、どこに自分の本当の正しさがあるのか
わからない…でも、その答えは他でもない自分が出さなきゃならないってわかってるから…
だからあたしは独りで旅をするんだ…」
スプライトは涙ながらに、今まで誰にも語ることのなかった心の奥の蟠り、そして旅の真意を
吐き出すように話した。
ランダムは何も言わず、ただ彼女の話を黙って聞いていた。
彼の目の前で泣き叫ぶスプライトの姿は、男勝りで好奇心旺盛な気質のかけらもなく、ただ現実に
足をすくわれて葛藤する等身大の女の子だった。
しかしランダムは、この三日間一緒に過ごした中で見抜いていた。
誰かのために喜ばそうとばかりする彼女の内面は、きっとガラスのように繊細な心で出来ている、と。
「こんな時、俺は何て言ったらいいか分からないけど…」
ランダムはスプライトの震える肩に優しく手を当てた。
「でも、きみはこれからずっと…独りで生きてくわけじゃないだろう?」
「………」
「お互い悲しい孤独を辿ってきたんだ。その苦しみや悲しみ、そして寂しさを忘れなければ、
俺たちは決して堕落したりしない!! そうだろ…スプライト…」
スプライトは俯いたまましばらく無言で動かなかった。
病室の中、スプライトの鼻をすする音だけが無情に響いた。
張り詰めた空気を流すように、ランダムが軽くため息を漏らすと、スプライトは弱々しく口を開いた。
「………アムスへは、一人で行く」
「スプラ…!?」
スプライトは顔をあげ、濡れた瞳でランダムを見つめた。
「そこで自分自信に決着をつけて…もう一度この街に戻ってくるから…そしたら…」
その笑顔が全てを決定させていた。
「そしたら一緒に旅をしよう! ランダム!」
ランダムの顔にも満面の笑みがこぼれた。
ランダムはスプライトから割れたスケボーを受け取ると、精一杯の誠意を見せた。
「こいつは俺が責任をもって直しておくから!!」
「ん。あたしの宝物…よろしくね」
スプライトはひとつ鼻をすすると、顔を赤らめながらランダムに近づいた。
「あたし…あなたにまだちゃんとお礼をしてなかったわね…。あなたは…あたしの命の恩人よ」
スプライトはランダムの肩を抱くと、左頬にそっとキスをした。
「あたしの命を助けてくれて、本当にありがとう…」
2016/9/4 12:33 [1498-4805]
| 最終話 スプライトからの便り |
軽い昼食を済ませたファンタ・エイジスは、フェーフェーフェーのカウンターに戻ると、
気だるそうに隣に座るデリミタ・プリアンブルに話しかけた。
「お客さん来ないねぇ、デリー」
愛称で呼ばれたデリミタは細長い煙草に火を付けると煙で輪を作ってみせた。
「平日の昼間に観光案内所に来る人はあんまりいないでしょ、ファンタ。先月の女王誕生日の前後は
死ぬほど忙しかったけど、チューリップの季節も過ぎてキューケンホフ公園も閉鎖された今じゃ、
こんなもんよ」
「それだけじゃないわ。以前はセントラル・ステーションの正面玄関を入ってすぐにあった
フェーフェーフェーが、こんな…ホームの片隅の目立たない場所に移ったからよ。
お客さんはみんな駅前のフェーフェーフェーに向かうようになったじゃない」
「別にいいじゃない。忙しくても貰える給料が一緒ならあたしはヒマな方がいいわ。早く定時に
なってコーヒーショップにでも行きたい」
ファンタは呆れてカウンターに肘をついた。
「まったくあなたって人は…いいかげんマリファナはやめなさいよ。ま、デリーは仕事をきちんと
こなすからあたしは文句は言わないけど…」
そう言うと、エイジスはストローを差した缶コーラを飲みながら、端末のマウスを慣れた手つきで
操作して駅周辺のホテルの予約状況をチェックした。
「…確かに退屈ね。なんか楽しいことないかしら…」
「ないよ。全然」
デリミタはエイジスに振り向こうともせず週刊誌を片手で読みはじめた。
エイジスはデリミタに話し相手になってほしかった。
なんとか会話を盛り上げるための話題を彼女は懸命に考えた。
エイジスは常に何かをしていないと気が済まない性分だった。
デリミタはそんな彼女が鬱陶しいと思うこともややあるが、二人は数年前この職場で知り合った
同期で、何でも気兼ねなく話せる親友同志であった。
「あ! ねぇデリー、そういえば午前中に女の子が一人ここに来たじゃない」
「ああ、二階建ての特急…インターシティをもの珍しそうに眺めながら来た娘?」
「そうそう、男の子みたいな恰好してやたら明るかった子よ。あたし、あの子が来た後
すぐに昼食に出たから知らないんだけど、あの子どのホテルを予約したの? 一人みたいだったけど」
「あの子はお客じゃなかったわよ」
「はあ? じゃあ、何しにここへ来たの? 道でも尋ねに来ただけ?」
「いや…あの子はエイジスがさっき戻る前までここにいたわよ。端末のEメールを使わせて
ほしいって言ってたからあなたの端末貸してあげたわ。淡々と何かを送受信してたみたい。
終わったらお礼言って速攻で飛び出して行ったわ」
エイジスは鼻からコーラを吹き出した。
「ぶほ!! さっきまで? あたしのパソコンを? 一時間も? 正気なのデリー!!
部外者に端末を操作させるなんて…この国のホテル予約状況をメチャクチャにされたら
どうするつもりよ!?」
「ばかね。あたしはその子が操作するのをちゃんと監視してたわ。仮にそんな危険な行為をしてたら
あたしが放っておかないわよ。当たり前でしょ? あの子は単にEメールを送受信してただけよ。
どうせ客なんて一人もいなかったし、あたしも退屈してたから貸してあげたの。重ねて言うけど、
やっていたのはメールの送受信だけだから」
「だからってあたしのパソコンを貸すなんてひどいわ…」
「あら、そもそもその端末はあなたのものじゃないでしょ。観光協会の所有物だわ。誰のを貸しても
一緒でしょ。デートの約束にその端末のEメールを使う誰かさんみたいに私用で使う人なんていないわよ」
「ゲッ…知ってたの…?」
「送信履歴を見れば一目瞭然よ。所長には報告してないけど、バレたら…」
「あうう…その先は言わないでデリー! 帰りにポテトおごるから、所長にだけは言わないで!!」
「ポテト? 冗談言わないで。今夜の酒代は固いわね」
「悪魔だ〜!!」
「悪魔で結構。今度から私用の送信履歴は消しておきなさいよ。着信履歴もね」
「わ…わかったわよ、もうっ!」
ファンタはふて腐れながらキーボードを操作し、メール履歴のデータファイルを開いた。
2016/9/4 22:51 [1498-4808]
「ん…?」
ファンタは送信履歴のデータを見ると妙な違和感を感じた。
「ねえデリー、さっきの娘が送信したメール…だと思うんだけど…変だよ」
「何が変なの」
「いいからこっち来て画面見てよ。ほらこれよ、この送信先アドレス」
デリミタは面倒くさそうに立ち上がってファンタの端末を覗き込んだ。
「どこが変なの? あたしには分からないわ」
「いい? Eメールアドレスは後ろの二文字が国の識別コードになっているの。あの子の
送信先アドレスを見るとこの国のコードになってないでしょう。これは…インドのコードだわ。
あの子はインドにメールを打っていたんだ」
「誰がどこにメールを送信しようがいいじゃない。個人の自由だわ。あたしの知ったことじゃない」
「はか!! インドっていったら麻薬大国じゃない。先日マーストリヒトでインドから麻薬を
密輸してた犯人が逮捕されたってニュース聞いてないの? あの子…麻薬密輸団に関係あるんだわ。
きっとそうよ。この送信先アドレスはインドの密輸組織のものに違いないよ!!」
「アハハ! そりゃいい。次回その子が来たらハッシシでも格安で横流ししてもらおうかしらね」
「何を呑気な事を言ってるのデリー! このフェーフェーフェーの端末が麻薬の密輸に関与したって
バレたらどうなると思ってるの!? あたしらクビじゃ済まないわよ。きっとマースで捕まった
やつみたいに終身刑にされちゃうんだわ。だいたいデリーったらあの子が端末操作してるとこ
見てたんじゃなかったの?」
「メールの内容まであたしは見てないわ。まったくあなた…心配性ね。ハゲるわよ」
「あなたが楽天家なだけよ!!」
「冷静になりなさいよ。一介の観光案内所で、こんな単純に足がつくような取引を組織がするはず
ないでしょ。あんな年端もいかない子供を使ってさ」
「でも飾り窓の女性の中には東南アジアから連れてこられた娘も多くいるって聞いたわ。
あの子だってきっと…」
「あの子は、見た感じ欧州系の顔だちだったわ。絶対アジア系じゃないわよ。だいたいそこまで
言うんだったらメールの中身を見てみなさい。結論はそこにあるでしょ」
「…わかったわ。他人のメールの中身を覗き見するのはいささかモラルに反するけど、この際
そんなことも言ってられないわね」
「おーおー、端末を私物化してる人の台詞とは思えないね」
「茶化さないで! じゃ、メールの中身…開くわよ…」
リターンキーを押すと、二人はモニターに顔を寄せた。
冷静沈着なデリミタも少しばかり胸を踊らせていたようだった。
2016/9/4 22:54 [1498-4809]
お父さんへ
お元気ですか。
家を離れてもう一年余りが経ちましたが、今日無事にアムステルダムに到着しました。
自由の都はあたしが想っていたものよりも息苦しく、野蛮で怖いところだけど、
それは当たり前だったんだ。
多くの人の考える自由がひしめき合っているんだもん。
他人を陥れようとする人もいれば、心から喜ばそうとする人もいた。
法律が人間の自由を束縛しないようにしているのは素晴らしいことだと思うけど、
同時に悪人をのさばらせている部分も否めなかった。
自由とは、何者にも束縛されないが故に自分の責任を自分で背負わなければならない、という事。
改めて感じました。
だから自分の思い描いた自由の姿さえ忘れなければ、きっと最高に素敵な都市だと思う。
あたしはここに来てよかった、と心から思ったんだ。
シリアでは、叔母さんは残念ながら既に亡くなられていたのでお会いすることはできませんでした。
でもハマの街の教会のシンプソン神父から当時の話を聞かせてもらえました。
でも結局、あたしが探していた答えは自分の中にありました。
それがわかっただけでも旅をしてよかったと思います。
旅の中で、あたしはここに書ききれないほどいろんな体験をしました。
でもそれをひとつひとつ語るとこのパソコンのメモリーを破壊しかねません。
日も暮れちゃうしね。
インドの、お父さんとお母さんとお兄ちゃん、そしてあたしの大切な友達の住む
ラクシャディープ諸島のキングデラ島に帰ってから、お話ししようと思ってます。
その日が待ち遠しいけど、まだ旅は折り返し地点に辿り着いたばかりだから、
最低でももう一年くらいかかると思う。
でもこれからインドへ近づくにつれて、あたしの足取りは軽くなっていくはずです。
なぜなら、今ならあたしは胸を張ってこう言えるからです。
『島の暮らしは、自分にとって掛けがえのない誇りと幸せが詰まっていた』…と。
それが現時点でのあたしの答えです。
自分の将来の仕事はまだまだ決めかねているとこですが、今のところはリバース・エンジニアに
なろうか、と思ってます。
リバースエンジニアリングとは、既存の製品を詳細に分析して基本的な設計方針を導き出し、
互換の製品を作るための技術のことです。
先進国の仲間入りを目指すインドじゃ、もってこいの仕事だとあたしは思ってるんだ。
そんなわけで、これからフランスとスペインを経由してインドへ向かいます。
島のみんなはお元気ですか?
丸一年離れていたので島の様子も随分変わったのではないでしょうか。
あたしは、いつでも元気です。
家族のみんなも、どうかお元気で!!
なお、このメールはアムスの中央駅にある観光案内所でお借りしたパソコンで
送信させてもらいました。
もしお父さんがパソコンを使用していてこのメールの受信に気付いたなら、
すぐにお返事を下さい。
待ってます。
スプライト・フロートより
2016/9/5 03:07 [1498-4810]
「……なんなの、これ? あの子…ここまで大変な冒険をしてきたみたいね…」
デリミタは珍しく瞳を輝かせながらため息をついた。
「よくわかんないけど、麻薬組織絡みじゃないみたいね…でも取り引きの暗号伝文かも
しれないよねぇ」
「疑り深い娘ねぇ。前から一度言おうと思っていたけど、あなたスパイ映画の見すぎじゃないの?」
「失礼ね、あたしは単にトム・クルーズのファンなだけよ! 悪い?」
「別に悪いとは言ってないわよ。そんな話どうでもいいわ。ねえ、受信履歴は?送信履歴が
もう一通あるからその子のお父さんからの返信メール、あるはずでしょ?見せなさいよ!!」
デリミタはいつになく興奮してファンタを急かした。
「わ、わかったわよ。…きっとこれだわ。じゃ、見るわね」
スプライトへ
突然のメール、ありがとう。本当にびっくりしたよ。
まずはアムステルダム到着おめでとう。
ずいぶん長い旅だったが、無事に到着したようで安心したよ。
本当によくがんばったな。きっと頼もしく成長したことだと思うよ。
シンプソン神父に会えたのはよかった。神父には親子共々本当にお世話になったな。
島の話だが、確かに海岸はずいぶん近代化されたよ。
島のみんなは相変わらずだがな。
みんなも早くお前に会いたがっていたぞ。
今日もすれ違うたびに話したのはお前の話題ばかりだったんだ。
そうそう、お前にとってびっくりするニュースが二つある。
一つは、ネルゲン夫婦に先月、長女が誕生したことだ。
名前はピクスィ。
お前の名にちなんで名付けたのだそうだ。私はなんだか複雑な心境だよ。
もう一つは、お前の親友であるミスティオがお前の義理の姉になることだ。
式はお前が帰ってくるまで行わない、と本人達は言っているがね。
お前ならきっと喜んでくれることと思う。
島に戻るときまで、祝言のひとつでも考えておいたらいいだろう。
それでは家路に向かう道中も元気で頑張るんだぞ。
旅の話、楽しみにしてるから。
ジョージア・フロートより
「ふうん。やっぱり意味がよくわかんないや」
ファンタは大きなあくびをするとコーラを一口飲んだ。
しかしその横に立ちすくむデリミタは握り拳を震えさせていた。
「素敵だわ…このメールのやり取りは言葉以上の意味と価値があるのよ。ファンタ、あなた
それがわからないの?」
「そんなこと言われても…。デリー、あなたさっきからどうしたの? 柄にもなくこんなメールに
感動してさ」
「ばっ…感動してなんかないわ。さあファンタ、最後のメール…スプライトっていったっけ?
その子の送信文を見せて」
「はいはい。まったくどうしちゃったのかしら、デリーったら」
「ブツブツ言わない!!」
「はいはい…じゃ、見るわよ」
お父さんへ
お返事ありがとう。連絡ができてよかったわ。
もうびっくりしちゃったわ。
お兄ちゃんとミスティオがそんな関係だったなんて思いもしなかった。
すごく複雑な気分だわ。
でも、心からお祝いしたい。
ネルゲン先生とスウォータさんにも本当におめでとうって言っておいてね。
もちろん帰ったら改めてあたしから言うけど。
そうそう、あたしからもびっくりするニュースがあるんだよ。
でもこれは秘密。
帰ってからびっくりさせたいんだ。
じゃ、あたしたちはマーストリヒトから再び旅立ちます。
楽しみに待っててね。
では、一年後に再会できることを信じて。
スプライト・フロートより
「また意味不明なコトを…インドで育ったから英語が下手なんだね。自分のことを複数形で
打っちゃって。だいたいマースから旅立つってどういう事かしら」
ファンタは肩をすくめた。
デリミタはモニターから目を逸らすと再び自分のカウンターに座った。
「スプライト…か。あの子…遙かインドから旅してきたんだ…」
そう呟いた次の瞬間、ファンタが大声を張り上げた。
「ああっ!! やだ、どうしようデリー! たった今インドからまたメールが届いたよ!!」
「なんですって!? あの子はもう出ていったのに…ええい面倒臭い! ファンタ、構わないから
受信文を見よう!!」
「ええっ…それこそプライバシーの侵害だよ」
「あたしたちは既に彼女に対して侵害してるのよ。あの子だって、他人の端末を使って
Eメールの送受信をしていたんだから、あたしたちに読まれることを承諾しているようなものでしょ。
いいから開きなさい!!」
「わ…わかったわよデリー。うう…なんか罪悪感…」
スプライトへ
ハロー、お久しぶりねスプライト。
あたし、ミスティオでーす。
あなたの最後のメールの意味、あたしには分かったわよ。
あなたも幸せをゲットしたんだね。うふふ、おめでと♪
巡礼の旅もいよいよ後半に突入ね。
がんばってね。
あなたが帰ってくる日を誰より楽しみに、幸せに想い待っています。
お母さまも、あなたが無事だと知って泣いて喜んでたわよ。
未来のミスティオ・フロートより
(きゃっ 言っちゃった?)
2016/9/5 03:15 [1498-4811]
「…なんとも緊張感のない文章ね…」
ファンタは目が点になっていた。
「あたし…あの子を追うわ。ファンタ、急いでそれプリントして!!」
デリミタは立ち上がり、スカートのままカウンターを跨いだ。
「ちょっとデリー、何言ってんの? そんな必要がどこにあるのよ。だいたいあの子が
どこへ向かって行ったのかもわからないんでしょ?」
「アムスの街で冒険者が集まる所…きっとダム広場に決まってるわ。この文章があの子に
必要かどうかなんてわからないけど、とにかく会ってこのことを伝えたい! あたしは…
忘れていたんだ。このフェーフェーフェーに就職した時のことを。世界中から集まる冒険者の
手伝いをしたいって。冒険者に様々な情報やサービスを提供することで彼らの力になりたかったんだ。
でも…あたしが想像する冒険者なんて今やぜんぜんいないし、仕事だってほとんどはホテルや
観光ツアーの予約ばっかりで、事務的な作業ばっかり…あたしの夢とはひとつズレていたんだ。
あの子はインドから大冒険をしてきたのよ。あんな…まだ年端もいかない娘がよ! あたしは今、
彼女を手伝わなければ…きっと後悔する!! ごめんファンタ、店番お願いね!!」
プリントアウトされた用紙をファンタから受け取ると、デリミタは全速力でホーム
の階段を下っていった。
「デリーが…燃えてる…あんな彼女初めて見た…」
ファンタはただ目を点にしているばかりであった。
中世ヨーロッパを偲ばせる赤レンガの大きな城…アムステルダム・セントラル・ステーションを
飛び出し、せわしげに駅に向かう人々を巧みに避けながらデリミタは駅前のダムラック・ストリート
を走った。
左手に水上バスの乗り場、右手に華やかな商店街のストリートを五〇〇メートルほど真っ直ぐ走ると、
付近の建物よりやや高い、真っ白な尖塔のある広場が見えた。
この塔は第二次世界大戦で亡くなった人たちの霊を慰めるための戦没者慰霊塔だ。
そして、それを囲む広場がダム広場だ。
この塔の回りを囲む階段に、世界中の旅行者が集まり旅の情報交換をしている姿は、この街の
名所として知られている。
「あの子は…きっとこのどこかにいるはずだわ…」
息を切らせながらデリミタは少女を必死に探した。
しかしこのダム広場はプロサッカーの試合ができそうなくらい広大で、しかも人通りが激しい。
一人の女の子を捜索することは極めて困難であった。
広場中を一通り回ってはみたが、少女の姿はどこにも見えなかった。
「……」
デリミタは無言で慰霊塔の階段に腰を下ろした。
「…そりゃそうよ。アムスは観光地よ、旅行者だろうが冒険者だろうがこんな広場だけにに
いるはずはないわ…。運河や風車、アンネ・フランクの家やダイヤモンド工場・・・数えれば
キリがないほど名所があるんだから…そんなこと、観光案内所に勤めるあたしがいちばんよく
理解してるじゃない。わかってたんだ、いるはずないって。何やってんだろ、あたしったら…
仕事まで抜け出してきてこのザマよ。フフ…バカみたい…」
デリミタはひとり自虐しながら落胆し、肩をすぼめて駅の仕事場へ戻ろうと立ち上がった。
その時であった。
「もうヘタクソね! あたしに貸してみなさいよっ!!」
どこからともなく聞き覚えのあるハスキーな大声が彼女の耳に入ってきた。
「…!!」
もしやと思い、振り向いた瞬間だった。
「ポップ・ショウビットってのは…こーやるのよ!!」
そこにはダム広場に集まったボーダーの注目と太陽光を一身に浴びた、巨大な麦わら帽子とともに
宙を舞うスプライトの姿があった。
2016/9/5 03:21 [1498-4812]
エピローグ
どれだけの時間をかけて、ここまで来たのだろう。
どれだけの人に助けられて、ここまで来たのだろう。
振り向けば後ろに、自分の辿ってきた道が出来ていて
悩んだりつまづいたり、苦労や流した涙もたくさんあったけど
今となっては一つ一つが大切な思い出。
人との出会いは、ほんとうに偶然でしかない。
少しでもタイミングや自分の行動がズレていたら
決して出会えることもなかっただろう。
でも、マトリクスさんも、シンプソン神父も、
そしてランダムも、出会いは偶然だったかもしれないけど
そこで生まれた「絆」は必然であったはず。
だからいかなる出会いも自分の行動も、意味はなくとも
価値があったんだ。
ここまで歩いてこれた全ての必然に、心から感謝し、
そしてまたこれから出会う偶然に、大いなる想望をしてやまない。
さあ、家族と友達の待つインドのラクシャディープへ帰ろう。
途中、マトリクスさんの住むスペインのグラナダに寄り道しよう。
シリアの教会にも立ち寄ろう。子供たちもきっと喜ぶ。
ギリシャとか、世界遺産なんかもたくさん見たい。
まずは、彼の待つマーストリヒトへ戻ろう。
そこからはずっと二人だ。
この広い世界を、二人で旅をしよう。
Step Up! The end of file...
2016/9/5 04:00 [1498-4813]
あとがきです。
たぶんまともにラストまで書ききった唯一のフィクション小説です。
第一話とかかなり読みにくかったとは思いますが、最後まで読んでくださって
ありがとうございます。
執筆中は、とにかく楽しくてしんどかったですね。
休日は朝から図書館でインドや中東の歴史などの資料を読みながらアイデアノートに書き、
「女の子が中東を徒歩で旅する」という非常識な物語に現実的なリアルさを追求するべく
勉強しまくってました。
物語の原点、というか影響された作品はジブリの「魔女の宅急便」です。
でもあの作品は架空の世界観での物語なので、自分は現実の世界の中のリアルさを
追求しようと思って書いてました。
まあ、同時多発テロ以降は中東情勢も悪化の一途を辿ってますから、今となっては
そのリアルさも非現実的な絵空事になってしまってますが。
後世に残される名作ってのは時事に左右されない物語であると思っていますが、
それを作り出すのはかなり難しいのですね。
ですが、それでもなお、オレの中の主人公は作品の中で生きています。
それをどうしても「今」という時代でも残り、それは色あせていないことだと
信じていたので、思い切って最後の「エピローグ」を
この縁側上で書き下ろしました。
インドへ帰る道のりのエピソード、いわゆる続編も考えたりもしましたが、
結局は蛇足になってしまうので書きませんでした。
読んだ人それぞれの想像に任せるのがきっといちばん面白いのだろう、と。
ていうか、そんな想像を膨らますのが楽しい、と思える作品であったならば、
それは筆者としてこの上ない幸せです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
よければ感想などいただけると嬉しいです。
2016/9/5 04:28 [1498-4814]
初投稿です。
近々こういう掲示板を使ってオフ会を開きたいなと考えています。
でも、自分が思うには掲示板ってあんまり人がおらず、書いてもスルーされるかなと思うのですが、
本当に出会える掲示板ってどこかみなさんはご存知でしょうか?
いちおう調べた限りでは、一番大きい掲示板の2ちゃんねるか、それに次いで大きい爆サイってところなら人もいるから募集しやすいとのことですが、これって本当なんでしょうか?
上の2つのサイトに限らず、オフ会を開き募集するのに適した掲示板を知っていましたら、教えていただければ幸いです。
2016/6/6 15:29 [1498-4580]
2016/6/6 23:20 [1498-4581] 削除
2016/6/6 23:20 [1498-4582] 削除
>ryouitirouさん
はじめまして。
オフ会募集告知の掲示板でいちばん手っ取り早いのは「みんカラ」ですね。
http://minkara.carview.co.jp/
の「イベント」からオフ会の告知の登録をすればOKです。
いつ、どこで、どんな車種の集まりで、何をするか、なんてことを具体的に書いて
さらに「じぶんが参加者ならこんなオフ会に参加したい」と思える魅力的なアピールをすれば
自然と参加者は増えるかと思います。
最初は数人だけでも、回数を重ねればリピや口コミによって参加者も増えるのでは、と思います。
今週末に長野でオフ会を開催しますが、よろしければ参加してみてはどうでしょう。
参考になるかもしれませんし、ならないかもしれませんがw
正直いって、この縁側はオフ会の告知や募集をするための掲示板として作ったのではないです。
本スレにショートストーリーを書いたら「そういうのは縁側でやれよバカ」って言われて
作ったのがきっかけなのですw
そしたらいろいろと輪ができて、じゃあオフ会やってみよっか、という感じで。
やってみたら好評で、じゃあまたやろっか、みたいな感じで今に至ってるわけです。
2016/6/6 21:53 [1498-4583]
ryouitirouさん
はじめまして。
他の掲示板は詳しく分かりませんが、価格.comでオフ会を開催したいと思うのであれば、まずは緑側を開設する事です。次に目的の趣旨を明確にした方が良さそうです。その次は人数集めです。全く知らない人には最初から人は集まりませんからね。信頼関係を築くのも大事になってきます。
ちなみに私は出逢い系サイトの常連です(笑)
女の子だけを集めたいなら、反撃覚悟の上でガールズチャンネルに書き込みするのも良いかも知れません。ガルチャン民は怖い(爆)
2016/6/6 22:15 [1498-4584] iモードからの書き込み
リョウイチローさんておっしゃるんですかね?どうもこんばんはー☆銀狼のるーですー<(_ _)>
みんなでワイワイできるよーなオフ会を開催してみたいってことですかね!?
とってもステキな野望かと思います!・・・けどそれって中々難しいですょねー(^_^;)
なのでワタクシ銀るーの答えとしては、オフ会開催する側より、参加する側から始めてみたほうがいいかなと思います☆
人様のオフ会に参加して、それで仲間が出来れば自分でオフ会を開くころには人も集まるかと(ゝω・)
あっ、あとどんな車に乗ってて、こんなカスタムしてますょー!っていうのも聞きたいですねー♪
あ、あとあと言い忘れσ(^◇^;)
オフ会するのに人集めするなら「みんから」も悪くないかもですねー☆
2016/6/7 00:07 [1498-4586]
2016/6/9 18:54 [1498-4602] 削除
減塩だし入りさん
>オフ会開催する前に事前にチェックは絶対必要、
許可ない場所で勝手に酒盛りなんかまずいでしょう
忠告ありがとうございます。
まだ開催してませんよ(笑)
酒盛り開催をしなければ良いだけの話しです
わざわざ新垢で書き込み御苦労様
2016/6/9 18:29 [1498-4603] iモードからの書き込み
過去にマナー最悪の人達が現地で宴会をやってかなりの迷惑をかけたようで、
そういうのを危惧しての警告だったようです。
マナー及び禁則事項の遵守徹底を約束し、さらに過去の車中泊宴会でクレーム等が
一切なかったことを説明したところ、納得いただけ、好印象で許可をいただきました。
もし初オフ会とかだったら、許可されなかったかも・・・
いろいろ難しい世の中です。
2016/6/9 21:54 [1498-4607]
最近は車中泊が増えてきてどこの道の駅も夜中は満車になるくらい車が止まってますね
確かに見ているとマナーが悪い人は必ずいます
もちろんマナーを守って使われている人もいるわけで、結局こういうことでどこも使用できなくなっていくのでしょう
ハイドラ同好会の裏オフ会の会場も去年の場所は使えなくなったそうで、原因は別の開催のオフ会の際のマナーがかなり悪かったため使用禁止になったそうです
2016/6/10 00:15 [1498-4612]
縁側モバイル
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